領収書を​紛失したら、​再発行は​可能?​経費で​落とせなくなる?

※本記事の​内容は​一般的な​情報提供のみを​目的に​して​作成されています。​法務、​税務、​会計等に​関する​専門的な​助言が​必要な​場合には、​必ず​適切な​専門家に​ご相談ください。

領収書は、​経費精算に​必要な​重要書類です。​一方、​領収書の​紛失を​経験した​ことが​ある​人も​いるのではないでしょうか。​紛失時には​再発行の​依頼が​頭を​よぎりますが、​依頼に​応じない​会社や​お店は​多いです。

また、​お客さまから​領収書の​再発行を​依頼される​可能性も​あります。​しかし、​安易に​応じると​思わぬリスクを​抱える​ことに​なります。​そこで、​領収書の​再発行を​依頼する​側と​発行する​側、​両方の​対応に​ついて​解説します。

目次


領収書に​まつわる​法律の​基礎知識

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「誰に​・いつ・いくらを​支払ったのか」を​証明する​ための​領収書。​会社の​経費で​落と​すために​必要な​書類で​あり、​節税に​つながる​重要書類です。

領収書は​お金の​やり​取りを​証明する​重要書類である​以上、​さまざまな​ルールが​存在します。

(1)​発行義務が​ある
民法上、​支払者からの​領収書発行の​求めに​応じる​義務が​あります。​お金を​受領したのと​同時に、​領収書を​渡すのが​原則です。

(2)​再発行の​義務は​ない
領収書発行義務は​あっても、​再発行の​義務は​ありません。​発行者の​裁量に​委ねられています。

(3)​領収書の​保存義務が​ある
税法上、​相手から​受領した​領収書は​原則7年の​保存義務が​あります。​「証憑書類」に​あたる、​支出を​裏付ける​書類だからです。

「保存義務有り!​領収書の​電子データ化の​すすめ」の​記事も​ぜひ参考に​してみてください。

領収書を​紛失した​場合

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領収書を​紛失すると、​支払いを​証明する​ことができなくなります。​そのため、​そのため、​税務調査で​経費と​認められない​リスクが​発生します。​しかし、​支払った​ことが​事実なら、​領収書の​紛失に​対して​何かしらの​対処が​必要です。​そこで、​具体的な​方法を​紹介します。

まずは​領収書の​再発行を​依頼しよう

領収書の​紛失が​確認されたら、​まずは​再発行の​依頼を​しましょう。​たとえば、​新幹線代や​飛行機代など​高額の​交通費は​利用日の​半年から​1年以内なら​インターネット上の​手続きで​領収書の​再発行が​可能です。​また、​医療機関に​よっては​再発行の​申請に​応じてくれる​ところも​あります。​各支払先に​問い​合わせてみましょう。

しかし、​すべての​支払先が​領収書の​再発行に​応じるわけでは​ありません。​再発行の​依頼を​する​理由が​「紛失に​よる​ものなのか」​「経費の​水増し計上が​目的なのか」の​区別が​できないからです。​そのため、​「経費の​水増し計上に​よる​脱税に​加担したのでは」と​税務署から​誤解を​受ける​ことを​恐れ、​領収書の​再発行に​消極的な​企業や団体も​あります。

出金伝票に​記録しよう

領収書の​再発行を​して​もらえない​ときは、​出金伝票の​支払記録に​次の​4項目を​記録しましょう。

(1)​支払先
社名や​屋号を​記録します。​
​(2)​日付
支払った​日を​記録します。​
​(3)​領収書の​但し​書きに​相当する​内容
サービス内容や​購入した​商品名などを​記録します。​
​(4)​支払金額
税込金額を​記録します。

しかし、​出金伝票に​記録しても​経費と​して​認められるとは​限りません。​税務署には、​支払先に​対して​支払いの​事実を​確認する​権限が​あるからです。​この​確認行為を​「反面調査」と​いいます。

たとえば、​お歳暮代5万円を​デパートに​支払ったとします。​領収書が​ない​場合、​税務署は​デパートに​出向いたり、​書面で​問い​合わせたりして、​支払い​事実を​確認する​ことができます。​支払い​事実が​確認できれば、​経費と​して​認められます。

つまり、​出金伝票を​利用する​ときは、​反面調査が​行われた​場合に​税務署が​支払いの​事実を​確認できるように​記録する​ことが​ポイントです。

領収書の​再発行を​依頼された​場合

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領収書が​重要書類である​以上、​支払先から​再発行を​求められる​可能性が​あります。​しかし、​依頼した​意図が​紛失に​よる​ものなのか、​経費の​水増し計上が​目的なのかを​確かめる​ことは​できません。​最悪の​場合、​「脱税​(=経費の​水増し計上)に​加担したのでは」と​税務署から​誤解される​リスクが​あります。​そこで、​領収書の​再発行を​依頼された​ときの​対処方法に​ついて​紹介します。

領収書の​再発行拒否

そもそも、​受領した​側に​保存義務が​ある​以上、​発行した側は​再発行を​拒否する​ことができます。​その​場合、​領収書の​再発行は​しない​旨を​相手に​事前周知しましょう。

たとえば、​領収書の​空欄に​「領収書は​再発行いたしませんので、​大切に​保管してください」などと​記載する​方法が​挙げられます。

領収書の​再発行依頼を​断りやすく​する​ことが​ポイントです。

領収書とは​別の​書式の​支払証明書を​発行する

領収書を​渡した​相手は​お金を​支払ってくれた​お客さまです。​当然、​再発行を​断れない​ケースも​考えられます。​そのため、​「経費の​水増し計上に​加担する​つもりはない」と​いう​意思表示を​する​意味で、​領収書とは​別の​書式の​支払証明書を​発行する​方法が​あります。​支払先、​日付、​ただし​書き、​支払金額の​4項目を​記載すれば、​領収書と​同じ​効力を​持ちます。

領収書の​再発行に​応じざるを​得ない​ときは?

たとえば、​得意先から​領収書の​再発行を​依頼された​とき、​今後の​取引を​円滑に​進める​ため、​断る​ことは​難しいのではないでしょうか。

再発行すると​同じ​領収書が​2枚存在する​ことに​なります。​そのため、​「再発行」と​スタンプを​押したり、​メモ書きを​したりするなどして、​再発行である​ことを​明確に​する​必要が​あります。

領収書で​困らないようにする​ための​ポイント

領収書には​発行義務が​あり、​受領した​場合には​保存義務が​あります。​しかし、​工夫次第で​紛失の​リスクを​回避し、​保存の​負担を​減らす​方法が​あります。​また、​領収書を​発行せずに​済めば、​再発行を​依頼される​ことは​ありません。​そこで、​領収書の​紛失、​再発行の​依頼を​最小限に​防ぐ​方法に​ついて​解説します。

電子レシートを​発行する​・受け取る

メールアドレスや​電話番号宛に​送れる​電子レシートなら、​発行する​側は​再発行の​手間が​省け、​受け取る​側は​紛失の​リスクが​減ります。​たとえば、​無料で​使える​Square POSレジでは​紙の​レシートを​印字する​ことも​可能ですが、​電子レシートの​発行も​できます。​お客さまに​電子レシートの​利用を​促せば、​レシート印字に​かかる​コストを​削減でき、​再発行を​依頼される​可能性も​減ります。

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領収書なしで​支払いを​証明する

領収書は​保存義務が​ありますが、​それは​支払先から​受領した​場合に​限ります。​つまり、​領収書が​発行されなければ、​そもそも​保存義務は​生じません。​そのため、​領収書なしでも​支払いを​証明する​方法を​採用すれば、​紛失を​する​心配は​なくなるでしょう。

たとえば、​外注先への​支払いは​銀行振込で​行えば、​通帳に​取引履歴が​記録されます。​領収書なしでも​支払いの​事実を​証明する​ことができます。

また、​クレジットカードを​利用する​方法も​あります。​たとえば、​移動に​利用したタクシーの​支払いを​クレジットカードで​行えば、​カード会社に​支払い​履歴が​残り、​銀行口座にも​反映されます。

このように、​銀行口座や​クレジットカードを​最大限に​活用し、​受領する​領収書を​増やさない​仕組み​作りが​紛失を​防ぐことに​つながります。

仕入税額控除には​領収書の​保存、​発行が​必要

領収書を​紛失しても​支払いの​事実が​証明できれば、​経費と​して​認められます。​しかし、​消費税は​また話が​別です。​そもそも​消費税は​「預かった​消費税 ― 支払った​消費税」の​差額を​税務署へ​納付します。​この​支払った​消費税の​ことを​仕入税額控除と​いいます。

仕入税額控除を​受ける​条件と​して、​これまでは​一回の​税込支払金額が​3万円未満の​場合には、​領収書や​請求書を​保存していなくても​条件を​満たした​帳簿が​あれば​認められましたが、​2023年10月開始の​インボイス制度に​より、​金額問わず、​控除の​条件と​して​適格請求書の​保存が​求められるようになります​(※適格請求書のなかには、​領収書や​見積書、​納品書なども​含まれます)。

仕入税額控除を​受けたい​事業者は、​仕入先に​適格請求書を​発行して​もらう​必要が​あります。​また、​請求書を​発行する​側の​事業者は、​取引先からの​要求に​応えられるように、​適格請求書発行事業者と​して​登録する​必要が​出てくるでしょう。​合わせて、​適格請求書の​記載事項も​しっかりと​確認しておく​ことを​おすすめします。​ちなみに、​前述の​Squareでは、​インボイス制度に​対応した​レシート、​電子レシート、​領収書、​請求書の​発行が​可能です。​詳しくは​こちらを​ご確認ください。

また、​インボイス制度に​ついては、​「インボイス制度とは?​仕組みや​対応方法を​図解付きで​分かりやすく​解説!
」の​記事でも​詳しく​説明しています。

参考:適格請求書等保存方式の​概要​(2022年7月、​国税庁)

この​記事では​領収書を​紛失した​場合に、​再発行を​依頼する​側と​発行する​側が​する​べき​ことを​説明してきました。​場合に​よっては​再発行が​難しい​ことも​あるので、​紛失の​リスクが​減る​電子レシートを​活用するなど、​うまく​工夫しながら保管していくと​いいでしょう。


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執筆は​2018年3月13日​時点の​情報を​参照しています。​最終更新日は​2023年9月29日です。​当ウェブサイトから​リンクした​外部の​ウェブサイトの​内容に​ついては、​Squareは​責任を​負いません。​Photography provided by, Unsplash