自営業に給与明細はない!?年収の求め方と上げ方

自営業とは個人事業主やフリーランスとも呼ばれ、法人を設立せずに営業を行っている個人の方を指しています。ちなみにフリーランスで仕事をしている方の中には法人を設立して営業しているケースもあり、その場合は個人事業主にはあたりません。

会社に勤めている会社員と自営業との一番の違いは「給与」のある・なし、なのではないでしょうか。会社員は会社に雇用され、労働の対価として「給与」が支払われます。自営業の場合は自身が事業主のため、自分自身に「給与」を払うことはできません。ただし、法人になれば役員報酬として社長である自分自身に「給与」を支払うことができます。

会社員なら給与明細を見れば自分の収入がすぐに分かりますが、自営業ではどんな風に年収を算出したら良いのでしょうか。独立を考えているけれど、会社員時代と同じように生活ができるのかどうか不安に思う人も多いのではないでしょうか。

この記事では、自営業の年収を算出する方法や年収を上げるためにできること、また自営業の事務作業を楽にするツールを紹介します。

目次



自営業の所得金額の求め方

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家庭裁判所が養育費・婚姻費用の算定に参考にしている資料「養育費・婚姻費用算定表」では、自営業者の年収の求め方を「自営業者の場合 確定申告書の課税される所得金額が年収に当たります」としています。

自営業の場合、一年間に得た収入から、事業運営に必要な経費、所得控除、青色申告をした場合の控除、の三点を差し引いた金額が課税される所得金額になります。

「経費」「所得控除」「青色申告特別控除」の三点について詳しく見ていきましょう。

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経費

国税庁では必要経費を以下のように定めています。

1.総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
2.その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

営業に必要なパソコンや名刺、文房具などの備品、セミナー参加費、接待費、交通費も経費になります。また、自宅をオフィスとしている場合は家賃や光熱費も一部経費として計上できます。

一方で、事業主のスーツや靴は業務以外でも着用できるため経費にあたらず、健康診断の費用は個人事業主の場合は福利厚生という概念がないために経費にあたりません。生計を一にする家族や親族への家賃や報酬の支払いも経費にはできません。また、10万円を超える高額の機材を購入した場合は経費ではなく、資産にあたります。

経費を計上するにはレシートや領収書が必要になります。これらの証憑書類の保存に関しては7年間と定められています。領収書の保存について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

所得控除

国税庁は所得控除を以下のように説明しています。

所得税法では所得控除の制度を設けています。
これは、所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味しようとするためです。

同じ収入を得ていても扶養家族の人数や年間で支払う医療費など、一人ひとり異なる事情に合わせて課税されるように設けられている制度です。

所得控除には、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除、の14種類があります。

所得控除は会社員、自営業と関係ありませんので、ご自身に当てはまる控除があるかどうか一度確認してみることをおすすめします。

青色申告特別控除

自営業の場合、毎年自ら所得と税額を正しく計算して税務署に申告をして、納付額を確定させる必要があります。これを申告納税制度といい、アメリカやイギリスなどの多くの国で導入されている制度です。申告には白色申告、青色申告の二種類があります。

白色申告は帳簿を簡易な方法で記載してもよいとなっています。青色申告は原則貸借対照表と損益計算書が作成できるような正規の簿記で記載することになっています。簿記の知識についてはこちらの記事をご参照ください。

また、新しく青色申告制度で申告をする場合にはその年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出しなければいけないなど、白色申告に比べてハードルが高いですが、「青色申告特別控除」として最高65万円の控除を受けることができます。

自営業の年収、実際はどれくらいもらっている?

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個人で働く人と企業を結ぶ受発注プラットフォームのランサーズ株式会社によると、2021年10月時点でのフリーランス人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円だったそうです。2020年は1,000万人程度だったことから、コロナ禍においてフリーランスに転身した人が増えたことが伺えます。

参考:『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』発表(2021年11月12日、ランサーズ株式会社)

フリーランス協会が2022年3月に公開した調査によれば、フリーランスで仕事をしている人の男女比はほぼ半分でした。主な収入源となる職種としては「クリエイティブ・Web・フォト系」が1位、次に「エンジニア・技術開発系」、「通訳翻訳系」の順でした。

参考:【プレスリリース】「フリーランス白書2022」を発表〜「フリーランス実態調査」と「フードデリバリー配達員実態調査」

同調査によれば年収は200万円以上400万円未満が29.4% と一番多く、続いて200万円未満が21.8%400万円以上600万円未満が17.5% を占めています。

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自営業の年収を上げるには

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年収、つまり手元に残るお金を多くするには、まず課税される所得金額を正確に算出するところから始めることが賢明です。経費をきっちり計上することや青色申告をすることには少し手間がかかりますが、積極的に取り組むことで課税される所得金額を減らせるかもしれません。経費に関しては上限がないため、帳簿を怠らずにつけておくと想像以上の額を差し引けることも考えられます。

所得税の税率は課税される所得金額によって変わります。たとえば、所得税の税率は195万円から330万円未満なら10%、330万円から695万円未満なら20%です。もし、自宅を事務所にしているのにも関わらず家賃を経費として計上しなかったことで、課税される所得金額が340万円となった場合は、税率が10%も異なってきます。節税は年収アップへの第一歩といえます。

また、フリーランスで仕事をしている人にとって、知人・友人からの紹介もしくはウェブサイトやブログ、チラシを使った営業活動から仕事を受注するケースが多いことが前述の2016年版小規模企業白書から分かっています。

人脈作りや地道な営業活動が功を奏する一方で、業務を行いながら、経理などの事務作業、ウェブサイトやチラシの作成、勉強会への参加など、さまざまなタスクを一人でこなすことは容易いことではありません。まずは、事務作業の効率化を目的としたアプリケーションやソフトウェアの活用をおすすめします。

自営業の業務効率化に役立つツール

フリーランスで仕事をしている人にとって、知人・友人などの人脈を通して仕事を受注している人が65.9%もいることが前述の「フリーランス白書2022」から分かっています。

人脈作りや地道な営業活動が功を奏する一方で、業務を行いながら経理などの事務作業、ウェブサイトやチラシの作成、勉強会への参加など、さまざまなタスクを一人でこなすことは容易いことではありません。まずは事務作業の効率化を目的とした、以下のようなアプリケーションやソフトウエアの活用をおすすめします。

クラウド会計ソフト

売り上げや経費レポート、確定申告などの書類作成を簡易化してくれるツールに、クラウド会計ソフトが挙げられます。なかでもfreeeマネーフォワードならクレジットカード明細や銀行の口座情報と連動し、取引情報が自動で入力されます。

クラウド請求書

クラウド請求書とは、オンライン上で作成し送信できる請求書のことです。記載されている項目を順に入力していくだけで作成から送信まで漕ぎつけるので、多くの時間をかけずに請求書業務を終えることができます。

Square 請求書なら取引先にメールで請求書を送ることができるので、印刷や郵送の手間が省けます。さらに取引先は受け取ったメールに記載されたリンクにアクセスすれば、クレジットカードで請求額を支払うことができます。

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また、Squareとクラウド会計ソフトを連携させることで、請求先からの支払い情報も自動的に会計ソフトに記録されます。これらの会計データはそのまま課税される所得金額の算出に利用することもできるので、日々の事務作業の効率化と節税の両方につながるのではないでしょうか。Square 請求書は無料アカウントを作成すれば、無料で使いはじめることができます(※)。

※決済ごとに手数料が発生します。詳細はこちら

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この記事では自営業をしている人に向けて年収を算出する方法や年収を上げるために取り組むべきこと、またそれらに関わる作業を楽にするツールを紹介してきました。自営業では依頼された業務はもちろんのこと、細かな経理作業も全て自分で請け負うことになります。知らず知らずに損をしてしまわないためにも経理作業は入念に行いたいところです。ある程度の作業を自動化してくれるクラウドツールの手を借りて記入漏れなどを防ぎ、収入を最大化していきましょう。


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執筆は2017年4月5日時点の情報を参照しています。2023年2月1日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash