店舗を運営する際に、会計業務を効率化しつつ、顧客満足度も同時に高められる方法として効果的なのが、自動レジや自動釣銭機の導入です。レジでの支払いを自動化するシステムは、近年ますます注目を集めており、実際にスーパーマーケットやドラッグストア、飲食店をはじめとするさまざまな業種で導入が進んでいます。
そこで本記事では、店舗を運営する事業者を対象に、自動レジと自動釣銭機の種類や導入のメリット・デメリット、さらに導入時のコストや注意すべきポイントなどについて解説します。
目次
自動レジ・自動釣銭機とは?
自動レジとは、顧客が商品をスキャンして支払いまでをセルフで行うシステムのことです。これに対し、自動釣銭機とは、現金を投入するとお釣りが自動で計算・排出される機器のことです。
この二つのシステムは、個別で使用されることもあれば、お互いに連動して使用されることもあります。一般的に大規模な小売店舗では、人件費を抑えつつ多数の顧客に対応できることから、連動して使う形で導入されています。
こうした機器を導入する目的の一つは店舗運営の効率化ですが、それだけではありません。これらのシステムを導入すると、顧客の支払い手続きがスムーズに進められるため、忙しい時間帯の混雑緩和につながります。また、キャッシュレス決済の導入も容易になります。そのため、顧客満足度を向上させる目的でも、自動レジ・自動釣銭機が多くの店舗で導入されています。
自動レジ・自動釣銭機の種類
自動レジ・自動釣銭機には、主に以下の三つの種類があります。
フルセルフレジ
フルセルフレジとは、商品スキャンから支払いまでを顧客がすべて行う形式のレジです。このタイプは特に大型スーパーやドラッグストアなどで採用されており、レジスタッフを必要としないため、導入すれば店舗運営に必要となる従業員数を減らすことができます。
フルセルフレジの最大の特徴は、顧客自身が自由に操作できる点です。「少額の商品や1品のみの購入のため、レジスタッフのいる所では気が引ける」と考える人や、「さっと支払いを済ませて帰りたい」と思う人でも、自分一人で端末を操作して精算まで済ませられるため、気兼ねなく買い物できます。また、ピーク時の混雑緩和にも効果があるため、レジの待ち時間を短縮できるというメリットもあります。
さらに、AI技術が搭載されたフルセルフレジも登場しているおり、こうしたフルセルフレジでは顧客がリストの中から商品を探す必要がありません。商品はAIによって自動認識されるため、バーコードのない生鮮食品や手作りの商品でも簡単に認識し、スピーディーに精算まで済ませられます。
ただし、利用者が機器に慣れていない場合、操作に時間がかかることもあるため、端末を導入する際にはできるだけ利用しやすいインターフェースのものを選択する必要があります。また、万引きのリスクも懸念されるため、監視カメラやセンサーなどの設置も同時に検討しなければなりません。
セミセルフレジ
セミセルフレジとは、レジスタッフが商品をスキャンし、支払いの部分だけを顧客が行う形式のレジです。セミセルフレジは、フルセルフレジと比べて導入コストが低く抑えられるうえに、顧客とスタッフとの接点を一定程度保つことができます。こうしたタイプのレジは小規模店舗や地域密着型の店舗では特に有効で、顧客が機械操作に不慣れな場合でも、安心感を与えることが可能です。
また、セミセルフレジは、スタッフと顧客との接触機会を減らしつつ、店舗の運営効率を向上させることもできます。たとえば、飲食店であれば、注文をスタッフが受け、支払いをセミセルフレジで行うことで、顧客とのコミュニケーションを維持しつつ、支払い業務の負担を軽減することができます。
POSレジ+自動釣銭機
POSレジ+自動釣銭機とは、POSレジに自動釣銭機を組み合わせたタイプのレジシステムのことです。このシステムでは、スタッフが商品をスキャンし、現金のやり取りを自動釣銭機が担当します。そのため、現金管理の効率化と会計ミスの防止の両方が期待できます。また、従業員が現金に直接触れる機会も減るため、衛生面でも非常に効果的です。
こうしたPOSレジ+自動釣銭機タイプの端末は、現金取扱額の多い業種において、とりわけ大きな効果が得られます。たとえば、病院の受付や公共施設の窓口のように多くの人が利用する場所であれば、導入することで現金管理の負担が軽減され、スタッフが他の業務に集中する時間を確保できます。
さらに、POSレジと自動釣銭機を連動すれば、売上データのリアルタイム集計も可能です。在庫管理や売上分析も容易になるため、経営判断のスピードアップが望めます。
自動レジ・自動釣銭機を導入するメリット
規模や業種を問わず、自動レジ・自動釣銭機を導入すると、大小さまざまなメリットが得られます。こうしたメリットの中でも特に重要なものが、以下の四つです。
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従業員の数を減らせる
自動レジや自動釣銭機を導入すると、店舗の運営に必要な従業員の数が減らせるため、人件費の削減ができます。また、従業員のシフト管理や教育の負担やコストも軽減します。たとえば、大型スーパーであれば、1台のフルセルフレジを導入することで、複数のレジ担当者の仕事を代替することが可能です。
少子高齢化による人手不足が問題となっている中、自動レジの導入は、労働力不足を補う効果的な手段として注目されています。また、自動化によって削減された人員を、接客や商品陳列といった別の業務に割り当てることで、店舗全体のサービス向上につなげることも可能です。
会計のミスを減らせる
自動釣銭機は正確にお釣りを計算するため、導入すれば、現金会計に伴うミスが防げます。また、釣銭をめぐる顧客とのトラブルや人為的な計算ミスもなくなるため、顧客の安心感を高め、リピーターを増やす効果もあります。
さらに、会計ミスの減少は、従業員の精神的な負担軽減にも効果的です。繁忙期は特に正確な会計処理を維持することが難しいため、自動化されたシステムの導入がこうした課題解決には効果を発揮するでしょう。
支払いがスムーズになる
フルセルフレジ・セミセルフレジの多くがキャッシュレス決済に対応しています。クレジットカードや電子マネーなど、顧客が望む支払方法を受け付けられるため、顧客満足度の向上につながります。特に若年層をターゲットにした店舗では、キャッシュレス決済の利便性が顧客獲得の鍵となるでしょう。
また、支払いがスピーディーに行われるため、店舗全体の回転率が向上し、売上増加につながる可能性もあります。
衛生面で感染症などのリスク軽減ができる
自動レジ・自動釣銭機を導入すると、現金の直接の受け渡しが減るため、衛生面での不安を軽減することが可能です。こうした対策は、スタッフはもちろん、顧客にも安心感を与えられます。
また、これらの端末に非接触型の決済を組み合わせれば、さらなる安心感を提供することが可能です。実際に病院や公共施設の多くでは、非接触型決済が積極的に導入されており、感染症リスクの軽減が図られています。
自動レジ・自動釣銭機を導入するデメリット
自動レジ・自動釣銭機の導入には、上述のようなさまざまなメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。その中でも特に知っておいた方が良いのが、以下の3点です。
導入コストがかかる
自動レジや自動釣銭機の導入には、初期費用が必要です。機器の価格や設置工事をはじめさまざまな費用が必要となるため、あらかじめ予算に合わせた計画を立てておかなければなりません。
大型店舗であれば、フルセルフレジの導入には数百万円のコストがかかることも珍しくありません。また、導入後のランニングコスト(メンテナンス費用など)も考慮する必要があります。
ただし、リースや補助金を上手に活用して初期費用を抑える方法もあるため、導入の際にはできるだけ多くの情報を収集し、多角的に検討することが重要です。
利用客へのサポートが必要になる
自動レジ・自動釣銭機を導入した場合、高齢者や機械に不慣れな顧客への対応が必要となります。また、スキャンミスや操作ミスに備えたスタッフの配置も、考慮しておかなければなりません。
特に、高齢者が多い地域の店舗では、スタッフによるサポートが必要となる機会は多くなります。
スペースの確保が必要になる
これらの機器は一定の設置スペースを必要とします。そのため、店舗のレイアウトや動線に合わせた計画が必要です。
小規模で特殊な間取りの店舗であれば、スペースなどの制約から、導入が難しい場合もあります。そのため、導入前には必ず実地調査や導入スペースの確保をしておかなければなりません。
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自動レジ・自動釣銭機導入時のポイント
自動レジや自動釣銭機に関して、あらかじめ以下のポイントに注意しておくと、導入がスムーズに進められます。
利用客へのサポート対応
端末を顧客がすぐに使えるように、あらかじめ操作説明を書いたボードを複数箇所設置するなど、サポート体制を整備しておきましょう。機器の使い方を示すポスターやデジタル画面での案内、さらに操作を補助するスタッフを配置しておくと効果的です。特に高齢者が多い地域では、スタッフが手助けできる環境を整えておくことで、安心して買い物がしてもらえます。
また、導入初期には顧客からのフィードバックを収集し、必要に応じて改善を行うことも重要です。顧客が操作に不安を感じない環境づくりが、システム定着のカギとなります。
設置スペースの確保
店舗のスペースを有効に活用するために、機器のサイズや設置場所は慎重に選定しましょう。たとえば、商品の倉庫や店舗内の余剰スペースを上手に活用することで、顧客の動線を邪魔せずに設置することができます。
また、設備工事が必要な場合には、業者との連携を密に行い、工事スケジュールや費用を計画的に管理することが大切です。
ビジネス・店舗に合った機器の選択
導入する機器は、操作性や価格、機能やサイズなどを比較し、自店舗のニーズに合ったものを選ぶことが重要です。たとえば、現金を扱うことが多い店舗であれば、自動釣銭機が適しています。一方で、キャッシュレス決済が主流の店舗であれば、コンパクトなレジ端末を選択した方が良いでしょう。
また、他の店舗運営システム(在庫管理や顧客管理など)と連携可能な機器を導入すれば、業務全体の効率化を一気に進めることができます。
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また、自動レジや自動釣銭機の導入コストが予算と比べて高額な場合は、キャッシュレス決済だけを始めるのも効果的です。たとえば、Square リーダー(1台税込4,980円)やiPhoneやAndroidを利用したタッチ決済(導入コストゼロ)であれば、低コストで気軽にキャッシュレス化が実現できるため、小規模店舗には特におすすめです。
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こうした端末であれば、初期投資を抑えつつ、迅速にキャッシュレス決済環境が整えられます。
まとめ
自動レジや自動釣銭機の導入は、店舗運営の効率化と顧客満足度の向上に大きく貢献する重要なツールです。人件費の削減や従業員の負担軽減、衛生面の改善や会計ミスの防止といった多くのメリットが得られるため、現代の小売業界やサービス業では欠かせない存在となりつつあります。
ただし、導入には高額なコスト負担や顧客へのサポート、設置スペースの確保といった課題も存在します。ですが、リース契約や補助金を活用することでコスト負担を軽減し、事前に入念な計画を立てることで、これらの課題を十分に克服することが可能です。
また、Squareのようなキャッシュレス決済サービスとの連携を活用すれば、初期コストを大幅に抑えながら効率的な店舗運営を目指すことができます。今後の市場環境や消費者ニーズを見据え、自店舗に最適な導入計画を立てることで、競争力のある店舗づくりを実現しましょう。
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執筆は2025年1月22日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。