医療現場では、高齢化に伴いニーズが増加する一方で、医療従事者の人材確保が追いついていないことから、業務全般の効率化が急務となっています。また、感染症対策として、精算時の接触をできるだけ減らし、安全でスムーズな環境を整えることが望まれています。
こうした背景から近年注目されているのが、自動精算機です。クリニックや病院に自動精算機を導入すれば、人手不足を解消できるだけでなく、感染症対策としての効果も期待できます。
そこで本記事では、自動精算機の基本情報から、導入のメリットや注意点までをできるだけ丁寧に解説します。
目次
- 自動精算機とは?
- クリニック・病院で自動精算機を導入するメリット
・会計業務の負担を軽減できる
・患者の待ち時間を短縮できる
・院内感染のリスクを軽減できる
・外国人患者の対応負担も軽減できる - クリニック・病院で自動精算機を導入するデメリット
・操作の仕方がわからない患者への対応が必要になる
・患者の支払い忘れ、釣銭取り忘れが発生する
・精算機の不具合や管理などの手間がかかる
・導入にコストがかかる - クリニック・病院の自動精算機の使い方
・QRコード・バーコードを読み取る
・支払い方法を選び、支払いをする
・領収書・明細書や釣銭を受け取る - クリニック・病院の自動精算機導入時の注意点
・誰にでも使いやすいものを選ぶ
・決済方法を確認する
・予算に合う導入コストか確認する - まとめ
自動精算機とは?
自動精算機とは、顧客が商品やサービスの代金を従業員の助けを借りずに、機械を使って自分で支払う端末のことです。こうした自動精算機は、スーパーマーケットやファストフード店、宿泊施設など、さまざまな場所で利用されています。
医療機関においては、自動精算機を活用することで、患者がバーコードやQRコードを端末に読み取らせ、診療費の支払いから明細書の受け取りまでをスムーズに完了できます。それだけでなく、これまでスタッフが手作業で担っていた会計業務の負担も大幅に軽減されるため、患者の待ち時間を短縮しつつ、業務効率化も同時に進めることが可能です。
また、キャッシュレス決済や多言語対応など、さまざまな機能を備えた機種もあるため、導入する施設のニーズに合わせて必要なものを選択できます。
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クリニック・病院で自動精算機を導入するメリット
自動精算機の導入は、クリニックや病院にさまざまなメリットをもたらします。以下では、業務効率化や患者満足度向上につながる代表的なポイントについて解説します。
会計業務の負担を軽減できる
クリニックや病院において、会計業務はスタッフにとって大きな負担となります。こうした業務を手作業で行う場合、患者数が多いほど対応時間が増えるため、状況によっては他の業務に支障をきたすことさえあります。
ですが、自動精算機を導入すれば、患者数が増えても、会計業務にスタッフの手が取られることはありません。端末は患者自身が操作し、支払いまで済ませられるため、スタッフはその間他の重要な業務に集中できるようになります。
また、自動精算機であれば金銭授受時のミスが防げるため、正確でスムーズな会計処理の実現が可能です。さらに、キャッシュレス決済に対応した機種であれば現金の取り扱いを減らすことができるため、会計全体の効率をさらに向上させることも望めます。
患者の待ち時間を短縮できる
クリニックや病院では、会計待ちの時間が患者にとって大きなストレスとなります。自動精算機を導入すれば、この待ち時間を大幅に短縮することが可能です。患者自身が端末を操作して支払いをするため、会計窓口に並ぶ必要がなくなり、スムーズな流れが実現できます。
特に、キャッシュレス決済に対応した自動精算機では、現金の受け渡しや釣銭のやり取りが不要になるため、処理時間がさらに短縮されます。その結果、患者が多くても迅速に対応できるようになり、混雑を防ぎつつクリニック全体の運営効率も向上できます。
院内感染のリスクを軽減できる
医療機関では、患者同士やスタッフとの接触を通じた感染症リスクが常に懸念されています。自動精算機の導入は、こうしたリスクの軽減につながります。会計窓口で現金や診察券を受け渡す必要がなくなるため、物理的な接触を大幅に減少できるためです。
さらに、キャッシュレス決済に対応した機種を導入すれば、現金を扱う際に発生しがちな衛生面の問題も解消できます。また、患者自身が端末を操作することにより、対面でのやり取りを最小限に抑えられるため、スタッフの安全確保にもつながります。
外国人患者の対応負担も軽減できる
近年は、都市部に限らずさまざまな場所で外国人の患者が増加しており、医療機関でも多言語対応の重要性が高まっています。自動精算機は、こうした課題を解決する手段としても非常に効果的です。
多言語対応機能を備えた機種であれば、患者が自分に適した言語を選択できるため、画面の指示に従って簡単に操作が進められます。スタッフが言葉の壁に苦労することなく、精算手続きを済ませられます。
また、外国人患者が利用しやすいクレジットカードやモバイル決済のオプションが用意されている端末を利用すれば、未払いトラブルを防止することも可能です。
クリニック・病院で自動精算機を導入するデメリット
自動精算機は多くの利点を持つ一方で、導入にはいくつかの課題も伴います。ここでは、実際の運用で直面する可能性のあるデメリットについて解説します。
操作の仕方がわからない患者への対応が必要になる
自動精算機は、使い方を知っていれば大変便利な機械である反面、利用が初めてだったり、まだ慣れていなかったりする場合は、操作が難しいと感じることがあります。特に高齢者の場合、画面の指示がわかりづらいと感じたり、操作ミスをしてしまったりすることも珍しくありません。そのため、自動精算機の導入後も、スタッフがある程度サポートする必要があります。
また、患者が円滑に使用できるように、使い方の案内を表示したり、パンフレットを用意したりすることも必要です。
このように、自動精算機導入後もスタッフがすべき役割がある程度は残るため、完全な負担軽減には至らないことが課題だといえます。
患者の支払い忘れ、釣銭取り忘れが発生する
自動精算機を使用する場合、患者の支払い忘れや釣銭の取り忘れといった問題が発生することがあります。特に操作に不慣れな患者の場合、支払い完了の確認を見落としたり、釣銭を回収し忘れたりするケースも少なくありません。
こうしたトラブルを未然に防ぐためには、機械の周辺に注意書きを掲示したり、必要に応じてスタッフが声掛けをしたりするなどのサポートが考えられますが、それでもすべての問題を完全に防げるわけではありません。また、釣銭の放置が続くと、他の患者や不特定多数による誤取のリスクも考えられます。
精算機の不具合や管理などの手間がかかる
自動精算機を導入すると、便利さと引き換えに、機器の不具合や日々の管理に手間がかかる場合があります。たとえば、動作不良やシステムエラーが発生した場合、患者の会計処理が滞るだけでなく、スタッフがその対応に追われることになります。また、定期的なメンテナンスやシステムのアップデート、故障時の修理対応など、運用に伴う追加の作業も必要です。
さらに、紙幣や硬貨の補充、領収書用紙の交換といった日常的な管理業務も発生します。こうした作業は、特に忙しい時間帯や患者数が多い施設では、それなりの負担となる可能性もあります。
導入にコストがかかる
自動精算機を導入する際には、初期費用や運用コストの負担が発生します。導入時には、機器の購入費用に加え、設置工事やソフトウェアの設定費用なども発生します。また、キャッシュレス決済に対応した機械を導入する場合は、他のシステムとの連携などにかかる費用も別途必要となることがあります。
さらに、導入後も、定期的なメンテナンスや部品交換といったランニングコストが必要です。したがって、規模の小さいクリニックや診療所では、これらの費用が経営に影響を与える可能性があります。
クリニック・病院の自動精算機の使い方
自動精算機の基本的な操作はシンプルですが、患者によっては、初めて使用する際に不安を感じることもあります。そこで本章では、一般的な操作手順について詳しく解説します。
QRコード・バーコードを読み取る
自動精算機の利用は、患者が受付で受け取る明細書や診察券に印刷されたQRコードなどを、機械に読み取らせるところから始まります。患者側がこの操作をすると、診療費や処方箋料などの請求金額が自動的に表示されます。
読み取りは通常、端末に備わっているスキャナー部分にコードをかざすだけで完了しますが、高齢者や初めて利用する患者にとっては、どの位置にかざせばよいのか迷うことも珍しくありません。そのため、端末やその周辺には、明確な操作指示や分かりやすい案内表示などを準備する必要があります。
支払い方法を選び、支払いをする
次は、支払い方法を選ぶ手順です。自動精算機では、患者が画面の案内に従い、現金やクレジットカード、電子マネーなどの中から支払い方法を選択します。多様な決済手段に対応している機種であれば、患者の好みに応じた方法で支払いを進めることも可能です。
支払いの際には、画面に表示される金額を確認し、現金の場合は紙幣や硬貨を投入し、カード決済の場合はカードを挿入またはかざしたら、処理が完了します。
なお、キャッシュレス決済では短時間で処理が完了する反面、通信エラーや機械トラブルが発生する可能性もあるため、その際にはスタッフが適宜迅速に対応しなければなりません。
領収書・明細書や釣銭を受け取る
最後は、領収書や明細書、釣銭の受け取りです。自動精算機では、支払いが完了すると同時に、画面の案内に従って領収書や明細書が発行されます。
ただし、現金で支払った場合は、釣銭が指定されたトレーに返却されます。そのため、患者が釣銭や領収書を取り忘れないように、画面に注意喚起を表示したり、音声ガイドで受け取りを促す機能がある機種を選んだりした方が良いでしょう。
それでも取り忘れが発生する場合もあるため、スタッフによる定期的な確認が必要です。そうすれば、自動精算機の利便性を高めながら、トラブルを最小限に抑えることができるでしょう。
クリニック・病院の自動精算機導入時の注意点
自動精算機を導入する際には、患者の利便性や運用コストなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。最後に、導入前に確認しておきたい重要なポイントについて解説します。
誰にでも使いやすいものを選ぶ
自動精算機を導入する際には、高齢者や機械操作が苦手な方、さらには外国人患者など、幅広い利用者に配慮してある機種を選ぶことが大切です。
画面の文字サイズや配色、操作手順のわかりやすさはもちろんですが、多言語対応や音声案内機能が搭載されている機種を選べば、さまざまな患者の負担を軽減することが望めます。
また、タッチパネルの感度や操作ボタンの位置といった細かい仕様も使いやすさに直結するため、事前に十分に確認をしておくと良いでしょう。
決済方法を確認する
医療機関に導入する自動精算機では、対応する決済方法が多様であるほど患者の利便性が向上します。そのため、現金支払いに加え、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、幅広い手段に対応しているかどうかをチェックすることが大切です。
特に、外国人患者が利用する可能性がある場合、主要な国際ブランドのクレジットカードや、海外でも普及している電子決済サービスに対応している機種を選ぶことで、未払いトラブルを防ぐことができます。
こうした多様な決済手段に対応すれば、患者にとって利用しやすい環境が整えられるため、医療機関全体の効率性や満足度を高めることが期待できるでしょう。
予算に合う導入コストか確認する
自動精算機を導入する際には、予算に見合った機種を選ぶことが大切です。したがって、初期費用だけでなく、運用やメンテナンスのランニングコストを含めて総合的に判断しなければなりません。
たとえば、機種によっては設置工事費用が高額になる場合や、定期的なソフトウェアの更新費用が必要なものがあります。さらに、キャッシュレス決済に対応する機種では、決済手数料が運用コストとして加わる点も考慮しなければなりません。
したがって、初期費用だけでなく運用コストも含めた費用対効果を十分に検討した上で、自動精算機を選ぶように心がけましょう。
まとめ
自動精算機を導入すると、クリニックや病院の業務を効率化させるだけでなく、患者側の満足度も向上させることができます。しかしその一方で、コストや運用上の課題も存在するため、導入前にはさまざまな角度から、十分に検討することが重要です。
本記事で解説したメリットとデメリットを参考に、自院に最適な選択肢を探してみましょう。
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執筆は2025年1月16日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash