クレジットカード、QRコード決済、電子マネーと3種類のキャッシュレス決済を受け付けられるマルチ決済端末は、1台3役の便利なツールです。マルチ決済端末を導入するメリットはその便利さだけにとどまらず、コスト管理やインバウンド対応にも効果的です。
この記事ではマルチ決済端末の導入を検討するビジネスオーナー向けに、マルチ決済端末の役割、対応するキャッシュレス決済の種類、端末のタイプ、導入のメリットなどを解説します。
目次
- マルチ決済端末とは
- マルチ決済端末で受け付けられる3つの決済
- マルチ決済端末の2つのタイプ
- マルチ決済端末を導入するメリット
- Squareのマルチ決済端末が選ばれる3つの理由
- Squareが提供するマルチ決済端末4種
- Squareのマルチ決済端末を導入する流れ
マルチ決済端末とは
クレジットカード、QRコード決済、電子マネーなど、複数のキャッシュレス決済を受け付けることができる決済端末のことを「マルチ決済端末」といいます。1台あれば、現金・金券以外のキャッシュレスでの支払いにマルチに対応できるため、キャッシュレス決済ごとに端末を用意する必要がありません。
マルチ決済端末1台だけを使うということは、端末導入の手間やコスト、維持費なども1台分で済みます。端末の操作方法を従業員に覚えてもらうトレーニングにかかる時間も、複数台の端末を使うときより少なくて済みます。
マルチ決済端末の設置でレジ周りがすっきりすれば、整理整頓された店舗という好印象をお客さまに与えられるだけでなく、省スペース化にも効果があるなど、たくさんのメリットがあります。
マルチ決済端末で受け付けられる3つの決済
マルチ決済端末では一般的に、クレジットカード、QRコード決済、電子マネーという3種類のキャッシュレス決済を受け付けることができます。この3種類それぞれの特徴や利用者のニーズを理解しておきましょう。
1. クレジットカード
日本のキャッシュレス決済の利用額のうち、大部分の83%を占めるのがクレジットカード1です。クレジットカードには次のようなブランドがあります。
- Visa
- JCB
- American Express
- Mastercard
など
クレジットカードは利用限度額が大きいことから、金額の大きい買い物の際などに重宝されます。会計金額が高額になることがあるビジネスの場合は特に、クレジットカードへの対応は欠かせないといえるでしょう。
また、クレジットカードを受け付けていることで、海外からの旅行者のニーズにも対応しやすくなります。もし店舗がクレジットカードに対応していない場合、現金の持ち合わせがないインバウンドのお客さまが欲しい商品を諦めるといったことが起きる可能性もあります。QRコード決済や電子マネーなどの他のキャッシュレス決済が主として国内在住者向けのサービスであることを考慮すると、クレジットカードが使えるマルチ決済端末は海外から来るお客さまへのホスピタリティーという観点でも重要です。
2. QRコード決済
利用率が年々高まっているQRコード決済は、スマートフォンアプリを介したQRコードの読み取りでお金のやり取りをする方法です。QRコード決済には、店舗が用意したQRコードをお客さまがスマートフォンで読み取る「ユーザースキャン方式」と、お客さまのスマートフォンに表示されたQRコードを店舗側が読み取る「ストアスキャン方式」の2種類があります。
QRコード決済サービスは次のようなものが代表的です。
- PayPay
- 楽天ペイ
- d払い
- auPAY
- メルペイ
QRコード決済の利用限度額はサービスによって異なり、少ないものでは1万円、多いものでは100万円とクレジットカードと同じように利用できます。クレジットカードを持ち歩く必要がない気軽さや、ポイントの貯まりやすさなどがQRコード決済の利用率の高まりの背景にあります。
3. 電子マネー
少額の買い物で特に好んで使われる傾向がある電子マネーは、事前審査なしで利用できる決済手段です。プリペイド式が主で、利用時にサインなどが不要であるため気軽に使いやすいことがメリットといえます。利用方法は、カードあるいは専用のアプリをインストールしたスマートフォンをマルチ決済端末などの機器にかざすだけなので簡単です。
電子マネーは利用限度額が2万〜5万円ほどで、サービス提供元の種類によって次の3タイプに分類されます。
- 交通系電子マネー(Suica、PASMO、ICOCA、Kitaca、SUGOCA、TOICA、nimoca、manaca、はやかけんなど)
- 流通系電子マネー(nanaco、楽天Edy、WAONなど)
- 独立系電子マネー(QUICPay、iDなど)
電子マネーはたくさんのサービスがありますが、マルチ決済端末を導入していれば対応する複数の電子マネー決済を1台で受け付けることができます。
マルチ決済端末の2つのタイプ
マルチ決済端末には、大きく分けて「モバイル型」と「据え置き型」の2タイプがあります。いずれもキャッシュレス決済全般に対応するものですが、導入方法やコストなどに違いがあるので理解しておきましょう。
1. モバイル型
モバイル型のマルチ決済端末は、小型かつワイヤレスで持ち運びがしやすいタイプです。
Wi-Fiまたはモバイルデータ通信で決済情報をやり取りするため、導入に際して回線工事がいらず、利用申し込みから導入までの期間が短いという特徴があります。したがって初期費用が端末代金だけというケースもあるなど、安価で月額利用料が無料のサービスもあり、コスト面の垣根が低く導入しやすいマルチ決済端末といえます。
モバイル型のマルチ決済端末はワイヤレスのため、通信環境があればテーブル会計や店外でのイベントなどでも同じように使えます。たとえば、店内と店外、1階と2階などにフロアが分かれた飲食店や小売店でも、モバイル型のマルチ決済端末があれば好きな場所で会計が可能です。
2. 据え置き型
据え置き型のマルチ決済端末は、レジカウンターなどに設置するタイプです。
有線LANを使う据え置き型では導入・設置に工事が必要な場合があり、申し込みから利用開始までに数週間〜1カ月ほどかかります。ただし、工事不要の端末であれば即日使えるものもあります。POSレジシステムと一体型のマルチ決済端末もあり、その場合は別個でPOSレジを用意する必要がありません。
据え置き型なので持ち運びはできませんが、レジカウンターの決まった場所にマルチ決済端末を設置して使うスタイルのビジネスに向いています。
モバイル型と据え置き型のマルチ決済端末のそれぞれの特徴は、次のようにまとめることができます。
モバイル型マルチ決済端末 | 据え置き型マルチ決済端末 | |
通信タイプ | Wi-Fi、モバイルデータ通信 | 有線LAN、Wi-Fi |
導入工事 | 不要 | 端末による |
持ち運び | 可 | 不可 |
申し込みから利用開始までにかかる期間 | 1日〜数週間 | 1日〜1カ月 |
初期費用 | 主に端末代(〜8万円程度)のみ。サービスにより登録料などがかかることもある。 | 端末代(〜12万円程度)+工事費。サービスにより登録料などがかかることもある。 |
月額費用 | 無料〜約6,000円 | 無料〜約6,000円 |
決済手数料 | 2.7〜3.75%程度 | 2.7〜3.75%程度 |
※金額は各社のサービスやキャンペーンによって異なるためあくまで目安です。
マルチ決済端末を導入するメリット
マルチ決済端末を導入することでビジネスサイドには具体的にどんなメリットがもたらされるか、五つのポイントに注目してみましょう。
1台で複数のキャッシュレス決済に対応できる
マルチ決済端末を導入する最大のメリットは、クレジットカード、QRコード決済、電子マネーという3パターンのキャッシュレス決済をたった1台で受け付けられることです。
逆に、決済手段ごとにそれぞれ異なる端末を用意する場合、導入するサービスや端末の検討、初期費用と月額固定費の支払い、端末の不具体への対応なども個々に発生します。操作方法や契約先などの違いが多くなるほど業務が煩雑になり、効率的とはいえません。
その点、マルチ決済端末は導入から運用まで効率性の良さがメリットです。マルチ決済端末に一元化することで、会計時の作業フローがシンプルになり、どの端末を使うか迷ったり間違えたりしてお客さまを待たせてしまうこともありません。新たなスタッフが加わった際のレジ業務の教育や引き継ぎに際しても、複数の端末の操作法を教えるのと、1台だけの使い方を教えるのとでは後者のほうがずっと楽です。使い方を学ぶ人にとっても、覚えることが少なく混乱しにくい分、ミスも発生しにくくなりそうです。
多様な顧客のニーズに応えることができる
「高額の買い物の際に現金を持ち歩きたくない」「財布やカードを持たずにショッピングをしたい」など、キャッシュレス決済が拡大する背景には多様なニーズがあります。それに加え、利便性、衛生面、ポイントが付く経済性など、さまざまな理由がキャッシュレス決済を後押ししています。
従来からあるクレジットカードだけでなく、後発の電子マネーやQRコード決済なども便利な決済手段として社会にどんどん浸透中です。キャッシュレス決済の利用率が年々上昇する中、対応する店舗も増加しています。今後もこのトレンドは継続・拡大していくと考えられ、店舗などのビジネスがマルチ決済端末を持つことが当たり前という未来がすぐそこまで来ているかもしれません。
さらに見逃せないのが、日本におけるインバウンド需要の高まりです。キャッシュレス決済に慣れた外国人旅行者は現金を多く持ち歩かないこともあり、クレジットカードなどで買い物をするニーズが高いため、ビジネスサイドにとってはマルチ決済端末があれば商機を逃しにくいということになります。決済手段を問わずお客さまに平等な対応ができるという意味でも、グローバル化の時代のビジネスにとってマルチ決済端末は必要なアイテムといえるでしょう。
導入コストをおさえられる
クレジットカード決済専用のCAT端末の他に、電子マネーやQRコード決済用の端末も別に用意するとなると、端末や周辺機器のコストがかさんでしまいます。その点、マルチ決済端末1台ならば、端末代などの初期費用としてかかる導入コストが抑えられるという大きなメリットがあります。
さらに、レシートプリンターやPOSレジが搭載されているマルチ決済端末を選べば、それぞれの周辺機器を別々で購入するよりも低コストで済む可能性もあります。特に新店舗のオープンなどでこれから機器を買い揃えるという場合は、すべて一体型のマルチ決済端末を選ぶ、あるいは手持ちのタブレットPCやスマートフォン、パソコンなどと連携させて使えるマルチ決済端末を検討してみるのもおすすめです。
省スペースが叶う
QRコード専用のカメラ付きの端末、電子マネーを読み取る端末など、複数の決済端末を用意しているとレジ周りで場所を取り、雑然とした印象になってしまいます。しかしマルチ決済端末なら多くのキャッシュレス決済に対して1台の端末を用意するだけで済むことから、物理的な省スペースを実現できます。
マルチ決済端末を利用することによる省スペース化は、次のようなケースで特に役立ちます。
- 会計スペースが狭い店舗・オフィス
- バーやラーメン店などカウンター中心の飲食店
- 会計専用スペースがないサロンやスタジオ
- レジ周りに商品陳列スペースを設けたい小売店
省スペース化を実現することで、売り場のレイアウトの自由度が上がったり、会計以外の作業に使うスペースを確保できたりと、ビジネスにさまざまなプラスの効果が見込めます。
持ち運ぶことができる
モバイル型のマルチ決済端末なら、会計の場所を選ばないことも特長です。レジカウンターの定位置で使うだけでなく、次のような多様な状況での利用が考えられます。
- レストランやカフェのテーブル会計
- キッチンカーなどの移動販売
- 宝飾店や画廊など高級店における個室での決済
- 店舗外での一時的なポップアップストア
- 野外イベントやマーケット
- レンタルスペースでのサービス提供
- 訪問販売
持ち運べるマルチ決済端末を使ってさまざまなシチュエーションでキャッシュレス決済に対応できることで、事業内容や営業形態の幅が広がり、業容の拡大にも役立ちそうです。
Squareのマルチ決済端末が選ばれる3つの理由
マルチ決済端末の導入におすすめなのが、Squareです。ここではその理由を3点紹介します。
決済方法問わず、入金は最短翌営業日
サービスによっては、電子マネーとクレジットカードでは入金日が異なるなど、キャッシュレス決済の種類ごとに入金サイクルが分かれていることがあります。Squareなら決済方法で入金日が変わることはありません。各種キャッシュレス決済額の合計が、規定の入金サイクル(最短翌営業日入金)で振り込まれます。
初期費用は端末代金のみ、月額固定費はゼロ
Squareのマルチ決済端末の導入にかかる初期費用は、端末代金のみです。一度決済端末を手に入れてしまえば、ランニングコスト(※)はかかりません。
※決済手数料のみ発生します。
審査結果は最短申込当日にお知らせ
決済サービスを利用するうえで必ず実施されるのが審査です。審査期間はサービスごとに異なりますが、Squareなら結果を最短即日にメールにてお知らせします。審査を受けるまでのステップも簡単。Squareのアカウントを開設するだけです。必須項目を入力し、アカウントの開設を終えると、自動的に審査が実施されます。
Squareが提供するマルチ決済端末4種
Squareでは以下のクレジットカードブランド、電子マネー、QRコードに対応したマルチ決済端末を4種類提供しています。ここでは各端末の特徴を簡単に紹介します。
※年間キャッシュレス決済額が3,000万円未満の新規かつ中小企業の加盟店の場合、VisaとMastercardの決済手数料を2.5%でご利用いただけます。年間キャッシュレス決済額が3,000万円を超える場合、すべての決済手段においてカスタム決済手数料をご利用いただける可能性がありますので、営業チームまでお問い合わせください。
【モバイル型】Square ターミナル
Square ターミナルは、POSレジ・レシートプリンター・決済端末が一体となったマルチ決済端末です。お会計に必要な機能が1台に凝縮されていることから「オールインワン決済端末」と呼ばれることもあります。レシートプリンターやタブレットの用意が必要ないのが大きなメリットです。また、片手で持ち運べるため、飲食店でのテーブル会計にも活用できます。
Square ターミナル | |
端末代金 | 39,980円(税込) |
POSレジ搭載 | ◯ |
レシートプリンター | ◯ |
【モバイル型】Square リーダー
Square リーダーは、手のひらサイズのマルチ決済端末です。サイズこそ小さいものの、ほかの端末と同様に各種キャッシュレス決済に対応しています。Squareが提供する端末の中でも一番手頃な価格で導入できるため、コストを抑えたいビジネスオーナーにはおすすめです。持ち運びが楽で、屋外イベントやポップアップなどでの利用にもぴったりです。
Square リーダー | |
端末代金 | 4,980円(税込) |
POSレジ搭載 | × |
レシートプリンター搭載 | × |
【据え置き型】Square レジスター
Square レジスターは2画面搭載の据え置き型マルチ決済端末です。従業員が操作する画面と、お客さまが決済内容を確認できる画面が分かれているため、お会計をスムーズに進めることができます。POSレジが搭載されていて、別途POSレジ専用端末を用意しなくていいところもうれしいポイントです。
Square レジスター | |
端末代金 | 84,980円(税込) |
2画面搭載(従業員用・お客さま用) | ◯ |
POSレジ搭載 | ◯ |
レシートプリンター搭載 | × |
【据え置き型】Square スタンド
Square スタンドはiPadを取り付けて使用するマルチ決済端末です。端末を180度回転できるため、従業員が金額を入力したあとにくるっとお客さまのほうに画面を向けて、会計内容を確認してもらうことができます。カードをかざす箇所やタッチする箇所はスタンドの右側にあり、LEDが適時操作タイミングを知らせてくれます。
Square スタンド | |
端末代金 | 29,980円(税込) |
2画面搭載(従業員用・お客さま用) | ×(※) |
POSレジ搭載 | × |
レシートプリンター搭載 | × |
※iPadをはめこんだ画面を回転させ、お客さまに向けることができます。
Squareのマルチ決済端末を導入する流れ
Squareのマルチ決済端末を導入するには、まずSquareのアカウントを作成しましょう。アカウント作成に必要な情報を入力すると、Squareの決済端末で受付可能な各種カードブランド(※)への申し込みが自動的に行われ、審査が実施されます。審査結果は、最短当日に入力したメールアドレスに届きます。
※Visa、Mastercard、American Express、JCB、Diners Club、Discover
QRコード決済や電子マネー決済も受け付けたい場合は、審査通過後に管理画面から申し込みをしましょう。詳しい手順は以下の記事をご確認ください。
審査に通過したら、あとはSquare ショップ、あるいは取扱店舗にて希望の決済端末を購入するだけ。ややこしい手順はなく、端末を手に入れたら電源を入れ、画面の指示などに従って設定をしていくだけで、決済を受け付けられるようになります。また、ここで紹介したマルチ決済端末の他に、Squareでは飲食店向けにセルフオーダー・セルフレジ端末も提供しています。詳しくはこちらをご確認ください。
グローバル化やインバウンド需要も手伝って、店舗やオフィスがキャッシュレス決済に対応していくことは自然な流れといえます。使い方や料金体系が分かりやすいマルチ決済端末を選べば、端末の管理に煩わされることなく多くのメリットを享受でき、ビジネスの効率的な運営に確実に寄与します。店舗やオフィスの運営スタイルやスペースに合うマルチ決済端末を導入し、商機を拡大しながらビジネスの魅力をアピールしていきましょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2024年8月5日時点の情報を参照しています。2024年11月8日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。