生産者による商品の直売市場であるマルシェは、消費者にとって作り手の顔が見える安心感や楽しさがあるだけでなく、出店者側にもさまざまなメリットがあります。この記事では、マルシェ出店を検討している人に向けて、必要な準備や設営の流れ、準備物のチェックリスト、そしてスムーズな販売に不可欠な決済方法を解説します。
📝この記事のポイント
- マルシェはお客さまと直接やりとりしながら商品を売れるチャンスの場
- 出店にはルールや条件があるので、申込前によく下調査を
- 見た目やディスプレイも大切で、お店の雰囲気づくりが集客に
- キャッシュレス決済にも対応すると買ってもらいやすくなる
- 費用をおさえたいなら、地域のマルシェや補助金のあるマルシェがおすすめ
目次
- マルシェとは?
・「マルシェ」の語源と意味
・日本各地で人気の「マルシェ」
・マルシェ出店のメリット
・イベント出店との違いと共通点 - 【初心者必見】マルシェ出店の準備チェックリスト
・出店申し込みと確認事項
・商品・在庫の準備
・ディスプレイ・什器の準備
・決済受付の準備 - 当日の持ち物チェックリストと設営の流れ
・忘れがちな持ち物リスト
・設営と販売のタイムスケジュール - マルシェ出店料の相場と費用を抑えるコツ
・一般的な出店料の目安
・出店費用を抑えるポイント - Squareを使えばマルシェ出店がもっとスムーズに
・複数の支払い方法でチャンスを逃さない
・商品・売上・在庫を簡単に管理できる
・屋外の販売に便利なモバイル決済端末 - まとめ
マルシェとは?
マルシェとは、農産物などの生産者が直接消費者に商品を販売する場を指し、「ファーマーズマーケット」「青空市」「朝市」などとも呼ばれます。
「マルシェ」の語源と意味
マルシェはフランス語で「市場」という意味です。フランスでは必ずしも広場に立つ青空市だけを指す言葉ではなく、直売所や商店街のような常設店舗もマルシェと呼ばれます。扱われるものも、農産物や加工品に限らずハンドメイド雑貨や絵画、衣類や調理器具など、生活に関わる品物全般にわたるのが特徴です。一方、日本の一般的なマルシェでは農産物や加工品が中心のようです。
日本各地で人気の「マルシェ」
日本のマルシェは、大きく分けて都市部のショッピングエリアやビジネスエリアで開催される「都市型マルシェ」と、地方の「地域密着型マルシェ」があります。
なかでも日本最大級の都市型マルシェとして有名なのが、東京・勝どきで月に一度開催される「太陽のマルシェ」です。農産物や加工品だけでなく、ワークショップやキッチンカーも出店する人気マルシェで、首都圏近郊だけでなく地方からもさまざまな生産者が集まります。
地域密着型マルシェの例では、愛知県の「暮らしの朝市」があります。名古屋市の東別院、あま市の甚目寺観音、津島市という3地点で定期的に開催されており、野菜や惣菜、生活雑貨やハンドメイド品などさまざまな手作り屋台が人気です。
マルシェ出店のメリット
マルシェ出店のメリットの一つは、多くの人に商品を知ってもらえる点です。来場者のなかには新たな発見を求めている人も多いため、お店をうまくアピールできれば新たなファンの獲得が期待できるでしょう。常設の店舗がある場合でも、マルシェへの出店は認知を広げるうえで効果的です。
マルシェはお客さまの意見を直接聞いたり、トレンドをつかんだりする機会としても活用できます。常設店舗があれば消費者と顔を合わせて会話できる機会がありますが、店を構えるには数百万円もの資金が必要です。一方、マルシェなら出店料は数千円から20,000円程度で、その他の必要経費を考えても常設店舗よりもはるかに少ないコストで対面販売にトライできます。会話を通して消費者の関心や商品の利用方法などの情報を得られれば、今後の商品選定や販売方法に生かせるでしょう。
もちろん、マルシェ出店によって売り上げの拡大も期待できます。売れ行きは天候やブースの場所等に左右されやすいものの、「太陽のマルシェ」の出品者を対象にした調査では、約6割の出店者が売り上げについて「大変満足」または「やや満足」と回答しています。継続して出店すれば、マルシェも主な販売チャネルの一つとして活用できるでしょう。

イベント出店との違いと共通点
マルシェへの出店はイベント出店と同様に申し込み制で、割り振られたブースで自身の商品を販売します。ただし、両者の性質には違いがあります。
マルシェは、生活に根ざした市場であり、取り扱われる商品は食品や雑貨など日常生活で使用するものが中心です。そうした性質から、マルシェは毎週や毎月など短い周期で定期的に開催されることが多く、出店者にとっても販売の場という位置づけです。なかには、出店者に1年間の継続出店を求めているマルシェもあります。
一方、イベントはたいてい特定のテーマに沿って開催され、頻度も年に一度または数回です。出店者にとっては販売チャネルというよりも、展示や発表、テスト販売、同業者との交流の場として活用されるケースが多いようです。ただし、マルシェと名がついているものの、各地で開催されるハンドメイドマルシェのように、1年に一度または数回、大きなホールなどでハンドメイド品を販売するイベントもあります。
【初心者必見】マルシェ出店の準備チェックリスト
マルシェの出店には事前準備が肝心です。ここでは準備に関するポイントを四つ解説します。
①出店申し込みと確認事項
出店条件はマルシェによって異なります。一度きりの出店を歓迎するところもあれば、定期的な出店を条件とするケースもあります。また、出店者や商品の条件も「化学肥料や農薬をできるだけ使わない農業を目指している生産者」「アルコールはNG」などさまざまです。自身の店が出店資格を満たすかどうか、事前によく確認しましょう。
出店条件をクリアしたら、出店料のほか貸出備品などのオプション料金を確認します。支払うタイミングは、当日支払いだけでなく事前入金の場合もあるため注意が必要です。出店料の目安は記事の後半で解説します。
②商品・在庫の準備
申し込みを終えて出店が決まったら、次は商品や在庫の準備です。可能であれば一度、出店予定のマルシェを下見して、同業種の店舗がどのような商品を出しているのか確認しましょう。他店舗が取り扱っていないものを出品したり、似たような商品でも異なる切り口を訴求したりすると、売り上げのチャンスが広がります。
初めての出店で迷うのが商品の点数ですが、おすすめは幅広い種類の商品を少しずつを用意することです。それにより、人気の商品や売れる時間帯などを把握できます。また、目指す売り上げから逆算して在庫数を決めるのも一つの方法です。目標金額の見当がつかない場合は、出店料や自身の人件費などのコストを賄える程度、つまり赤字にならない金額を目標にするとよいでしょう。
③ディスプレイ・什器の準備
商品のほかにも出店にはさまざまなアイテムが必要です。たとえば、ブースで商品を陳列するためのテーブルクロスや什器などは店舗の印象を左右します。下見やSNSでほかの出店者のディスプレイを参考に考えてみましょう。
当日、来場者にお店を覚えてもらうために重要なのがショップカードです。商品を購入したお客さまに渡すのはもちろん、商品をチラッと見ていく通りすがりの人にも取りやすい位置に置くとよいでしょう。カードには、ウェブサイトやInstagramなどのアカウントにつながるQRコードを掲載し、マルシェに訪れた人がその後も最新情報をキャッチできるようにしておきます。
ブースに設置する商品POPも準備しましょう。名刺サイズ、あるいはハガキサイズの用紙を用意し、産地はどこで、誰が育てた野菜なのかなどの生産背景を短くまとめると、ブースを訪れた人と会話するチャンスがなくても商品の魅力をアピールできます。
④決済受付の準備
近年のマルシェでは、ワイヤレスかつ小型のモバイル決済端末でキャッシュレス決済を受け付ける出店者も珍しくありません。キャッシュレス決済は来店者の利便性を高めるだけでなく、出店者にとっても釣銭のやり取りや売り上げを記録する手間を省けるメリットがあります。また、決済手段の選択肢を増やせば、売り上げの機会も広がります。キャッシュレス決済についてはのちほど詳しく説明します。

当日の持ち物チェックリストと設営の流れ
マルシェの当日に忘れ物をしないよう、前日までに持ち物チェックリストを作成しておきましょう。
忘れがちな持ち物リスト
特に忘れがちな持ち物リストは次のとおりです。チェックリストを作る際の参考にしてください。
- 商品、什器
- 釣銭(現金を管理する箱やレジもあればなおよし)
- 値札
- レジ袋、ゴミ袋
- 筆記用具
- テープ類
- 電源タップ
- 決済端末
- スマートフォン
- 充電器
上記以外にも、暑さ・寒さ対策グッズ、除菌グッズ(ウェットティッシュやアルコールなど)、雨具、モバイルバッテリーなどもあれば安心です。なお、マルシェによっては備品を貸し出しているところもあります。レンタル品の一覧や費用を確認のうえ、借りるか否かを決めるとよいでしょう。
設営と販売のタイムスケジュール
マルシェへの搬入とブースの設営は、当日開場前の決められた時間内に行います。マルシェによっては配送での搬出入に対応している場合もあるので、希望する場合は事前に確認しましょう。
当日は、不測の事態にも対応できるよう、余裕を持って開場に到着すると安心です。搬入や設営が終わったら、お客さまの目線で商品の並べ方を見たり、導線をチェックしたりしてディスプレイを調整します。余裕があれば、近隣のブースにあいさつがてら設営や陳列方法を見に行くのもよいでしょう。ただし、ブースには早めに戻り、開場後すぐにお客さまに対応できるよう備えましょう。
マルシェ出店料の相場と費用を抑えるコツ
ここで、マルシェの出店料を確認しておきましょう。
一般的な出店料の目安
出店料の目安は、都市型マルシェで10,000〜30,000円、地域密着型マルシェで数千円です。東京の有楽町で開催される「交通会館マルシェ」は都市型マルシェの一つですが、1ブースあたりの出店料は税込12,000円です。
商品のジャンルや形態、曜日によって出店料が異なることもあります。たとえば地域密着型マルシェである愛知県の「東別院暮らしの朝市」では、農産物の出店料が曜日を問わず2,000円に設定されている一方で、雑貨の出店料は平日3,000円、土日3,500円です。
なお、なかには売り上げに対して一定の割合を集めるマルシェもあり、10〜20%というケースが多いようです。ただし、その場合でも最低出店料が設けられているところがあるため注意が必要です。
出店費用を抑えるポイント
出店費用をなるべく抑えたい場合は、地域密着型マルシェを選ぶとよいでしょう。また、都市型マルシェでも、自治体によっては出店料などを補助しているケースもあります。たとえば甲府市では、上で紹介した「太陽のマルシェ」への出店料を補助するだけでなく、当日の出店サポートも実施しています。事業を営んでいる地域の補助金情報などを確認してみましょう。
Squareを使えばマルシェ出店がもっとスムーズに
マルシェでの販売に集中するには、売り上げや在庫の管理といった事務仕事を効率化することが重要です。そこで活用を検討したいのが、Squareのような無料で使えるキャッシュレス決済サービスです。
複数の支払い方法でチャンスを逃さない
Squareの決済は、クレジットカードやデビットカードのほかに、交通系ICをはじめとする電子マネー、各種QRコード決済、モバイルウォレットに対応しているため、「希望の方法で支払えない」という理由で購入を見送られる事態を避けられます。また、複数の支払い方法に対応していれば、たとえお客さまの電子マネーに十分な残高がなくてもクレジットカードで支払うなど柔軟に決済方法を変えられるため、売り上げのチャンスを逃しません。
商品・売上・在庫を簡単に管理できる
Square POSレジアプリをスマートフォンやタブレットにダウンロードすれば、商品や売り上げ、在庫を手元でさっと確認できます。売り上げは自動で集計されるだけでなく、在庫管理機能とも連動しているため、在庫状況をリアルタイムで確認し、売れ行きに応じて配置を変えたり値引きしたりといった対応を取りやすくなるでしょう。
屋外の販売に便利なモバイル決済端末
Squareでは、マルシェのような屋外販売に最適なモバイル決済端末が揃っています。もっとも手軽なのは、自身のスマートフォンを決済端末として利用する方法です。上で説明したSquare POSレジアプリをiPhoneまたはAndroidのスマートフォンにダウンロードすれば、「iPhoneのタッチ決済」または「Tap to Pay on Android」の機能を利用して支払いを受け付けることができます。いずれの場合も、対応するのはタッチ決済対応のクレジットカードとApple Payなどのモバイルウォレットに登録されたクレジットカードのみです。

電子マネーやQRコード決済にも対応したい場合は、手のひらサイズのSquare リーダー(税込4,980円)がおすすめです。小さいながらも強力なバッテリーが内蔵されているため、屋外での利用も安心です。
ここで紹介したSquareのサービスは、アカウントを作成するだけで利用できます。初期費用や月額利用料はかからず、必要なのは一律3.25%決済手数料のみ。年間キャッシュレス決済額が3,000万円未満の店舗が新規にSquareを利用する場合は、クレジットカードの決済手数料が2.5%になります。売り上げは最短で翌日営業日に入金され、振込手数料などはかかりません。
まとめ
マルシェ出店の鍵は、事前準備と運営の効率化です。特に当日のお金や在庫の管理にかかる手間を最小限に抑えれば、お客さまとの会話や商品のアピールに割く時間が増え、売り上げアップが期待できるます。今回紹介したSquareのサービスを活用して、初めてのマルシェ出店を成功させましょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2021年12月5日時点の情報を参照しています。2025年7月1日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。


