POSレジの耐用年数は購入やリースで変わる?導入のポイントを解説

POSレジは、お買い上げ時点で読み取った情報をネットワーク上に集約し、会計、在庫、顧客などさまざまなデータを統合管理・分析するシステムです。

バーコードの読み取りやボタン操作など誰でも扱いが簡単で、入力ミスの軽減や時間短縮も見込めます。人手不足になりやすい個人事業主や中小企業など、スモールビジネスの経営の強い味方になってくれるでしょう。一方、高機能のPOSレジは総じて費用が嵩みます。また、導入方法によりコストのかかり方や税務上・財務上の取扱いが異なります。

ここでは、POSレジの導入方法ごとの特徴やメリット、導入時の留意点、減価償却や耐用年数の考え方などの税務上・財務上の取扱いも踏まえながら解説します。

目次



POSレジの導入 3つの方法

POSレジの導入方法には「購入」「リース」「レンタル」の3つの方法があります。それぞれの特徴をみていきましょう。

購入の場合の特徴

利用者が一括で代金を支払い、所有物とします。POSレジは資産として扱われ、減価償却が必要になったり、固定資産税や動産保険などの支払いが発生したりする可能性があります。

大きな特徴は、初期費用負担の大きさです。オプション機能や周辺機器、システム分析用のパソコンやサーバーなども含めると、一括してかなりの金額を必要とします。

一方、いったん購入した後は、費用はかかりません。メンテナンスに多少のコストは発生しますが、簡単な修理や仕様変更であればそれほど大きな金額にはならないでしょう。長く使い続ければ総額のコストは割安になります。

リースの場合の特徴

所有権はリース会社にあり、利用者はリース期間中にリース料を払ってPOSレジを利用します。初期費用は無料か少額で済むことが多く、導入時の負担を抑えられるメリットがあります。

事前に機種を指定することも可能で、利用したい機能があるシステムを導入しやすくなります。リース期間が終わったらその時点で最新のシステムと入れ替えるなど、運用が柔軟にできるメリットもあります。

一方、リース会社の手数料などが含まれるため、全体でかかる費用は一括購入より割高になります。また原則として、契約期間中の解約はできません。契約期間中の保守・修繕義務は利用者が負います。また、長期の契約が前提となるため、事前の審査が必要になる場合が多く、導入までに時間がかかることがあります。

レンタルの場合の特徴

短期間で借りることができ、中途解約ができます。審査もないことが多く、短期間で導入できます。初期費用も抑えられ、故障時の対応も可能なところが多く、導入時のリスクが低い方法といえます。

一方、月額の利用料はリースに比べて割高になるようです。長期間だと総費用は購入やリースに比べて大きくなります。また、レンタルの場合はたいてい中古で、取扱う機種には制限があります。このため、使いたい機能がついたPOSレジを導入できるかはレンタル会社次第です。

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POSレジは減価償却の対象?耐用年数との関係は?

まずはPOSレジの資産価値について整理した後、購入・リース・レンタルの場合の違いをみていきましょう。

POSレジは固定資産

経営上で考える資産には、「流動資産」と「固定資産」があります。流動資産は1年以内に換金できるもので、現金や預金、売掛金、有価証券などを指します。固定資産は長期間使用するもので、有形のもの(建物や機械・設備など)と無形のもの(特許権など)があります。

10万円以上でPOSレジを取得した場合、固定資産として扱われます。このため、減価償却といった税務上・財務上の処理が必要です。

減価償却とは

固定資産は長期使用で少しずつ劣化し、年々価値が減っていくとみなされます。この考え方を「減価償却」といいます。そのため、固定資産の経費は一括して計上せず、毎年の減価償却分を経費として処理します。

減価償却の計算は、機械や備品ごとに国税庁の「耐用年数表」に従って処理します。減価償却の方法には、毎年一定の額を計上する「定額法」と、一定の率で算出した額を計上する「定率法」があります。一般的に、個人事業主は定額法、法人の場合は定率法で償却します。償却方法を変更する場合、税務署へ届出を行う必要があります。また、青色申告をしている場合には、取得金額が30万円未満の固定資産を経費として計上できる特例があります。

購入した場合の減価償却は、耐用年数表で決まる

POSレジを購入した場合は、利用者の固定資産となり、国税庁が決めた耐用年数表に従って減価償却処理を行います。

POSレジやPOSシステムは「事務機器、通信機器」に含まれ、耐用年数は5年と定められています。耐用年数を超えて利用しても減価償却はできません。

参考:主な減価償却資産の耐用年数表(国税庁)

リースした場合の減価償却は、リースの種類で決まる

リース契約の場合、リース取引の種類によっては購入に準じた扱いとなり、利用者が減価償却します。

具体的には、所有権移転外ファイナンス・リース取引では、契約期間が耐用年数として扱われます。リース期間が終了すると耐用年数も満了となります。所有権移転ファイナンス・リース取引では、固定資産と同じように減価償却を行います。

レンタルの場合はどうなる?

POSレジをレンタルした場合、固定の資産とはみなされず、減価償却の対象とはなりません。また、固定資産税や損害保険の対象ともなりません。

POSレジの導入で注意すべきポイント

POSレジを導入するときにはどのような点に気をつけておけばよいでしょうか。検討のポイントなど、導入時のヒントをいくつか挙げておきます。

導入方法は店舗の運営状況に合わせて

導入方法の検討は、POSレジを導入したい店舗の運営状況を踏まえて行いましょう。

リースは長期の契約が前提で、しかも途中解約ができないため、安定した運用実績が求められます。新規開業などでは審査が通りにくい場合があります。

開業資金に余裕があれば、一括購入で導入すると、毎月の費用がかからず運営が楽になるかもしれません。必要な機能を搭載した機器やシステムを選べるうえに、後述する補助金の利用も視野に入れることができます。

レンタルであれば、初期費用を抑え、スピーディに導入できます。レンタルでしばらく導入してみて、経営の実績ができてから好みの機器を購入したり、リースを検討したりする段階的な導入もおすすめです。

また、最近ではタブレットやスマートフォンにインストールするだけで使えるPOSレジアプリも登場しています。無料、もしくは数千円程度の月額料金で使えるものが多く、手軽に導入できるPOSレジとしてさまざまな場所で使われています。詳しくは、「モバイルPOSレジ3社を比較!」をご参照ください。

周辺機器やパソコンなど関連備品も忘れずに

POSレジには、さまざまな機器が関連します。レジに付随するキャッシュドロワー(現金を入れる引き出し)、読み取り用のバーコードリーダーやハンディターミナル、クレジット決済の端末など、いろいろな専用の周辺機器があります。こうした付随機器や関連して購入するパソコンも、取得金額によっては固定資産として計上することになり、耐用年数に応じて減価償却を行います。

補助金を受けられるかを確認

中小規模の事業者がPOSレジを導入するにあたっては、いくつかの支援制度があります。

その代表ともいえる「IT導入補助金」は、ITツールを導入して業務効率化と売上アップを目指す事業者を支援するものです。小規模事業者の場合、対象は以下のようになっています。

・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常勤の従業員5人以下
・サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常勤の従業員20人以下
・製造業その他:常勤の従業員20人以下

経費は、ソフトウェアや導入に関連する費用が(C・Dの低感染リスク型ビジネス枠ではハードウェアレンタル費も)対象となります。補助率と上限額は以下になります。

A型:補助率1/2以内、30万円~150万円未満
B型:補助率1/2以内、150万円~450万円以下
C型:補助率2/3以内、30万円~450万円以下
D型:補助率2/3以内、30万円~150万円以下

POSレジ導入に関する支援制度について、詳しくは「中小事業主必見!POSレジをお得に導入できる支援制度」の記事でも紹介しています。

参考:事業概要 IT導入補助金(一般社団法人 サービスデザイン推進協議会)

POSレジは、経営に欠かせない情報を統合管理するツールとして、小規模事業者の強い味方になってくれます。店舗の運用形態や業界の動向と照らし合わせながら導入・運用計画を立て、戦略的な経営に活用しましょう。

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執筆は2021年7月26日時点の情報を参照しています。2023年6月27日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。