美容室ができる当日キャンセルの対処法とは?

美容室や美容サロンは、オンラインや電話、SNSなどで気軽に予約できるのが魅力である一方、予約を取り消す行為も簡単なため、当日の直前キャンセルや連絡なしでの無断キャンセルに悩んでいるビジネスオーナーも多いかもしれません。キャンセルをめぐるトラブルへの対処法となるのがキャンセル料の設定です。

この記事では、美容室や美容サロンの経営者が知っておきたいキャンセル料について、基本的な考え方や設定方法などを説明し、あわせて予約キャンセルを防止するために整備しておきたいことを解説します。

目次



予約キャンセルとは?

予約のキャンセルは、サービス提供者と消費者の間に交わされる契約の取り消しにあたる行為です。消費者契約法に基づいて基本ルールを設定していく必要があります。

美容室の予約キャンセルとは

美容室・美容サロンの予約はオンラインや電話により行われることが多く、不動産の売買契約のような書面の提示による本格的な同意を求めることまではしないため、軽い口約束のように感じるかもしれません。

しかし、サービスの提供を求めて消費者が日時やスタッフを指定して申し込みを行い、その申し込み内容をサービス提供者が承諾した時点で契約成立とみなすことができます。消費者もサービス提供者も契約を守ることが求められます。消費者がキャンセルをしたことで、サービス提供者に対して損害を与えた場合は、債務不履行にあたり、損害賠償を請求することができると考えられています。ただし、損害賠償の額(キャンセル料)に関しては、消費者契約法に則って設定することが求められます。

消費者契約法とは

予約は、サービス提供者と消費者が商品やサービスを受け渡しする際に交わす契約(消費者契約)です。このとき、消費者が情報や知識の差などによって不利な条件で契約することのないよう、消費者を守るためにつくられたのが「消費者契約法」です。

消費者契約法第9条では、契約の解除に伴う損害賠償や違約金の考え方が以下のように定められています。

第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

引用:消費者契約法(e-Gov)

キャンセル料は自由に設定できるわけではなく、「平均的な損害の額」の範囲内に抑えることが求められます。
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美容室ではキャンセル料を請求するべきか?

キャンセルによって損害を被った場合、損害賠償は可能であると考えられているにもかかわらず、実際にキャンセル料を請求する美容室は少ないようです。なぜキャンセル料の請求をためらってしまうのか、キャンセル料に関する課題点をみていきましょう。

キャンセル料の算定が難しい

たとえば、ある飲食店でコース料理の予約が入っていたにも関わらず、無断キャンセル(ノーショー)が起きたとします。お客様が遅れて到着することを考慮して、30分から1時間程度は座席とコース料理の食材を準備した状態で待っているかもしれません。急きょ新しいお客様を受け入れることは難しく、転用が不可能な食材を一部破棄することもあるでしょう。この場合、コース料理の料金の全額、もしくは何割かをキャンセル料として請求することが考えられます。

一方で、美容室や美容サロンの予約キャンセルは、飲食店と異なり食材が無駄になるような損害は発生しません。このため、損害の額が算定しづらく、キャンセル料が設定できないとなりがちです。

しかし、まったく損害がないわけではありません。キャンセルが起きたことによって確保したスタッフの時間や座席が無駄になり、他のお客様にサービスを提供する機会を失い、本来であれば得られたはずの売り上げが減ったことを損害と考えることができます。

キャンセル料設定のリスクもある

キャンセル料を設定すると、予約する際の心理的なハードルが上がってしまうのではないかという心配もつきまといます。特に新規のお客様にとっては、キャンセル料がかかるかもしれないと考え、気軽に申し込めなくなるかもしれません。

キャンセル料金は杓子定規にあてはめるのではなく、やむを得ない事情でキャンセルする場合はキャンセル料を取らないなど、連絡のタイミングや理由によって柔軟に対応することをキャンセルポリシーに明示し、お客様の不安を取り除いていきましょう。

キャンセルが続けば経営に影響がでる

予約キャンセルの中で特に気をつけたいのが無断キャンセルです。約束の時間がきても何の連絡もないため、スタッフを確保した状態で待ち続けなければなりません。無断キャンセルが連続すると、店舗経営にも大きな影響が出てきます。

本来得られた売り上げの損失を回収するだけでなく、キャンセル行為そのものに対する抑止力として明確なキャンセル料の設定は効果的だと考えられます。

美容室でキャンセル料を設定する際の注意点

ここからは、美容室や美容サロンが具体的にキャンセル料を設定する際の基本ルールや注意したいポイントをみていきましょう。

平均的な損害額を算出する

消費者契約法第9条第1項では、損害賠償額や違約金を合算した額で、消費者契約の解除に伴い事業者に生ずる「平均的な損害の額」を超える部分は無効とすることとされています。

つまりキャンセル料は、美容室や美容サロンの「平均的な損害」の範囲で設定する必要があります。平均の範囲はメニュー内容や顧客層によって店舗ごとに異なります。後述するキャンセル料の相場で解説する内容も踏まえて検討し、お店としての明確な基準を決めておきましょう。

キャンセルポリシーを定めて明示する

予約キャンセルに対し、お店としてどのように対応するのかを明示したものを「キャンセルポリシー」といいます。キャンセルポリシーには、キャンセル料が発生する期間や請求する金額などの明確な基準と対応内容を具体的に記載します。

キャンセルポリシーは作成するだけでなく、必ず公開しましょう。お店の公式サイトや、検索・予約サイトのページに必ず掲載し、お客様が事前に閲覧できる状態にしておきます。電話で予約を受けた場合、キャンセル料に関する事項を加えて説明するなど、予約時に必ずお客様が知っている状態にしましょう。

キャンセル料の取りすぎは無効になる

極端に高額なキャンセル料など、「平均的な損害の額」を超えた請求は、その超えた部分について無効になります。つまり、いくら損害を受けたといっても、極端に高いキャンセル料金は請求できません。悪質なキャンセルなど、状況によっては警察に被害届を出す可能性もあると明示しておくとよいでしょう。

美容室のキャンセル料はいくらが適当?

美容室のキャンセル料について統計資料や法的に定められた金額はなく、「平均的な損害額」をそれぞれの美容室の事情にあわせて設定します。ここからは、具体的にどの程度のキャンセル料にすればよいのかをみていきましょう。

キャンセル料は段階ごとに設定

美容室のキャンセル料は、「予約がなければその時間に別のお客様から売り上げを得られたはず」という考え方に基づいて設定します。そのため、どのタイミングでキャンセルされたのかにより、段階別に割合を変えて設定していくとよいでしょう。

具体的には、キャンセルが早い段階で行われた場合は別のお客様が予約を入れることができるため、キャンセル料は請求しません。直前のキャンセルの場合、当日予約や飛び込みのお客様がどの程度来店する可能性があるかを考慮し、割合を決めます。無断キャンセルの場合は別のお客様を受け付けることもできず来店を待ち続けるわけですから、全額に近い金額をキャンセル料とすることも視野に入れます。

たとえば、予約日の2日前までは無料、前日は予約メニューの料金の20%、当日は30%、無断キャンセルは60%といった具合に決めておくことが考えられます。

キャンセル料の基準の目安

「平均的な損害額」を算定するとき、以下の計算式が使われることがあります。自店舗のキャンセル料を決めるときに参考にしてみてください。

「得られるはずだった粗利益」×「予約の指定日時に別のお客様が来ない確率」

粗利益は、売上金額から売上原価を差し引いた値です。また、該当する日時に別のお客様が予約したり飛び込みで来店したりする確率が低いほど、損害額は粗利益に近づきます。
売上金額は、予約時にメニューが決まっている場合、メニュー料金が参考になります。メニューが決まっていなかった場合、店舗の平均的な1人あたりの粗利益で考えるとよいでしょう。

エステサロンの場合、消費者契約法だけでなく特定商取引法の対象でもあるため、中途解約の場合のキャンセル料について別途上限が定められています。該当する場合はよく確認し、利用規約や約款、キャンセルポリシーに明示しておく必要があります。

参考:特定商取引ガイド(消費者庁)
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予約キャンセル防止のためにできること

キャンセル料の請求は最後の手段といえます。重要なのは、キャンセルされない環境を整備することです。特に無断キャンセルが発生するとダメージが大きくなってしまうため、無断キャンセルが起きる背景を分析し、キャンセル回避の対策をとることも重要なポイントとなります。

予約の変更やキャンセルの連絡をとりやすい環境にする

無断キャンセルにつながる状況の一つに、サロンへ連絡したのにつながらず、伝えることができなかったという場合があります。
オンラインの予約システムを導入して24時間いつでもお客様の都合のよいときに連絡をとれるようにする、ホームページの問い合わせフォームから簡単な操作で入力できるようにする、電話は転送や録音の設定を行うなど、複数の連絡手段を用意し、確実にキャンセルの連絡ができるように整備しましょう。

キャンセルの連絡を受けたらできるだけ早く返信し、キャンセルを受け付けた旨を伝えます。このとき、別の日程で予約の取り直しも可能だと提案するなどのフォローも意識すると、より心のこもった対応につながります。

リマインドで予約していたことを思い出してもらう

無断キャンセルに多いのが、予約時間を勘違いしてしまう場合や、予約したことそのものを忘れてしまう場合です。
予約の前日には、電話やメールで予約時間やメニュー内容を明示し、施術日が近づいていると案内するほか、当日キャンセルや無断キャンセルはキャンセル料が発生する旨を伝えておくとよいでしょう。新規のお客様に対しては、道に迷って無断キャンセルになってしまわないよう、美容室の場所を示した地図や目印などをあわせて記載しておくと安心です。
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ていねいな対応で冷静に接する

キャンセルを行うのはお客様の都合ではあるものの、感情的な態度で接してしまうと、SNSでクレームが拡散されるなど悪影響が広がってしまいます。まずは利用規約やキャンセルポリシーなど、明確な基準を設定して淡々と整備しましょう。その上で、悪質な無断キャンセルなどが発生した場合は基準に照らし合わせて対応を進めます。

やむを得ない事情で結果的にキャンセルになってしまったお客様に対しては、お客様の事情に理解を示し、ていねいな返信を行いましょう。キャンセル料の扱いにも臨機応変の態度が求められます。ただし、SNSで拡散された場合にえこひいきがあると誤解されないよう、どのお客様にも通じる明確な基準を設けた上で、それぞれの事情を汲みながら行動しましょう。

お客様に対して厳しいキャンセル料の設定を行っている一方で、お店側が予約のお客様を待たせてしまう体制だと筋が通らず信頼を失う要因にもなりかねません。矛盾のない店舗運営でお客様からの信頼を積み上げていきましょう。

無断キャンセル保証サービスを利用する

キャンセルが発生した際に損害を保証するサービスや、キャンセル料を回収するサービスに加入する、キャンセル料金の請求ができる予約システムを導入する方法もあります。

無断キャンセルによる損害を保証するサービスは、サービスに加盟することで、無断キャンセルがあった場合にキャンセル料を保証してもらえる保険です。

キャンセル料の代行回収サービスは、美容院や美容サロンに代わって、キャンセル料の徴収を行ってくれるものです。キャンセル料の回収ができた場合、手数料として所定の割合で回収額に応じた金額を支払います。

キャンセル料金回収ができる予約システムを採用する

予約システムの「Square 予約」では、直前のキャンセルや無断キャンセルに対応した機能が利用できます。予約時にお客様のクレジットカード情報を登録してもらい、キャンセル料が発生した際には、キャンセルポリシーに基づいて預かったカード情報にキャンセル料金を請求することができます。

事前決済の仕組みを導入する

予約の段階で料金を先払いしてもらう事前決済のシステムを活用するのも、キャンセルの抑止力につながるでしょう。無断キャンセルをされても、すでに支払いが行われている金額からキャンセル料を差し引くことができ、被害を最小限に抑えることができます。前述のSquare 予約には事前決済の機能も備わっています。

予約の当日キャンセルや無断キャンセルは、そのままにしておくと美容室の不利益でしかありません。キャンセルによる損害を最小限に抑えられるように、手立てを講じておきましょう。

また、キャンセルによって空いてしまった時間を有効活用できるよう、当日の飛び込み予約が可能となった旨をSNSで発信する、キャンセル待ちのシステムを利用して空きが出たら順次連絡するなどのリカバリー対策も有効です。

予約管理はSquare 予約で

Squareの予約管理は無料から導入でき、事前決済はもちろん、有料プランの場合はキャンセル料も取れるので、ノーショウ対策もできます。専用アプリでも、お使いのブラウザでも、場所を問わず、どこでも予約の状況を確認、調整できます。


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執筆は2022年3月30日時点の情報を参照しています。2022年5月10日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash