個人事業を法人化するメリットと必要な手続き

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現在、個人事業主として事業を営んでいる人の中には、事業の法人化に関心のある人もいるのではないでしょうか。

今回は、法人化で具体的に何が変わるのか、どのような手続きが必要かについて説明します。

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個人事業を法人化するメリットとしては、社会的信用を得やすいことや金融機関からの融資を受けられやすいこと、株を発行して資金調達できることなどさまざまな点が考えられます。ここでは、メリットのひとつである節税効果について紹介します。

事業所得が増えたら法人の方がお得

個人事業の場合は所得税法、法人の場合は法人税法に基づいて所得に課税されますが、ある程度事業所得が高くなると所得税の税率が法人の税率を上回ります。つまり、事業所得がある一定以上になると、法人の方が税金は低くなるのです。

法人税の実効税率は約30%

法人の所得には、法人税、法人住民税、法人事業税などが課税されるため、個人事業主の所得税と比較するには、これら複数の税を合計して比較しなければなりません。

そこで登場するのが、法人の所得にかかる税目を合計して平均化した「実効税率」です。実効税率は、法人税の軽減化に伴い、2018年度では30%程度になっています。実効税率はあくまで平均値なので、中小法人で所得が800万円以下であれば、実効税率はもっと低くなります。

年ごとのデータや法人区分ごとの違いなど、詳しくは財務省や国税庁のウェブサイトをご確認ください。

参考:
法人課税に関する基本的な資料(財務省)

No.5759 法人税の税率(国税庁)

個人所得税率は10%~最大55%

一方、個人の所得税は、事業所得や不動産所得など種類ごとに分類し、各種の所得の合計額に応じて税率が上がる累進課税制度が適用されています。税率は5%〜45%の間になっています。

最新の情報は国税庁のウェブサイトをご確認ください。

参考:No.2260 所得税の税率(国税庁)

他の所得と合計せずに独自の税率で計算される特殊なものもありますが、事業所得や不動産所得、給与所得、一時所得など主な所得は、合計し上記の税率で課税される仕組みです。この仕組みを総合課税といいます。

参考:No.2220 総合課税制度(国税庁)

また、上記の税率に加えて住民税10%が課税されるため、所得に対する実際の税率は10%から最大55%です。

所得によって、法人化する方が税率が低くなることがわかります。

経費として認められる範囲が法人の方が広い

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経営者の報酬

個人事業主では経費として認められなくても、法人化すると認められる経費のひとつに、経営者の報酬が挙げられます。

個人事業主の給与は、経費として認められていません。一方、法人の場合は経営者は法人から「役員報酬」として給与をもらうことになります。個人事業主から法人の経営者になることは、事業所得者から給与所得者になることを意味します。

給与所得者は、給与収入から一定の控除を受けられる「給与所得控除」が適用されます。給与所得控除の詳細は、国税庁のウェブサイトをご確認ください。

参考:No.1410 給与所得控除(国税庁)

家族に支払う給与を経費にできる

個人事業主の場合、親族に支払った給与は一定の要件を満たさない限り、原則経費にはできません。

参考:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除(国税庁)

一方、法人化すれば従業員である親族に支払った給与は、専従者かどうかに関係なく、全額経費にすることができます。また、その年収が103万円以下であれば、配偶者控除や扶養控除の対象にすることもできます。ただし役員の場合は、支払額や手続きに制限があるので注意が必要です。

注意したいこと

法人化が必ず得になるというわけではありません。事業所得が低ければ個人事業主の方が税金が安いこともあります。また、法人の設立準備にかかる経費だけでなく、設立後にも費用が発生します。

個人事業主を続けるか、法人化するかで迷っているなら、一度専門家である税理士にアドバイスをもらうことをオススメします。

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法人化するために必要な手続き

それでは、個人事業を法人化するために必要な主な手続きを、株式会社を例に紹介します。

会社の重要事項を決める
会社の設立には、法務局での法人登記が必要です。登記事項である、会社名、代表者、出資額、住所、目的を含めて登記手続きに欠かせない発起人などを決めます。

会社の印鑑を作る
会社に必要な印鑑は3つあるといわれています。
実印…重要な契約時に使用する印
銀行印…法人名義の口座届出印
認印…行政関係の届け出書類など、実印を使用せずに作成できる書類に使う印

法人名義の口座は登記後でないと開設できませんが、この時点で印鑑を作っておくと安心です。また、実印は印鑑登録を行う上で、サイズの規格があるので印鑑の注文時にその旨を伝えましょう。

「トラブルにもつながる?署名や印鑑について徹底解説」の記事もぜひ参考にしてみてください。

定款をつくる
定款とは、規則をまとめた会社の憲法のようなものです。「絶対的記載事項」などもあるので、作成の際には必ず作成条件を確認するようにしましょう。

専門家に作成依頼をすることも方法のひとつです。その場合も、任せきりにするのではなく、ひとつずつ項目をきちんと確認し、自社に合わせて修正を行うようにしましょう。作成後は公証役場での認証が必要です。

資本金の払込
法人登記には、資本金の払込があったことを証明する書面が必要です。そのため、発起人の銀行口座に資本金を振り込み、払込証明書と通帳コピーなどを添えて書類を作成しましょう。

法人設立登記を申請する
以上の手続きが終わったら、必要書類を法務局に設立登記を申請します。実印の登録も同時に行うことができます。

参考:商業・法人登記の申請書様式(法務局

登記後の手続き
法人設立登記が終わったら、次の届出を税務署に提出する必要があります。

[手続名]個人事業の廃業届出等手続(国税庁)
[手続名]所得税の青色申告の取りやめ手続(国税庁)
[手続名]内国普通法人等の設立の届出(国税庁)
[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出(国税庁)

なお、平成29年度税制改正で、法人設立届出書には登記事項証明書の添付が不要になりました。

参考:法人設立届出書等について、手続が簡素化されました(国税庁)

また、必要に応じて源泉所得税の納期の特例承認申請書など消費税法関連書類も提出しましょう。

参考:源泉所得税の納期の特例承認申請書(国税庁)

自治体への提出書類は、各自治体のウェブサイトで確認できます。この他、社会保険や労働保険の手続きも必要です。税理士や社会保険労務士に代行を依頼することもできます。

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執筆は2018年4月26日時点の情報を参照しています。
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