ベンチャー企業・スタートアップ・中​小企業・個人事業主の​違い​

※本記事の​内容は​一般的な​情報提供のみを​目的に​して​作成されています。​法務、​税務、​会計等に​関する​専門的な​助言が​必要な​場合には、​必ず​適切な​専門家に​ご相談ください。

起業を​考えている​際に​よく​出会う、​「ベンチャー企業」​「スタートアップ」​「中小企業」​「個人事業主」と​いった​言葉。​概念と​して​重なる​領域が​あったり、​明確な​定義が​ない​ものが​あったりと、​それぞれを​はっきりと​分けるのは​なかなか​難しい​ものです。

今回は、​「ベンチャー企業」​「スタートアップ」​「中小企業」​「個人事業主」の​それぞれの​違いに​ついて​整理します。

ベンチャー企業とは

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ベンチャー企業とは、​ベンチャービジネスと​いう​和製英語から​派生した​言葉で​あり、​明確な​定義は​ありません。

一般的には、​大企業の​枠組みでは​取り組みにくい独自の​技術や​アイデアを​実践し、​成長している​企業の​ことを​指します。​特に​設立から​5年以内などの​比較的歴史が​浅い​企業に​ついて​使われる​場面が​多く​みられます。

事業の​進め方に​ついては、​新しい​ビジネスモデルを​創出するだけでなく、​既存の​ビジネスモデルを​参考に​して​事業計画を​立てる​ことも​多いようです。

企業の​規模と​いう​点で​みると、​多くは​後から​紹介する​中小企業のなかの​一部に​属する​ものですが、​「これまでにない​領域や​サービスで​事業を​展開している」​「リターンを​得る​ための​リスクを​いと​わず、​成長スピードが​速い」​「起業してから​年月が​あまりたっていない」などの​特色が​際立っている​点で、​ほかの​中小企業と​差別化されています。

次に​紹介する​スタートアップと​比較すると、​長期継続的な​観点で​事業を​進めている​ことが​多く、​事業の​拡大に​従って​組織の​規模も​大きくなる​傾向が​あります。

スタートアップとは

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ベンチャー企業と​似た​意味で​使われる​ことの​多い​言葉に、​スタートアップが​あります。​スタートアップに​ついても​明確な​定義は​ありませんが、​一般的には、​新しい​ビジネスモデルを​考えて​社会に​新しい​価値を​提供したり、​社会貢献を​したりする​ことに​よって​事業の​価値を​短期間で​飛躍的に​高め、​株式上場や​事業売却を​目指す​企業や​組織の​ことを​指して​使われます。

もともと​アメリカの​シリコンバレーを​中心に​「新しく​設立されたばかりの​企業」と​いう​意味で​使われていた​ことも​あり、​日本でも​ベンチャー企業と​同様に​比較的新しい​企業や​組織に​ついて​使用される​ことが主です。

ベンチャー企業との​違いは、​新しい​価値の​創出や​イノベーションに​重きを​置いて​起業している​ことや、​事業売却などの​出口戦略を​強く​意識して​短期的な​成長を​目指している​こと、​目標を​同じく​する​人たちが​集まった​一時的な​組織と​して、​企業と​いう​よりは​チームに​近い連携を​みせる​集団である​ことなどが​挙げられます。

また、​事業を​成功させる​ために​必要な​資金に​ついては、​将来性の​高い​企業に​投資を​行う​ベンチャーキャピタルからの​協力を​得たり、​クラウドファンディングを​利用したりしている​ことが​多い​点も​特徴の​ひとつと​いえるでしょう。

短期、​急進的な​事業展開である​ため、​収益モデルを​確立しないまま​起業し、​事業を​進めながら収益モデルを​完成させていく​スタイルも​珍しくないようです。​福利厚生の​体制が​整っていない​場合も​ありますが、​そのデメリットを​くつが​えすだけの​やりが​いや​スキル向上の​機会に​恵まれた​環境など、​多くの​魅力も​備えた​事業形態と​いえるでしょう。

中​小企業とは

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「平成26年経済センサス-基礎調査」に​よると、​日本の​全企業数の​99.7%を​中小企業・​小規模事業者が​占めています。​中小企業に​ついては、​中小企業基本法に​より、​資本金と​従業員数を​基準と​して​業種分類ごとに​以下のような​定義が​なされています。

製造業、​建設業、​運輸業​その他の​業種
資本金の​額または​出資の​総額が​3億円以下の​会社ならびに​常時使用する​従業員の​数が​300人以下の​会社及び個人

卸売業
資本金の​額または​出資の​総額が​1億円以下の​会社ならびに​常時使用する​従業員の​数が​100人以下の​会社及び個人

​小売業
資本金の​額または​出資の​総額が​5千万円以下の​会社ならびに​常時使用する​従業員の​数が​50人以下の​会社及び個人

サービス業
資本金の​額または​出資の​総額が​5千万円以下の​会社ならびに​常時使用する​従業員の​数が​100人以下の​会社及び個人

参考:
中​小企業・​小規模事業者の​数等(2014年7月時点)の​集計結果を​公表します​(中​小企業庁)
中​小企業の​定義に​ついて​(中​小企業庁)

中​小企業か​どうかの​判断は​この資本金と​従業員数の​定義に​基づいて​行われます。​そのため、​なかには​ベンチャー企業であるが、​中小企業ではないと​いう​企業も​存在します。

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個人事業主とは

個人事業主とは​税務上の​所得区分で​使われる​呼び方で、​会社などの​法人ではなく​個人で​事業を​営んでいる​人の​ことを​いいます。

飲食店などの​店舗を​個人で​経営している​自営業者や、​フリーランスで​仕事を​行っている​人、​医師や​弁護士などの​士業と​して​法人に​属さずに​個人で​活動している​人などは、​この​個人事業主に​含まれます。

税金面に​おいての​法人と​個人事業主の​違いは、​法人には​法人税、​法人事業税、​法人住民税、​地方法人特別税、​消費税、​固定資産税が​課せられるのに​対し、​個人事業主の​場合は​所得税、​住民税、​消費税、​個人事業税が​課せられる​点が​挙げられます。

累進課税である​所得税の​税率などを​考慮すると、​所得が​低い​場合は​個人事業主の​方に​税的メリットが​ありますが、​所得が​多くなると​法人の​方に​メリットが​出てくるので、​売上金額や​利益の​見込みは​起業に​際して​熟慮しておくべきポイントの​ひとつとなります。

その​ほかの​法人と​個人事業主の​違いと​しては、​融資を​受けたり取引を​始めたりする​際の​信用力や​経費に​含まれる​範囲の​広さなどは​法人に、​事業の​始めやすさや​会計処理の​容易さなどは​個人事業主に​メリットが​あります。​自身の​目指す事業形態や​事業規模に​それぞれ照らし合わせながら判断する​ことを​オススメします。

「ベンチャー企業」​「スタートアップ」​「中小企業」​「個人事業主」と、​それぞれが​どのような​ことを​意味するかに​ついてみてきました。​「個人事業主」と​「中小企業」に​ついては、​個人か​法人かと​いう​事業形態の​違いで​明らかに​判別できますが、​「ベンチャー企業」と​「スタートアップ」に​ついては、​事業形態の​違いで​明確に​分ける​ことは​難しいです。

「ベンチャー企業」と​「スタートアップ」を​それぞれ大まかにとらえると、​「ベンチャー企業」は、​一部​大企業に​属する​もの​ありますが、​主に​中小企業の​規模の​小回りのよさを​活かして​「独自の​技術や​アイデアを​武器に​積極的な​姿勢で​急成長を​みせる​企業」で​あり、​一方の​「スタートアップ」は、​事業形態には​関係なく、​「新しい​価値を​提供したり社会貢献を​したりする​ことで​短期的に​事業価値の​向上を​目指す事業者」であると​いえるのではないでしょうか。

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執筆は​2018年6月29日​時点の​情報を​参照しています。​
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