合同会社と株式会社の違い
合同会社と株式会社の大きな違いは、経営と出資の関係性です。株式会社では出資者となる株主は経営に携わることはありません。一方、合同会社は出資者が経営者でもあるのです。
利益配分も会社の形態によって違いがあります。株式会社では出資額に応じて利益を割り当てます。一方、合同会社では出資額に関係なく配当率を決めることができ、会社の貢献に応じて利益を配当するなどが可能です。
決算については、株式会社では毎年、財務情報を開示する決算公告の義務があります。合同会社はその必要はありません。
社員全員の同意があれば、合同会社から株式会社へと組織変更することもできます。
合同会社、合資会社、合名会社の違い
合同会社は経営と所有が一致する持分会社に分類されます。持分会社には他に「合資会社」と「合名会社」と呼ばれるものがあります。合同会社、合資会社、合名会社の違いを見てみましょう。
合資会社は会社設立の際に、社員が2名以上必要です。社員は会社の債務に対して無制限に責任を負う無限責任社員と、会社の債務に対して出資額までの責任を負う有限責任社員がそれぞれ1名以上必要です。
合名会社は社員が1名でも会社を設立できます。ただし社員は無制限責任社員で構成されます。
合同会社は同じく社員が1名でも会社を設立することができますが、社員は有限責任社員で構成されます。
合同会社の代表役員と社員について
合同会社は出資者が社員となります。その中でも代表権を持つ社員が、合同会社では代表社員と呼ばれ、株式会社での代表取締役社長にあたります。
合同会社の設立方法と設立費用
合同会社の設立方法は次の通りです。
1、会社の名称である商号や、事業を行う所在地として本店(一般に本社のこと)の所在地などを決めます。
2、登記に必要となる会社の印章を用意します。
3、会社の組織や運営方法を記載した定款を作成します。
4、1円以上の資本金を出資します。
5、本店の所在地の管轄法務局で登記申請を行います。
費用が発生するのは、定款の作成と法務局での設立登記の申請です。定款には定款用収入印紙代で4万円が必要です(電子定款では不要)。登記の申請には、資本金の0.7%、またはこの額が6万円に満たない場合は6万円の登録免許税を支払います。最低でも10万円の費用が必要です。
【関連サイト】
法務省|「合同会社の設立手続について」
合同会社を設立するメリットとデメリット
合同会社のメリットは、株式会社と比べて設立費用が安く済むことです。社員は有限責任社員のため、出資した以上の金額は責任を問われません。事業が大きくなった場合には、株式会社に会社の形態を変えることも可能です。
合同会社のデメリットは、その歴史が浅いため、認知度が低い点です。出資割合の議決権や配当率を自由に設定できることから、議決や配当を巡って社員間のトラブルが起きることがあります。また、株式会社のように株式を発行して広く出資を求めることもできません。