源泉所得税とは?基礎からわかりやすく解説

Square (スクエア), ブログ編集者

複数の人を雇ってビジネスを行う場合、「源泉所得税」を国に納める必要が出てきます。しかし、「源泉徴収」という言葉は聞いたことがあっても、「源泉所得税」は聞き慣れないという人も少なくありません。

今回は、ビジネスオーナーが知っておくべき源泉所得税の基礎知識について、わかりやすく解説します。

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源泉所得税とは、源泉徴収制度によって納付する税金

所得税の一つであり、「源泉徴収制度」に基づいて国に納める税金のことです。

平成31年(2019年)版 源泉徴収のあらましにおいて、源泉徴収制度は以下のように説明されています。

①給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、②その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するというもの

この文中における「支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付」しているのが、源泉所得税となります。少しややこしいので、一つひとつ整理しましょう。

所得税とは

まず、「所得税」とは、その名のとおり「所得」にかけられる税金です。サラリーマンや事業者などは、働くことで「収入」を得ます。この収入から、事業に必要な「経費」を差し引いたものが「所得」です。

所得税法において、所得は以下の10種類に分けられています。
・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・給与所得
・事業所得
・退職所得
・譲渡所得
・山林所得
・一時所得
・雑所得

所得税は、その年の1月1日から12月31日までの一年間に得たすべての所得から、さまざまな所得控除を差し引き、残った金額(課税所得金額)に税率を適用することで算出されます。実は、この所得税は、納め方によって2種類に分けられます。

「申告所得税」との違い

所得税は、大きく2種類あります。

一つが、今回のテーマである「源泉所得税」であり、もう一つが「申告所得税」です。ざっくり違いを説明すると、「確定申告」で納めているのが申告所得税です。

所得税の原則的なルールは、個人が自主的に申告して納税する、というものです。一年間に得た各所得を合計し、さまざまな控除の差し引きや税率適用を行うことで、支払うべき所得税額を算出します。この所得税額を税務署に知らせる(申告する)ことを確定申告と呼び、申告して払う所得税を「申告所得税」と呼んでいます。

一方、確定申告を待たずに納税している所得税があります。これが源泉徴収制度における「源泉所得税」です。確実な税の徴収や、徴収事務の効率化といった利点から、この制度が採用されていると考えられます。

源泉徴収義務者について

「源泉徴収義務者」とは、源泉所得税を所得から天引きして納付する義務を負った人のことです。給与やボーナスを払うときや年末調整のタイミングで、税額計算や控除の確認、税務署への納付や源泉徴収票の交付といった事務処理を行います。

過不足は年末調整などで精算

源泉所得税を誤って払いすぎたり、逆に少なかったりした場合、年末調整や確定申告で精算処理を行います。もし税金を本来の税額より多く納めていた場合は、手続きをすることで還付されます。

源泉所得税を差し引かなければいけない所得の種類

徴収対象となる所得は、その所得の支払いを受けるのがどんな人かによって区分されています。

具体的には、個人は「居住者」と「非居住者」、法人は「内国法人」と「外国法人」で分かれています。支払いを受ける人が海外にいる場合、その国の税金をかけられることから、税率が変わってくるためです。

源泉所得税が差し引かれる所得の種類としては、個人の場合
・利子所得
・配当所得
・給与所得
・退職所得
・公的年金
・特定の料金や報酬

法人の場合は、利子や配当のほかに
・定期積金の給付補塡金等
・割引債の償還差益
などが挙げられます。

さらに詳しくは、
平成31年(2019年)版 源泉徴収のあらまし Ⅳ 源泉徴収の対象となる所得の範囲(国税庁)
源泉徴収が必要な報酬・料金等とは(国税庁)
でご確認ください。

源泉所得税の納税期限は、翌月10日が原則

源泉所得税は、徴収対象となる所得を支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。たとえば、8月分の源泉所得税は、9月10日までに納める、ということです。ただし、国内で生じた所得を国外で支払うときの源泉所得税は、翌月末日までに納めればよいなどの例外もあります。

納期の特例

原則は翌月10日までの納付ですが、雇用人数が少ない企業や個人事業主の場合、毎月必ず源泉徴収事務を行うのは大きな負担となる可能性があります。そこで、所得税法第216条において「納期の特例」が設けられています。

これは、「給与の支払いを受ける人が常時10人未満程度の小規模事業所では、税務署長の承認を受ければ、年に2回、6カ月分ずつまとめて納付できる」というものです。特例を適用したい場合は、申告書を記載のうえ、税務署で手続きを行いましょう。

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源泉所得税の計算方法

給与と賞与のそれぞれについて、源泉所得税の計算方法を解説します。

給与の場合
税額を求める流れは、以下のとおりです。

(1)対象従業員の扶養親族の数を確認する
(2)対象従業員の所得金額を求める
(3)税額表を参照する

もう少し詳しく見ていきます。

まず、対象従業員が「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しているかどうかを確認します。この申告書には、扶養する家族などの情報が記載されています。

次に、税額の基準となる所得金額を求めます。残業代などもすべて含めて所得を出し、そこから社会保険料を差し引きます。

さらに、「給与所得の源泉徴収税額表」を確認します。この表は、国税庁から毎年発表されるものです。

参考:平成31年(2019年)分 源泉徴収税額表(国税庁)

税額表は
・給与(月額)
・給与(日額)
・賞与
に分かれているため、該当する表を参照します。

表の列(縦軸)は「社会保険料等控除後の給与等の金額」です。
表の行(横軸)は甲・乙・丙から成っていますが、それぞれ以下の違いがあります。

・甲:「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した人。扶養親族などの数によってさらに区別する
・乙:「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人
・丙:日額表のみ。日雇いの人など

社会保険料を差し引いた金額を表で参照することにより、源泉徴収すべき税額がわかります。

賞与の場合
社会保険料等控除後の金額に、「賞与の金額に乗ずべき率」をかけて算出します。この税率は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に記載されています。こちらも給与と同じように、扶養親族の数によって金額は変わります。

2013年1月から復興特別所得税が加算されていることに注意
2013年1月から、源泉所得税とともに復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)がプラスされています。これは、東日本大震災からの復興財源として徴収が決まったものであり、2037年12月31日までの25年間は、源泉徴収される額が増えることを覚えておきましょう。

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会計ソフトを使う方法もある

手計算で源泉所得税を算出していると、手間がかかるほか、計算違いや記録の紛失といった事態が起こりやすくなると考えられます。できるだけ事務処理の負担を減らしたいのであれば、会計ソフトを活用するのがおすすめです。現在は、買い切り型やクラウド型など、さまざまな会計ソフトが登場しています。例として、代表的なソフトを紹介します。

弥生会計 
広いシェアを持つ買い切り型のほか、クラウド型の「弥生会計オンライン」も用意されています。

クラウド会計ソフトfreee(フリー) 
クラウド型の会計ソフトであり、会計知識が少ない人でも使いやすいと評判のソフトです。

マネーフォワードクラウド会計
会計事務所からの評判が高く、サポート体制も整っているのが特徴です。

勘定奉行 
主に中小企業向けの財務会計システムです。SaaS型のクラウド版もあります。

ネットde記帳 
インターネット経由で使う会計システムです。会計事務所や商工会とデータを共有できます。

このようなソフトを使用することで、効率よく処理を行うことが期待できます。無料で試せるサービスも多いため、使用感を確認しながら製品を選ぶのがおすすめです。

源泉所得税は、源泉徴収制度に基づいて納付する所得税です。支払い義務がある人は、この記事を参考に毎月忘れずに徴収し、納付期限までに国に納めるようにしましょう。

執筆は2019年9月6日時点の情報を参照しています。
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