インターネットの普及でさまざまなサービスが登場し、誰もが簡単にネットショップを立ち上げられる時代になりました。特にアパレル商材は流行り廃りがあり、参入も撤退も激しい一方で、うまく運営すれば大きなチャンスがある業界といえます。
アパレル商材でネットショップ運営を成功させる鍵となるのは、いかに魅力ある商品を仕入れて利益を確保するかです。この記事では、仕入先方法別に特徴や長所・短所を解説し、具体的に仕入先として検討したいサイトを紹介します。
目次
アパレルの仕入れ先別メリット・デメリット
アパレル商材の仕入先としては、オンラインかオフラインかの違いや、事業者の業態、国内・国外の違いなどにより、いくつかの形態に分かれます。それぞれにメリット・デメリットがあります。簡単に特徴を見ていきましょう。
仕入れサイト
ネットショップを開設したばかりの人でも取引しやすい仕入先です。オンライン上での取引のため、一般の買い物と同じ感覚で商品を仕入れることができます。
多くのメーカーや問屋が登録し、仕入れのプラットフォームとして機能しています。実店舗をもつ卸問屋が直接運営しているサイトもあります。検索などで商材を一覧でき、卸値の比較も簡単なため、アイテムが多様なアパレル商材を効率よく仕入れて商品展開するには便利なサービスです。
仕入れサイトで注意したいのは、あくまでも販売のための利用を求められる点です。このため、原則として一般消費者は登録できません。また、事業者として登録する場合も、取引の信頼性を高めるために審査が必要なサイトが多くあります。登録料や月額利用料がかかる場合もあります。
ただ、ネットショップを立ち上げたばかりで実績が少ない場合や開業準備中の個人でも登録できたり、1点からでも注文できるところがあったりと、ネットショップの立ち上げ時には強い味方となってくれるでしょう。
メリット
- 検索性に優れ、価格の比較も簡単で、効率よく仕入れができる
- 仕入れ価格の相場や、よく出回る商品などの情報収集ができる
- 1点から購入できるものもある
- メーカーや仕入先と面識がない状態で購入できる
デメリット
- 同じ商品が出回る可能性があり、商材の希少性は低くなる
- 同じ商品・類似商品を仕入れる他社サイトと価格競争になりがち
- 卸値が公開されている場合、原価がユーザーにもわかってしまう
問屋・問屋街
卸問屋や問屋街に直接足を運び、商材を仕入れる方法です。問屋は、メーカーや販売代理店などから商品を大量に購入し、小売店に小口で卸すときの差分で利益を得ています。
問屋街には多くの問屋が集まっています。レディース、メンズ、フォーマル、子ども服、下着、アクセサリーなど、各分野ごとの商材を扱う問屋が集まっています。実際に見て回りながら商品を確かめたり、情報を集めたりできる魅力があり、掘り出し物に出会える可能性も増えます。
ただし、多くの場合、実店舗での運営や販売の実績がないと取引に応じてもらえません。入店許可証や問屋との取引実績が必要なところもあります。しっかりと事前調査をして利用しましょう。
メリット
- オリジナル性の高い商材や情報と出会える可能性が高い
- 包装用品やディスプレイ用品など、関連する商材も豊富
- 小ロット、価格交渉なども可能。その場で持ち帰ることもできる
- 取引が進み信頼性が高まれば仕入れの融通がつく可能性がある
デメリット
- 実店舗での運営や販売実績など、信頼性を得るための条件がある
- 条件に合わなければ取引できない
- 大きな問屋街は都市部に集中するため移動コストがかかる
メーカー
商材の製造元から直接仕入れる方法です。必ず取引に応じてくれるわけではありませんが、メーカー側にとってもメリットがあれば、ビジネスパートナーとして発展的な商材の展開も見込めます。
市場にまだ出回っていない商品を先行して仕入れたり、メーカーと一緒にオリジナル商品を開発できたりすれば、他のショップとの差別化も進みます。また、卸問屋を仲介しないため、仕入れの単価を低く押さえられる可能性もあります。
一方で、ビジネスパートナーとして選んでもらうには、商品の販売実績や販売計画などは必須ともいえます。ショップの運営が軌道に乗り始めたときの中長期戦略として視野に入れておきましょう。
メリット
- 市場にない商品の直接仕入れなど、競争力アップにつながる
- 卸問屋の仲介がない分、仕入れ値が低く抑えられる
- 長期的な関係でオリジナル性の高い商材の開発なども見込める
デメリット
- 販売実績などで信頼性を獲得し契約に至るまでの過程が厳しい
- ある程度まとまったロットや期間の取引が求められる
- まとまった資金が必要になる場合がある
展示会・見本市
展示会は、メーカーなどが一つの会場に集まり、商品やサービス内容を展示し、商談を行うイベントです。メーカーと小売事業者の出会いの多くは、展示会を通じた商談がきっかけとなります。
全国規模の総合的な展示会は春・秋に集中しています。その間を埋めるように小規模の展示会が開催されています。事前申込みが必要なものが多いため、スケジュールや参加条件をよく確認しておきましょう。
展示会や見本市はビジネスマッチングの場です。入場時や商談時には名刺などの提示を求められることが多くなるので、名刺は事前に準備しておきましょう。
メリット
- 最新の業界の動向や商品情報を知ることができる
- 開発中や新発売の商品のサンプルを入手できる
- メーカーや問屋などの同業者と情報交換や商談ができる
デメリット
- 事前申し込みや招待制など、展示会によっては入場に条件がある
- 開催場所への移動コストやスケジュール調整が必要
- 関係性を構築し、仕入れにつながるまで中長期的な視野が必要
海外の仕入れサイト
海外の仕入れサイトによっては国内よりも低価格で仕入れられるのが大きな魅力です。国が異なるとトレンドも変わるため、斬新で先進的なデザインなど、掘り出し物が見つかる可能性も高いといえるでしょう。
一方で、商取引の文化の違いによるトラブルが生じる可能性も高まります。関税などの手続きの煩雑さもあります。輸入代行業者を経由した仕入れだと、注文・発送から検品、不良品対応まで一括して代行してくれるため安心です。ただし、その分仕入れ価格が上がって利益は少なくなります。
メリット
- 国内より安価で仕入れられるため、原価を抑えることができる
- 斬新なデザインや国内では入手困難な商品も見つかる可能性がある
- 類似商品のバリエーションが豊富
デメリット
- コミュニケーションの壁がある
- 送料が高くなる
- 入荷までに時間がかかる
- 不良品の交換や修理、返品手続きがうまくいかない可能性がある
アパレルの仕入れにおすすめのサイト10選
ここからは、アパレルの仕入れ時に活用したいサイトをご紹介します。
NETSEA(ネッシー)
NETSEA(ネッシー)は、2006年にできた仕入れサイトです。出店する問屋やメーカーは約5,000社近くあり、日本国内では最大級の取引数を誇ります。
アパレル・ファッション関連の商材や雑貨だけでなく、美容、家具、家電、食品のほか、店舗運営に必要な備品なども充実しています。一般消費者が利用する買い物サイトとよく似た操作で商品検索でき、仕入れの相場を調査する場合にも重宝するでしょう。
会員登録は、日本国内に営業所または居所を有する法人・個人事業主、開業準備中の人と、ビジネス利用を目的とした場合に限定されます。入会金・月会費は無料です。
SUPERDELIVERY(スーパーデリバリー)
SUPERDELIVERY(スーパーデリバリー)は、株式会社ラクーンコマースが2002年に立ち上げた仕入れサイトです。運営歴が長く、登録企業数は約3,000社を数えます。取り扱う商品のカテゴリーも、アパレルやファッション雑貨が充実しているほか、生活雑貨、食品、家具、家電、什器や包材など多岐にわたります。後払い機能もあり、活用の幅が広がります。
月会費制となっており、登録の際には出展企業側にもバイヤー側にも審査があります。開業前のネットショップは入会できないなど、ハードルは高めです。商談が進むオンライン展示会やセミナーなども開催しています。
TopSeller(トップセラー)
TopSeller(トップセラー)は、ドロップシッピングサービスで知られる株式会社もしもが流通ノウハウを生かして2014年に立ち上げた仕入れサイトです。取り扱う商品は、アパレル商材のほか、コスメ、インテリア雑貨、ホビー、レジャー、デジタル機器など30万点以上あり、利益率などを考慮した検索が可能です。
最大の特徴は、既存のネットショップや独自サイトとの連携が簡単に行えるところです。在庫管理の必要がなく、直接購入者へ発送することもできます。会員登録は無料ですが、商品の流通量によってコースがあり、月額の利用料金が異なります。
ETONET(エトネット)
ETONET(エトネット)は、1902年創業の株式会社エトワール海渡が運営するサイトです。
貴金属アクセサリーを中心とした小間物問屋からスタートしただけあり、長い実績に裏打ちされた商品の取り扱いの確かさや専門的知見の高さ、サービスの品質には定評があります。
会員として登録できるのは、アパレル、ファッション雑貨、美容・化粧小物、雑貨などのアイテムを小売する実店舗を持っているか、開店準備中の事業者であることが条件となります。書類と店舗の写真などを提出して申請し、審査が通れば登録されます。
アパレルの実店舗を運営し、販路拡大で本格的なネットショップの運営を考えるなら、ぜひ視野に入れたいサイトです。
プロルートモール(プロルート丸光オンラインストア)
プロルートモールは、1900年に大阪で創業した総合衣料問屋の株式会社プロルート丸光が運営するサイトです。衣料・服飾雑貨・寝具・インテリア商品などを販売しています。
いち早くセルフサービス方式やキャッシュレス仕入れを導入するなど先進的なシステムを取り入れた卸売を行っており、プロルートモールは優良メーカーの売れ筋商品を紹介するプロ向けの仕入れサイトです。
小売店が対象の会員制ですが、オークション、アフィリエイト、ドロップシッピングでなければ実店舗のないネットショップでも登録が可能です。
GOEMEN Online(江綿オンライン)
GOEMEN Online(江綿オンライン)は、衣料・服飾雑貨・生活商品全般を扱う総合卸売の江綿株式会社が運営するサイトです。
江綿グループは大阪で1923年に創業し、自社グループで企画開発・生産・卸売・販売と一貫した事業を手掛けており、アパレル・ファッション商材の販路拡大を狙うなら見逃せないサイトでしょう。
会員登録は営業実態のある衣料小売店に限定されています。
SMASELL(スマセル)
SMASELL(スマセル)は、株式会社ウィファブリックが2015年に立ち上げた仕入れサイトです。
購入者と出品者のマッチングで大量廃棄のない循環型社会を目指すオンラインマッチングプラットフォームとして、新作やブランド物だけでなく古着や大幅値引き品まで、幅広い商品が取り扱われています。
会員登録や月額利用は無料です。ネットショップ運営のみの個人事業者でも登録可能で、1点ずつ仕入れられる商品もあります。まずは少量から仕入れて、少しずつ値引きの多いまとめ仕入れに移行するなど、運営の状況に応じた活用ができるでしょう。
TOPWHOLE(トップホール)
TOPWHOLE(トップホール)は、Bleaf株式会社が運営するサイトです。レディース向けのアパレルに特化し、独自ルートで卸しており、トレンドを感じる商品が並んでいます。
月額固定の利用料がかかりますが、ネットショップ開設前でも会員登録ができます。そのほか、1点のみの仕入れができる、モデル画像の二次利用ができる、掛け払いができるなどの便利なサービスもあります。
BUYON(バイオン)
BUYON(バイオン)は、株式会社BUYONが運営するサイトです。韓国でファッションの聖地と呼ばれる東大門市場の問屋から直接仕入れることができます。日本語で取り引きでき、海外への送金も不要、複数の問屋の商品をまとめて仕入れることもでき、便利な越境サイトです。
月商の規模によりコースが分かれており、手数料のほか初期費用や預り金などが必要になります。すでに店舗運営を行っている事業主や開店準備中の店舗が登録の条件となっており、事前審査があります。
ラクスル
卸問屋ではありませんが、オリジナル商品の仕入先としてラクスルを紹介します。ラスクルは、インターネットを通じた印刷通販で知られていますが、紙以外の商材も多種取り扱っており、オリジナル商品や独自性の高い販促物、ノベルティの制作が可能です。
服飾雑貨では、ウエア、バッグ、マスク、タオル、カップ、タンブラーなどがあり、店舗のコンセプトにあわせた商品展開を充実させることができます。
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執筆は2021年11月29日時点の情報を参照しています。2023年6月27日に記事の一部を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash