京都・祇園の八坂通に本店をかまえる「京都祇園 天ぷら圓堂(えんどう)」(以下、天ぷら圓堂)は、もともとお茶屋としてはじまったお店だ。1910年に創業し、天ぷら専門店に生まれ変わったのは、1991年のことである。
Squareを導入したのは、2024年。それまで20年ほど使用していた決済サービスから乗り換える形で、国内にある9店舗のうち3カ所でSquareを使うことにした。なぜこのタイミングだったのだろう。また、どんな点が特に助かっているのだろう。天ぷら圓堂が長いあいだ大切にしてきたこだわりとあわせて、専務取締役の遠藤一平さんに話を伺った。

| 業種 | 飲食 |
| 業態 | 天ぷら専門店 |
| 使用しているSquareのサービス | Square ターミナル、Square リンク決済 |
目次
- 天ぷら圓堂のこだわり
- 持ち運び可能な決済端末が必要になった
- ポータブルで、決済手段が豊富なSquareの端末を導入
- 使いやすくなり、入金サイクルも速くなった
- お中元やお歳暮のオンライン販売も滞りなくはじめられた
- 天ぷら圓堂の今後
- Squareで実現できたこと
天ぷら圓堂のこだわり
お茶屋から天ぷら専門店に業態が変わったのは、遠藤一平さんの父親であり現亭主である、遠藤弘一(こういち)さんの代からだ。厨房に立つ父親の背中を見て育った一平さんは、いまや専務取締役としてホールから広報活動まで、天ぷら圓堂全店舗の運営・管理に携わっている。
天ぷら専門店として舵を切ってから34年の月日が経ち、店舗数は全国で9カ所に増加。2015年には海外出店も果たし、米・カリフォルニアの高級住宅街、ビバリーヒルズにも店舗をかまえている。世界に羽ばたく天ぷら圓堂では、どんな天ぷらがいただけるのだろう。
「うちの天ぷらは衣をすごく薄くしており、綿の実を使った綿実油(めんじつゆ)を使っています。綿実油は癖がなくて、あっさりと素材の味を最大限に活かしたおいしい天ぷらに仕上がります。食材に関していうと、京都だからこそ味わえる食材でさまざまやらせてもらっています。京野菜はもちろん、琵琶湖や明石など京都近郊でとれた新鮮な魚介類もたのしんでいただけます」
一平さんは続けて、「うちで天ぷらを食べると、太らないですよ」と笑顔で言う。なぜなのか。
「うちの料理人にはいつも『油を1滴でも多く切ってくれ』と言います。基本的に天ぷら圓堂は全部コース提供で、昼の1番少ないコースでも11品の天ぷらをお出しするんです。もちろん先ほどの綿実油を使用していますのであっさり薄衣ではあります。そのうえで天ぷら1品1品から油1滴を絞って11滴貯めてみる。そしたら、おちょこ一杯くらいになるんです。油をさらに1、2滴多く切ったら、おちょこ1、2杯分の天ぷら油を食べなくていいことになる。ここにもこだわっているので、うちの天ぷらは胃もたれしないんです」

持ち運び可能な決済端末が必要になった
天ぷら圓堂では2024年に八坂本店、「ホテル ザ セレスティン京都祇園」内の店舗、そして岡ざき邸店の3カ所にSquareを導入した。きっかけは、PINバイパスが廃止されるのをニュースで知ったことだ。それまで天ぷら圓堂ではお客さまが席を立たずに会計できるよう、カード決済を受け付けるときは仲居さんがカードをお預かりし、レジで会計をしていた。そしてPINコード(暗証番号)を入力する代わりに、レシートにお客さまのサインをもらっていた。
ところが2025年3月をもってサインで本人確認する「PINバイパス」が廃止されることになった。クレジットカードでの決済時には原則として暗証番号の入力が必須となり、サインでの対応ができなくなったのだ。
有線の端末のままでは、会計時にお客さまにレジまで来てもらわなければいけなくなる。お客さまにはできるだけ負担をかけたくないという思いから、持ち運び可能な無線の決済端末を探しはじめた。当時使用していた決済サービスでも無線の決済端末は提供されていたものの、月々のコストは2万円ほど。決して安くないことから、他社を検討しはじめたという。
ポータブルで、決済手段も豊富なSquareの端末を導入
導入を決めたのは、片手でもてるSquare ターミナル。Squareだと導入にかかるのは端末代金のみ、月額利用料は無料で利用できる(※)。
※決済ごとに手数料が発生します。手数料についてはこちらをご確認ください。

端末の条件として持ち運び可能であることは必須だったが、そのほかにも条件はあったのだろうか。
「QRコード決済や交通系ICの支払いができるものをまず探していました。当店ではお弁当事業もやっており、お客さまが受け取りにこられたり、配達したりすることもあります。金額もレストランで食べられるよりかは比較的安価なことが多いので、QRコードや交通系で支払いたいという方もたまにおられました。いままで対応していなかったので、新たに対応したいというところがありました」

Squareならクレジットカード決済に加えて、QRコード決済や交通系ICを含む電子マネー決済にも対応できる。ただ、さまざまな決済方法を導入するとなると、すべての審査を終えるまでそれなりの時間がかかるのでは……と思う事業主も少なくないだろう。導入期間についても、感想を聞いてみた。
「結構スムーズに移行できたかなと思っています。半年とかかかるのかなと思ってましたが、ほんまに1カ月半くらいでしたね。クレジットカードの申請は2週間で全部通って、PayPay、それとWeChatPayなどの中国系のQR決済が1カ月ぐらいでしたので、全部使えるようになったのは申込みから1カ月半後くらいでした。なので、ほぼほぼ1か月で運用を開始させてもらいました。スムーズでしたね(※)」
※QRコード決済に関しては現在、多数のお申し込みをいただいているため、審査に通常よりも時間がかかっております。審査には最長3か月かかる場合があります。
使いやすくなり、入金サイクルも速くなった
実際にSquareの端末を使用してみての感想は、どうだろう。
「すごく使いやすくなりました。やっぱりお客さまの目の前でカードを切るっていうところがいいですね。いままではお客さまのカードを預かって、レジまで持っていって決済して、サインをもらって、という形だったので、やっぱり海外の方とか、少し不安に思われる方もおられたと思います。それが、目の前でお会計ができて、その場でレシートも出るので、その部分ですごく安心していただけているのかなと思っています」

さらに導入後に感じた利点として、入金サイクル(※)を挙げる。
「やはり料理屋さんですと仕入れイコール原価になってくるので、基本的にはキャッシュをくるくる回していかないといけません。そこに対応するうえでも、入金スパンが早いのはSquareのおすすめできるところかなと思います。以前の決済サービスでは、入金が1カ月半後やったんです。Squareにして入金サイクルがすごく早くなったので、キャッシュフローがちゃんと生まれています」
※Squareで受け付けたキャッシュレス決済は、最短翌営業日に振り込まれます。詳しくはこちらをご確認ください。
お中元やお歳暮のオンライン販売もすぐにはじめられた
オンライン販売をすぐにはじめられたのも、Squareにしてよかった点だ。天ぷら圓堂では2025年夏より新たな試みとして、お中元やお歳暮のオンライン販売をはじめた。しかしいつもの業者にサイト開設を依頼をすると、カートシステムをつけるには予想以上に時間がかかることが判明。すぐにでもサイトを稼働させたかったため、ほかの決済手段を探すなかで見つけたのが「Square リンク決済」だった。商品名と価格を入力するだけで、商品購入ページがつくれる機能だ。
「リンク決済やったら比較的簡単にできるというところで導入させていただきました。サイト開設から1週間後にはサイト上で注文を受けられるようになりましたね。(リンクは)僕や経理の方がいる場合は、注文を確認してからすぐ発行させてもらっているので、時間はほとんどかかっていません」
ECサイト不要でオンライン販売が可能に
Square リンク決済なら会計リンクを作成しSNSやメールで共有するだけ。ECサイトがなくても誰でも簡単ににオンライン販売が可能です。
天ぷら圓堂の今後
最後に今後の予定を聞いてみると、「英会話教室をはじめることです」と一平さん。客層の約半分を占める海外観光客に、母国語のように天ぷらのことを伝えられたら……という思いから、いままさに動きだしているところだ。
「レストランでの英会話って勉強しようと思っても、なかなかできないんですよね。参考書を見ても、レストランに使う英会話は1、2ページくらい。うちでも英会話ができるスタッフがやっぱり少ないんです。なので天ぷら天ぷら圓堂に特化して、接客英語はもちろん、天ぷらに使われる用語、京都という土地柄、観光名所の説明も、普通の日本人のお客さまと会話するような形でできたらいいな、と思って動いているところです。外国人の観光客はこれからも増える、そして日本人でも多様な支払い方法が求められる。そのような時代の流れのなかでSquareさんへ変更できたのはすごくよかったと思っています」

「すごく使いやすくなりました。(中略)目の前でお会計ができて、その場でレシートも出るので、その部分ですごく安心していただけているのかなと思っています」ー京都祇園天ぷら圓堂 専務取締役 遠藤一平さま
Squareで実現できたこと
PINバイパス廃止への対応
天ぷら圓堂ではテーブルで会計を受け付けています。以前はお客さまからカードをお預かりし、レジでの会計時にPINコードの入力をスキップして、お客さまからサインをいただいていました。しかしながら2025年3月以降、クレジットカードでの決済時には原則として暗証番号の入力が必須となり、サインでの対応ができなくなりました。無線のSquare ターミナルを導入したことにより、テーブルまで端末を持っていき、お客さまの目の前で決済を受け付けられるようになりました。
さまざまな決済方法への対応
天ぷら圓堂では店内飲食に限らず、テイクアウト弁当の販売もしています。店内飲食よりも安価な価格設定のため、なかには交通系ICやQRコードでの決済を希望するお客さまもいたといいます。以前の決済サービスではこれらに対応しておらず、お客さまの希望に応えられないこともありました。Squareに移行してからは、交通系ICやQRコードを含むさまざまなお客さまの決済のニーズに応えられるようになりました。Squareで対応している決済方法はこちらからご確認ください。
入金サイクルの短縮
天ぷら圓堂が以前使用していた決済サービスでは、入金サイクルが1カ月半でした。Squareでの決済額は、最短翌営業日に振り込まれます。天ぷら圓堂ではSquareに乗り換えたことにより、キャッシュフローが生まれたといいます。
短期間でのオンライン販売の開始
天ぷら圓堂では2025年夏よりオンラインでお中元・お歳暮の販売を開始しました。開設したサイトにカートシステムをつけるには予想以上の時間がかかることがわかり、代替案を探すなかで見つけたのがSquare リンク決済でした。サイト開設から1週間ほどで販売を開始できました。Square リンク決済はSquareのアカウントさえあれば、無料で使用できる機能です。
記事に掲載されている店舗情報 (商品内容、価格、営業時間など) は2025年9月時点のものです。

