個人事業主として仕事をしていると、取引先からメールで請求書が届いたり、ECサイトで備品を購入してPDFの領収書をダウンロードしたりする場面が増えてきます。このような電子データの保存方法に関係するのが、電子帳簿保存法(電帳法)です。
電子帳簿保存法と聞くと、「紙の領収書もすべて電子化しなければいけないの?」「メールで届いた請求書は印刷しておけばよい?」と迷う人もいるでしょう。結論からいうと、個人事業主がまず確認したいのは、メールやウェブサイトなどを通じてやり取りした請求書・領収書などの「電子取引データ」を、電子データのまま保存できているかです。
また、2027年分の所得税からは、一定の要件を満たす場合に青色申告特別控除の最高額が75万円になる予定です1。本記事では、2026年現在の電子帳簿保存法の考え方や、個人事業主が対応すべきこと、日々の保存のやり方、75万円控除に向けて準備したいことを順番に解説します。
📝この記事のポイント
- 電子帳簿保存法は、個人事業主を含む事業者に対し、税法上保存が必要な帳簿や書類の電子保存ルールを定める法律
- メールやPDFなどで受け取った電子取引データは、原則として電子データのまま保存する必要がある
- 電子帳簿等保存とスキャナ保存は任意で、紙の領収書をすべて電子化する義務はない
- 2027年分の75万円控除には、訂正・削除履歴や検索機能など一定の要件を満たす「優良な電子帳簿」の保存などが必要
- Squareならキャッシュレス決済の取引履歴や請求書の内容をまとめて管理でき、日々の売上・入金データを整理しやすい
目次
- 電子帳簿保存法とは?
- 電子帳簿保存法の対象は3種類
・電子帳簿等保存
・スキャナ保存
・電子取引データ保存 - 個人事業主が保存すべき電子取引データの具体例
- 2026年現在、個人事業主が対応すべきこと
・1. 電子取引が発生する場所を洗い出す
・2. 保存対象となるデータを決める
・3. 保存場所とファイルの管理方法を決める
・4. 保存要件を満たせるようにする
・5. 定期的に保存漏れを確認する
・紙で受け取った書類は紙かスキャナで保存
・帳簿は紙か電子で保存 - 電子取引データを保存するときの主な要件
- 2027年分から青色申告特別控除は最高75万円に
・2026年分までの65万円控除
・2027年分からの75万円控除
・75万円控除に向けて準備したいこと - 電子帳簿保存法とインボイス制度の違い
- 個人事業主が対応するときの注意点
- Squareなら取引データを電子管理できる!
- まとめ
- よくある質問
・個人事業主も電子帳簿保存法への対応は必要ですか?
・紙の領収書も電子化する必要がありますか?
・75万円の青色申告特別控除を受けるには何が必要ですか?
電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、税法上保存が必要な帳簿や書類を電子データで保存するためのルールを定めた法律です。法人だけでなく、事業所得や不動産所得などがあり、帳簿や書類を保存する個人事業主にも関係します。
個人事業主がまず押さえておきたいのは、電子取引で受け取ったり交付したりした取引情報は、原則として電子データのまま保存する必要があることです。たとえば、メール添付で受け取ったPDFの請求書を印刷し、その紙だけを保存する方法では原則として電子取引データの保存にはなりません。
一方で、紙で受け取った領収書や請求書をすべてスキャンしなければならないわけではありません。電子帳簿保存法では、保存方法によって対応が異なるため、まず3つの区分を整理しておきましょう。
国税庁は、電子帳簿保存法を「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つに分けて案内しています2。
電子帳簿保存法の対象は3種類

電子帳簿等保存制度は、大きく「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つに分かれます2。
| 区分 | 主な対象 | 個人事業主の対応 |
|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 会計ソフトなどで作成した帳簿・書類 | 任意 |
| スキャナ保存 | 紙で受け取った・作成した領収書や請求書など | 任意 |
| 電子取引データ保存 | メールやウェブなど電子的に授受した請求書・領収書など | 電子取引を行った場合は保存が必要 |
電子帳簿等保存
会計ソフトなどを使って電子的に作成した仕訳帳や総勘定元帳、決算関係書類などを、一定の要件のもと電子データで保存する方法です。紙に印刷して保存する代わりに、電子データで備え付け・保存できます。
電子帳簿等保存を利用するかどうかは任意です。ただし、後述する青色申告特別控除で優良な電子帳簿の保存を要件として利用する場合は、通常の電子帳簿より厳しい要件があります。
スキャナ保存
紙で受け取った領収書や請求書、契約書などをスキャンしたり、スマートフォンで撮影したりして電子データで保存する方法です。一定の保存要件を満たせば、対象となる紙の書類に代えてスキャンデータを保存できます。
スキャナ保存も任意です。そのため、紙で受け取った書類について、電子帳簿保存法を理由に必ずスキャンする必要はありません。
電子取引データ保存
電子メール、ECサイト、クラウドサービスなどを通じて、請求書や領収書などの取引情報を電子的に授受した場合の保存ルールです。
電子取引を行った場合は、その電子データを保存する必要があります。保存対象は受け取ったデータだけではなく、自分から電子的に交付した請求書などの控えも含まれます。
個人事業主が保存すべき電子取引データの具体例
電子取引に該当するか迷ったときは、「取引に関する情報を紙ではなく電子的にやり取りしたか」で考えるとわかりやすいでしょう。たとえば次のようなケースがあります。
| 場面 | データの例 |
|---|---|
| 取引先とのやり取り | メール添付の請求書、見積書、領収書、契約書のPDF |
| オンライン購入 | ECサイトからダウンロードした領収書、購入明細、納品書 |
| サブスクリプション利用 | クラウドサービスや広告配信、ソフトウェア利用料の請求書・領収書 |
| 売上・決済 | オンライン決済サービスの売上明細、振込明細、電子的に発行した領収書の控え |
| クラウド請求書 | 電子的に発行・受領した請求書、見積書、支払通知など |
日々使っているメールやECサイト、クラウドサービスなどを洗い出し、どこで電子取引データが発生しているかを把握するところから始めましょう。特に教室運営や飲食・小売などの小規模事業では、これらのデータが予約システムや決済サービス、ECサイト、メールなどに散らばりがちなので整理する方法を考えておきましょう。
確認用に印刷するのは問題ありませんが、印刷したからといって紙だけを保存して元のPDFやメールを削除してしまうと、原則として電子取引データの保存にはなりません。税務調査などで求められたときに、日付、金額、取引先名などで確認できる状態にしておくことが大切です3。
2026年現在、個人事業主が対応すべきこと

電子帳簿保存法への対応というと難しく聞こえますが、最初に確認したいのは「電子で受け取った、または電子で送った取引書類を、電子データのまま保存できているか」です。日々発生する電子取引データの保存ルールから整えておきましょう。
1. 電子取引が発生する場所を洗い出す
メール、オンラインショップ、クラウドサービスなど、請求書や領収書を電子的に受け取ったり交付したりする場所を確認します。
2. 保存対象となるデータを決める
請求書、領収書、見積書など、税法上保存が必要な取引情報を確認します。ダウンロード期限があるサービスは、期限内に保存する運用を決めておきましょう。
3. 保存場所とファイルの管理方法を決める
「メールに残っているはず」「あとでダウンロードできるはず」と思っていると、必要なときに探せないことがあります。ダウンロード期限があるサービスもあるため、受け取ったら保存する流れを決めておくと安心です。
会計ソフト、クラウドストレージ、電子帳簿保存法に対応した文書管理サービスなど、継続して管理しやすい保存場所を決めます。ファイル名には、日付、取引先名、金額、書類の種類を入れると検索しやすくなります。
例:2026-08-31_株式会社ABC_33000円_請求書.pdf
複数の場所にばらばらに保存すると探しにくいため、ルールを統一しておきましょう。
4. 保存要件を満たせるようにする
電子データは簡単に変更できるため、真実性の確保が重要です。訂正削除履歴が残るシステムの利用、タイムスタンプ、訂正削除の防止に関する事務処理規程の整備などを通して、要件を満たす運用やシステムを整えましょう。
個人事業主でも、「電子領収書は受領日に保存する」「差し替えが必要な場合は理由を残す」「保存済みデータは勝手に削除しない」など、簡単なルールを決めておくと運用しやすくなります。
5. 定期的に保存漏れを確認する
月末などに、メールや各サービスから必要なデータを保存できているか確認します。確定申告の直前にまとめて探すのではなく、毎月または四半期ごとに不足データを確認しておくと安心です。たとえば、クラウドサービス利用料や広告費は、メールや管理画面に領収書が残るため見落としやすい項目です。オンライン購入の領収書や、予約キャンセル料・決済手数料の明細もあわせて確認しましょう。
紙で受け取った書類は紙かスキャナで保存
紙で受け取った領収書や請求書は、従来どおり紙で保存できます。「電子帳簿保存法があるから、紙の領収書もすべてスキャンしなければならない」というわけではありません。
ただし、紙の書類を捨てて電子データだけで保存したい場合は、スキャナ保存の要件を満たす必要があります。スマートフォン撮影も選択肢ですが、撮影すれば必ず紙を廃棄できるわけではありません。利用するアプリや会計ソフトの仕様、保存後の検索性、訂正削除の管理方法を確認しましょう。
帳簿は紙か電子で保存
会計ソフトで作成した仕訳帳や総勘定元帳は、要件を満たせば電子データのまま保存できます。2022年1月1日以後、帳簿書類を電子データのまま保存する場合に必要だった税務署長の事前承認は不要になりました2。
ただし保存要件を満たす必要はあるため、システム関係書類の備付けや、画面や書面に速やかに出力できる環境、税務職員からのダウンロードの求めに応じられる状態などを確認しておきましょう。
電子取引データを保存するときの主な要件

電子取引データは、単にパソコンに保存しておけばよいとは限りません。国税庁は、電子取引データについて、改ざん防止などの「真実性の確保」と、税務調査などの際に確認できる「可視性の確保」を求めています3。
主な考え方は以下のとおりです。
| 要件の考え方 | 確認したいこと |
|---|---|
| 改ざん防止 | タイムスタンプ、訂正削除履歴が残るシステム、事務処理規程などで対応できているか |
| 見読可能性 | ディスプレイやプリンターなどで、必要なデータを速やかに確認・出力できるか |
| 検索性 | 取引年月日、取引金額、取引先で検索できる状態になっているか |
| 保存期間 | 帳簿や書類を、税法で求められる期間保存できるか |
ただし、基準期間の売上高が一定以下の場合など、検索要件の一部が緩和されるケースがあります。また、保存要件に従えないことについて相当の理由があり、税務調査時に電子データのダウンロードや書面の提示・提出に応じられる場合には、猶予措置が適用されることもあります3。どの要件が当てはまるかは事業規模や保存方法によって異なるため、国税庁のウェブサイトなどで確認し、不安がある場合は税理士や所轄税務署に相談しましょう。
2027年分から青色申告特別控除は最高75万円に

2027年分(令和9年分)以後の所得税では、青色申告特別控除が見直され、一定の要件を満たせば最高75万円の控除を受けられるようになります。現行制度と、変更後に何をすればよいのかを具体的に見ていきましょう。
2026年分までの65万円控除
2026年分まで、事業所得などがある青色申告者が最高65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記での記帳、貸借対照表と損益計算書の添付、期限内申告などの要件に加え、e-Taxで確定申告書などを提出するか、仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿の要件に従って保存する必要があります4。
一般的な電子取引データの保存義務に対応しただけで65万円控除を受けられるわけではないことは留意しておきましょう。
2027年分からの75万円控除
令和8年度税制改正により、2027年分(令和9年分)以後の所得税では、青色申告特別控除の最高額が75万円に引き上げられます1。一定の要件を満たしたうえで、仕訳帳・総勘定元帳について一定の要件を満たす優良な電子帳簿の保存を行う場合、または一定の「デジタルシームレス保存」を行う場合などには、最高75万円の控除を受けられるようになります。具体的な変更点は以下の通りです。
| 項目 | 2026年分まで | 2027年分からの予定 |
|---|---|---|
| 最大控除額 | 65万円 | 75万円 |
| 主な条件 | 複式簿記、期限内申告、e-Taxまたは優良な電子帳簿など | 複式簿記、期限内申告、優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存などが重要になる見込み |
| 準備の焦点 | e-Tax申告と帳簿・書類の保存体制 | 優良な電子帳簿に対応した会計環境と日々の運用ルール |
75万円控除も、65万円控除と同じく、単に請求書や領収書をデータで保存すれば適用される制度ではありません。対象となる帳簿の保存方法やシステム、電子取引データの保存方法などに要件があり、届出が必要となる場合もあります。
75万円控除に向けて準備したいこと
75万円控除を目指す場合、まず着手したいのは会計ソフトや保存ルールの見直しです。使っている会計ソフトが優良な電子帳簿の要件に対応しているか、JIIMA認証の有無などを確認しましょう5。
また、青色申告を始めるには、原則として青色申告をしようとする年の3月15日まで、または新規開業から2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です6。75万円控除の具体的な要件や届出方法は今後更新される可能性があるため、申告前には国税庁の最新情報を確認しましょう。
電子帳簿保存法とインボイス制度の違い

電子帳簿保存法とインボイス制度は、どちらも請求書や領収書に関係するため混同されやすい制度です。ただし、目的は異なります。
電子帳簿保存法は、帳簿や書類、電子取引データを「どのように保存するか」を定める制度です。一方、インボイス制度は、消費税の仕入税額控除を受けるために必要な適格請求書の記載事項や保存に関する制度です。
同じ請求書が、インボイス制度上の保存対象であり、電子帳簿保存法上の電子取引データにも該当することがあります。その場合は、「インボイスとして必要な記載事項」と「電子帳簿保存法上の保存方法」の両方を確認しましょう。インボイス制度についてのより詳しい解説はこちらの記事も参考にしてみてください。
個人事業主が対応するときの注意点

電子帳簿保存法への対応でつまずきやすいのは、「保存したつもり」になっているケースです。電子データ、紙、会計ソフトの役割を分けて考えると、対応漏れを見つけやすくなります。
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| PDFを印刷し、元データを削除する | 電子で受け取った請求書・領収書は元の電子データを保存する |
| 紙の書類もすべて電子化する | 紙で受け取った書類は紙保存も選べる。スキャナ保存する場合は要件を確認する |
| 会計ソフトを導入して終わりにする | 保存対象や確認方法など、日々の運用ルールも決める |
| 電子保存と青色申告特別控除を同じ要件だと考える | 65万円・75万円控除は別途、控除要件を確認する |
Squareなら取引データを電子管理できる!

取引データがメールや複数のサービスに分散していると、必要な情報を探す手間が増えます。決済代行会社のSquareが提供するPOSレジアプリや請求書発行機能では、決済や請求で発生した取引情報を同じ管理画面で確認できるため、会計処理に使うデータをまとめる際にも役立ちます。
店舗にはSquareの決済端末とSquare POSレジを組み合わせた運用がおすすめです。Squareの決済端末で受けつけた決済情報は、すべて支払いと同時に自動保存されます。スマートフォンやタブレットからいつでも売上や取引履歴を確認でき、取引の詳細をCSVファイルとしてエクスポートすることも可能です。
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さらに、Squareはfreee会計やマネーフォワード クラウドなどの会計ソフトと連携でき、Squareの売上情報を会計ソフトに自動で取り込めます。自分でクラウド上などにフォルダを作って管理する場合と比べ、手間をかけずに電子帳簿保存法の保存要件に沿った電子データの保存を実現できます。
請求書の作成から送信まで簡単スピード対応
Square 請求書は決済機能付きのクラウド請求書サービスです。無料ではじめられ、自動送信や定期送信など便利な機能も盛りだくさん。フリーランス、個人事業主、業務請負やサービス請負業の請求業務を簡単に効率化できます。
まとめ
電子帳簿保存法とは、税法上保存が必要な帳簿や書類を電子データで保存するためのルールを定めた法律です。個人事業主は、電子でやり取りした請求書や領収書を電子データのまま保存し、必要な保存要件を満たす仕組みを整えておきましょう。2027年分からの75万円控除を受けたい場合は、優良な電子帳簿などの要件も確認が必要です。売上や請求データの整理には、会計ソフトと連携できるSquareの活用も選択肢になります。
よくある質問

電子帳簿保存法について、個人事業主からよくある質問をまとめました。
個人事業主も電子帳簿保存法への対応は必要ですか?
はい。個人事業主でも電子取引を行い、税法上保存が必要な取引情報を電子的に授受した場合は、その電子取引データを保存する必要があります。一方、電子帳簿等保存やスキャナ保存を利用するかどうかは任意です。
紙の領収書も電子化する必要がありますか?
必ずしも必要ではありません。紙で受け取った領収書は紙で保存できます。紙を捨てて電子データだけで保存したい場合は、スキャナ保存の要件を満たす必要があります。
75万円の青色申告特別控除を受けるには何が必要ですか?
2027年分からは、複式簿記で記帳し、e-Taxで期限内申告するなど65万円控除の要件に加え、仕訳帳・総勘定元帳を一定の要件を満たす「優良な電子帳簿」として保存するか、デジタルシームレス保存の要件を満たす必要があります。優良な電子帳簿では、訂正・削除履歴の保存や帳簿間の相互関連性、検索機能などが求められます。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2026年8月31日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。

