売上台帳は、日々の売り上げを記録する帳簿で、確定申告や事業者向けの補助金などの申請に必要となるものです。また、売上台帳を分析することで、売上アップのための経営戦略を立てることもできます。この記事では、美容室のオーナーや店舗の運営を任されている店長に向け、売上台帳の作成の仕方と便利なサービスを紹介します。
目次
- 売上台帳とは?
・売上台帳の役割
・現金出納帳との違い
・美容室の売上台帳の例 - 売上台帳をつけるメリット
・経営分析ができる
・補助金の申請ができる
・確定申告の作業が簡略化できる - 売上台帳の作成方法
・手書き
・表計算ソフト
・会計ソフト
・POSレジアプリ - 売上台帳が作成できるPOSレジアプリ
・Square POSレジ
・Airレジ
・Uレジ BEAUTY
売上台帳とは?
会社や個人事業主が行う事業において、売り上げを記載した帳簿のことを売上台帳といいます。売上台帳には、日付、売上内容、売上金額などを記録する必要があります。
確定申告では、青色申告・白色申告のいずれでも必要となり、法人税法や会社法で7年から10年の保存期間が定められています。また、確定申告だけでなく、2020年以降は新型コロナウイルス感染症に関連する事業者向けの補助金や持続化給付金などの申請においても提出が求められました。
売上台帳の役割
店舗運営者として、店舗の売り上げがいくら計上されているのかを把握することは重要です。たとえば、カラーのお客様が増えてその売り上げが上がっているようであれば、薬剤の仕入れを増やしたり、場合によっては人手を増やしたりする必要があるかも知れません。また、売り上げが落ちているのであれば、その原因を分析して経営方針を見直す必要もあるでしょう。このように、売上台帳は経営分析の役割も担っているともいえるのです。
現金出納帳との違い
売上台帳は、現金・キャッシュレス決済問わず、売り上げを記録する帳簿です。それに対して、現金出納帳はその名の通り、現金を管理する帳簿となります。キャッシュレス決済が普及した現代でも現金による取引がなくなることはありませんので、売上台帳とは別に現金出納帳も作っておくといいでしょう。売り上げは上がっているのに、手元に現金がないために起こってしまう黒字倒産を防ぐためにも、店舗がどのような項目に現金を使用しているのかを把握して、キャッシュフローを可視化することは重要です。
美容室の売上台帳の例
売上台帳には決まったフォーマットはありませんが、下の表のように記入していくとよいでしょう。また、売上台帳は月ごとにまとめておきましょう。美容室の売上台帳で主に必要なのが以下の7項目になります。
日付 | 販売先 | 売上内容 | 客数・数量 | 単価 | 売上合計 | 支払い方法 |
4/12 | お客様 | シャンプー・カラー・カットセットコース | 3 | 11,000 | 33,000 | クレジット |
お客様 | カット | 2 | 5,500 | 11,000 | クレジット | |
お客様 | カット | 2 | 5,500 | 11,000 | 電子マネー | |
お客様 | トリートメント物販 | 2 | 2,200 | 4,400 | クレジット | |
4/13 | お客様 | シャンプー・カラー・カットセットコース | 1 | 11,000 | 11,000 | 現金 |
お客様 | カット | 3 | 5,500 | 16,500 | 電子マネー |
売上台帳をつけるメリット
売上台帳をつけるメリットにはどのようなことが考えられるでしょうか。
経営分析ができる
先述の通り、売上台帳は経営分析の役割も担っています。売上台帳から繁忙期や閑散期を分析したり、売り上げが少ない月に共通する事柄などを割り出したりすることができれば、今後の経営戦略に生かすことができます。さらに、お客様の性別や年齢などの属性も記録することができれば、さらに詳しい分析も可能になります。
補助金の申請ができる
2020年以降、新型コロナウイルス感染症による影響で売り上げが落ちた事業者向けに、さまざまな補助金や給付金が支給されています。補助金や給付金を申請する際に提出を求められるのが売上台帳です。対象となる月で売り上げがどれくらい落ちているのかを確認するために必要で、日頃からきちんと売上台帳をつけておけば、補助金や給付金の申請もスムーズに行うことができます。
確定申告の作業が簡略化できる
事業に伴う支出に関するすべてを記載する帳簿である支出簿と売上台帳をきちんとつけていれば、確定申告の時期になって慌てて領収書をかき集めて計算をするというようなこともなくなります。確定申告の作業が簡素化できれば、空いた時間を技術の研鑽に充てたり、スタッフとのコミュニケーションの時間に充てたりすることができます。
売上台帳の作成方法
売上台帳を作成する方法は、主に四つあります。
手書き
売上台帳は手書きでも問題ありません。市販の専用ノートやネット上にあるテンプレートをダウンロードしてからプリントアウトし、記入してもいいでしょう。
表計算ソフト
エクセルに代表されるような表計算ソフトに各項目を入力し、売り上げを記入します。手書きに比べて修正なども簡単にできるだけでなく、パソコンやクラウドにデータを保存しておくことができるので、売上台帳の保管場所を確保する必要がありません。
会計ソフト
会計ソフトの中には、日々の売り上げと支出を入力するだけで自動で売上台帳を作成してくれるものもあります。確定申告に必要な書類も簡単に作成することもできるソフトもあります。中には無料で利用できるサービスもあります。
POSレジアプリ
POS(Point Of Sale、販売時点情報管理)レジとは、商品名、価格、販売個数、在庫状況、顧客情報など、商品を販売した時点でのさまざまな情報を集計して管理するシステムが搭載されたレジのことです。レジとしての機能だけではなく、売上管理ができたり、顧客管理ができたりするものもあります。加えて、スタッフの勤怠管理や在庫管理まで無料で行えるPOSレジアプリも登場しています。売上台帳が作成できるPOSレジアプリは、次項で説明します。
売上台帳が作成できるPOSレジアプリ
POSレジアプリの中で、売上台帳を作成できるサービスを紹介します。
Square POSレジ
Square POSレジは、無料で導入できるiOS、Android対応のPOSレジアプリです。日々の売り上げ管理ができるだけでなく、Square POSレジからその場でお客様の情報を顧客リストに追加でき、お客様の属性や来店頻度、購入履歴、支払い状況が一目でわかります。お客様の情報には写真などのファイルを添付することもできるので、施術のビフォーアフターなど、お客様カルテとしての利用も可能です。また、在庫管理機能もついているので、物販を行っている美容室にとっては、在庫切れによる販売機会の損失を防ぐことが期待できます。
このPOS機能が搭載されている予約システムの「Square 予約」も無料で導入が可能です。POSによる売上管理、顧客管理、在庫管理、スタッフ管理のほか、予約管理、事前決済に至るまで、Squareならさまざまな機能が無料で利用できます。
Airレジ
無料で導入できるiOS対応のPOSレジアプリで、目的に合わせて集計項目や期間を指定した売上データを確認することができます。売り上げのデータはCVSファイルとしてダウンロードすることが可能で、外部の会計ソフトと連携もできます。また、顧客管理機能も無料で利用できます。
Uレジ BEAUTY
美容室、美容サロンに特化したiPad専用のPOSレジアプリです。売上管理では、「月別、日別、曜日別」など、さまざまな視点での集計を行うことができます。お客様ごとに施術の内容を記録できる電子カルテ機能もついています。導入費用については、問い合わせが必要です。
日々の売り上げを帳簿に記録するのは、時間も労力も必要とする作業です。POSレジアプリは、会計と同時に売上管理、顧客管理が行えるので、忙しいオーナーや店長にとっては頼もしいアイテムといえるでしょう。手間数を減らしながら売上台帳をしっかり作成し、経営分析を行い、美容室の売上アップを目指しましょう。
予約管理はSquare 予約で
Squareの予約管理は無料から導入でき、事前決済はもちろん、有料プランの場合はキャンセル料も取れるので、ノーショウ対策もできます。専用アプリでも、お使いのブラウザでも、場所を問わず、どこでも予約の状況を確認、調整できます。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2022年5月4日時点の情報を参照しています。2022年5月10日に一部情報を更新しています。
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