※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
個人事業主にとってふるさと納税は、所得税や住民税の還付・控除を受けられるだけでなく、自治体への応援や地域貢献もできる魅力的な制度です。
本記事では、ふるさと納税の基本的な仕組みから、控除額の計算方法、確定申告での手続き、さらに会計業務の効率化に役立つSquareのサービスまでをわかりやすく解説します。
目次
- 個人事業主でもふるさと納税は活用できる?
・個人事業主がふるさと納税を利用するメリット - 【個人事業主向け】ふるさと納税の限度額はいくら?
- 【個人事業主向け】控除額の計算方法
- 確定申告での手続き
・申告の際に必要な書類
・控除の適用方法 - 個人事業主がふるさと納税を活用するコツと注意点
・控除上限額を確認する
・節税とお得な返礼品のバランスを考える
・年間スケジュールを立てて寄付を分散する
・ワンストップ特例制度は利用できない - Square導入で個人事業主の会計業務を一つに!
・対面決済もオンライン決済も低コストで用意できる
・クラウド会計ツールとの連携で売上情報が自動で計上 - まとめ
個人事業主でもふるさと納税は活用できる?
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附することで地域貢献ができる制度です。寄附したい自治体を選んでふるさと納税をすると、自治体からは寄附金受領証明書が届きます。
このふるさと納税は、会社員だけでなく個人事業主も活用できます。自己負担額の2,000円を除いた全額が、所得税や住民税から還付・控除されるため、自身の所得を把握しながら賢く利用すれば、大きな節税効果が期待できます。ただし、ふるさと納税をしても確定申告を行わなければ節税効果がないため注意しましょう。
個人事業主がふるさと納税する場合、確定申告では寄附金控除として扱います。控除の計算や申告には注意すべきこともあるため、制度の概要について事前に確認しておくことが重要です。
個人事業主がふるさと納税を利用するメリット
個人事業主がふるさと納税を利用すると、以下のようなメリットがあります。
- 所得税・住民税の控除が受けられる
- 地域特産品などの返礼品を活用できる
- 節税効果が期待できる
- 会社員よりも上限額が大きくなることも
所得税・住民税の還付・控除が受けられる
先に触れたとおり、ふるさと納税をすると所得に応じて、所得税と住民税の還付・控除を受けられます。そのため納税額を軽減しながら、地域の発展にも貢献できます。加えて、税金の使い道を自ら選べることで納税意識を高めることにもつながります。
地域特産品などの返礼品を活用できる
ふるさと納税では、寄附額に応じて地域の特産品や名産品が返礼品として受け取れる場合があります。経済の活性化にも貢献しながら、自宅で納税した地域の魅力を楽しめるのも大きなメリットだといえるでしょう。なかには、普段購入できない希少な食材や工芸品に出会えることもあります。
節税効果が期待できる
寄附金控除によって、所得税・住民税の負担が軽減されるため、個人事業主の節税対策としても有効です。事業年度内の利益調整の一環としても利用でき、経営者としての資金管理の選択肢が広がります。
会社員よりも上限額が大きくなることも
給与所得控除のある会社員に比べて、個人事業主は所得額が大きくなりがちで、その分、ふるさと納税の寄附の限度額も高くなります。うまく活用できればより多くの返礼品の恩恵を受けられる可能性があります。
【個人事業主向け】ふるさと納税の限度額はいくら?
ふるさと納税には魅力的な返礼品も多く、ついたくさん納税した方がお得に感じられる場合もありますが、実際にはふるさと納税で控除できる金額には上限があります。
会社員の場合は、給与収入と扶養家族数など基本的な控除項目のみで限度額を計算できるため、入力項目は比較的シンプルです。しかし、個人事業主の場合は、正確な限度額を確認するためには複数の情報を集めなければなりません。事業所得の算出のほか、青色申告特別控除や小規模企業共済の掛け金など個人事業主特有の控除項目もあり少し手間がかかります。
そのため、控除できるおおよその額を知りたい場合は、自治体から送付される住民税決定通知書を確認すると便利です。
ふるさと納税の控除上限額の目安:住民税所得割額の2割
上限を超えた寄附は自己負担となるため、収入の変動に合わせて随時ふるさと納税ポータルサイトのシミュレーションツールなどで計算しておくことが重要です。
【個人事業主向け】控除額の計算方法
ふるさと納税の控除額の計算は、「所得税分の控除」と「住民税分の控除(基本分と特例分)」の二つに分かれています1。
(1) 所得税分の控除(寄附をした年の所得税が減額される)
(ふるさと納税額 − 2,000円)× 所得税の税率(4%〜45%)
課税所得が400万円の人が20,000円のふるさと納税をした場合、所得税率2が20%になるため、(20,000円 - 2,000円)× 20%で3,600円の還付が受けられます。ただし、2037年までは復興特別所得税が発生するため、実際は税率がもう少し高くなります。
(2) 住民税の控除(寄附の翌年度の住民税から引かれる)
基本分:(ふるさと納税額 − 2,000円)× 10%
特例分:(ふるさと納税額 − 2,000円)×(90% − 所得税の税率)
課税所得が400万円の人が20,000円のふるさと納税をした場合、基本分で1,800円、特例分で12,600円、合計で14,400円分が翌年の住民税から控除されます。
(1)所得税分の控除額3,600円と(2)住民税分の控除額14,400円を足すと18,000円になり、寄付した金額から2,000円引いた額が還付・控除されるということが分かります。
確定申告での手続き
ふるさと納税の恩恵を受けるためには、確定申告で寄附金控除を申請する必要があります。これにより、所得税と住民税の還付や控除が受けられます。申告手続きは郵送、直接持参、e-Taxを利用する方法があり、より節税効果を高めたい場合はe-Taxの利用が便利です。
申告の際に必要な書類
確定申告で寄附金控除を申告する際は、寄附金受領証明書が必要です。寄附先の自治体から発行される書類で、基本的に再発行はされないため、届いたら大切に保管しておきましょう。
控除の適用方法
ふるさと納税で控除を受けるためには、「確定申告書」に寄付金額を記載します。
確定申告書は、第1表の「所得から差し引かれる金額」にある「(28)寄附金控除」欄に、寄附金受領証明書で確認した寄付金額から2,000円引いた金額を記載します。合わせて、第2表の「寄附金控除に関する事項」に寄付先の名称と寄付金額、「住民税・事業税に関する事項」に寄付金額を記載します。
クラウド会計ソフトなどを利用している場合、該当する項目を入力していけば自動的に確定申告書ができあがるので、概ね心配はないでしょう。
なお、確定申告書に寄附金受領証明書を添付して提出する3必要がありますが、e-Taxによる提出の場合、添付の省略が可能です。ただし、添付しなかった寄附金受領証明書は処分せず、5年間保存しておくようにしましょう。
個人事業主がふるさと納税を活用するコツと注意点
個人事業主の場合は事業所得や経費計上など、会社員よりも税務上の確認事項が多いため、ふるさと納税のメリットを最大限に生かすためには、事前準備が重要です。
控除上限額を確認する
限度額を超えた寄附分は控除対象外となるため、シミュレーションで確認して利用するのがおすすめです。もし自身の所得や寄附予定額が適切かどうか不安な場合は、税務署や税理士に確認しておきましょう。
節税とお得な返礼品のバランスを考える
地域の特産品やお礼の品は魅力的ですが、節税額とのバランスを考えて寄附先を選定しましょう。ふるさと納税のポータルサイトでは各自治体の返礼品情報も豊富に掲載されているため、自分にあった返礼品が見つけやすいです。
年間スケジュールを立てて寄附付を分散する
基本的には入金日が寄付日になります。支払い方法によっては申し込んだ日と入金日がずれる可能性があるので、特に金融機関が休業に入る年末は気をつけたいところです。年間計画を立て、数回に分けて寄附することでスムーズな管理が可能です。
ワンストップ特例制度は利用できない
ふるさと納税には確定申告しなくても寄付金控除を受けられる「ワンストップ特例制度」がありますが、個人事業主の場合、残念ながらこの制度は利用できず、確定申告が必須です。
Square導入で個人事業主の会計業務を一つに!
日々の売上管理や経費計上など、煩雑な会計業務はSquareの導入によって効率化が図れます。対面販売やネットショップの売り上げも一元化して管理できるため、事業者の強い味方です。
対面決済もオンライン決済も低コストで用意できる
Squareは対面決済とオンライン決済の両方に対応しています。特に対面決済ではクレジットカードのほか、QRコード決済や電子マネーが利用できるため、顧客の好みの支払い方法が選べて利便性が高められます。
初期費用がかからないため導入のハードルが低い点も魅力です。決済手数料も2.5%〜と低く設定されており、できるだけ費用を抑えて現金以外の決済方法を取り入れたい場合に便利です。
クラウド会計ツールとの連携で売上情報が自動で計上
Squareの決済データは、クラウド会計ソフトのマネーフォワードやfreeeと連携可能です。自動で連携できるのは、対面で受けた決済だけでなく、クラウド請求書やネットショップなどオンラインで受け付けた決済情報も自動で反映可能です。
売り上げを自動で会計ソフトに取り込めれば、会計データを入力する手間や入力ミス、確認の手間が大幅に削減され、決算書や確定申告書の作成がより簡単になります。
まとめ
ふるさと納税は個人事業主にとって、税金の軽減と地域への応援という両方の効果が期待できる制度です。限度額や控除額を事前に把握し、確定申告の準備を整えることでスムーズな手続きが実現します。また、Squareのサービスを活用することで、会計業務を大幅に効率化できます。単純作業はシステムで自動化を図り、事業運営に集中できる環境を整えましょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2025年6月4日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash