「確定申告をするなら、青色申告をしたほうがよい」と聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。青色申告にはさまざまなメリットがありますが、「複式簿記」を利用しているため、複雑でわかりにくいというイメージがあります。そこで今回は、青色申告、および青色申告で必要となる複式簿記について解説します。
📝この記事のポイント
- 複式簿記とは、1つの取引を借方と貸方の2つの側面から記録する方法
- 青色申告で最大55万円または65万円の控除を受けるには、複式簿記による記帳などが必要
- 簡易簿記は記帳しやすい一方、青色申告特別控除は原則最大10万円
- 2027年分(2028年に行う確定申告)から最大75万円控除を目指す場合は、優良な電子帳簿の保存とe-Taxによる期限内申告などが必要
- Squareはfreee会計やマネーフォワードと連携でき、売上データの手入力を減らせる
目次
- 青色申告での帳簿のつけ方、複式簿記とは
・青色申告とはそもそも何か
・複式簿記とは何か
・借方と貸方とは - 複式簿記と簡易簿記の違い
・白色申告と青色申告の控除額の違い - 複式簿記のやり方
・仕訳の基本
・複式簿記で作る帳簿 - 2027年分から最大75万円の青色申告特別控除へ
・最大75万円控除の要件
・2027年1月1日から記帳方法を変える - 簡易簿記から複式簿記に変更するには
- 複式簿記を簡易化してくれるクラウド会計ソフト
・freee会計
・やよいの青色申告 オンライン
・マネーフォワード クラウド確定申告 - Squareと会計ソフトを連携して記帳を効率化
- まとめ
- よくある質問
・複式簿記は個人事業主に必須ですか?
・複式簿記は会計ソフトがあればできますか?
・2028年の確定申告で75万円控除を受けられますか?
青色申告での帳簿のつけ方、複式簿記とは
まずは、基本的な事項を押さえましょう。
青色申告とはそもそも何か

「青色申告」は確定申告のやり方の1つです。確定申告では、1年間にどれだけの所得を得たかを税務署に申告することで、所得税の金額を確定させます。
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、青色申告のほうが手間がかかる分、節税のメリットが高いという利点があります。
主なメリットとして、以下が挙げられます。
- 最大65万円を所得から差し引ける「青色申告特別控除」
- 赤字の場合、損失を翌年以降に繰り越せる「純損失の繰越」
- 家族に支払う給与を必要経費に計上できる「青色事業専従者給与」
- 回収できていない代金の一部を必要経費にできる「貸倒引当金」
青色申告は、以下の所得のいずれかを得ている人が行えます。
- 事業所得(事業によって得られる所得)
- 不動産所得(アパートや駐車場などの不動産の貸付で得られる所得)
- 山林所得(所有する山林の伐採や譲渡で得られる所得)1
青色申告では、要件を満たすことで青色申告特別控除などの税制上のメリットを受けられます。確定申告時には、確定申告書のほか「青色申告決算書」を税務署に提出する必要があります。
青色申告決算書は、以下の4枚からなります。
- 損益計算書 1枚
- 損益計算書の内訳 2枚
- 貸借対照表 1枚
なお、青色申告特別控除を受けるには、原則として複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を期限内に提出する必要があります。紙の申告書の持参・郵送なら最大55万円、e-Taxによる申告または優良な電子帳簿の保存などの追加要件を満たすと最大65万円の青色申告特別控除の対象になります2。
さらに、2028年に行う2027年分の確定申告からは、青色申告特別控除が最大75万円に引き上げられます3。複式簿記を始めるかどうか迷っている人は、始めるのに良いチャンスです。
複式簿記とは何か
複式簿記は、「取引を2つの側面から記録する方法」です。たとえば、事業のために10万円でパソコンを買ったとします。
この取引では、「パソコンという資産を手に入れた(原因)」「10万円分の現金が減った(結果)」という2つの事象が起きています。
複式簿記では、取引における「原因」および「結果」という2つの側面を、数字と文字で記録していきます。
取引の内容はさまざまです。たとえば、「商品を売った」「材料を仕入れた」「製造用の機械を買った」「代金を受け取った」「お金を借りた」などがあります。取引内容を分類したものが「勘定科目(かんじょうかもく)」です。勘定科目に合わせて取引を整理することを「仕訳(しわけ)」と呼びます。
借方と貸方とは
実際に仕訳をするときは、「借方(かりかた)」「貸方(かしかた)」という言葉を使います。会計ソフトで仕訳をすると、取引項目には借方と貸方の2つの欄が用意されています。
まずは、「借方=左」「貸方=右」と覚えておきましょう。資産や費用が増えたときは借方、負債や収益が増えたときは貸方に記録します。
複式簿記と簡易簿記の違い

青色申告では、複式簿記だけでなく簡易簿記も選べます。両者は記録方法と控除額が異なります。
| 項目 | 複式簿記 | 簡易簿記 |
|---|---|---|
| 記録方法 | 1つの取引を借方・貸方に分ける | 収入や支出を中心に記録する |
| 把握できる内容 | 利益に加え、資産や負債の状況 | 主に収入・支出の状況 |
| 主な帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、補助簿 | 現金出納帳、売掛帳など |
| 青色申告特別控除 | 要件を満たすと最大65万円(2027年分からは最大75万円) | 原則最大10万円 |
簡易簿記は仕訳が不要なため、帳簿づけが比較的簡単です。ただし、現金出納帳や売掛帳など、事業に必要な帳簿をつけなければなりません。また、青色申告特別控除は原則最大10万円です。
白色申告と青色申告の控除額の違い
白色申告には、青色申告特別控除がありません。また、家族への給与を必要経費にする「青色事業専従者給与」や、赤字を翌年以後3年間にわたって繰り越せる「純損失の繰越」も利用できません。売り上げが同じでも、青色申告特別控除などを利用できない白色申告のほうが、税金を多く支払う可能性があります。
なお、白色申告の場合も帳簿をつけて保存しておく必要があります。手間と節税メリットを考えたうえで、青色申告にするかを検討しましょう。
複式簿記のやり方

複式簿記の具体的なやり方を見ていきましょう。複式簿記では、取引の内容を勘定科目に分け、借方と貸方へ同じ金額を記録します。
仕訳の基本
事業用のパソコンを現金10万円で買った場合は、次のように仕訳します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 工具器具備品 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 |
借方と貸方の合計は必ず一致します。実際の勘定科目や減価償却の扱いは、購入額や使用状況によって異なります。
商品を現金3,000円で販売した場合は、借方を「現金」、貸方を「売り上げ」として、それぞれ3,000円を記録します。
複式簿記で作る帳簿
複式簿記で作る帳簿には、誰でも必ず必要な「主要簿」と、業務のやり方によってそろえる「補助簿」があります。
- 主要簿:仕訳帳、総勘定元帳
- 補助簿:現金出納帳、預金出納帳、固定資産台帳、買掛帳、売掛帳など
仕訳帳には取引を日付順に記録し、総勘定元帳には勘定科目ごとに転記します。会計ソフトを使うと、一度入力した仕訳が両方の帳簿に反映されます。
2027年分から最大75万円の青色申告特別控除へ

2028年に行う2027年分の確定申告から、一定の要件を満たす場合、青色申告特別控除は最大75万円になります3。
最大75万円控除の要件
最大75万円の青色申告特別控除を受けるための要件は、以下の通りです。
- 複式簿記による記帳
- e-Taxでの確定申告書、貸借対照表、損益計算書などの期限内提出
- 仕訳帳・総勘定元帳を「優良な電子帳簿」の要件に沿って保存する、または一定のデジタルシームレス保存に対応する
なお「優良な電子帳簿」とは、訂正・削除の履歴が残ることや、帳簿間の相互関連性を確認できることなどの要件を満たした電子帳簿です4。
2027年1月1日から記帳方法を変える
2027年分の帳簿は2027年1月1日から始まります。最大75万円控除を目指す場合は、年初から要件を満たす帳簿をつけられるよう、次の準備を行いましょう。
- 優良な電子帳簿の要件に対応した会計ソフトを選ぶ
- 2027年1月1日以後の取引を複式簿記で入力する
- 仕訳帳と総勘定元帳を要件に沿って電子保存する
- 2028年の申告期限までにe-Taxで申告する
2028年にかけて、国税庁などからの青色申告の最大控除額の引き上げについての情報発信にも気を配り、ウェブサイトなどで最新情報を確認するようにしましょう。
簡易簿記から複式簿記に変更するには

「今までは白色申告だったけれど、複式簿記の青色申告に変更したい」という場合は、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。e-Taxでの提出、または書面で税務署へ持参・郵送する方法があります。青色申告をしようとする年の3月15日まで、青色申告を始める年の1月16日以後に開業した場合は原則、開業日から2カ月以内に提出します5。
すでに青色申告をしていて、簡易簿記から複式簿記へ変更する場合は、年初から複式簿記で取引を記録します。事業用口座の残高や売掛金、借入金などを整理し、開始時点の残高を会計ソフトへ登録しましょう。
複式簿記を簡易化してくれるクラウド会計ソフト

複式簿記をするなら、会計ソフトの利用がおすすめです。代表的なクラウド会計ソフトを3つ紹介します。
freee会計
freee会計は、質問に答えるだけで簡単に取引を入力できるため、複式簿記の知識があまりない人でも使いやすいクラウド会計ソフトです。アプリを使えば、スマートフォンからでも会計処理ができます。
やよいの青色申告 オンライン
やよいの青色申告 オンラインは、簡単に入力できる帳簿機能のほか、スマートフォンアプリで撮影したデータを自動仕訳する機能なども備わっています。e-Tax(国税電子申告・納税システム)にも対応しています。
マネーフォワード クラウド確定申告
マネーフォワード クラウド確定申告は、仕訳を自動入力できるほか、明細データを自動取得できます。銀行口座やクレジットカード、クラウドソーシングなどと連携し、データを自動的に取り込めるため、手入力の手間を省けます。
Squareと会計ソフトを連携して記帳を効率化
店舗や対面サービスを運営している場合、売り上げを会計ソフトへ入力する作業も発生します。
Square POSレジで記録した売り上げは、freee会計やマネーフォワードと連携できます。連携後は、Squareで受け付けた決済やSquare 請求書などの売上情報を会計ソフトへ反映でき、手入力の負担を減らせます。
そのほか、Squareと連携できる各種サービスはSquare アプリマーケットで確認できます。Squareと会計ソフトの連携で、負担を減らしながら初めての複式簿記に取り組んでみませんか。
請求書の作成から送信まで簡単スピード対応
Square 請求書は決済機能付きのクラウド請求書サービスです。無料ではじめられ、自動送信や定期送信など便利な機能も盛りだくさん。フリーランス、個人事業主、業務請負やサービス請負業の請求業務を簡単に効率化できます。
まとめ
複式簿記は、1つの取引を借方と貸方の2つの側面から記録する方法です。簡易簿記より手間はかかりますが、利益だけでなく資産や負債の状況も把握できます。青色申告特別控除を最大限活用するためには、複式簿記が必須になります。
会計ソフトを使うと、仕訳帳や総勘定元帳を効率よく作れます。Squareを利用している場合は、freee会計やマネーフォワードとの連携も活用してみてください。
よくある質問

複式簿記について、よくある質問をまとめました。
複式簿記は個人事業主に必須ですか?
すべての個人事業主に必須ではありません。ただし、青色申告特別控除を最大額まで受けたい場合は、複式簿記による記帳が必要です。
複式簿記は会計ソフトがあればできますか?
会計ソフトを使うと、取引入力から仕訳帳や総勘定元帳を作成できます。一部の会計ソフトは、取引内容から推測して自動仕訳を行う機能が備わっているものもあります。ただし、勘定科目や事業用・私用の区分が正しいかは、取引内容を把握している事業主による確認が必要です。不明な点があれば、税務署や税理士へ相談しましょう。
2028年の確定申告で75万円控除を受けられますか?
2028年に申告する2027年分の確定申告から、青色申告特別控除の最大額が75万円に引き上げられます。複式簿記とe-Taxによる期限内申告に加え、優良な電子帳簿の保存または一定のデジタルシームレス保存などの要件を満たすことが必要です。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2019年12月25日時点の情報を参照しています。2026年9月10日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。

