※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
クレジットカードによる支払いを受けた際、店舗側は利用控えを発行しますが、ペーパーレスな決済システムが増えてきた昨今、必ず利用控えを発行するべきか悩んでいる事業者も多いのではないでしょうか。
本記事ではクレジットカードの利用控えの役割をはじめ、レシート・領収書・売上票との違いや書類の発行義務、利用控えを発行しない場合の対応例などについて分かりやすく解説します。
📝この記事のポイント
- クレジットカードの利用控えは購入者向けに発行され、主に利用明細書との照合記録として使われる
- 利用控え・レシート・売上票・領収書は目的と記載内容が異なる
- 利用控えの発行義務は基本的にないが、分割払い(2回超)やボーナス払いでは義務となる場合がある
- レシートや領収書も法律上の義務はないが、購入者に求められた場合は発行しなければならない
- Square ターミナルを利用すれば、レシートや領収書を簡単に印刷でき利便性が高い
目次
- クレジットカードの利用控えとは?定義と役割
・購入者がカード会社の明細と照合するための記録
・利用控えは領収書の代わりにできる - 利用控えとレシート・領収書・売上票との違い
・レシートと利用控えの違い
・売上票(加盟店控え)と利用控えの違い
・領収書と利用控えの違い - クレジットカード決済の利用控え・レシート・領収書の発行義務は?
・利用控えは基本的に発行義務はないが、例外がある
・レシートは法的義務なし、ただし実務上は発行が基本
・領収書は請求されたら発行義務あり、発行ルールに注意 - 利用控えを発行しない場合の対応例
・利用控えとして領収書を手書きする
・利用控えをメールで送信する
・領収書も印刷できるマルチ決済端末を利用する - まとめ
クレジットカードの利用控えとは?定義と役割
店舗でクレジットカードによる決済が行われた際、一般的に次の3種類のクレジット売上票が決済端末から出力されます。
- 利用控え(お客さま控え、利用伝票)
- 加盟店控え
- カード会社控え(売上票)
これらはクレジットカードによる取引に関わる3者それぞれに対してのものであり、「利用控え」は購入者に、「加盟店控え」は店舗やサービス提供者に、「カード会社控え」はその名のとおりクレジットカード会社に向けて発行されます。
これまでは、店舗がカード会社控えに購入者のサインをもらい、利用控え(お客さま控え)を購入者に渡します。その後、カード会社控え(売上票)をカード会社に送付し、加盟店控えを店舗にて保管するという流れでした。
しかし、従来認められていた「PINバイパス(サインによる本人確認)」は2025年3月をもって廃止されています。現在、サインの取得は任意で、取得しないことが推奨されています。
本人確認方法としての「サイン」の取得は2025年3月を目途に加盟店の任意とし、取得しないことを推奨する。なお、「サイン」を取得する場合においても売上票に記載されたサインとの同一性確認は必須とはしない。
– クレジットカード・セキュリティガイドライン [3.0版]

購入者がカード会社の明細と照合するための記録
クレジットカードの利用控え(お客さま控え)について明確な定義付けはありませんが、カード会社を仲介した信用取引によって商品を受け渡したことを証明するものであり、次のような内容が記載されていることが一般的です。
- 加盟店名
- 購入年月日
- カードの種類(Visa、Mastercardなど)
- カード番号の一部(下4桁など)
- 支払区分(一括など)
- 利用金額
- カードの名義人名など
また、前述の3種類のクレジット売上票とは別にレシート(購入明細)が発行されることも多く、店舗は利用控え(お客さま控え)と合わせて購入者に渡します。一部では、利用控えとレシートが一体化しているケースもみられます。
利用控え(お客さま控え)もレシートも同じような役割を担いますが、利用控え(お客さま控え)は特に購入者がクレジットカードの利用明細書と照合するための記録として使われるのがおもな目的となります。
利用控えは領収書の代わりにできる
クレジットカードの利用控え(お客さま控え)は、発行される目的の違いから領収書と性質を異にするものですが、次の事項が記載されていれば、領収書の代わりとして確定申告などに使うことができます。
- 店舗名(利用控を作成した側の名前)
- 購入者名(利用控を発行された側の名前)
- 購入年月日
- 購入した商品名
- 購入金額
利用控え(お客さま控え)では、詳細な商品名などが記載されていないケースが多く、その場合は領収書の代わりになりませんが、同時に発行されるレシートに要件が記載されていればレシートの方を領収書代わりとして使用できます。
利用控えとレシート・領収書・売上票との違い
クレジットカードの利用控え(お客さま控え)と似たものにレシートや領収書、売上票といったものがあります。それぞれの違いはどのような点にあるでしょうか。細かくみていきましょう。
レシートと利用控えの違い
まずレシートですが、商品やサービスの対価として店舗が代金を受け取ったことを証明するために購入者へ向けて発行されるものであり、購入日や商品名、金額、店名など詳細な情報が記載されていることが一般的です。
一方のクレジットカードの利用控え(お客さま控え)は、クレジットカードによる決済が行われたことを証明するために購入者に向けて発行されるものです。クレジットカード会社が発行する利用明細書と照らし合わせて不正利用がないかどうかなどを確かめるために使われることを想定しており、商品名などが記載されていない場合もあります。
売上票(加盟店控え)と利用控えの違い
クレジットカードの売上票(加盟店控え)と利用控え(お客さま控え)の違いは、誰に向けて発行されているかという対象が異なる点にあります。
どちらもクレジットカードによる決済が行われた事実を証明することがおもな目的ですが、売上票(加盟店控え)は店舗に向けて発行され、店舗が使用します。利用控え(お客さま控え)は購入者に向けて発行され、購入者が使用します。
領収書と利用控えの違い
領収書は、支払いを受けた者および支払った者の法人名や氏名、取引日付、金額、取引内容などが記載され、授受の際は正本を支払者に渡し、控えを発行者が保管するのが基本です。クレジットカードの利用控え(お客さま控え)と比べると経費精算時の証憑としての有効性は高く、会計上、税務上の根拠書類として重要な役割を担います。
クレジットカードの利用控え(お客さま控え)は、基本的にはクレジットカードによる決済が行われたことを示す書類だと覚えておきましょう。

クレジットカード決済の利用控え・レシート・領収書の発行義務は?
クレジットカード決済の利用控え(お客さま控え)やレシート、領収書に発行義務はあるのでしょうか。それぞれを細かくみていきましょう。
利用控えは基本的に発行義務はないが、例外がある
まず、クレジットカードの利用控え(お客さま控え)についてですが、基本的に発行義務は定められていないものの、2回を超える分割払いやボーナス払いの際には発行が義務付けられていることがあるので注意が必要です。
レシートは法的義務なし、ただし実務上は発行が基本
日本では、現金の支払いであってもクレジットカード決済であっても、商品やサービスを提供してお金などを受け取る事業者にレシートの発行を義務付ける法律はありません。
ただし、現金の授受が行われるケースで購入者から受取証書の発行を求められた場合には、民法の規定によって受取証書となるレシートや領収書を発行しなくてはなりません。
弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる
– 民法第486条
過去の判例によると、受取証書の発行には同時履行の原則があり、領収書の発行は金銭の受け渡しと同時に行われるものとなっています。直接的な金銭のやり取りがない信用取引の形態をとっているクレジットカード決済の場合は、同時履行の原則の適用を受けないことからレシートや領収書を発行する必要はないと判断できます。
先にも触れたように、クレジットカード決済を利用した購入者側が会計処理などのために必要な事項が記載されたレシートを領収書代わりとして使用する場合があります。そのようなことを考えると、レシートは発行しておくのが無難です。普段はレシートを発行しない店舗であっても、求められた場合には速やかに発行できるよう体制は整えておいたほうがよいといえるでしょう。
領収書は請求されたら発行義務あり、発行ルールに注意
領収書もレシートと同様、購入者から求められた場合は受取証書として領収書を発行しなくてはなりません。
レシートの場合と同様に、クレジットカード決済では、直接の金銭のやり取りがない信用取引の形態をとっているため、領収書の発行義務はないと判断できますが、購入者に請われて便宜的に領収書を発行せざるを得ない場面があるかもしれません。
その際は、レシートを領収書として使用する場合と同様に以下の項目を記載しておくとよいでしょう。
- 店舗名(利用控えを作成した側の名前)
- 購入者名(利用控えを発行された側の名前)
- 購入年月日
- 購入した商品名
- 購入金額
実際の代金はクレジットカード会社から受け取ることになります。購入者から受け取ったと誤認されないよう、領収書の但し書きの欄に「クレジットカード利用」と記載することも忘れないでください。
利用控えを発行しない場合の対応例
クレジットカードの利用控え(お客さま控え)の発行は義務づけられていないこともあり、ペーパーレス決済システムの導入などによって利用控えを発行しない事業者も多くなっています。そのような事業者において、顧客から利用控えの発行を依頼された場合にはどのように対応すればよいでしょうか。
一般的な対処法をいくつか紹介しましょう。
利用控えとして領収書を手書きする
まず、クレジットカードの利用控え(お客さま控え)の代替として手書きの領収書を発行する方法が挙げられます。
先述のとおり、必要な項目とともにクレジットカード利用である旨を明記してください。また、領収書の形式はとっていながらも税法上では認められていない便宜的に発行されたものであるため、取引の金額が5万円以上であっても収入印紙を貼る必要はありません。
利用控えをメールで送信する
ペーパーレスな決済システムを導入している場合には、機能の一つとしてその場で紙で発行せずに利用控え(お客さま控え)をデータとして購入者にメールなどで送付する方法が用意されている場合があるので、これを利用します。
領収書も印刷できるマルチ決済端末を利用する
マルチ決済端末と呼ばれる機器を使うのも一つの方法です。マルチ決済端末とは、キャッシュレス決済端末・POSレジ・レシートプリンターが1台にまとまった機器であり、別途でレシートプリンターを用意する必要がなく、利用控え(お客さま控え)の発行依頼があった際には、決済端末からすぐに領収書などを印刷することができます。
なかでも、クレジットカードと電子マネーに対応したSquare ターミナルは、POSレジとプリンターを内蔵したマルチ決済端末です。用紙をセットすれば、1台で領収書とレシートを印刷することができます。また、コードレスなので、飲食店のテーブル決済や屋外での決済にも向いています。

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まとめ
クレジットカードの利用控え(お客さま控え)は、商品やサービスの代金を支払った購入者へ向けて発行される書類です。カード会社を仲介した取引によって購買があったことを証明するものであり、おもに購入者がクレジットカードの利用明細書と照合するための記録として使われます。
利用控え(お客さま控え)には詳細な商品名などが記載されていないケースが多く、その場合は領収書の代わりになりません。
似たような書類であるレシートとは詳細な情報が記載されている点が、売上票(加盟店控え)とは店舗へ向けた書類である点が、領収書とは経費証憑としての有効性の高さがおもな相違点となります。
利用控え(お客さま控え)の発行義務はありませんが、2回を超える分割払いやボーナス払いの際には発行が義務付けられています。
利用控え(お客さま控え)を発行しない事業者が顧客から利用控えの発行を依頼された場合には「利用控えとして領収書を手書きする」「利用控えをメールで送信する」「領収書も印刷できるマルチ決済端末を利用する」といった対処法があります。
通常、利用控え(お客さま控え)を発行しない店舗であっても、求められた場合には速やかに発行できるよう体制を整えておくのが無難です。
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執筆は2020年8月24日時点の情報を参照しています。2025年9月9日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash


