ネットショップの魅力の1つは、国内だけではなく海外のお客さまにもリーチできることです。海外に向けて販売することで、販路の拡大や新たな売上機会につながる可能性があります。一方で、言語や通貨の違い、配送や関税、国や地域ごとの法規制など、国内販売とは異なる準備が多そうで、なかなかも踏み出せない人もいるかもしれません。
本記事では、海外向けネットショップを開業するメリット・デメリットを比較しつつ、海外ユーザー向けに必要な施策、海外向けネットショップやモール出店の方法、海外向け販売ならではの注意点などのポイントを解説します。
📝この記事のポイント
- 海外向けネットショップは、販路拡大や新たな売上機会の創出につながる可能性がある
- 海外販売では、言語・通貨、配送、関税、法規制、カスタマーサポートなど国内販売とは異なる対応が必要
- 海外モールへの出店は集客しやすい一方で、出店条件や手数料、運用ルールに注意
- 自社ネットショップで海外向けに販売する場合は、多言語表示や海外住所の入力欄、国際送料や配送日数の表記などが必要
- Square オンラインビジネスを活用すれば、英語対応のネットショップの作成、オンライン決済、在庫・注文管理をまとめて行える
目次
- 海外向けネットショップ開業をとりまく現状
- 海外向けネットショップ開業のメリット
・販路の拡大
・海外向けに希少価値の高い商品を提供可能に
・「国内向けのみ」による機会損失の防止 - 海外向けネットショップ開業のデメリット
・国内向けよりもコストが大きい
・語学力が必要な場面がある
・国・地域による禁輸品目や法律の違い
・文化、コミュニケーション方法の違い
・輸送クオリティーの管理の難しさ - 海外向けネットショップの作り方
・海外モールへ出店する
・海外対応可能なネットショップを作成する - 海外販売にあると便利な機能
- 海外向けネットショップを始めるならSquare
- まとめ
海外向けネットショップ開業をとりまく現状

海外向けネットショップの出店を検討する場合、2つの大きなハードルがあることを知っておく必要があります。1つは言語や通貨、文化の相違という壁があること、もう1つは市場規模の違いです。
経済産業省の調査1によると、2024年の日本国内の物販部門のEC市場規模は約15.2兆円で、前年の14.6兆円から拡大しました。一方、日本の海外向けネットショップの市場規模は、アメリカ向けと中国向けを合わせても約4.2兆円と、国内市場に比べてまだ小さいのが現状です。
とはいえ、海外向けネットショップの市場は近年、高い成長率で拡大しています。2023年から2024年にかけて、日本国内の物販部門のEC市場規模の伸び率は3.7%だったのに対し、中国向けの越境ECの市場規模の成長率は8.5%、アメリカ向けは8%と大きく伸びました。
こうした状況を踏まえると、以下の条件のいくつかに当てはまるネットショップは、海外向け販売を検討する価値があります。
- 海外で需要が見込める商材を扱っている
- 国内市場である程度シェアがあり、さらなる拡販を狙っている
- 海外向けのネットショップ運営にコストをかける余裕がある
- 関税や法規制の確認などの準備、返品対応などに人員を割ける
自社ネットショップにとって、国際的なオンライン取引を行う越境ECに参入するメリットがデメリットを上回るかを慎重に検討してみましょう。
海外向けネットショップ開業のメリット

海外向けにネットショップを運営し、海外で需要が見込める商材を取り扱うことで、以下のようなメリットが期待できます。
販路の拡大
海外向けにネットショップを運営する最大のメリットは、商材の販路を拡大できることです。たとえば日本とアメリカを対象に販売すれば、日本だけを市場とするより販売のチャンスは大きく広がり、商品の回転率や売り上げがアップする可能性もあります。
海外向けに希少価値の高い商品を提供可能に
日本では入手することが簡単な商材でも、海外では希少というケースもあります。日本のアニメ関連グッズ、中古ゲーム、自動車やバイクのパーツなどは、海外のコレクターやマニアにとっては高い送料を払っても手に入れたいアイテムです。ブランド古着、工芸品、アンティークの着物、和食器なども、海外の一部の愛好家に人気があります。
こうした希少価値の高い商品を扱うネットショップであれば、海外向け販売に着手する意義は大きいといえます。
「国内向けのみ」による機会損失の防止
国内向けのネットショップだけを運営している場合、購入意欲のある海外のお客さまがいても、言語や通貨、配送方法に対応していないことで、購入につながらないことがあります。
同じ商品を扱うほかのネットショップが海外販売に対応していれば、海外の顧客はそちらを選ぶかもしれません。海外向けの販売環境を整えることで、こうした機会損失を減らし、新たな購入機会を生み出せる可能性があります。
海外向けネットショップ開業のデメリット
海外向けのネットショップの運営には、いくつかデメリットもあります。自社のネットショップにとって負担が大きいかどうか検討してみましょう。
国内向けよりもコストが大きい
国内向けのネットショップとの大きな違いは、関税や送料などの販売にかかるコストです。商品を海外へ配送する場合、送料や関税、通関手続きに関わる費用などが発生することがあります。費用は商品の種類、サイズ、重さ、配送先の国や地域によって異なるため、購入前にお客さまが確認したうえで、購入の判断ができるようにしておく必要があります。
また、ネットショップの言語・通貨対応、海外向けの広告やマーケティング、問い合わせ対応にもコストがかかります。金銭的な負担だけでなく、翻訳や発送手続き、カスタマーサポートにかかる時間も考慮しておきましょう。
語学力が必要な場面がある
海外向けの販売では、ネットショップ上の商品説明だけでなく、問い合わせ対応、配送状況の連絡、返品・交換の案内などで外国語対応が必要になる場合があります。国内販売と比べて、文章の作成や確認に時間がかかる点は、運営上の負担になることがあります。
ただし、現在は翻訳ソフトやAIツール、チャットボットなどを活用することで、外国語対応の負担を大きく減らせる可能性があります。よくある質問への回答をあらかじめ複数言語で用意したり、問い合わせ対応の一部をチャットボットに任せたりする選択肢もあります。
一方で、商品仕様、配送条件、返品・返金、関税などに関わる説明は、誤訳がトラブルにつながる可能性があります。重要な案内は翻訳結果を確認し、必要に応じて専門家や翻訳サービスを利用するなど、正確に伝わる体制を整えておきましょう。
国・地域による禁輸品目や法律の違い
日本国内では販売可能な商材でも、国外への送付が禁じられている、または海外で輸入禁止とされているケースもあります。相手国の法規制で許可された商材以外を販売すると、トラブルにつながる可能性があるため、海外向けネットショップでは事前のリサーチや定期的な情報のアップデートが求められます。
文化、コミュニケーション方法の違い
ネットショップは海外の言語や通貨に対応するだけでなく、相手との文化的相違にも対応が必要です。たとえば、商品や到着日程についての質問や値下げ交渉に積極的なユーザーからは、問い合わせが多く入る可能性があります。問い合わせへの対応方法や返信スピードへの期待も、国や地域によって異なる場合があります。国内販売と同じ運用をそのまま当てはめるのではなく、問い合わせ対応や返品・交換のルールをあらかじめ整理しておくことが大切です。
輸送クオリティーの管理の難しさ
国際郵便や海外宅配便は、輸送距離が長いことはもちろん、輸送過程で乱雑に扱われる可能性もあり、商品の品質保証の難易度が上がります。そのため、繊細で壊れやすい商品は海外向けに販売しない、破損や紛失を補償する保険を利用する、といったネットショップ側の対策が必要です。
海外向けネットショップの作り方

それでは、実際に海外向けネットショップを作る際に押さえるべきポイントを確認しましょう。海外向けに商品を販売するには、海外の顧客が購入しやすい環境を整える必要があります。言語や通貨、配送先住所の入力、送料表示などが国内向けのままだと、購入につながりにくい場合があります。
主に以下のような項目に対応できるかを確認しましょう。
- 外貨での価格
- 海外住所の入力
- 海外向けの決済方法
- 国際送料の表示
- 関税や輸入時にかかる費用の案内
- 配送日数の目安
これらの情報を、対象国で使われている言語で表示しておくことで、購入時の不安を減らせます。
海外向けネットショップを始める方法は、大きく分けて2つあります。1つは海外向けのモール型プラットフォームに出店する方法、もう1つは海外販売に対応した自社ネットショップを作成する方法です。それぞれの利点や利便性を比較してみましょう。
海外モールへ出店する
1つ目は、たくさんのネットショップが集まるモール型のプラットフォームに出店する方法です。モール自体に知名度があるため集客しやすく、ウェブサイト制作やデザインの専門知識がなくても始めやすい一方で、自社ネットショップを作成する場合より出店コストが高くなることがあります。海外販売のターゲット国を決めたら、その国で利用されているモールを比較し、出店条件や手数料、運用ルールなどを確認しましょう。
海外のモールの中から、アメリカと中国の代表的なモール型プラットフォームの特徴を以下にまとめました。
| モール名 | 国 | 特徴 |
| Amazon(アマゾン) | アメリカ | ・売上高で世界最大2のECモール。世界23地域向けのサイトがある3。 ・北米・中南米、アジア太平洋、中東、ヨーロッパのAmazonストアに商品を出品して販売できる。複数地域のアカウント統合や出品管理も可能。 ・アカウントを統合する場合の月額手数料は、出品中の各国の月額登録料の合計または39.99米ドル(約4,560円)相当額のうち低い方を適用4、いずれも販売が成立すると販売手数料が課金される。 ・言語切り替え機能や海外通貨への対応、 Amazonが在庫保管・出荷・梱包・海外配送を代行するサービスも利用可5。 ・出店には、クレジットカードと銀行口座が必要6。 |
| eBay(イーベイ) | アメリカ | ・アメリカの大手ECモール。アマゾン同様、海外からでも出店しやすい。URL末尾「.com」がアメリカ版サイト。 ・ 出品作成時の基本出品料(通常毎月250件までは無料)、商品が売れた際の落札手数料、海外向け販売では海外決済手数料が発生する7。基本出品料の無料枠拡大や販売手数料の割引などを利用できる有料プランも7。 ・出店には、Payoneerのアカウントが必要8。 |
| 淘宝網(タオバオ) | 中国 | ・中国最大規模のモールで、個人出店が多いのが特徴。 ・出店時には保証金がかかる。 ・出店にはアリペイのアカウント、中国の銀行口座が必要。出店手続きの代行業者を利用する方法もある。 |
| 天猫(Tmall) | 中国 | ・偽ブランド品や粗悪品を排除した信頼性の高さが売りの大型モール。BtoC取り引きが基本で、日系大手も出店。 ・中国国外の企業向けサービス「天猫国際(Tmall Global)」が利用可9。日本語の説明ページもあり。 ・出店には、アリペイのアカウント、保証金、年会費、各種サービス料などがかかる。 |
海外対応可能なネットショップを作成する
海外向けのネットショップを作る、あるいは海外対応機能を付けるという選択肢もあります。ネットショップ作成プラットフォームを使えば、モールより月額利用料などのコストが低く、サイトデザインの自由度が高いネットショップを作ることができます。
以下は、海外対応可能なネットショップを作成できるプラットフォームの一例です。
| プラットフォーム名 | 対応言語 | 特徴 |
| Square オンラインビジネス | 複数 | ・Weglot Translateとの連携でサイト全体を外国語に翻訳可能。決済方法はクレジットカード決済に対応。 ・無料プランでは初期費用・月額費用は無料、決済手数料のみが発生する。 |
| BASE | 英語 | ・「かんたん海外販売10」を利用してボタン名や文章の英語表記の設定が可能。決済方法はPayPalやクレジットカードに対応。 ・初期費用、月額料は無料。決済手数料、サービス利用料に加え、かんたん海外販売の利用には手数料(注文金額の5%)が発生する。 |
| STORES | 英語 | ・英語表記の設定が可能。通貨表示は日本円のみ11。 ・月額料金なしの「フリープラン」と、月額利用料3,300円の「スタンダードプラン」から選べる12。いずれも決済手数料が発生する。 |
| Shopify | 複数 | ・複数の言語に対応可能。外貨は130通貨に対応できる。 ・「ベーシックプラン」は年払いで月額4,365円13。加えて決済手数料、外部決済サービスを利用する場合は取引手数料が発生する14。 |
海外販売にあると便利な機能

海外向けの販売を行う場合、ネットショップから海外へ直送する以外にも、海外転送や海外出荷業務委託などの有料サービスを利用することもできます。
海外転送サービスは、日本国内の配送センターから商品を海外の指定住所へと転送してくれるサービスで、ネットショップ側は配送センター宛に国内配送をするだけで済みます。
海外出荷業務委託サービスは、海外発送代行ともいわれ、ネットショップ側が国内の委託先倉庫に商品を送ると、在庫管理、梱包、海外発送、通関手続きなどを代行してくれます。こうしたサービスを賢く利用することで、煩雑な海外発送を効率化し、ネットショップの他の業務に集中することも可能です。
また、ネットショップから直送する場合でも、海外向けの送料に選択肢があると、購買を後押しできる可能性が高まります。時間はかかるものの送料の安い船便、一般的な航空便、スピーディーな国際郵便EMSなど、商品やネットショップの特性に合わせた選択肢を提示すると良いでしょう。
海外向けネットショップを始めるならSquare

海外向けネットショップを始める際は、言語対応や決済方法、在庫管理、注文管理など、複数の準備が必要です。Square オンラインビジネスを活用すれば、ネットショップの作成からオンライン決済、在庫・注文管理までをまとめて行えます。
Square オンラインビジネスを使えば、コーディングなどの特別な知識がなくても海外向けネットショップを開設できます。サイトの英語対応できるため、海外のお客さまに向けた商品情報や案内文の表示を簡単に設定できます。また、クレジットカードの5大国際ブランド(Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club International)に加え、Discoverの決済にも対応しています。無料プランを選べば、運営にかかるコストは決済手数料(※)のみです。
※各種プランと決済手数料について、詳しくはこちらをご確認ください。
さらにSquare POSレジアプリを使えば、Squareで作成したネットショップの売上・在庫データを実店舗のデータとまとめて一元管理できます。国内・海外向け販売と実店舗での販売を並行して行う場合に便利です。
ネットショップを無料で開始するならSquare
Square オンラインビジネスはモバイル対応のオンラインストアを無料で構築できるサービスです。実店舗と在庫を自動で連動させたり、店頭受取やデリバリーに対応していたりと、便利な機能が豊富。無料でECをはじめたい小売店や飲食店に向いています。
まとめ
海外向けネットショップは、国内だけでは届きにくい顧客に商品を販売できるため、販路拡大や売上機会の創出につながる可能性があります。特に、日本ならではの商品や海外で入手しにくい商品を扱っている場合は、越境ECに取り組むメリットがあるでしょう。一方で、言語や通貨への対応、海外配送、関税、国や地域ごとの法規制、カスタマーサポートなど、国内向けネットショップとは異なる準備が必要です。
海外向け販売を始める際は、まず自社の商品に海外需要があるかを確認し、配送方法や決済方法、問い合わせ対応の体制を整えましょう。最近では、海外向けネットショップの開設と運営をサポートする便利なプラットフォームやサービスが数多くあります。便利なプラットフォームや海外発送を支援するサービスも活用しながら、ぜひ海外向けネット販売に挑戦してみてはいかがでしょうか。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2021年11月8日時点の情報を参照しています。2026年6月15日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
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