飲食店における衛生管理のポイントとは

飲食店にとって基本中の基本である、衛生管理。今回はそのポイントを食品、従業員、設備の3点に分けて説明します。食中毒を引き起こす細菌やウイルスは目に見えないからこそ、衛生管理の徹底と定期的な見直しが大切です。

目次



衛生管理の目的はお客様の健康を守ること

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飲食店ではさまざまな食材を調理し、お客様に提供しています。時間に追われたり、味や見た目を優先したりなど、食材管理や調理過程における衛生管理が二の次になってしまうと、異物混入や食中毒の発生などお客様の健康を害する事故を引き起こす可能性が高くなってしまいます。

清潔な環境を保つことは、飲食店にとって当たり前のことです。食中毒が起きた場合、お客様の健康を害するだけでなく、閉店に追い込まれるほどのダメージを負うことも考えられます。このようなリスクを避けるためにも、お客様の健康を守ることを前提に衛生管理を徹底しましょう。

食中毒の6割が飲食店で発生

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令和3年食中毒発生状況(厚生労働省)によると、食中毒が発生した原因となる施設のうち、全体の39.5%を飲食店が占めています。他の施設では、家庭が14.8%、学校が1.4%、病院が0.7%、販売所が5.6%です。

これらの数字を見ると、食品を扱う場所の中でも飲食店での発生率が高いことが分かります。

参考:令和3年食中毒発生状況(厚生労働省)

小さな規模のお店では多大なコストをかけて衛生管理を行うことは難しいかもしれません。しかし、基本を忠実に守るだけで防げる事故もあります。基本的な管理のポイントを説明します。

食材の管理における七つのポイント

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食材は、正しい知識を身につけ、適切な管理と調理を心がけます。お客様が口にするものなので、安全を第一に美味しい料理を提供しましょう。

1, 食材の正しい検品と保管

食材が入ったケースや梱包材には汚れや細菌が付着している可能性があります。食材の搬入と検品は、調理場や冷蔵庫とは離れた場所で行います。検品には食材に関する知識のある経営者や従業員が立ち会い、鮮度や品質などを確認し、状態が悪いものや不衛生なものを持ち込まないようにします。鮮度を含めた野菜に関する幅広い知識が身につく野菜ソムリエの資格がここでは役に立つかもしれません。

食材を保管スペースや冷蔵庫に入れる際には、ダンボールやコンテナから取り出し、清潔な容器に入れます。食材を仕入れる際には、衛生管理の意識が高い業者を選ぶことも重要です。

2, 冷蔵庫と冷凍庫内を適切な温度に保つ

冷蔵庫と冷凍庫内に食材を入れすぎると冷気が循環せず、温度の上昇につながります。それぞれの食材を最適な温度で保管するためには、冷蔵庫と冷凍庫の整理整頓は欠かせません。整理、整頓、清掃、清潔、躾を意味する5Sを在庫管理に活かしてみてはいかがでしょうか。食材は必要な分だけ注文し、いつでも新鮮な状態で仕入れ、調理できるように在庫を管理することが大切です。

3, 卵は冷蔵保存で加熱調理

卵は殻や中身に食中毒の原因になるサルモネラ・エンテリティディスを含んでいる可能性があります。生でも新鮮な卵を割った直後に食べれば食中毒を引き起こしにくいといわれています。10℃以下の環境で保存し、75℃で1分以上加熱することでサルモネラは死滅します。卵は室温の状態で放置せず、使う直前に割り、またしっかり熱を通すようにしましょう。

参考:卵の衛生的な取扱い(東京都福祉保健局)

4, 先出しの徹底

食材は消費期限と賞味期限を把握し、先に期限が切れるものから使います。封を開けた日付や解凍した日付を保存容器に書き込んだり、使う分だけ解凍・開封したりすることを徹底しましょう。衛生面だけでなく、ロスを減らすことにもつながります。

5, 食材の中心温度を計る

食材の加熱不足も食中毒を引き起こします。ちゃんと火が通っているかどうか、食材の中心温度を測りましょう。中心温度計で温度を測り、75℃で1分以上加熱をします。

参考:食鳥肉や食肉の生食・加熱不足を原因とする食中毒に気をつけましょう!(埼玉県)

6, 解凍は前日から冷蔵庫内で自然解凍

冷凍した食材を解凍するときは、常温の室内や溜めた水の中に放置するのは避けましょう。前日から冷蔵庫で解凍したり、密閉容器に入れて流水で解凍したりなど、使う分だけ解凍し、解凍後はすぐに調理します。また、一度解凍したものを再び冷凍することも避けましょう。おいしく食べられなくなり、食中毒菌が増殖する原因にもなります。

参考:家庭でできる食中毒予防の6つのポイント(厚生労働省)

7, 調理済み食材の保存

調理した料理は、すぐにお客様に提供することが望ましいです。難しい場合には、細菌の繁殖を防ぐために65℃以上もしくは10℃以下の環境で保存しましょう。

従業員の衛生管理

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食品の衛生管理だけでなく、従業員の衛生管理に対する意識を高めることも重要です。調理前やトイレ後の手洗いを徹底し、爪を短く切ったり、制服を清潔に保ったり、帽子やネットを着用するなど、細かい部分にも目を配るようにしましょう。

専用の作業服や作業靴の用意は、外部から汚れや細菌を持ち込まないようにするほか、従業員の服の繊維や装飾品の一部などが混入しないようにする効果もあります。また、体調が悪いときに作業させない、手指に傷があるときは手袋を着用してなるべく食材に触らない作業を担当させるなど、従業員一人ひとりの健康状況を把握した上で作業に従事させる必要があります。

キッチンとホールのゾーニングも衛生管理には有効です。キッチンとホールの間にパントリーなどを挟んで直接つなげないような店舗作りのほか、ホールスタッフがキッチンに入らないようにする工夫も必要でしょう。

紙のオーダー表を利用している飲食店では、ホールスタッフがキッチンにオーダー内容を伝えに行く必要がありますが、こうした一連の作業をデジタル化したオーダーエントリーシステムを採用し、注文内容をキッチンに設置したキッチンディスプレイに送ることができるようになれば、キッチンとホールのゾーニングもしっかり行うことができます。決済代行会社Squareでは、月額3,500円という低コストで導入できるキッチンディスプレイシステム(KDS)を提供しています。タブレット端末(Android)にSquare KDSアプリをダウンロードすればすぐに利用可能です。

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清掃と消毒

調理場や店頭にある設備や調理器具に細菌や汚れが付着していると、せっかく食品の加熱や保存に気を遣っていても食中毒を引き起こす可能性があります。調理で使うボウルや包丁、まな板やふきんなどは、肉・魚・その他で使い分け、使ったら消毒します。スポンジや金タワシなど、器具の洗浄に使う道具はこまめに取り替えるようにしましょう。

冷蔵庫などの機械の下やその周囲、シンクや排水口はカビなどの雑菌が繁殖しやすく、放置すると害虫が発生する可能性もあります。ランチ後とディナー後など、1日1回以上掃除するのが望ましいです。

もし害虫が発生したら、専門業者に依頼するなどして、侵入経路を絶ち、繁殖を抑える対策をとりましょう。

今すぐに衛生管理の実践を

衛生管理はすぐに実践できるものばかりで、すでに対策しているお店も多いでしょう。しかし、日常のオペレーションに追われて疎かになってしまう可能性もあります。手を抜いた瞬間に食中毒を起きてしまった場合、大きな損害が出るだけでなく、お客様の信頼も失ってしまいます。

食中毒を起こしたときのダメージは簡単には取り戻せません。一人ひとりが「食中毒を起こさない」「人の命に関わる仕事をしている」という意識を持ち、日々の業務に取り組むことが大切ではないでしょうか。

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執筆は2018年2月14日時点の情報を参照しています。2023年2月15日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash