昨今のECプラットフォームの充実化に伴い、個人で海外輸出ビジネスを手掛ける人も多くみられるようになってきました。
本記事では海外輸出ビジネスを検討している人に向けて、個人でも海外輸出を気軽に始められる方法やメリット、成功のポイントなどを解説。加えて、無料でネットショップを立ち上げる方法や海外の顧客に簡単に代金請求できるサービスも併せて紹介します。
目次
- 個人輸出とは?副業・本業で広がるチャンス
・個人輸出のメリット - 個人輸出の始め方
・必要な準備
・販売の流れ - 個人輸出の成功ポイント
・価格を慎重に設定する
・送料・関税を考慮する
・各国の関税ルールを事前に確認しておく
・海外顧客の対応を工夫する - 個人輸出の売れ筋商品
- 個人輸出のリスクと注意点
・禁止商品・規制を確認する
・返品・クレームに誠実に対応する
・為替リスクと国際送金を考慮する - Squareで個人輸出を始めてみよう
・海外との取引にも安心して使えるクラウド請求書 - まとめ
個人輸出とは?副業・本業で広がるチャンス
全世界がマーケットになる輸出ビジネス。かつてはその魅力と引き換えに専門的な知識や独特のノウハウを求められるイメージがあり、興味があってもなかなか一歩が踏み出せなかったという人も多くいたかもしれません。
しかし、現在ではeBayやAmazonといったインターネットを使ったECプラットフォームが普及。個人でも気軽に海外輸出ビジネスにトライできるようになっています。
特に日本の商品は多くの国々で人気が高いものが多く、本腰を入れて事業化する前に副業として市場の反応をみてみるのにも適した環境にあるといえるでしょう。
個人輸出のメリット
では、個人輸出にはどのようなメリットが見込めるでしょうか。おもだったところとして以下のようなポイントが挙げられます。
・初期投資が少なく、在庫を持たずに始められる
受注した商品を自身で仕入れることなく仕入先となる事業者から直接顧客に納品してもらう「ドロップシッピング(無在庫販売)」と呼ばれる流通形態をとるケースが個人輸出では多くみられます。事前に在庫を確保する必要がないため、初期投資を抑えてビジネスをスタートさせることができますが、自身で在庫管理を行わないため在庫切れや品質管理がしにくいリスクが生じます。
・eBayやAmazonなどのプラットフォームを活用できる
インターネットを通じて商品販売ができるeBayやAmazonなどのプラットフォームは個人でも利用が可能です。ただし、無在庫販売を認めていないプラットフォームもあるので事前に必ず規約をチェックしておきましょう。
・世界中の顧客にアプローチできるため、国内市場に依存しない
国内市場の評価と比較して海外での評価が高い商品は、まさに輸出ビジネス向けの商品だといえるでしょう。国内市場では飽和状態にある分野でも、海外では競合のないブルーオーシャン市場である可能性があります。売れ筋商品をチェックするツールなどを使って扱う商品を選ぶのも一つの方法です。
個人輸出の始め方
では、実際に個人輸出を始めるにはどうすればよいでしょうか。事前に準備しておくものや販売の流れを確認しておきましょう。
必要な準備
個人輸出ビジネスを始めるにあたっては、以下のような準備を行っておくことをおすすめします。
・インターネット環境とパソコン
インターネットを使わずに個人輸出を始めることは可能ですが、インターネットを使った取引のほうが断然簡単です。ビジネスとして個人輸出することを念頭に置くとインターネット環境は安定性の高いサービスを選ぶのが無難です。パソコンも用意しておいたほうがやり取りしやすいでしょう。パソコンは商品紹介のための動画を編集したりする必要がないのであれば、一般的な事務作業ができる程度のスペックで十分です。
・販売する商品の選定
現在国内向けの事業で扱っている商品を海外に展開する場合や、個人の趣味などから派生する商品を販売する際には、どちらかというと商品よりもマーケットや販売方法の選定に重きを置くことになりますが、無在庫販売などで得られる利益を重視するのであれば扱う商品の選択は非常に重要です。「海外向けECビジネスのトレンドに合わせる」「需要は少ないが一部の顧客からは絶大な支持を受けるニッチ商品を探す」など、関連商品や競合の多寡も含めて精査しましょう。
・取引するプラットフォーム(eBay、Amazon、Etsy など)の登録
インターネット上のプラットフォームを利用するのであれば、出品者(セラー)としての登録が必要になります。各プラットフォームの指示に従って登録します。また、プラットフォームの利用には手数料やストア費用がかかることが一般的なので、あわせてチェックしておきましょう。また、販売先が多地域にわたる場合は国ごとに利用者の多いプラットフォームを選定して使い分けると効果的です。
・決済・発送の準備(PayPalや国際配送サービス利用の準備)
決済手段はさまざまありますが、商品が届かなかった場合の被害を補償する制度も備えたPayPalが人気の手段です。決済のタイミングはリスクを考えると事前決済にしておくのがよいでしょう。また、商品を海外に発送する方法も考えておかなくてはなりません。国内外問わず、数多くの国際配送サービスがありますが、利用するプラットフォームと提携しているところを選ぶのが安心です。料金のほか、配達日数にも違いがあるので比較検討して最適なところを利用してください。
販売の流れ
個人輸出の基本的な流れは概ね以下のような手順を踏みます。
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市場調査
好きな商品を闇雲にラインアップするのではなく、事前に市場調査を行い、どの国のどういった顧客層にどんな商品を販売するかを計画しておきます。3C分析やSWOT分析、STP分析など、一般的なマーケティング戦略で用いられる分析方法を参考にしてもよいかもしれません。 -
商品を選定し、プラットフォームに出品
販売する商品にある程度目処がついたら、仕入先を確認して具体的に商品を選定し、プラットフォームに出品します。場合によっては告知や宣伝のためにSNSを活用するのも一手です。 -
購入されたら決済処理
購入手続きを受けたら会計処理をします。 -
国際配送で商品を発送
決済処理が完了したら、事前にチェックした国際配送サービスを利用して商品を発送します。 -
顧客対応(レビュー管理や問い合わせ対応)
発送したら購入者へ通知を行いますが、プラットフォームのシステムを利用するのが簡単で安心です。発送通知を怠った場合、「商品が届かない」というトラブルに発展する可能性があるので注意しましょう。最悪の場合は全額返金対応を迫られることになります。また、購入者に商品が届いてから商品破損のクレームや返品を受けるかもしれないので、あらかじめ対応策を用意しておくことをおすすめします。
個人輸出の成功ポイント
はじめて個人輸出に挑む場合、さまざまな不安があるのは当然です。成功するためのポイントにはどういったものがあるでしょうか。いつくかピックアップして紹介しましょう。
価格を慎重に設定する
商品の価格を設定するにあたっては、同様の商品を扱う競合事業者の価格設定が参考になります。複数のプラットフォームでチェックするほか、送料込の場合と送料別の場合、セール時の価格なども確認し、利益を確保しつつ競争力のある金額で設定するようにしてください。
送料・関税を考慮する
個人輸出を行う場合、商品本体の価格以外にも送料や関税がかかるので、その点を考慮して価格設定をする必要があります。
各国の関税ルールを事前に確認しておく
特に関税は国だけでなく、販売する商品によっても変わってくるので事前に細かく確認しておかなくてはなりません。また、関税率は変動する可能性もあるので最新の情報はもちろん、今後の見通しについても意識しておきたいものです。
海外顧客の対応を工夫する
海外顧客とのコミュニケーションは通常、英語を使います。インターネットを使った無料翻訳サービスなどを利用するにしても、基本的なやり取りができる程度のスキルは持ち合わせておきたいところです。
そのほか、基礎的な地域それぞれの商習慣やマナー、宗教的なタブーなども知っておくと不測のトラブルに巻き込まれる心配も減らせるでしょう。
個人輸出の売れ筋商品
個人輸出で扱う商品は無限に存在しますが、日本から輸出する場合に初心者が扱いやすい商品群には以下のようなものがあります。
・アニメ・マンガグッズ(フィギュア、ポスター、限定グッズ)
日本のアニメやマンガ、ゲームは多くの国で人気があり、書籍以外にもキャラクターのフィギュアやポスター、トレーディングカードなどが売れ筋の商品となっています。国ごとに人気のアニメやマンガに違いがみられるので、ターゲットとする国に合わせて商品選定ができるとより効率的です。特に日本でしか手に入らない限定グッズは、その希少性から高額で購入してもらえる可能性が高まります。
・和雑貨・伝統工芸品(扇子、茶器、折り紙)
扇子や茶器といった日本ならではの伝統工芸品、折り紙や千代紙などの和雑貨も人気です。壊れやすいものも多いので、多少雑に扱われても傷つかないよう丁寧に梱包してください。
・日本製コスメ・スキンケア(シートマスク、ヘアケア製品)
日本製のコスメやシートマスクなどのスキンケア用品は、比較的安価でも高いクオリティを備えているものが多く、海外からの需要も高い傾向があります。
・中古ブランド品・時計
時計やブランド品をはじめとする中古品も日本のものは程度が良いものが多く、好条件での販売が望めます。ただし、国内で中古品を仕入れるためには店舗の有無に関係なく古物商許可が必要になるので必ず許可を取得してからにしましょう。
・食品・お菓子(抹茶、インスタントラーメン、和菓子)
海外では手に入りにくい日本の食品やお菓子も個人輸出で扱える人気商品です。ただし、食品は輸出先で国の許可が求められるのが一般的であり、扱う商品によっては原材料や放射性に関する情報などを提出しなくてはならないほか、指定内容を記載したラベリングが必要なケースもあります。
個人輸出のリスクと注意点
個人輸出を行うにあたっては、注意が必要な商品や海外との取引に関わるリスクもある程度知っておく必要があります。おもな三つのポイントを紹介しましょう。
禁止商品・規制を確認する
特に化粧品や食品など、国によっては輸出できない商品があったり、輸出する際に許可や申請が必要なものもあったりするので注意してください。
また、農畜産物を中心とした食品や飼料、肥料などは日本から輸出する際に検疫が必要なものも多くあります。許可を得るまでに時間や費用が多くかかることもあるので、事前にしっかりと確認してください。
返品・クレームに誠実に対応する
購入者に商品が届いてから商品破損のクレームや返品を受ける可能性もあります。誠実に対応することが基本ですが、発生したときになって慌てることのないよう、あらかじめ対応策を用意しておくことをおすすめします。
為替リスクと国際送金を考慮する
海外との取引では為替レートの変動にも注意が必要です。円高になると日本円での利益が減少し、円安になると増加するため、タイミングによって利益が減る可能性がありますが、ある程度価格弾力性をもたせておくことでリスクは多少低減できるでしょう。
また、国際送金を行う場合には金融機関ごとの手数料がかかったり、送金限度額が設定されていたりするので、利用する場合には事前によく確認してください。
Squareで個人輸出を始めてみよう
個人輸出に初めて挑戦する場合、Squareを利用すると比較的障壁を低くしてスタートすることができます。
海外との取引にも安心して使えるクラウド請求書
パソコンとスマートフォンの両方から利用できるSquare 請求書は、英語での取引にも対応しています。メールを使って送信でき、受け取った購入者はスムーズにクレジットカード決済へと進めます。
まとめ
インターネットを利用したプラットフォームの普及などによって、簡単に始められるようになった個人輸出ビジネス。輸出先が設けている規制や為替レートの変動見込み、トラブル発生時の対応準備など、いくつか注意する点はありますが、日本には海外から人気を得ている商品が多く、初めての人でもチャレンジしやすい環境だといえます。
自身が扱う商品やメインとなる輸出先に合わせたプラットフォーム、取引形態を選んで、まずは価格規模が小さく取引しやすい商品から始めてみてはいかがでしょうか。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2025年6月2日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash