中小企業の賃貸オフィス・店舗に使える家賃支援制度とは?

店舗や事業をはじめるときに一番負担が大きなコストといえば、店舗物件の費用。特に開業時は礼金や保証金などまとまった金額が必要になるため、コストがかさむ部分でもあります。そこで注目したいのが、自治体による支援制度です。開業したばかりの事業者を対象に、店舗家賃の一部を補助してくれる制度がうれしいことに各地に多数あります。開業したばかりで資金が潤沢でないときこそ活用したい、魅力的な制度だといえるでしょう。

この記事では、オフィスを設置したい人に向けた家賃支援、創業者に向けた家賃支援、商店街の空き地を活用する人に向けた家賃支援に分けていくつかの制度を紹介します。そもそも家賃支援とはという点や、制度を利用する際に注意したい点、制度の探し方もあわせて見ていきましょう。

目次


家賃支援とは

家賃支援とは、大きくいうと、家賃の一部を企業や自治体が負担することを指します。具体的には会社が福利厚生の一環として社員の家賃を一部負担すること、あるいは離職などにより家賃の支払いが難しい人に向けて自治体などが家賃を補助する取り組みのことをいいます。このように個人に向けたものが多いものの、なかには自治体などが事業者に向けて提供する家賃支援制度もあります。

近年だと新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが減少したビジネスに向けて、経済産業省が「家賃支援給付金」を支給していました。この制度はすでに終了していますが、今でも自治体などを通して、事業者向けの家賃支援制度がいくつか提供されています。

ここでは事業者が事業所や店舗の家賃に活用できる家賃支援を主に紹介していきます。

事業者向け家賃支援制度の特徴と対象者

特定のエリアや物件などを活用して事業をはじめる人に向けて、多くの自治体は補助金や助成金を用意しています。内容はさまざまですが、店舗の家賃をはじめ、改修費など、開業資金に必ずといっていいほど含まれる費用を負担するものが多々あります。

こういった補助金は多くの場合、街の活性化を目的としており、資金面の援助を行うことで事業をはじめやすくする環境を整えるために交付されます。

自治体が提供する補助金制度の名称は特に統一されておらず、それぞれ独自の名前がつけられています。

インターネットなどで検索する際には以下のように「起業支援」「創業支援」などの単語が含まれているものに目を通しておくといいでしょう。

例:

  • ○○(地域名)新規創業促進補助金
  • 創業支援補助金
  • ○○(地域名)商店街空き店舗活用事業補助制度
  • ○○(地域名)起業支援事業補助金
  • 中小企業振興総合補助金・新規出店家賃補助事業
    など

地方自治体独自の支援制度を活用しよう

家賃支援は市町村を管轄する自治体が提供していることが多いです。ひょっとしたら開業を検討しているエリアでも家賃支援の制度が用意されているかもしれません。できるだけコストをおさえたい場合には、早い段階で確認しておくことをおすすめします。

オフィスの設置を対象とした補助金

まずはオフィスの開設に活用できる補助金について見ていきましょう。

補助金の対象範囲

補助金の対象範囲は補助金ごとに異なりますが、以下が主なものです。

  • 家賃(最大12カ月相当)
  • 改修費
  • 事務機器などの導入費用
  • 通信回線使用料

上記すべての項目において補助が受けられるとは限りません。制度ごとに対象の項目や範囲などは異なるので、興味のある制度の詳細をしっかりと確かめましょう。

オフィスの設置を対象とした補助金の例

以下は2023年度に実施された、オフィス設置を対象とする補助金の例です。詳細はリンクからも確認できます。

  エリア 対象経費 補助・助成金額
サテライトオフィス設置・創業拠点整備・創業サポート補助金 岡山県津山市 1. A費用:事務機等導入費用
2. B費用:改修費
3. C費用:賃借費(サテライトオフィス※)
※市内サテライトオフィスの3カ月以上の継続利用に限る
補助対象経費の1/2以内

▼上限額
正社員3人以上:
A費用50万
B費用200万
C費用60万円

個人・社員2人以内:A費用25万
B費用100万
C費用30万円
ゆとり満喫福島オフィス開設支援補助金 福島県福島市 1. 改修費用
2. 設備購入費用
3. オフィス賃料
補助対象経費の3/4以内

▼上限額
500万円
山梨県産業集積促進助成金(オフィス等の設置) 山梨県 賃借料および通信回線使用料の1/2(上限3年間)
など
助成対象経費の1/2

▼上限額
500万円/年

創業者向けの家賃支援制度

ここでは新しい事業をはじめる際に、事業所の家賃に活用できる支援制度を紹介します。

補助金の対象範囲

補助金の対象範囲は以下が一般的です。

  • 家賃
  • 開業準備費用(改修工事費、広告費)
  • 設備費
  • 事業用車両
  • 調査委託費
    など

制度によって対象になる経費の種類も、範囲の広さも異なるので、上記のすべてに対して補助が受けられるとは限らないことを念頭に置いておきましょう。

創業者を対象とした家賃支援制度

以下は2024年1月時点で募集を受け付けている家賃支援制度です。

  エリア 対象経費 補助・助成金額
かしわざき創業者家賃補助金 新潟県かしわざき市 家賃(敷金・礼金、駐車場費等除く) 10分の10
最大20万円
新規出店家賃補助事業 北海道富良野市 店舗家賃(最大12カ月分) 半額以内
創業等支援家賃補助事業補助金 青森県五所川原市 店舗家賃(最大24カ月分) 開業月以降の1カ月分の賃借料(消費税を除く)の2分の1、または3万円のいずれか低い額

商店街空き地・空き店舗出店への家賃支援制度

商店街の空き地や空き店舗を活用すると受けられる家賃支援も数多くあります。詳しく見ていきましょう。

補助金の対象範囲

補助金の対象としては、以下の費用がよく挙げられます。

  • 空き店舗の賃借料
  • 店舗などの新築、増築費用
  • 空き店舗の取得費用
  • 改装費用
  • 什器備品の取得費用
    など

空き店舗出店における家賃支援制度

以下は2024年1月時点で募集を受け付けている補助金制度です。

  エリア 対象経費 家賃補助における補助率/補助・助成額
古河市商店街空き店舗等対策事業補助金 茨城県古河市 空き店舗の賃借料(最大2年分)

▼1年目
補助率:補助対象経費の1/2
限度額:5万円/月

▼2年目
補助率:補助対象経費の1/3
限度額:3.3万円/月
商店街空き店舗対策事業 埼玉県東松山市 1. 改修費
2. 賃借料(最大12カ月分)
補助対象経費の1/2以内
▼限度額
7.5万円/月
中心市街地商店街空店舗対策事業(空き店舗出店支援事業) 神奈川県厚木市 1. 家賃補助(最大12カ月分)
2. 改装費補助
3. 出店支援補助
補助対象経費の1/2以内
▼限度額
5万円/月

家賃支援を利用する際の注意点

家賃支援は魅力的な制度ではありますが、以下の注意点を念頭に置いたうえで利用を検討しましょう。

補助内容は自治体ごとに異なる

上記で紹介してきた制度の詳細からもわかるとおり、補助の対象となる経費も、補助率も、補助額も、自治体ごとに異なります。自身が事業を検討しているエリアでは家賃支援に関わる補助制度がない可能性もあります。希望どおりの支援があるとは限らない点に留意しておきましょう。

利用要件がある

補助金を利用するには、制度の要件を満たさなければいけません。制度によっては同じ補助金を二度利用できなかったり、1日の営業時間や、週を通しての営業日数に決まりがあったりします。基本的には「補助対象者」などの箇所に要件が記載されています。申請手続きをはじめる前に要件を満たせるかどうかをまずは確認するようにしましょう。

募集時期に注意

家賃支援の補助金は、予期せず終了することもあります。特に補助金制度は採択件数や支給できる金額があらかじめに決まっているものも多いため、一定数に達すると受付を締め切ることがあります。昨年度までは毎年のように実施されていた制度でも、今年度では実施されないこともあるでしょう。インターネットなどで検索をする場合には、情報が最新かどうかは必ず確認するようにしましょう。

採択されないことも

助成金に関しては要件を満たせば受給される可能性が高いといわれていますが、補助金の場合は必ずしも採択されるとは限りません。たとえば「事業再構築補助金」の第11回目の採択
率は3割弱でした。人気のある補助制度ほど採択率は低い傾向にあるかもしれません。申請すれば支給されるとは限らないと覚えておきましょう。

参考:
事業再構築補助金第11回公募の結果について(事業再構築補助金事務局)
中小企業へ贈る補助金獲得「3つのコツ」、採択率42%・最大1億円を勝ち取る方法(2021年8月25日、ダイアモンドオンライン)

家賃支援制度の探し方

前述のように家賃支援の制度は申請期限日前に終了したり、これまでになかった制度がいきなり登場したりすることもあります。最新の情報は、以下の方法から探してみるといいでしょう。

「J-Net21」のまとめページから

中小機構が中小企業経営者向けにさまざまなお役立ち情報を発信しているサイト、「J-Net 21」には、創業者向けの補助金と助成金をまとめたページがあります。都道府県別に情報が並べられているので、探しやすいでしょう。

補助金ポータルから検索

株式会社補助金ポータルが運営するウェブサイト「補助金ポータル」からも補助金や助成金情報の検索が可能です。検索ページに飛び、事業をはじめる予定の地域を選択し、キーワードの部分に「家賃」などと入力すると、関連性のある補助金・助成金の一覧が表示されます。検索結果に申請期間がわかりやすく記載されているのは、うれしいところです。

自治体窓口に問い合わせる

なかにはパソコンやインターネットがあまり得意ではないという人もいるでしょう。その場合は、事業をはじめようと考えている自治体に直接問い合わせるのが一番です。最新情報にもすぐにありつくことができるでしょう。

Squareのキャッシュレス決済で、店舗のランニングコストをさらに削減

店舗をはじめるときには店舗取得費用、内装工事費用、設備費用……と想像以上にさまざまなコスト(※)が発生します。このとき、どの部分のコストは譲れなくて、どの部分なら抑えてもいいと思うかは、店舗オーナーごとに異なるでしょう。とはいいつつも、共通して「節約したい」と思う部分もあるものです。たとえば、レジまわりのコストなどがそうかもしれません。

※具体的にどれくらいの資金が必要かは「実店舗の開業に必要な資金額はいくら? 開店・運営の各コストを計算しよう」の記事にもまとめているので、ご確認ください。

Squareなら、キャッシュレス決済端末を5,000円以内から入手することができます。手に入れるには、無料アカウントを作成して、Squareのオンラインショップから端末を注文するだけ。手間の少なさも忙しい開業時にはうれしいポイントです。

jp-blog-reader

レシートプリンターが搭載された決済端末がほしい!という場合には、39,980円で手に入るSquare ターミナルがおすすめです。決済端末とレシートプリンターを別々で購入するよりも、このオールインワンの決済端末のほうがコストを抑えられる可能性があります。POSレジも搭載されているので、わざわざダウンロードしたりセットアップしたりする手間もありません。

また、Squareは低コストでの導入を叶えられるサービスでもありますが、売り上げが最短翌営業日に入金されたり、月額利用料金がかからなかったり(※)と、開業したての店舗事業主には特にうれしい特徴がそろっている決済サービスでもあります。

※決済ごとに決済手数料が発生します

jp-blog-terminal-creditcard

そのほか、予算などにあわせて以下の決済端末も選べます。

少しずつ地道に節約に取り組んでいくと、全体のコストを削減できるかもしれません。

カードも電子マネーも、マルチ決済端末はこれ1台

全画面タッチディスプレイ、レシート印刷機能、ワイヤレスで持ち運び可能、スタイリッシュなオールインワン決済端末「Square ターミナル」でキャッシュレス決済を始めよう。

この記事では、開業する際に活用したい家賃支援の補助金・助成金制度について紹介してきました。開業時はコストがかさむ時期です。補助金などを賢く活用し、資金が潤沢にない開業時期を乗り切りましょう。うまくやりくりをするスキルは、商いを長く続けていくうえできっと役に立ちます。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2024年3月13日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash