電子請求書とは?請求書を電子化するメリットや法律上の注意点を解説

紙の請求書から電子請求書に切り替えたというビジネスは近年、少なくないかもしれません。電子請求書はペーパーレス化が実現できたり、作成や管理が楽になったりと、さまざまなメリットがある請求書の新たな形です。この記事では電子請求書の保存に関連する法律、サービスを検討する際に注目すべきポイントなど、電子請求書を導入する際に押さえておきたい点を紹介します。発行する側や受け取る側のメリット・デメリット、注意点などもあわせて見ていきましょう。

目次


電子請求書とは

電子請求書とは、パソコンやスマートフォン、タブレットを使って電子データとして作成する請求書のことです。「電子インボイス」「Web請求書」「クラウド請求書」などさまざまな呼称がありますが、どれも電子請求書のことを指します。おおまかな手順としては、請求書を作成した後、メールで請求先に送ります。サービスによってはPDFをダウンロードし、メールに添付して送ることもあれば、サービスの管理画面から直接送信することもあります。

電子請求書の保存について

請求書は「帳簿書類」の一種で、税法により5年から10年間の保管が義務づけられています。e-文書法と電子帳簿保存法によって、一定要件を満たした場合には、電子データによる保存が認められています。したがって、請求書を電子データで送受信したり、電子データで保存したりすることには法律上の問題はありません。

満たすべき要件については随時見直しが行われており、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法では、請求書などの電子取引データの保存要件が緩和されました。

たとえば以前までは改ざん防止や検索機能などの要件を満たす必要がありましたが、2024年1月1日以降は以下の両方に当てはまる場合、電子請求書をただ保存しておくだけで十分になります。

イ 保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署⻑が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要です)
ロ 税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合

引用:電子帳簿保存法の内容が改正されました(国税庁)

変更点について詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください。

請求書に押印は不要

紙の請求書には社印などを押すのが一般的ですが、電子データの場合はどのように対応すべきでしょうか。

実は請求書への押印は義務ではなく、慣習として行われています。したがって、社印がなくても問題ありません。もし、取引先から要求がある場合は、電子印鑑を利用するか、紙に印刷した請求書に押印してスキャナで電子データ化する方法があります。

電子請求書サービスを利用して請求書の電子化が可能

手軽に請求書を電子化するには、フォーマットに必要事項を入力するだけで簡単に請求書が作れる電子請求書サービスを利用する方法があります。

なかには、取引先リストとの連携機能や請求・入金状況を把握する機能を備えたサービスもあるため、請求から入金まで簡単に管理できます。

電子請求書を送る側のメリット・デメリット

請求書の電子化は、発行する側にも受け取る側にもメリットやデメリットがあります。まずは、請求書を発行する側の主なメリットとデメリットを紹介しましょう。
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電子請求書を送る側のメリット

コスト・スペースを削減できる

請求書の電子化によって、印刷に使用する紙代やインク代が必要なくなり、郵送料もいらなくなるので、経費を削減できます。さらに大量の請求書を紙で保存する必要がなくなるので、保管のためのスペースやコストも不要になります。

作業時間が短くなる

印刷作業や封入作業が必要なくなることも、請求書を電子化するメリットです。請求書発行にかかる作業時間が短くなります。

加えて、請求書に限らずビジネスの経営に役立つ多彩な機能を備えたサービスを使うと、作業時間が一段と削減できるようになります。たとえばSquareには電子請求書機能に加えて契約書機能もあるので、契約書と請求書を一つのアカウントからまとめて管理できるようになります。Squareで作成した請求書に契約書を添付することも可能です。

また、実店舗での対面決済にSquareを使用している場合には、一つの管理画面から請求書による請求履歴と対面での決済履歴がまとめて確認できるようになります。取引履歴を1カ所にまとめられると、作業が一層円滑、かつストレスフリーに進むようになるでしょう。

再発行や修正を効率的に行える

請求書を電子化すれば、請求書に修正が必要になった場合でも、電子データを修正して送り直すだけで済むというメリットもあります。結果として、迅速に対応でき、効率的です。

送信履歴やステータスを確認できる

たとえばSquareの電子請求書機能を利用すると、これまで発行した請求書の履歴や、メールで送った請求書の開封状況、支払状況などを管理画面から一覧できるので、過去の取引内容や請求のステータスなどがすぐに確認できます。

承認がスムーズ

請求書を電子化するメリットとして、承認プロセスもパソコンやタブレット上でできるので、承認待ちで発行が滞るようなことがなくなる点も挙げられます。リモートワーク中に、請求書発行のために出社する必要もありません。

電子請求書を送る側のデメリット

導入・運用コストがかかる

請求書をデータで保存するには、電子帳簿保存法の要件を守る必要があります。そのためには、要件に対応した電子請求書サービスや保存システムの導入が必要になり、有料サービスを利用する場合には導入・運用コストが発生します。

紙を希望する取引先がいる

取引先が電子データを保存する体制が整っていない場合、引き続き紙の請求書を求められることもあるでしょう。また、独自のフォーマットによる請求書発行を求める企業もあるので、紙と電子データの両方で請求書を発行する必要が出てくる可能性もあります。

電子請求書を受け取る側のメリット・デメリット

請求書を電子データにした場合、発行する側だけでなく、受け取る側にも影響があります。電子化した請求書を受け取る側のメリットやデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

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電子請求書を受け取る側のメリット

請求書の受け取りが早い

請求書を電子データにした場合、電子メールなどで発行日当日に受け取ることができるので、タイムラグがなくなるメリットがあります。

ペーパーレス化や検索が楽になる

請求書を電子データにするメリットとして、書類のペーパーレス化が進むことが挙げられます。また、電子データであれば検索機能を活用できるので、過去の請求書を探しやすくなります。

電子請求書を受け取る側のデメリット

電子データの保存要件を満たす必要がある

電子データで受け取った請求書を保存するには、一定の要件を満たす環境を整えなければいけないというデメリットがあります。

これまでは体制を整えていない企業は、紙に印刷して保管できました。しかし、改正電子帳簿保存法では、2024年1月1日以降、電子データとして受け取ったものを印刷して保管することはできなくなります。

ただし、売上高5,000万円以下の事業主に対しては検索機能に関する要件が不要になるなど、以前よりは要件が緩和されています。

電子請求書をメールで送付する際の注意点

電子請求書の送付は、紙の請求書を郵送するのに比べて手軽に行えますが、紙から電子に切り替えるうえでは注意すべきことがいくつかあります。

取引先に周知し、同意を得る

紙での発行を希望する取引先もあるでしょうが、紙と電子を両方発行するとなると、管理が逆に煩雑になり確認漏れなどが発生しやすくなります。統一できるよう、今後は電子請求書のみの対応になる旨を案内文などでお知らせし、同意を得られるようにするといいかもしれません。

紙でのやり取りが残る場合も想定する

それでも紙でないと困る、という取引先もひょっとしたらいるかもしれません。こういったことも踏まえて、紙の請求書をどのように管理していくかは社内ではっきりとさせておきましょう。

多くの電子請求書サービスは、作成した請求書をPDFとしてダウンロードできるので、PDFを印刷し、郵送することができるでしょう。この手順なら、発行履歴は電子請求書サービスに残ります。また、Squareなら支払状況を管理画面から手動でアップデートできるので、紙・電子の両方を1カ所で管理することができます。

社内の体制や業務フローを整える

紙から電子に切り替えるとなると、請求フローにも変化が多少生じるでしょう。ミスや漏れのないよう、管理方法や手順などをまとめた運用ルールを作り、社内で共有しておきましょう。

インボイス制度への対応も忘れずに

2023年10月からはインボイス制度がはじまります。適格請求書を発行をする事業者は、利用を検討している電子請求書サービスでインボイス制度に対応できるかは、あらかじめ確認しておくといいでしょう。適格請求書とは何かは、「インボイス制度とは?仕組みや対応方法を図解付きで分かりやすく解説!」の記事で説明しています。

電子請求書を作成してみよう

業務効率化や経費の削減、リモートワークにも対応できるなど、電子請求書のメリットを最大限に受けるには、使いやすいサービスを導入することが欠かせません。

そこで、おすすめするのが、Squareが提供する電子請求書機能Square 請求書です(※)。Square 請求書は、請求書の発行だけでなく、見積もりの作成・送信も回数の制限なく利用可能です。請求先は、受け取った請求書にあるリンク先からクレジットカードによる決済ができます。口座振込を希望する場合は、請求書に口座情報を記載しておくこともできます。

※Square 請求書はインボイス制度に対応しています。詳しくはこちらをご確認ください。

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実際に購買や仕入れなどの事業費をクレジットカードで支払いたいと希望する事業主は増えているようで、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルが実施した調査によると、利用意向を示した対象者は61%もいたそうです。請求額をクレジットカード決済できるSquare 請求書は、取引先にも便利に思ってもらえるかもしれません。

参考:アメリカン・エキスプレス、「食品飲料卸・飲食サービス業における企業間決済調査」を発表(2023年6月30日、American Express International, Inc.)

発行した電子請求書はPDFとして出力し印刷することも可能なので、どうしても紙で発行しないといけないときにも慌てる必要がありません。紙の請求書を希望する取引先の支払状況は管理画面から手動で更新すれば、紙・電子ともに1カ所での管理が可能です。

これから請求書の電子化に取り組むなら、ぜひSquare 請求書をご検討ください。

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執筆は2021年12月27日時点の情報を参照しています。2023年9月29日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash