アウトバウンドマーケティング、インバウンドマーケティングとは

これまで共創マーケティングロイヤルティーマーケティングコンテンツマーケティングなどさまざまなマーケティング方法を紹介してきました。

数あるマーケティング方法は大まかに、「アウトバウンドマーケティング」と「インバウンドマーケティング」の2つに分けられます。

従来のプッシュ型のアウトバウンドマーケティングと、近年注目を集めているプル型のインバウンドマーケティング。それぞれに特徴があるため、ビジネスタイプやターゲット層に応じて両方を上手に使い分ける必要があります。各手法のメリットとデメリット、そしてトレンドの背景を知ることで、より効果的な施策につなげていきましょう。

アウトバウンドマーケティングとは

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アウトバウンド(outbound)は「外向きの」を意味する言葉です。アウトバウンドマーケティングはその名の通り、商品やサービスを広めたいと考えている企業側が潜在的な顧客に向け、一方向的に発信するタイプのマーケティング手法を指します。テレビやラジオのCM、新聞や雑誌の広告や折り込みチラシ、テレマーケティング、ダイレクトメール、展示会、看板広告、バナー広告などがアウトバウンドマーケティングに該当します。

古くから用いられてきた手法であることから、アウトバウンドマーケティングは旧来型の方法ということができるでしょう。

インバウンドマーケティングとは

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一方、「内向きの」を意味するインバウンド(inbound)。インターネットの普及とともに注目を集めているのがインバウンドマーケティングです。これには、メールマガジンやブログ、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)、ソーシャルメディア、動画、eBookなどが含まれます。

インバウンドマーケティングを初めて体系的に紹介したのは、アメリカのマーケティング会社ハブスポット社の共同創業者ブライアン・ハリガンといわれています。彼は2009年の著作『インバウンド・マーケティング』の中で、グーグルなどの検索エンジンやソーシャルメディア、ブログといったオンラインツールを活用した画期的なマーケティング方法について解説し、マス・マーケティングの時代は終わり「顧客の方から見つけ出してもらうことが重要」と説きました。

参考:【増補改訂版】インバウンドマーケティング(すばる舎)

インバウンドマーケティングでは、顧客自身の能動性が重視されています。情報を求めている潜在的な顧客が自らキーワードを検索したり、メールマガジンに登録したりといった行動から、企業側が提供するコンテンツにたどり着き、情報を吟味した上で商品やサービスの購入に至ります。

アウトバウンドマーケティングが企業から潜在的な顧客に向けて一方向的に発信する「プッシュ型」(=押す)のマーケティングといわれるのに対し、インバウンドマーケティングは双方向的で、顧客に「見つけてもらう」ことを前提とした「プル型」(=引き込む)の手法といわれています。

アウトバウンドマーケティング衰退の背景

顧客側が受動的か能動的かが、アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングの大きな相違点です。アウトバウンドマーケティングは広くマス(大衆)向けに商品やサービスの存在をアピールしたり、企業の認知度を向上させたりしたい場合には有効ですが、近年ではそれだけでは不十分と考えられています。

背景にはインターネットの普及があります。インターネットが普及する以前、情報はテレビや新聞を通して一方的に消費者に与えられることが多く、マスメディアが届ける情報がヒット商品やトレンドを生み出していました。一方で、マスメディアに載らない情報が消費者に届きにくいといった課題もありました。

各マーケティング手法のメリット、デメリット

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アウトバウンドマーケティングのメリット、デメリット

メリット
• 即効性が見込める
• 不特定多数の人にアピールしやすい
• 予算に対するROI(投資収益率)予測が立てやすい
• 商品やサービスのインパクトを伝えやすい

デメリット
• コストが高く、成果がコストに依存しやすい
• 露出期間(=予算のある期間)しか効果がない
• マス向けなので商品やサービスの詳細を伝えにくい
• 一方向の発信なので消費者の拒否感を生みやすい

このように、テレビCMや広告などのアウトバウンドマーケティングは、広いターゲット層を狙った商品やサービスに適しています。ただしコストのかかるマーケティング手法のため、新商品やサービスの発表時などピンポイントのタイミングで利用するか、あるいは長期的な利用であれば潤沢な予算を用意する必要があります。

また、一方的に流れるテレビCMや検索画面に入ってくる広告、動画視聴の前などに放送されるCMに対し、「うんざり」してしまう消費者もいるでしょう。そのため、広告の出す先やタイミング、内容を十分に吟味することが求められています。

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インバウンドマーケティングのメリット、デメリット

メリット
• 低コストから実施しやすい
• 時代にマッチしている
• コンテンツによっては長期的な成果も見込める
• 商品の詳細を伝えやすい
• ROIが高い(※1)
※1,インバウンドマーケティングはアウトバウンドマーケティングより3倍高いROI(投資収益率)を少ないコストで叩き出せるという調査結果もあります。

参考:State of Inbound(HubSpot)

デメリット
• コンテンツ作成に人材や手間を要する
• 効果が出るのに時間が必要
• 特定のターゲットにしかアピールできない
• ROI予測が立てにくい

インバウンドマーケティングの場合、ブログなどのオウンドメディアに掲載するコンテンツの内容を、時節やアクセス状況に合わせて更新していくことも可能です。このことでいっそうのアクセスが期待でき、一度作ったコンテンツを長期にわたって有効活用できるというメリットがあります。ただし、そのためには担当する人材を用意し、継続的なマーケティング効果のチェックやコンテンツの更新が必要です。

既存のビジネスにはないような全く新しい商品やサービス、あるいは企業であるなら、アウトバウンドマーケティングの手法を活用して一気に認知度を高め、その上でインバウンドマーケティングの手法も並行するのが効果的な場合もあります。

自社のビジネスやターゲット層に合うマーケティング手法を選択し、役立つ商品やサービスを必要とする人の元へ確実に届けるマーケティング施策を進めていきましょう。

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執筆は2018年4月25日時点の情報を参照しています。
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