ID決済とは?クレジットとID決済の違い・導入メリット

ID決済とは、ネットショップで買い物をする際に、事前に登録をしているアカウントを使って支払う方法です。Amazonや楽天、PayPayなど外部サービスの会員情報を使った決済もID決済に含まれます。2022年に行われた「ネットショップでよく利用する決済手段」についての調査では、クレジットカード決済に次いでPayPayが2位、また楽天ペイも4位となるなど、過去2回行われた調査に比べてID決済を利用する人が増えていることがわかりました。

ID決済では、お客さまはクレジットカード情報を入力する必要がありません。さらに、利用するID決済によっては名前や住所の入力まで省略することもでき、お客さまは簡単に買い物を楽しむことができます。ID決済は、すでに登録してある情報をそのまま使えるため、お客さまの心理的ハードルを下げることにつながります。この記事では、クレジットカード決済とID決済の違いや、ID決済の使い方、メリットとデメリットを紹介します。

参考:【第3弾】最新のECサイトにおける決済手段の利用実態調査結果を公開 ~過去の利用実態調査と比較で見えたQRコード決済の躍進~(2022年7月6日、SBペイメントサービス株式会社)

目次



ID決済とは

ID決済とは、登録された会員情報を利用する決済方法です。すでに登録している情報を使って支払いができるのが大きな特長で、たとえば「電車の中でネットショッピングをしていたが、クレジットカードの番号を入力するのが面倒で離脱してしまう」というようカゴ落ちを防ぐことにつながります。ID決済の流れは、各社によって異なりますが、概ね以下のように進みます。

商品をカートに入れる
↓
ID決済を選択
↓
IDやパスワードを入力し、認証を行う
↓
支払い

クレジットカード決済とID決済の違い

ネットショップにおけるクレジットカード決済とID決済の大きな違いは、入力する手間です。多くのネットショップでは、お客さまはクレジットカード情報のほかに氏名や住所などを入力する必要があります。しかし、ID決済では、IDやパスワードの入力、もしくはQRコードの読み取りだけで買い物をすることができます。たとえば、Amazonでの支払い方法に「あと払い(ペイディ)」を選んでいる場合は購入後の銀行振込が可能ですし、楽天での支払いに楽天キャッシュを利用している場合は楽天銀行やセブン銀行からのチャージができます。クレジットカードを持っていない、クレジットカード情報を入力したくないというお客さまにとっても便利な決済方法でしょう。

ID決済を利用するお客さまのメリット

支払いがより簡単になる

多くのネットショップでは、お客さまが名前や発送先住所、決済情報の入力を行わなくてはなりません。そのため、購入までのステップが長く、「時間がかかる」「面倒くさい」と感じるお客さまもいます。登録情報の入力をストレスに感じれば、購入を諦めてしまうことも考えられます。しかし、ID決済で入力項目を減らすことができれば、支払いがより簡単になります。

安心感につながる

初めて訪れたネットショップで買い物をする場合に「このネットショップに自分のクレジットカード番号を入力しても大丈夫だろうか」と不安に感じるお客さまもいるかもしれません。しかし、クレジットカード番号を入力することなく、自分があらかじめ利用している外部サービスのID決済であれば、より安心して買い物を楽しんでもらえるでしょう。

クレジットカードを持たない人も使える

クレジットカードを持つためには審査を受ける必要があり、審査が通らないこともあります。しかし、PayPayやLINE Payであれば、顔写真撮影や、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類で本人確認を行えば、利用を開始することができます。本人確認が終了すると、コンビニエンスストアや自分の銀行口座からチャージすることができます。Amazon Payの場合は、購入後の翌月に支払うことができる「あと払い(ペイディ)」も利用できるので、クレジットカードを持たない人でもネットショップでの買い物を楽しむことができます。

ID決済を利用するお客さまのデメリット

登録した支払い方法が使えない場合がある

詳しくは後述しますが、たとえばAmazonでの支払いにAmerican Expressカードや「あと払い(ペイディ)」を指定している場合、Amazon PayでもAmerican Expressカードや「あと払い(ペイディ)」で支払うことになります。しかし、一部のネットショップではAmerican Expressカードや「あと払い(ペイディ)」が利用できないこともあります。その場合、お客さまは別のカードブランドを登録したり、購入を諦めたりすることも考えられます。

ネットショップのポイントがもらえない場合がある

会員登録のための情報入力を割愛することによって、お客さまはネットショップ独自で展開しているポイントをもらうことができない場合もあります。

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ID決済を利用する事業者のメリット

カゴ落ちの防止につながる

最大のメリットは、情報入力を軽減することで、「カゴ落ち」の防止につながることです。カゴ落ちとは、ネットショップを利用するお客さまが商品を買い物カゴ(ショッピングカート)に入れたまま、決済を済ませることなく、途中でネットショップから離脱してしまうことを指します。カゴの中に残された商品は当然売り上げにつながらないので、お店にとっては大きな機会損失となります。カゴ落ちについては、「カゴ落ち(カート放棄)とは?機会損失対策でECサイトの売り上げをアップする方法」の記事も参考にしてみてください。

購入のハードルが下がる

お客さまのメリットの章でも述べたように、「このネットショップに自分のクレジットカード番号を入力しても大丈夫だろうか」と不安に感じるお客さまや「会員登録のための情報入力が面倒くさい」と感じるお客さまにとっては、ID決済ができることで購入のハードルが下がり、購入につながることが期待できます。

チャージバック補償サービスがあることも

チャージバックとは、クレジットカードを利用したお客さまが不正利用や納得のいかない取引に対して利用代金の支払いに同意しなかったとき、クレジットカード会社がネットショップに対して支払いの取り消しや返金を求めることを指します。チャージバックが発生すると、ネットショップは、入金された売上代金を返金しなくてはなりません。しかし、利用するID決済によっては、このチャージバックを補償するサービスを提供しています。

ID決済を利用する事業者のデメリット

ID決済を提供している企業と契約する必要がある

PayPayやAmazonが提供するID決済を導入するには、提供企業などとそれぞれ契約する方法と、決済代行会社などを通して一括で申し込む方法があります。前者の場合、一つひとつの会社とやりとりしながら導入を進めるのは、個人事業主や小規模なビジネスにとってはハードルが高く、負担も大きいでしょう。また、入金サイクルもID決済の種類によって異なるため、売上金の管理やキャッシュフローも考慮して検討する必要があります。

手数料が割高になる

一般的なクレジット決済に比べて、ID決済は決済手数料が割高なようです。特にデジタルコンテンツは、5%から8%もの決済手数料がかかることもあるため、注意が必要です。また、利用するネットショップサービスによってはID決済の導入には、月額利用料が発生したり、上位の有料プランへの申し込みが必要になったりする場合もあります。

主なID決済サービス

この章では、主なID決済サービスのそれぞれの特徴について紹介します。

Amazon Pay

Amazon Payは、Amazonのアカウントを持つユーザーが利用できる決済方法です。お客さまがスマートフォンやブラウザですでにAmazonにログインしている場合は、わずか2ステップで購入を完了することができます。

Amazon Payを導入できるのは法人だけです。自社のネットショップに組み込むには、Amazon Pay対応ソリューションプロバイダーを利用しているか、独自でサイトを構築する必要があります。Amazon Payで利用できる支払い方法は、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、Amazonギフトカード、あと払い (ペイディ)です。利用可能なクレジットカードブランドはVisa、Mastercard、American Express、JCB、Diners Clubですが、一部の販売事業者のサイトでは、American Express、Amazonギフトカード、あと払い (ペイディ)は利用できません。決済手数料は、デジタルコンテンツ以外の商材が3.9%、デジタルコンテンツが4.5%です。

参考:Amazon Pay Realize more rewards(Amazon Pay)

楽天ペイ

楽天ペイは、楽天のIDとパスワードで簡単にオンライン決済ができるサービスです。楽天IDに登録しているクレジットカード情報を利用して簡単に決済が行えるだけでなく、決済時には楽天ポイントの獲得ができます。楽天会員ID数は約1億(2018年6月時点)あるので、幅広いお客さまに利用してもらうことが期待できます。チャージバック補償サービスが無料で自動付帯され、クレジットカードの不正利用による不正注文で事業者が受けた損失金を月間上限50万円まで楽天が補償してくれます。楽天ペイで利用できる支払い方法は、楽天カード、楽天キャッシュ、楽天ポイントです。決済手数料は、デジタルコンテンツ以外の商材で4.0%、デジタルコンテンツで8.0%からとなっています。決済手数料以外にデータ処理手数料がかかります。

参考:楽天ペイ(オンライン決済)

PayPay

PayPayはスマートフォンで決済をするキャッシュレス決済サービスで、2023年4月時点で5,700万の登録ユーザー数がいます。PayPayの残高で支払うことができ、クレジットカードを持たない人にも支払い方法の選択肢が広がるので、幅広い層をターゲットとしたビジネスにはぴったりといえるでしょう。PayPayへのチャージは、銀行口座、コンビニエンスストアのATM、PayPayカード、などから可能です。決済手数料は、利用するネットショップの構築サービスによって異なるようですが、概ね3.4%前後であることが多いようです。

参考:PayPayオンライン決済

LINE Pay

LINE PayはLINE Pay株式会社が提供している決済サービスです。LINE Payで利用できるのは、LINE Payの残高、Visa LINE Payクレジットカードもしくは三井住友カードが発行するVisaブランドのクレジットカードとなります。LINE Payへのチャージは、銀行口座やコンビニエンスストアのATMなどから可能です。お客さまがLINE Payで支払いをした場合、お客さまのスマートフォンにLINE公式アカウントの友だち追加を促す表示を出すことができるのが大きな特徴です。決済手数料は、デジタルコンテンツ以外の商材で3.45%、デジタルコンテンツで5.5%となっています。

参考:LINE Payの決済サービス

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無料でID決済を導入するなら、Square

ID決済は、各社への申し込み手続きが必要だったり、手数料が高かったり、場合によっては月額利用料がかかったりする場合もあります。前章で紹介したIDサービス以外にも、「お客さまに便利な支払い情報を保存できるサービスはないだろうか」と考える人もいるかもしれません。そんな人におすすめなのが、決済代行会社SquareのSquare Payです。

Square Payは、Square オンラインビジネス(ネットショップ作成機能)やSquare リンク決済で利用できる機能です。初回購入時のお会計画面で「カード情報を保存する」のチェックボックスを選択し、携帯電話番号を入力すればお客さまの支払い情報が保存されるので、次回からの買い物が簡単になります。

Square オンラインビジネスやSquare リンク決済、Square Payはいずれも導入が無料です。いわば、コストをかけずにお客さまにとって利便性の高いID決済を導入できることになります。Square Payを使った支払方法は「Square PayでSquare オンラインビジネスの注文の支払い情報を保存する」で詳しく説明しています。

支払い情報が保存できて、購入完了までのステップを軽減することは、お客さまの心理的ハードルを下げることにつながります。Square Payなどのサービスを活用して、ネットショップの顧客体験を向上させてはいかがでしょうか。

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執筆は2023年6月6日時点の情報を参照しています。2024年7月5日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash