チャットボット(Chatbot)は、問い合わせ対応の自動化や顧客満足度の向上を目的にさまざまな業界で導入が進んでいるツールです。近年は、あらかじめ決められた回答を返す従来型に加え、生成AIを活用した高精度なチャットボットも登場し、ネットショップにおける接客や業務効率化の手段として注目されています。
本記事では、チャットボット(Chatbot)の基本的な仕組みや種類、メリット・デメリット、導入時の注意点、実際の導入事例を交えながら、ネットショップへの活用方法をわかりやすく解説します。
📝この記事のポイント
- チャットボットは、テキストや音声で顧客対応を自動化する仕組みで、問い合わせ対応の効率化に役立つ
- シナリオ型・辞書型・AI(ログ)型など種類があり、目的や予算に応じた選択が重要
- 24時間対応や人件費削減などのメリットがある一方、初期設定や運用コストには注意が必要
- 実際の事例では、業務省力化や顧客満足度向上につながる成果が報告されている
- Squareなどのネットショップ作成サービスと組み合わせることで、チャットボットは集客や売上向上にも活用できる
目次
- チャットボットとは?意味・定義をわかりやすく解説
- チャットボットの仕組み別種類の機能・目的
・シナリオ(ルール)の仕組み
・辞書の仕組み
・ELIZA(イライザ)の仕組み
・ログの仕組み
・生成AI型チャットボットとは - チャットボットサービスのよくある使い方
・チャットサポート(チャット接客)
・アシスタント代替 - チャットボット機能をネットショップに導入するメリット
・業務効率化ができる効果
・24時間365日対応できる効果
・より幅広い層にリーチできる効果
・ユーザビリティ向上や集客に生かせる効果
・お客さまが自己解決できる効果 - チャットボット機能をネットショップに導入するデメリット
・導入までに時間がかかる
・費用がかかる
・設定していない質問には回答できない - チャットボット機能を取り入れるうえで注意したい点
- チャットボットサービスの導入方法
- チャットボットサービスの導入事例
・LOHACO by ASKUL
・Klarna - チャットボットをネットショップに導入しよう
- まとめ
- よくある質問
・チャットボットにはどのような種類がありますか?
・チャットボットを導入するとどんなメリットがありますか?
・チャットボットの導入には何に注意すべきですか?
チャットボットとは?意味・定義をわかりやすく解説
チャットボット(Chatbot)とは、「会話(チャット)」と「ロボット(ボット)」を掛け合わせた言葉で、音声やテキストを通じてお客さまの質問に自動で答えるプログラムです。 市場調査レポート1によると、チャットボットの世界的な市場規模は2025年の102億5,000万米ドルから29.6%の年平均成長率で成長し、2029年には約3倍の289億5,000万米ドルに達すると予測されています。
チャットボット(Chatbot)は、主にテキストベースの「チャットサポート」と、音声でコミュニケーションをとる「アシスタント代替」の2つに分類されています。
チャットボットの仕組み別種類の機能・目的
チャットボットはニーズや予算に合わせて、簡易な「シナリオ型(ルール型)」や「辞書型」「ELIZA型」と、回答領域が広い「ログ型」の4種から選ぶことができます。近年では、これらの分類に加え、大規模言語モデル(LLM)を活用した「生成AI型チャットボット」も登場しています。
詳しく見ていきましょう。
シナリオ(ルール)の仕組み
シナリオ(ルール)型はチャットボットが提示する質問に対して、チャットボットが用意した回答のなかからユーザーに選択してもらう仕組みです。
たとえば、チャットボットの「本日のご用件を下記からお選びください」といった質問に対して、「配送料金」「支払い方法」「ギフト用ラッピング」など、チャットボットが提示する選択肢からもっともふさわしいものを選ぶことで、お客さまは求めている情報にたどり着くことができます。
ただし、チャットボットに組み込まれていない質問がある場合は、やはり電話やメールで問い合わせる必要があります。一方で、設定がシンプルなので、シナリオ設計さえできればスピーディーに導入できます。「ログ型」に比べるとコストも抑えられるので、予算を抑えたいビジネスオーナーにとってはうれしいオプションでしょう。
辞書の仕組み
辞書型は、ユーザーが入力したフリーワードでの質問文を解析し、辞書に照らし合わせて回答するものです。
たとえばお客さまがネットショップで「送料を知りたい」と入力したら、「送料」「知りたい」などに分解して解析し、類義語辞書からあらかじめ設定していた「購入金額が1万円以上の場合は送料が無料になります。1万円未満をご購入のお客さまの地域ごとの送料はこちらです」など、送料についてのページに誘導します。
ELIZA(イライザ)の仕組み
ELIZA型は、1966年に開発された自動会話システム「ELIZA」を基にしたチャットボットです。ELIZA型は簡単なパターンの受け答えをプログラムされていて、主に相槌をする形で会話を進めていきます。聞き役として相槌を打ったり、会話の要約をしたりすることができます。
ログの仕組み
ログ型とは、過去の会話ログやFAQなどのデータを蓄積し、その中から質問に対して最も適切な回答を選び出して提示するAI型のチャットボットです。
あらかじめ学習させた情報をもとに回答候補を絞り込み、確率の高いものを返す仕組みのため、基本的には「既存の情報の中から答えを探す」タイプといえます。
ユーザーが自由に入力した質問文に対してチャットボットが返答し、利用を重ねることで会話データが蓄積され、回答精度が高まっていくのが特徴です。選択肢を用いたシナリオ型では対応が難しい問い合わせにも対応しやすく、テキスト入力による質問形式が適しています。
ただし、この仕組みを機能させるには、FAQに掲載されている情報や過去の問い合わせ内容など、十分な量のデータを事前に学習させる必要があります。顧客からの問い合わせデータをもとに精度を高めていくため、問い合わせ件数が少ない場合は学習が進みにくい点が弱みです。また、ビッグデータを扱うことから、シナリオ型に比べて導入費用や維持費が高くなる点にも留意が必要でしょう。
生成AI型チャットボットとは
生成AI型チャットボットとは、大規模言語モデル(LLM)を活用し、学習データをもとにその場で文章を生成して回答するチャットボットです。
ログ型のように既存の回答を選択するのではなく、ユーザーの質問内容や前後の文脈を理解したうえで、新たな文章を作り出して応答する点が大きな特徴です。そのため、言い回しが異なる質問や、想定していなかった質問にも柔軟に対応しやすく、より人間に近い自然な対話が可能になります。

チャットボットサービスのよくある使い方
チャットサポート(チャット接客)
ネットショップやメッセージアプリなどを通して、テキストでやりとりを行うのがチャットサポートです。たとえばネットショップのFAQ内にお客さまが求める回答がなかった場合、チャットサービスを通して質問を投げると、疑問点をその場で解消することができます。
問い合わせ対応のほかにも、下記のような活用法があります。
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お客さまのニーズをよりよく理解する
ネットショップを運営しているのであれば、「本日はどのような商品をお探しですか」といったメッセージをページ上に表示させ、お客さまのニーズをデータで収集できます。また、メッセージアプリにチャットボットを導入し、同じようにニーズを掘り下げることで、お客さまに合った情報を提供できるようになるでしょう。 -
業務の受付ツールとして
最近ではメッセージアプリ内のチャットボットと会話をすることで、レストランの予約や荷物の再配達依頼ができるサービスも登場しています。このように受付ツールとして使うのも1つの活用法です。
アシスタント代替
アシスタント代替のわかりやすい例は、Appleの「Siri」やAmazonの「Alexa」でしょう。わざわざスマートフォンを開いたりアプリを操作したりしなくても、チャットボットが必要な情報へと誘導してくれ、ユーザーの手間を省いてくれます。アシスタント代替もチャットサポートと同じように、お客さまのニーズを掘り出したり、受付ツールとして使用したりできます。
チャットボット機能をネットショップに導入するメリット
導入には費用が発生するため、その必要性を疑うビジネスオーナーもいるかもしれません。チャットボットを導入することで、具体的にどのようなメリットが生まれるのかを見ていきましょう。
業務効率化ができる効果
従来の電話やメール対応における弱点は、お客さまに待ち時間が発生してしまうところです。営業時間外や人手不足で対応ができないなどを理由に対応漏れにつながることも考えられます。また、電話がつながらなかったり、メールの返事が遅かったりすると顧客満足度が下がり、見込み顧客を逃してしまう可能性が出てきます。チャットボットであれば1日中、時間を問わず対応ができるので、顧客の取りこぼしもある程度防げるでしょう。
また、一定の業務をチャットボットに任せることで人件費削減につなげられるのもチャットボットのうれしいところです。例としてインターネット通販サイト「LOHACO」は、2014年よりお客さま対応のチャットボットを導入しており、2018年時点で月間6.5人分の省力化を行うことに成功しています2。
24時間365日対応できる効果
お客さまの中にはなかなか営業時間内に問い合わせの電話ができないという人もいるかもしれません。しかし、チャットボットであれば24時間365日対応が可能です。お客さまの「今知りたい」に応えることで顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
より幅広い層にリーチできる効果
電話やメールなど疑問を解決するツールは揃っていても、「できることなら知りたいけど、問い合わせる時間がない」「困っているわけではないので、わざわざ時間を割いて聞くほどでもない」と思っているお客さまも少なくありません。このように普段電話やメールでは聞かない些細なことでも質問できるのは、チャットボットの強みでしょう。
NTTレゾナント株式会社が2019年に行ったチャットボットの調査3では、チャットボット利用以前は「好きではない」「知らない」と回答していた非ロイヤリティユーザーが、チャットボット利用後は、およそ半数が「興味を持った」、「商品を勧めたくなった」、そのほか3割弱が「イメージがよくなった」と回答しています。このようになかなかリーチしにくいお客様にも魅力を伝え、より幅広い層に商品やサービスを知ってもらうのにも、チャットボットは有効でしょう。
ユーザビリティ向上や集客に生かせる効果
チャットボットは、問い合わせ対応に限らず、顧客の声を収集するツールとしても活用できます。たとえば購入完了画面にたどり着いたときに、「購入の手順はわかりやすかったでしょうか」といった質問を表示させることで、ユーザビリティを探り、改善につなげることもできます。同じように、質問を投げかけるタイミングを工夫することでユーザーのデータを収集し、マーケティング戦略に生かすこともできるでしょう。
お客さまが自己解決できる効果
ネットショップの問い合わせフォームからの質問は、名前やメールアドレス、電話番号を入力する場合が多く、お客さまによっては個人情報の入力に抵抗を覚えるでしょう。また、オペレーターが電話対応をする場合は、人と話をすることに心理的ハードルを覚えるお客さまもいるかもしれません。チャットボットであれば、個人情報や連絡先を入力する必要もなく、人と話をする必要もないので、質問のハードルが下がります。

チャットボット機能をネットショップに導入するデメリット
導入までに時間がかかる
チャットボットを導入して、実際に運用するまでには、シナリオ型、辞書型のいずれもシナリオやキーワードの作成と設定が必要になります。チャットボット導入の目的や、どの程度の内容を答えさせるのかにもよりますが、準備期間として1カ月程度かかると考えておくとよいでしょう。また、ログ型の場合は、AIに膨大なデータを学習させなければならないので、より時間がかかることを念頭におきましょう。場合によっては、数カ月から半年の準備期間を要することもあるようです。
費用がかかる
チャットボットの導入には、初期費用のほか、月額の運用費や継続的なメンテナンス費が発生します。初期費用は無料から10万円程度が一般的ですが、ログ型など高度なチャットボットの場合は、数十万円から100万円を超えるケースもあります。
運用費は、シナリオ型や辞書型であれば月額5万円以下のものもありますが、相場は月額10万円〜30万円程度です。AIを搭載したログ型やカスタマイズ性の高いチャットボットでは、月額数十万円から100万円程度かかることもあります。
また、回答精度を維持・向上させるためには、回答内容の追加や調整といったメンテナンスが欠かせません。こうした作業にも、数万円から数十万円程度の費用がかかる点に留意しておきましょう。
設定していない質問には回答できない
チャットボットは、設定されていない質問や複雑な内容の問い合わせに対応することができません。お客さまが自由に質問内容を入力するチャットボットでは、回答が見つからないときの対応方法を登録しておく必要があります。
チャットボット機能を取り入れるうえで注意したい点
前述のNTTレゾナント株式会社の調査3によると、およそ8割はチャットボットの利用を「便利」と報告している反面、不満点も挙げられます。なかでも半数以上を占めていたのは、「回答が的確ではない」という点です。
チャットボットの正解率や精度を上げていくためには大量のデータを学習させ、随時調整していく必要がありますが、「ログ型」を導入する場合はそれ相応のコストと時間がかかることが予想されます。そのため、いずれかのチャットボットを導入するにしても、どこまでを人間が対応し、どこまでをチャットボットに任せるかを設計段階で決めておく必要があるでしょう。
チャットボットサービスの導入方法
ネットショップにチャットボットを組み込む場合、自社で開発する、あるいはチャットボットツールを導入するのどちらかの手段が一般的です。自社に開発環境がない限り、後者の方法がスムーズでしょう。
なかには月額1,500円ほどで導入できるチャットボットツールもあれば、月々が数十万円ほどかかるものも存在します。ただ、最近では簡単に始められるうえ、無料で導入できるチャットボットツールも多数登場しているので、「あまり予算が割けない」という事業でも手軽に導入できるようになっています。
チャットボットサービスの導入事例
LOHACO by ASKUL
チャットボットの「マナミさん」がお客さまからの質問に答えます。シナリオ型とログ型の併用で、よくある質問から回答ページに導くもの、質問を自由入力できるフォームが用意されています。LOHACOは2014年からお客さま対応のチャットボットを導入し、2018年時点で月間6.5人分の省力化を行うことに成功しています2。
Klarna
海外でも多くの企業がチャットボットを活用しており、たとえばスウェーデンのフィンテック企業KlarnaはOpenAI搭載のAIアシスタントを導入しており、従来のカスタマーサポート対応の約3分の2を自動化しています。これまで解決に11分必要だった問い合わせを2分未満で解決できるようになるなど、人間のオペレーターの負担を大幅に軽減しながら高い顧客満足度を維持しています4。
チャットボットをネットショップに導入しよう
無料、あるいはリーズナブルな価格でチャットボットを作成できるツールのなかには、数ステップでチャットボットのコードを生成できるものもあるので、コードを自社のネットショップに埋め込んで試用してみるのも1つの手です。
コードを埋め込むことができるネットショップ作成サービスは多数あります。その1つが、決済代行会社Squareが提供しているSquare オンラインビジネスです。無料プランと有料プランがあり、ウェブサイトに関する特別な知識なくても、テンプレートを選んで文字と写真を追加すれば簡単なステップでネットショップ作成できます。
有料プランでは、埋め込みコードをサイトに追加することが可能です。また、商品レビューやかご落ちメールの送信、広告の非表示、カスタムフォントの利用などの機能も利用できます。主要クレジットカードブランドでの決済が可能で、決済手数料は3.6%です(プレミアムプランは3.3%)。
導入のご相談は営業チームまで
イベントや複数店舗への決済端末・POSレジの導入をご検討中なら、Squareの営業チームがご要望を伺います。端末の選定から利用開始までを丁寧にサポート。組織固有の課題に合わせた最適なソリューションを提供します。
まとめ
チャットボットは、問い合わせ対応の効率化や顧客満足度の向上を目的に、さまざまな業種で導入が進んでいます。
シナリオ型からAIを活用した高度なタイプまで種類は幅広く、自社の目的や予算に合ったものを選ぶことが重要です。 導入にあたっては、チャットボットに任せる業務範囲と人が対応すべき範囲を明確にし、継続的な改善を行うことで、高い効果が期待できるでしょう。
よくある質問
チャットボットにはどのような種類がありますか?
主に、あらかじめ決められた流れで回答するシナリオ型、キーワードをもとに回答する辞書型、会話データを学習するAI(ログ)型などがあります。近年では生成AIを活用した高精度なチャットボットも登場しています。
チャットボットを導入するとどんなメリットがありますか?
問い合わせ対応の効率化、24時間対応による顧客満足度向上、人件費削減、顧客データの収集・分析などが主なメリットです。
チャットボットの導入には何に注意すべきですか?
導入目的を明確にし、対応範囲を決めたうえで設計することが重要です。また、定期的なメンテナンスや回答精度の改善を前提に運用する必要があります。
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執筆は2019年7月4日時点の情報を参照しています。2026年1月29日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。

