トリマーとして独立開業するには?年収や開業方法、失敗しないためのコツ

トリマーとして勤めている人の中には、開業して独立する方向性を模索している人もいることでしょう。物件を借りて本格的にトリミングサロンを開業する以外にも、自宅で開業する、出張型で開業するといったさまざまな方法があります。本記事では独立開業にあたって、気になる年収、開業資金とその調達方法、開業に必要な手続き、具体的な開業方法を紹介し、最後によくある質問に答えます。業務の効率化に貢献するSquareのシステムについてもふれますのでぜひ参考にしてください。

目次


トリマーとして独立開業するメリット・デメリット

トリマーとして独立開業すると、たくさんのメリットがある一方で、知っておきたいデメリットもあります。ここでは具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのか見てみましょう。

メリット

独立のメリットの一つとして、自分の思い通りのサービスを提供できることが挙げられます。ペットショップなどに勤めている場合、オーナーやお店の方針に従わなければならないこともあります。一方で、独立すれば事業主として経営方針を決めることができます。サービス内容や仕入れる商品など、自身が思い描いたことを実現することが可能です。さらに、お客さまが集まれば、今まで以上の収入を得られることもあります。

経済産業省のレポートによると、コロナ禍を含むこの数年で、ペット用品の販売額や家計のペット向け支出額は増加傾向にあります。このことから、トリマーへの支出も堅調に推移することが期待されます。また、高齢化が進む中で、家族としてペットと暮らす人が増えることも予想され、ペット関連産業の将来は明るいといえるでしょう。

参考:ペット産業の動向 -コロナ禍でも堅調なペット関連産業-(2022年3月11日、経済産業省)

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デメリット

独立することで考えられるデメリットには、安定した収入の確保や独立準備の難しさなどが挙げられます。これまで店長やマネージャーなど経営に関わった経験がある人なら経営の難しさを実感しているかもしれません。まったく経営の知識や経験がない人の場合、一から経営について学ぶ必要があります。

経営の経験がない人が独立するには、開業準備と集客方法といった経営の知識が最低限必要です。独立前にどれだけ準備ができるかで、その後の経営が上手くいくかどうかが決まります。

トリマーが独立開業した場合の年収

トリマーとして独立開業する場合の年収は、開業する地域、経験や技術、店舗の規模や設備、さまざまな要因によって大きく異なります。

地域によってペットの需要、競合の数、生活費の水準などが異なり、それに伴い利益が変わってきます。一般的に大都市部では潜在顧客の数が多く、出費にも寛容な一方で競争が激しく、地方ではこうした傾向が逆になります。必要となる設備もお客さまの数やニーズによって変わります。

一般的な年収の範囲は、300万円から800万円と考えておくとよいでしょう。実際にはもっと高い収入を得ているトリマーも少なくありません。成功しているトリマーは1,000万円を超える年収を実現していることもあります。

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トリミングサロン開業に必要な資金

年収と合わせて知っておきたいのがトリミングサロン開業に必要な資金です。店舗を構えて営業するかどうかによっても異なりますが、いずれにせよ数百万円の資金が必要になります。

開業資金の平均は200〜800万円

開業方法によって必要となる開業資金は大きく異なりますが、数百万円またはトリマーの年収くらいの金額を念頭においておくとよいでしょう。物件を購入する場合はさらに多くの開業資金が必要になります。

店舗を借りるまたは購入するのであればその費用、自宅を利用するのでも部分的な内装や改装の費用がかかります。さらに、出張型を含め、いずれの開業方法でもトリミングに必要なテーブル、バスタブ、ドライヤー、クリッパー、はさみなどの専門機器を含む設備投資費、シャンプーやリンス、その他のグルーミング用品の初期在庫の購入費用も忘れてはいけません。このほか、事務手続き、保険、広告宣伝費がかかります。

費用を足し合わせていくと、想像以上の金額になるかもしれません。費用を抑えるには、中古の設備を利用する、小規模や出張型でまずは開業するなどの選択肢も検討するとよいでしょう。

開業前には、費用を詳細に見積もり、余裕をもった資金計画を立てることが成功への鍵になります。

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トリミングサロンの開業資金の調達方法

独立開業には少なくない金額の開業資金が必要ですが、すべてを自己資金で現金でまかなう必要はありません。ここでは、自己資金が少ない場合、自己資金を温存したい場合に利用を検討できる選択肢を見てみましょう。

融資

銀行をはじめとする金融機関からの融資を検討するのは一般的かつ有効な選択肢です。融資を受けることで、ビジネスのスタート時に必要な資金を確保しつつ、将来の成長に向けた投資も可能になります。

融資を受けるにはビジネスプランの提出が必要で、収益予測、市場分析、販売戦略など、事業の実現可能性を示す内容が求められます。返済計画も融資の承認プロセスにおいて重要な項目です。安定したキャッシュフローを確保し、返済計画を立てましょう。融資を受けるときには、金利、手数料、返済条件などの詳細をよく理解し、将来の財務状況にどのような影響を与えるかを慎重に検討する必要があります。

親族や友人からの借入

金融機関からの融資のようにビジネスプランや返済計画、信用情報を厳しくチェックされることが少なく、資金の調達のハードルは下がります。それでも責任を持ってビジネスプランや返済計画を提示すると誠意を示せます。

金銭の貸し借りは、親族や友人との関係に緊張を生じさせる可能性があります。返済が遅れたり、事業がうまくいかなかったりすると、個人的な関係が損なわれることも考えられます。正式な契約書を交わさずに口約束で進めることが多いため、後になって条件についての認識の相違が生じることがあります。借入にあたっては近しい間柄でもきちんと契約を交わす、少なくとも貸し借りについて書面に情報を残すようにしましょう。

補助金・助成金

補助金や助成金は、新規事業者や中小企業を対象にした主に国や自治体からの経済的な支援です。助成金や補助金によっては返済の必要がないこともあり、資金が逼迫する開業時には特に助かる制度です。

地域によって提供されている補助金・助成金が異なることもあり、インターネットで調べるのと合わせて、事業所を置く予定の地域の商工会議所などのビジネスをサポートする組織に相談に行ってみるとよいでしょう。

トリミングサロン開業に必要な手続き

トリマーは動物を預かってケアをする仕事であることから、開業時には必要な手続きあります。また、分野を問わず開業届は開業時に提出が必要です。ここではトリミングサロンを開業するにあたって必要な手続きについて見てみましょう。

「第一種動物取扱業」の登録申請

犬や猫などの動物の販売はもちろんのこと、動物を一時的に預かる場合でも、第一種動物取扱業の登録が必要です。トリミングサロンも一時的にお客さまからペットを預かり、シャンプーやトリミングといったケアサービスを提供するため、第一種動物取扱業にあたります。登録は各都道府県に申請を出し、許可が得られれば動物取扱業の登録証が発行されます。

第一種動物取扱業については、東京都保健医療局のウェブサイトに詳しい説明があります。

手続きで不明点がある場合には開業を予定している地域のウェブサイトを参照したり、担当課に問い合わせたりしてみるとよいでしょう。

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動物取扱責任者の選任

第一種動物取扱業として登録申請するには、常勤者の中から1名を「動物取扱責任者」に選任する必要があります。動物取扱責任者には、獣医師、愛玩動物看護師のほか、一定期間の実務経験またはそれと同等の経験を持ち、一定期間教育を受けるか資格などを持っている人を選任できます。トリミングサロンの経営者が動物取扱責任者を兼ねることもできます。

動物取扱責任者については、東京都保健医療局の東京都動物愛護相談センターに詳しい説明があります。

新規登録には法律で義務付けられた研修を受講する必要があり、研修は毎年一回以上受け直さなければなりません。東京都の場合、新規の研修にかかる時間は3時間で、2,500円の費用がかかります。

手続きで不明点がある場合には開業を予定している地域のウェブサイトを参照したり、担当課に問い合わせたりしてみるとよいでしょう。

開業届の提出

独立開業するにあたって、開業届の提出も忘れてはいけません。開業を予定している地域の税務署に開業日から1カ月以内に開業届を提出します。また、確定申告で青色申告を予定している人は、税務署に「青色申告承認申請書」も提出する必要があります。

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トリミングサロンの4つの開業方法

トリミングサロンを開業するというと、物件を借りて本格的に開業する方法をイメージする人もいるかもしれませんが、自宅と兼用する、出張型にするといったスモールスタートもできます。ここではトリミングサロンを開業する四つの方法を紹介します。

1. 自宅兼用ではじめる

自宅にトリミングサロンに使えるスペースがあるという人は、自宅兼用でトリミングサロンを開業するのも一つの手です。物件を借りたり購入したりして開業するよりも、開業資金を大幅に抑えられます。

自宅兼用にする場合には、自宅の「用途地域」に注意する必要があります。地域によっては、トリミングサロンを開業できない可能性があり、開業前にきちんと確認しておくことをおすすめします。

生活空間の一部をトリミングサロンとするため、生活スペースと業務スペースを分け、トリミングに適した環境を整える必要があります。また、動物福祉の観点からは、動物が快適に過ごせるようなスペースの設計を心がけます。常に清潔で衛生的な環境を保つためのルールを設定しましょう。

このほか、自宅でのビジネスを開始するときには、騒音や臭いが近隣に迷惑をかけないようにし、近所との良好な関係を維持することも重要です。

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2. 自店舗をかまえる

本格的にトリミングサロンをはじめたいという人は、自店舗をかまえることを検討しても良いでしょう。多額の開業資金が必要になる一方で、立地や物件、内装やコンセプトにこだわりぬける良さがあります。

店舗を構えてみたいけれど、開業資金が足りないという人は、自宅兼用などの費用を抑えた方法で経験を積んで、事業の成長とともに店舗を構えるのも選択肢の一つです。

3. 出張・移動型にする

出張・移動型のトリミングサロンでは、お客さまの自宅や指定の場所に出向いてペットのトリミングサービスを提供します。店舗にペットを連れて行くのが難しいお客さまや、自宅でのサービスを好むお客さまに人気があります。事業者としても場所にしばられないため、さまざまな地域のお客さまの需要を満たせるでしょう。

店舗を構える必要がなく、物件の購入または賃貸の費用はかかりませんが、車両を用意するのが一般的です。車両を用意し、必要な設備を搭載し、必要な保険をかけるのに少なからず投資が必要です。

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4. 動物病院やペットショップなどに併設する

動物病院やペットショップにつながりがある人や、トリミングサロンを提案できる人であれば、多くのメリットがあるビジネスモデルです。

スペースを借りる、併設された物件を借りるための費用はかかりますが、独自に物件を借りるよりも費用を抑えられる可能性があります。動物病院やペットショップに来たお客さまにサービスをクロスセルできるのは大きなメリットの一つです。それぞれの顧客基盤を活用し、新しいお客さまを増やせるようになると、双方にとってウィン・ウィンの状態を作れます。

また、動物の健康管理と美容を一貫したサービスとして提供することで、お客さまの信頼を得やすくなります。お客さまにとっても1カ所で複数のサービスを受けられると、安心な上、利便性と満足度も向上するでしょう。

トリミングサロン開業で失敗しないためのポイント

独立開業に絶対はありませんが、失敗しないためのポイントを押さえておくことで、失敗のリスクを最小限に抑えられます。ここでは、トリミングサロン開業で失敗しないためのポイントを具体的に見てみましょう。

最適な立地を選ぶ

独立サロンを開業する場合、立地条件のリサーチは欠かせません。候補地の周辺にはどのような住民がどのくらい住んでいるのか、どのようなペットの種類が多いのか、交通量や車のアクセスはよいかなど、トリミングサロンの需要のある場所かどうかを調べる必要があります。

人が集まる場所かどうかのリサーチも必要です。大型ショッピングモールや駅周辺、犬の散歩コースである公園周辺なども狙い目です。また、都市計画の予定がないかどうかを最寄りの役所で確認してみるのもよいでしょう。

ターゲットを絞る

来店して欲しいお客さまのペルソナを考えておくことも効果的です。開業当初は新規顧客を集めることに注力してしまうかもしれません。長くお客さまに選ばれるお店になるためには、ブランディングも大切です。ペットフードやシャンプー剤をペットにも環境にも優しいものにするなど、ペルソナに合わせたお店づくりをしましょう。

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多方面からの宣伝・集客に取り組む

トリミングサロンの集客には、さまざまな方法があります。たとえば、お店のウェブサイト、FacebookやInstagramなどのSNSを活用して、カット後の写真をたくさん載せ、お客さまにトリマーとしてのスキルをアピールすることも宣伝の方法の一つです。
ウェブサイトやSNSを使った宣伝・集客が注目を集める時代ですが、お店の近隣に住んでいる人たちに効率的にアプローチする方法としてチラシでの集客があります。「広告費を無駄にしないチラシ集客のコツ」の記事もぜひ参考にしてみてください。

差別化のポイントを明確にする

集客する上で最も重要なことは、独自の強みを明確化することです。基本的なトリミング技術や、お客さまやペットに親切で優しいことはもちろん、「送迎サービス付きサロン」「写真撮影も得意なトリマー」など、独自の強みをアピールすることで、他店との差別化を図りましょう。

キャッシュレス決済に対応する

キャッシュレス化が進む中で、お客さまの決済方法に対するニーズも多様化しています。キャッシュレス決済に対応していることで、お客さまの利便性と満足度を向上させるのはもちろん、事業者側では業務の効率化にもつながります。

トリミングサロンにSquareがおすすめな理由

Squareはキャッシュレス決済をはじめ、POSレジや顧客管理、予約管理など、トリミングサロンをはじめる人に必要不可欠なさまざまな機能を提供しています。トリミングサロンにSquareがおすすめな理由を見ていきましょう。

コストをおさえてキャッシュレス決済を導入・利用できる

Squareのアカウントは無料で作成できます。最もシンプルなカードリーダー「Square リーダー」であれば4,980円(税込)で購入できます。キャッシュレス決済と合わせて業務に欠かせないPOSレジ、予約機能、顧客管理など、基本的な機能は無料で利用できます。初期登録料や月額使用料などはかからず、決済ごとに3.25%の手数料(対面決済の場合)がかかるのみです。

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メニューを自由に登録できる

トリミングサロンでは、トリミングだけでなく、シャンプーや爪の手入れなど、さまざまなメニューを提供することになるでしょう。無料で使えるSquare POSレジであれば、提供するサービスのメニューを制限なく自由に登録できます。

予約機能を取り入れられる

Square 予約を使えば、24時間365日いつでもオンラインでお客さまからの予約を受け付けられます。さらに、予約からの事前決済も可能です。基本的な機能を利用できるフリープランで試してみて、必要に応じて有料プランにアップグレードすることもできます。

無料で顧客管理をできる

Square 顧客リストを使うと、顧客情報を効率的に管理できます。どのお客さまとどのペットが、いつどのようなサービスを受けたのかなど記録が残っていることで最適なサービスを提供し、良好な関係を構築できるでしょう。すべての機能はSquareアカウントがあれば無料で利用できます。

トリミングサロン開業についてよくある質問

必須資格のほかに取得しておいた方がいい資格はある?

トリミング技術に関する資格や、お客さまに安心感を与えられる資格を取得するとよいでしょう。具体的には、一般社団法人ジャパンケンネルクラブ(JKC)のJKC公認トリマー資格、国家資格の愛玩動物看護師などがあります。さまざまな資格があるので、サロンのコンセプトや、提供したいサービス、自身の興味に基づいて資格を取得していくとよいでしょう。

コストを節約してトリミングサロンを開業するには?

自宅兼用または出張・移動型での独立開業を検討しましょう。動物病院やペットショップとのつながりのある人は、スペースの一部を借りて開業できないか打診してみてもよいでしょう。

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トリミングサロンに最低でも必要な設備は?

トリミングテーブル、ドッグバス、ドライヤー、ケージ、消毒器は最低限必要な設備です。これに加えて、出張・移動型でない場合は、事務用の机や、書類や備品を保管するための棚といった設備も必要になってくるでしょう。

トリミングの資格試験は受かりにくい?

独自に資格試験の勉強をするか、養成機関に通うかで、試験の難易度によっても合格率は異なるようですが、一般的に養成機関に通ったほうが合格率は高いようです。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2018年3月19日時点の情報を参照しています。2024年5月22日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash