店舗運営にDXを導入して、売り上げアップを目指そう

情報通信技術の進展により、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革「DX」が、あらゆる産業において求められています。この記事では、店舗におけるDXがもたらすメリットなどについて解説します。

目次



DXとは?

DX(Digital Transformation)は、デジタルトランスフォーメーションを指す言葉で、日本語では「デジタル変革」ともいわれます。もともとはスウェーデンの大学教授によって提唱された概念だといわれ、日本では2018年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」を策定しています。

DX推進ガイドライン中では以下のようにDXを定義しています。

  • データとデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革すること
  • 業務そのもの、組織、プロセス、企業文化・風土さえもを変革し、優位性を確立すること

あらゆる業態においてDX化が必要とされている今、店舗で取り組むことができることにはどのようなことが挙げられるでしょうか。

参考:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0 平成30年12月(経済産業省)
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店舗とDX

そもそも、なぜ店舗でDXが必要なのでしょう。業務の効率化、経費の削減などさまざまな理由が挙げられますが、その中でも重要なのが消費行動の変化への対応ではないでしょうか。経済産業省によると、2020年の小売業販売額は146兆4,570億円と、前年比で約3%減少しました。特に百貨店においては、前年比25%も減少しています。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、オンラインでの買い物が当たり前のようになったことや、服や装飾品などを定額で利用するサブスクリプションサービスが登場したことなど、消費者のニーズが変わってきていることが要因の一つといえそうです。

このように「モノが売れない」時代の店舗では、お客様にどのような購買体験を提供できるかが重要になります。そうしたビジネスモデルの変革に欠かせないのがDXの存在です。

参考:2020年小売業販売を振り返る(経済産業省)

RaaSとの違い

DXについて調べると、RaaS(ラース)という言葉に出会うことも少なくありません。RaaSとは、Retail as a Serviceの略で「小売のサービス化」と訳されます。RaaSは、DXを成功させた小売事業者が、IT事業者と一緒になって、自社が保有するシステムやノウハウ、データなどをほかの小売事業者などに提供することを指します。

実際に大手の小売店では、商品を入れたかごをレジに置くだけで会計ができるシステムや、需要に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングなど、さまざまなDXが進んでいます。しかしながら、このようなシステムを一から作り上げていくような大胆なDXは、中小の小売業者にとっては資金的にも人的リソース的にも厳しいといわざるを得ないでしょう。そこで登場するのがRaaSです。大手小売店が自社サービスで蓄積したノウハウを他の小売店に提供することで、中小の小売事業者であっても比較的簡単にDXを取り入れることができます。

革新的テクノロジーやシステムを導入する際の投資を最小化できることから、RaaSは、DXを促進する可能性を大いに秘めているといえるでしょう。

DXが店舗にもたらすメリット

DX化は店舗にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。具体的に紹介します。

非接触決済による顧客満足度の向上

クレジットカード会社が2020年7月に行った調査では、「コロナ感染拡大でキャッシュレス決済をするお客さんが増えた」と感じるレジ・会計担当が64%にのぼり、キャッシュレス決済が利用できないと分かってお店の利用をやめた人が約50%いることが明らかになっています。キャッシュレス決済を利用する消費者の増加、感染リスクへの不安も踏まえると、キャッシュレス決済に代表される非接触決済は店舗で取り入れるべきDXの筆頭に挙げられるのではないでしょうか。

参考:JCB、「キャッシュレス決済に関する調査~コロナ禍におけるキャッシュレス決済事情~」を発表(株式会社ジェーシービー)

生産性の向上

DXは生産性の向上にも一役買います。慢性的な人材不足に悩む小売店は少なくありません、業務の見直しを行ったり、無駄な作業や工程を削減したり、さらにはデジタル技術を取り入れて業務の一部を自動化することも選択肢の一つでしょう。たとえば、レジ締め作業について考えてみましょう。売上記録を確認しながらレジにある現金を数える一連の作業は、時間がかかるだけでなく、数え間違いなどのミスも起こりがちになります。大胆に聞こえるかもしれませんが、完全キャッシュレス決済の店舗にした場合は、釣り銭の用意はもちろん、すべての会計取引は自動で記録されるためレジ締め作業自体が必要ありません。

また、シフト作成や勤怠管理についても低価格で利用できるクラウドサービスが多く登場し、自動化が比較的簡単にできます。これまで人の手で行っていた業務をシステムに任せることで、売り上げへの貢献度が高い部門に人材を投入することができるようになるでしょう。
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スタッフの働き方改革

人材不足に加え、残業が多い、繁忙期に休暇を取ることができない、子育てや介護との両立が難しいといった課題を解決し、スタッフが多様な働き方を選べる店舗作りも求められています。接客以外を担当するスタッフにはテレワークを許可する、お会計はセルフレジに任せる、業務連絡にチャットアプリを活用するなど、今までの店舗運営の常識をひっくり返すようなシステムやツールの導入が必要かもしれません。そのほかの業務に関しても、デジタル技術によって自動化を推し進めることで、現場の生産性を維持しつつ労働時間の短縮が期待できます。

商品開発の加速化

POSレジや顧客管理システムなどから得られるデータを利用することで、お客様の属性や購入履歴を把握することができます。また、気象・人流などのデータとも組み合わせることで、顧客の行動をより深く理解することができます。これまで経験や記憶に頼ってきた顧客ニーズの可視化は、陳列や仕入れだけでなく、新しい商品やサービスの開発にも役立つことでしょう。

在庫管理・発注業務の効率化

在庫管理システムを利用することで、最適なタイミングで発注でき、余剰在庫に対する管理コストや在庫管理に必要な人的負担が軽減されます。調達、流通、販売といった工程が可視化されることで、サプライチェーンも含んだ高度な在庫管理が可能となります。

店舗で取り組めるDX

店舗にとって、さまざまなメリットがあるDX。実際に、どのようなことに取り組むことができるでしょうか。

キャッシュレス決済

キャッシュレス決済は、店舗で取り入れやすいDXの一つです。各カードブランド毎に契約することも可能ですが、決済代行会社と契約すれば複数の決済手段をまとめて導入することが可能になります。各社で決済手数料や初期導入費用、固定費用が異なるため、コスト負担などを勘案して導入を検討するといいでしょう。

顧客情報の一元管理

POSレジネットショップ、会員システム、それぞれバラバラに管理している顧客情報を一元化させましょう。ネットショップやPOSレジと連動しているシステムであれば、どの販売チャネルを通して「いつ」「誰に」「何が」売れたのかを把握できます。こうした顧客データを分析することで、新たな販売戦略を立てることも可能かもしれません。

シフト・勤怠管理の自動化

複数のスタッフを抱えている店舗で、シフト作成や勤怠管理をアナログな手段で行っている場合、その業務が店長やマネージャーにとって大きな負担になっているのではないでしょうか。シフトの作成や勤怠管理向けのクラウドサービスを導入すれば、担当者の負担が減るだけでなく、スタッフのシフト確認なども簡単にできるようになります。また、スタッフのシフト・勤怠管理を給与システムと連携させれば、バックオフィスの業務が軽減されます。

ICタグ

ICタグは、ICチップとアンテナを内蔵した小型のタグです。電波を利用して非接触でタグの情報を読み取ることができます。店舗では、レジ・検品・棚卸業務の高速化、万引防止、消費期限管理の効率化による食品ロス削減など、さまざまな効果が期待されています。経済産業省でも、2021年3月に日本チェーンドラッグストア協会と協働して「スマートストア実現に向けた電子タグ(RFID)実装へのアプローチ」を策定するなど、今後ますますの普及が予想されます。

参考:「スマートストア実現に向けた電子タグ(RFID)実装へのアプローチ」が策定されました(経済産業省)

セルフレジ

セルフレジは、お客様自らバーコードをスキャンし会計を行うレジのことです。また、ICタグを商品に取り付けて、セルフレジの指定位置に商品を置くだけで、すべての商品情報を読み取って精算できるシステムもあります。こうしたセルフレジには、店舗での人手不足や自動化による釣り銭ミスの解消、会計時間の短縮などが大きなメリットとして挙げられます。

店舗専用アプリ

店舗専用のアプリもお客様とのコミュニケーションに有用なツールです。セールやキャンペーン情報などをプッシュ機能で送ったり、ポイントカードとして利用したりすることができます。売り上げに大きく貢献しているお客様にいかに有益な情報を送ることができるかで、店舗の売り上げも大きく変わってくるでしょう。また、店舗側もユーザーデータを分析し、販売戦略に役立てることができます。

バーチャル店舗

バーチャル店舗は、3D技術やVRを使って、仮想空間に店舗を設置して運営するものです。お客様は仮想空間内にある店内を見てまわることができ、実際の店舗のように接客も受けることができます。店舗側は、コミュニケーションを取りながらお客様へ商品を案内できるので、ネットショップよりも訴求力を高めることができます。また、場所に縛られることがないので、全国展開していない店舗にとっては、販売のチャンスが広がります。

オンライン接客

インターネットを介した接客をオンライン接客といいます。ビデオ通話やチャットボット、SNS、VRなどを利用して、お客様とのやり取りを行います。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに注目を集め、今後さらに多くの小売店が取り組みを始めることが考えられます。ある調査では、「オンライン接客を受けたことがある」と回答した人は22%でしたが、利用者の37%が「仕事の合間、休憩中」に利用したと回答しています。ちょっとした隙間時間で利用できる利便性が周知されれば、オンライン接客のニーズは今後ますます高まるかもしれません。

参考:ライフネット生命保険 オンライン接客に関する調査を公開(2020年11月25日、ライフネット生命保険)
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体験型ショップ

商品を売るのではなく、商品を体験してもらうことを目的にしているのが、体験型ショップです。アメリカの体験型ショップが日本上陸した際には、お客様に新たな発見や体験をしてもらうこと自体を目的としたビジネスモデルが大きな話題となりました。大手化粧品メーカーやスポーツメーカー、アパレルショップなどが、さまざまな企業が体験型ショップを展開しています。

デジタルサイネージ

映像表示装置を使って情報を発信するデジタルサイネージは、電子看板とも呼ばれています。従来のポスターや看板と違い、動画などでより多くの情報を発信することが可能な上に、キャンペーンやイベント情報などのタイムリーな告知も可能です。また、ポスターの印刷や看板の掲出にかかっていたコストを削減することができます。

店舗のDX、まずはSquareで

この記事ではキャッシュレス決済からデジタルサイネージまで、店舗で取り組めるDXの具体例について解説しました。なかには、莫大な予算と時間がかかるものもありますが、キャッシュレス決済、顧客情報の一元管理、シフト・勤怠管理の自動化は低コストで短期間で導入できるものでしょう。

たとえば、決済サービスのSquareでは、キャッシュレス決済(※)をはじめとして、POSレジ、ネットショップ開設、顧客管理、シフト作成・勤怠管理、在庫管理など店舗運営に必要な機能を提供しています。必要な手続きは、無料アカウントの作成だけ。多くの機能が無料もしくは低コストで利用できます。DXの手始めとして、Squareを導入してみてはいかがでしょうか。

※ 実店舗でキャッシュレス決済を利用する場合には、決済端末が必要です。コンパクトな作りでイベント会場などでも利用できるSquare リーダー(4,980円)、POSレジとレシートプリンターを内蔵したSquare ターミナル(39,980円)、スタッフ用の大きなタッチスクリーンとお客さま用ディスプレイの2画面を搭載したSquare レジスター(84,980円)、iPadを取り付けるだけでスタイリッシュなレジになるSquare スタンド(29,980円)の4種類の決済端末を用意しています。また、キャッシュレス決済には、決済手数料がかかります。Squareの決済手数料について詳しくは、こちらをご覧ください。

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執筆は2022年7月5日時点の情報を参照しています。2024年3月21日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash