観光地域づくり法人(DMO)は観光地域の発展に向けた牽引役として、関わる人やビジネス、そして来訪者をつなぐ存在です。近年注目される日本版DMOは、具体的に誰が登録でき、どんな役割を担っているのか、3つの成功事例と併せて解説します。さらに、DMOとつながりながら地域活性化に貢献する、小売店などのビジネスの業務効率化についても考えてみましょう。
📝この記事のポイント
- DMOは観光地域づくりの司令塔として、官民や地域住民と連携し、誘客・情報発信を担う
- 日本版DMOは2015年に制度化され、観光活性化にとどまらず、観光を通じた地方創生・地域活性化を目的とする
- 登録件数は2026年4月時点で326件に達し、登録には合意形成・データ分析・戦略策定・資金確保などが要件となる
- 登録DMOは人材支援や財政支援の対象となり、ローカルガイド育成事業や新しい地方創生交付金など、国の補助事業を活用できる
- DMOの取り組みによる観光客増加に備え、小規模店舗の業務効率化を図るならSquareがおすすめ
目次
- 観光地域づくり法人(DMO)とは?
- 「日本版DMO」とは?
・日本版DMOの目的
・DMOとDMCの違い - 日本版DMOの種類
・日本版DMOの登録要件
・DMOの登録手続き方法と必要書類 - 日本版DMOに登録されるメリット
・財政支援が受けられる - DMOの成功事例
・飛騨・高山観光コンベンション協会
・南信州観光公社
・福岡観光コンベンションビューロー - 業務効率化で地域創生を加速させるならSquare
- まとめ
観光地域づくり法人(DMO)とは?
観光地で営業する個々の店舗やビジネスは商品やサービスを提供しますが、地域の魅力を発信するプロモーションや集客などにおいては、個々の力だけでなく地域が一体となった取り組みが求められます。
そこで力を発揮するのが、「観光地域づくり法人」の訳語で知られるDMO(Destination Management Organization)です。DMOは観光地域づくりの司令塔として、地元ビジネスを含む官民の関係者と連携し、国内外の観光客の誘致や地域の情報発信などをリードします。
もともとDMOは欧米から始まり、国連世界観光機関(UNWTO)1が2007年にDMOのあり方やミッションを明確化したことで、現在までにその重要性が認知されてきました。グローバルな人の移動が多い現代においてDMOに期待される役割は大きく、世界各地でDMOが統括するさまざまな観光地域づくりの取り組みが展開中です。
DMOについて国連世界観光機関(UNWTO)は以下のように定義しています。
様々な関係機関、利害関係者及び観光従事者を取りまとめ、デスティネーションの共通ビジョンに向かって連携を促す主導的な組織
– UNWTO Guidelines for Institutional Strengthening of Destination Management Organizations (DMOs) – Preparing DMOs for new challenges (Japanese version)2
「日本版DMO」とは?
日本では2015年から「日本版DMO候補法人登録制度」が開始されました。登録団体は、地域ごとの「観光協会」や「観光局」などの名称を冠した組織が多く、一般社団法人や公益財団法人、特定非営利活動法人などの形態をとるDMOが中心です。
観光庁は日本版DMO(Destination Management / Marketing Organization)を以下のように位置づけています。
観光地域づくり法人は、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人です。
– 観光地域づくり法人(DMO)とは?、観光庁3
日本版DMOの役割は、大きく以下の4つです。
- 関係者との合意形成
- 各種データに基づく戦略策定・実行
- 交通手段、多言語表記などの整備推進
- 関連事業の仕組み構築、プロモーション
これらの役割からも分かるように、地域を訪れる観光客を待っているだけでなく、積極的に来訪者を呼び込むことが重視されています。地域の人やビジネスにとって大きくプラスになる攻めの事業推進が、日本版DMOの役割の主眼です。
日本版DMOの目的
世界におけるDMOと比較して、日本版DMOの最も大きな特徴は、単に観光業の活性化にとどまらず、観光がもたらす利益によって地域全体を活性化することを目的としている点にあります。もし観光業が栄えても、地域の人々の暮らしや自然が損なわれてしまうようでは、DMOの目的が達せられたとはいえません。
観光を起点にした地方創生という大きな青写真を描き、実現していくことがDMOの仕事です。言い換えれば、観光を生業とする持続可能な地域づくりが日本版DMOに求められているといえます。
DMOとDMCの違い
DMOの役割を把握するうえで、同じく観光地域に関わる仕事を担うDMC(Destination Management Company)についても理解しておきましょう4。マーケティング要素が強いDMOと異なり、DMCは観光資源をベースとする旅行商品の開発・販売を行う企業です。
たとえば、地域の名所を回るガイド付きツアーなどを販売するDMCがない場合、有志ボランティアに頼ったツアーの催行が考えられますが、その継続性は不透明感が否めません。DMCはビジネスとして対価を得て観光サービスやコンテンツを提供することで、観光需要への安定的な対応を可能にします。
DMCは営利目的の側面が強いものの、日本版DMOに登録したDMCもあるなど、観光地域への貢献という意味でDMOの役割を兼ね備えた組織もあります。

日本版DMOの種類
2025年10月に施行された日本版DMOの新しいガイドラインでは、役割や担当する区域に応じた3つの区分が設けられており、都道府県や市区町村の単位をカバーするDMOの他、行政区を超えた地域連携を目的とするDMOもあります。いずれも担当する地域において、マネジメントやマーケティングなどを行うことによる観光地域づくりが求められます。2026年4月時点で、国内各地で合計326件の日本版DMOが登録されています5。内訳は以下のようになっています。
| 区分 | 事業対象地域 | 登録件数 |
|---|---|---|
| 広域連携DMO | 地方ブロックレベルの区域を一体とした観光地域 | 10件 |
| 都道府県DMO | 単一都道府県の全域を対象とした観光地域 | 38件 |
| 地域DMO | 単一市区町村の区域並びに複数市区町村にまたがる区域を一体とした観光地域 | 280件 |
※北海道・沖縄県は広域連携DMOと都道府県DMOを兼ねる
日本版DMOは、新たに設立・登録することも可能です。観光地域づくりの司令塔が求められる場合、次のような条件を満たしたうえで日本版DMOとして登録します。
日本版DMOの登録要件
観光庁は「自治体と連携して観光地域づくりを担う法人」を日本版DMOの登録対象としています。新しいガイドラインでは、DMOの登録要件を以下の5つの観点で規定しています6。
| DMO登録要件 | |
| 1 | 観光地経営戦略の策定、KPIなどの数値目標の設定、PDCAサイクルの確立を含む数値目標の設定 |
| 2 | 地域の魅力向上に資する観光資源の磨き上げや二次交通を含む交通アクセスの整備、多言語表記等の受入環境整備等、着地整備に関する取組の推進 |
| 3 | 関係者が実施する観光関連事業と観光地経営戦略との整合性を図る調整や仕組みづくり、プロモーション |
| 4 | 観光地域づくり法人を中心とした多様な関係者との体制構築や合意形成 |
| 5 | 観光地域づくり法人が上記の役割を達成するために必要な組織の確立と財源の確保 |
新しいガイドラインでは、新たに「観光地経営戦略の策定」「データ収集・分析、KGI・KPIの設定」「戦略に基づく1年間の事業計画書の作成」などが要件に追加され、よりきめ細やかな戦略立案やデータ分析が求められるようになりました。
また、「3名以上の常勤職員の配置」「自律的・継続的活動のための運営資金の確保」「財源計画の策定」「安定財源確保率の設定と評価」などの項目も満たす必要があります。
さらに2027年4月以降は、すでに登録済みのDMOが更新登録をする際にも、新要件が適用されます。データの収集・分析、評価の報告や成果分析など実績を評価する要件への対応のほか、基礎研修の受講なども必要になります。なお、登録の有効期間は3年間です。
また、特に4番の「多様な関係者との合意形成」には、日本版DMOの肝といえる「地域」との密接な関わりが欠かせません。地方公共団体や地域内外の事業者、住民を含むさまざまなステークホルダーと積極的に関わり、意見交換を行いながら、観光地域づくりの方向性を具体的に提示しリードしていくことが日本版DMOの役割の1つです。
新ガイドラインの詳細は、観光庁のウェブサイトをご覧ください。
DMOの登録手続き方法と必要書類
日本版DMOの申請受付は毎年4〜6月12(2026年は7月まで13)に行われ、年内に1次審査(書面による定量的な審査)、翌年2月頃までに2次審査(ヒアリング等による定性的な審査)が行われます。要件を満たしている場合は、翌年度の4月1日より3年間、登録DMOの資格が有効となります。
新規登録・更新登録の際に必要な提出書類は以下の通りです。
| 区分 | 必要書類 |
|---|---|
| A.新規登録を申請する法人 | ・登録申請書[様式1] ・法人概要[様式5] ・観光地経営戦略(実行計画を含む)[様式6-1] ・財源計画[様式6-2] ・事業計画[様式自由] ・事業報告書[様式自由] ・登録要件充足確認書[様式7-3] ・プロフィール[様式8] ・登記事項証明書(登記簿謄本)の写し ・合意形成の仕組みとしての会議体の構成員名簿(最新版) |
| B.更新登録を申請する法人 | ・更新登録申請書[様式2] ・法人概要[様式5] ・観光地経営戦略(実行計画を含む)[様式6-1] ・財源計画[様式6-2] ・事業計画[様式自由] ・事業報告書[様式自由] ・登録要件充足確認書[様式7-3] ・プロフィール[様式8] ・合意形成の仕組みとしての会議体の構成員名簿(最新版) |
すでに登録済みの法人が2027年4月以降に更新登録を行う際、要件を満たしていない場合は、登録DMOとして継続する意思を表示することで、1年間登録取消を留保できます。ただし、1年の再審査期間中に要件を満たせなければ、登録取消となります。また、2027年4月以前に更新登録を行う際も、提出書類は新様式のものを使用しましょう。
日本版DMOに登録されるメリット

登録DMOになると、観光庁をはじめとする省庁などから観光地域づくりに有効な各種サポートやアドバイスを受けることができます。特に、内閣府や各省庁による補助金や交付金、融資などの財政支援は大きなメリットです。
財政支援が受けられる
参考までに、これまでに実施された支援策には以下のようなものがあります。
-
地方部における観光コンテンツの充実のためのローカルガイド人材の持続的な確保・育成事業14 (国土交通省 観光庁):観光コンテンツの供給、コンテンツの質及び満足度の向上、地方誘客の促進並びに消費単価の向上に直接する地域の魅力を伝えるガイドの不足という課題に対応するため、特に地方部において、「人材確保」「人材育成」の入口戦略と「市場活性化」の出口戦略の双方を見据えた、地域特性等に応じた、地域一体となった総合的かつ戦略的なローカルガイド人材の持続的な確保・育成の取組を支援。
-
新しい地方経済・生活環境創生交付金15 (内閣府):地方がそれぞれの特性に応じた発展を遂げることができるよう、日本経済成長の起爆剤としての大規模な地方創生策を講ずるため、地方公共団体の自主性と創意工夫に基づく、地域の多様な主体の参画を通じた地方創生に資する地域の独自の取組を、計画から実施まで強力に後押し。
DMOの成功事例
日本版DMOの登録が開始されて以来、各地でどのような観光地域づくりが進行しているのか、国内3地域の成功事例から学んでみましょう。
飛騨・高山観光コンベンション協会
観光資源に富んだ岐阜県高山市をアクセスに便利な「日本の真ん中」として、会議・イベントなどのコンベンション開催地という角度から観光プロモーションを進める一般社団法人です8。1982年の法人格取得以来、同エリアの観光協会などと連携しながら飛騨高山という観光ブランドの確立に取り組んでいます。
同協会は学会や研修会、スポーツの大会、ゼミ合宿など多種多様なコンベンションの開催支援実績を持ち、多くの来訪者を誘致することに成功しています。
南信州観光公社
自然豊かな長野県飯田市で、エコツアープログラムを取り扱うDMCとDMOの機能を兼ね備えた株式会社です9。農家でのホームステイや伝統工芸体験など、現地でしかできないユニークな体験の魅力を前面に押し出し、国内からの来訪者だけでなく訪日外国人もターゲットとしたプログラムを用意しています10。

福岡観光コンベンションビューロー
国内外からの好アクセス、市内の整った交通インフラ、収容力の高いホテルやホールなどを訴求ポイントとして、観光とコンベンションの需要に働きかける福岡県福岡市の公益財団法人です。国際線フライトも乗り入れる福岡市を東アジアのビジネスハブとして、同法人のウェブサイトはインバウンド向けに英語にも対応しています11。
DMOとして観光情報の提供にも力を入れ、個人旅行や修学旅行、ワーケーションなどの需要を想定していることが分かります。
業務効率化で地域創生を加速させるならSquare
観光地域づくりや地域創生のためにDMOは非常に有効ですが、その成功には商品やサービスを提供する飲食店や小売店、DMC、宿泊施設など地元ビジネスの協力も不可欠です。DMOの取り組みに伴う来訪者の増加に備えて、従来のビジネス運営から一歩進んだ業務効率化を考えるなら、決済代行会社Squareの各種サービスの活用がおすすめです。
Squareは、多様な決済方法に対応したPOSシステムや決済端末、オンラインストアなど、業務効率化につながるビジネス向ツールやサービスを提供しています。Squareの無料アカウントを作成すれば、以下のような便利な機能をまとめて導入できます。
- キャッシュレス決済(クレジットカード、QRコード、電子マネーに対応)
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SquareのPOSレジは高機能なのに初期費用0円
Square POSレジは業務効率化を実現する、高機能な無料アプリです。売上分析、在庫管理、スタッフ管理など、必要な機能が1つのアプリにまとまっています。業務をなるべくシンプルにしたい、小規模なアパレル店、美容院、理容室、サービス業に適しています。
業務効率化ツールとしても優秀なSquareを導入することで、マーケティング施策やサービスの充実に時間を充てることもできます。少ない人数でビジネスを運営していくケースでも、こうしたツールの利用は大きな助けになります。
まとめ
DMOは、地域ごとの魅力を包括的・客観的に捉え、発信するうえで重要な役割を担っています。来訪者に優れた観光体験を提供するツアー企画者、伝統工芸品の工房や土産物店、地場の食材を提供する食品店や飲食店、ホテルや民宿など、DMOは多くのステークホルダーと協働も欠かせません。
特にインバウンド需要の取り込みを考える場合、多様な決済方法や外国語への対応なども含め、地元ビジネスが超えるべき課題はたくさんあることが予想されます。こうした一つひとつの課題の解決策を提示していくことも、DMOに求められる役割といえます。さらに加速度あげて地方創生に取り組みたい経営者の皆さんは、Squareを活用した地元ビジネスの業務効率アップを検討してみてはいかがでしょうか。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2023年6月12日時点の情報を参照しています。2026年5月20日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
1:A Practical Guide to Tourism Destination Management(2007)
2:UNWTO Guidelines for Institutional Strengthening of Destination Management Organizations (DMOs) – Preparing DMOs for new challenges (Japanese version)
3:観光地域づくり法人(DMO)とは(観光庁)
4:DMCとは (2018年7月6日、日本経済新聞)
5:観光地域づくり法人(DMO)登録一覧
6:観光地域づくり法人の登録制度に関するガイドライン(観光庁)
7:観光地域づくりに対する支援メニュー集(観光庁)
8:飛騨・高山観光コンベンション協会
9:南信州観光公社
10:地域連携DMO ㈱南信州観光公社について
11:福岡観光コンベンションビューロー
12:観光地域づくり法人の登録制度に関するガイドライン(令和7年3月25日改正)FAQ集(観光庁)
13:【事前告知】観光地域づくり法人(登録DMO第21弾)の募集(観光庁)
14:「地方部における観光コンテンツとローカルガイド人材の一体的な質的向上事業」(調査事業)の地域公募開始のお知らせ(観光庁)
15:新しい地方経済・生活環境創生交付金について(2025年2月、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局内閣府 地方創生推進事務局・地方創生推進室)

