※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
中小企業や商店の経営者であれば、税制度などの支払い関連について日頃から関心を持っているかもしれません。たとえば2003年(平成15年)3月期から適用された「連結納税制度」や、2010年(平成22年)に導入された「グループ法人税制」などについても耳にしたことがあるでしょう。これらの税制度と深く関わってくるのが、企業統合です。
企業統合などを検討するシーンでクローズアップされるのが「子会社」です。この子会社と同じカテゴリーに「関連会社」と「グループ会社」がありますが、これら違いは意外と知られていません。
今回は、子会社・関連会社・グループ会社の違いについて解説をするとともに、それぞれ掘り下げます。
目次
子会社とは
子会社があるということは、もちろん親会社が存在しています。そこで親会社と子会社の関係から、子会社について説明をしていきます。
親会社とは、ある会社に対して資金などを出し経営を支配している会社を指します。そして、支配される側の企業が子会社です。もう少し分かりやすく説明をします。子会社とは、親会社から議決権の50%以上を所有されている側の会社であり、それによって親会社から直接の支配を受け、管理をされている企業のことです。
管理とは具体的にいうと事業方針や財務、取引関係などです。それらに関して親会社は、子会社に対して決定権を持っています。また議決権が50%以下であっても、資金面や役員の派遣状況などで実質的に支配されている場合も子会社となるケースがあります。
さらに子会社の中にも「完全子会社」「孫会社」「連結子会社」「兄弟会社」「特例子会社」などがあります。完全子会社とは親会社が子会社の発行する株式を100%保有しているケースです。孫会社は、子会社に50%を超える株式を保有されている会社のことで、親会社の子会社の子会社なので孫会社と呼ばれています。また兄弟会社とは、同一の会社を親会社とする子会社同士を指す用語です。
連結子会社と特例子会社
連結子会社とは、子会社の中で連結決算の対象となる会社のことです。連結決算とは、親会社に子会社、孫会社などをの決算を連結し、企業グループ全体の財務状況を把握するために行う決算のことです。
その際に発生するのが連結財務諸表を作成する作業です。売り上げなどを算出する際の負担を削減するうえで、最近では売上分析機能のついた決済システムに統一する企業も少なくないようです。決済システムに売上情報が自動的に記録されていくのはもちろん、売上レポートが自動で作成されるので、エリアマネージャーや本部はレポートを参照するだけですぐに各店舗の売り上げが算出できます。特に小売業や飲食業に向いているでしょう。
たとえばSquareなら、期間を指定するだけでその間の売上情報をすぐに確認できます。CSVでの出力も可能なうえ、売上分析機能は無料で利用することができます。
特例子会社とは、障がい者の雇用を目的として企業がつくる子会社のことです。雇われた障がい者を親会社の雇用とみなし、雇用率に加算できる子会社のことで、親会社と異なる労働条件にできるなどの特徴があります。
関連会社とは
関連会社にも親会社が存在しています。関連会社とは、親会社から株式の20%から50%未満を取得されている側の企業のことです。子会社ほど親会社から直接的な支配は受けないものの、影響は受けます。関連会社と子会社を親会社の関係から比較すると、子会社は親会社に支配をされている要素が強く、関連会社は親会社からの影響力を受けている企業といえます。
では、親会社から影響を受けているとはいったいどういうことなのか、もう少し具体的に説明をしていきます。
議決権を20%以上所有
親会社から影響力に関しては、ある一定の基準があります。その基準の一例としては、議決権の20%以上を保有することです。議決権とは、会社の経営方針などについて意思決定に加われる権利を指しています。また、議決権が20%未満を所有するケースでも、いくつかの要件に該当すれば関連会社です。
従業員や役員が代表取締役など重要なポストについている
現在または過去の従業員や役員が代表取締役など重要なポストについている場合も、関連会社の影響力の基準に当てはまります。また主要な融資や技術提供などを受けている場合も、影響力があります。さらに、重要な取り引きや技術提供などがある場合も影響力のある関連会社として該当します。
また、関連会社と似た言葉で「関係会社」があります。実は関係会社とは、子会社と関連会社をひとまとめにした言い方です。つまり親会社にとっての関係会社とは、子会社と関連会社のことになるわけです。
グループ会社とは
さらにグループ会社について、説明をします。グループ会社の定義については簡単にいうと、子会社や関連会社を含めた企業群のことです。つまり、資本において、親子関係のある一連の企業をまとめた総称をグループ会社といえば分かりやすいかもしれません。大手企業の公式ウェブサイトなどを見ると、関連リンクの中でグループ会社として紹介されているケースもあります。
企業によって子会社、関連会社、グループ会社など、どのカテゴリーに当てはまるかはさまざまです。さらに会社によっては子会社という扱いでも、その子会社自体が大企業や上場企業の場合もあります。
グループ会社とホールディングスの違い
ホールディングスという言葉を聞いたことがあるかもありません。実はグループ会社とホールディングスは異なるものです。ホールディングスは簡単にいうと、「持ち株会社」のことです。持ち株会社は純粋持株会社と事業持株会社の二種類があります。たとえば、純粋持株会社では、株を保有しているものの事業は行わず、株を持つ傘下企業の経営や管理を行います。そしてホールディングスの利益は、主に参加企業からの配当です。
子会社化と分社化について
「子会社化」と「分社化」という似ている言葉があります。子会社化とは、親会社が資金を出して新たに子会社を設立することで、さまざまな種類の子会社があります。一方、分社化とは、親会社などの資産を分散させてそれぞれが別会社になることです。なお分社化の場合、親会社が100%出資をするため、連結納税制度が適用されます。
冒頭で述べた「連結納税制度」も「グループ法人税制」も子会社、関連会社、グループ会社を持つ企業にとって運用次第では税務上のメリットが得られる制度です。子会社、関連会社、グループ会社など、これらの違いについて理解をしておけば今後、事業を展開する場合などに役立つことがあるかもしれません。
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執筆は2019年6月3日時点の情報を参照しています。2023年6月27日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash