「持続化給付金」個人事業主・フリーランスの申請方法、注意点まとめ

この記事は2021年1月20日時点の情報を参照しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況、感染予防に関する最新情報は厚生労働省のウェブサイトも合わせてご確認ください。


▼この記事では、持続化給付金について解説しています。

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5月1日から申請受付を開始した持続化給付金。新型コロナウイルスの感染拡大で収入に大幅な影響を受けている法人、個人事業主、フリーランスとして働く人にとって、持続化給付金は大きなサポートとなります。そこで、給付金額や対象者、実際の申請方法、申請の注意点など、持続化給付金の基本を解説します。

目次


持続化給付金とは?

持続化給付金 は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、深刻な影響を受けているビジネスに対して支給される給付金です。融資ではないため返済の必要はなく、事業を支えるためであれば用途の制限なく使えるという特徴があります。持続化給付金は、事業の継続、ダメージからの回復、再起などへのサポートとして、対象者が申請手続き後に給付金を受給できます。

持続化給付金の給付額は、中小法人は最大200万円、個人事業主やフリーランスは最大100万円と定められ、事業収入の状況に応じて金額が決定される仕組みです。申請要件には、前年同月比で50パーセント以上の事業収入の減少などがあり、以下、「持続化給付金の対象者」の項目で詳説します。

参考:持続化給付金(経済産業省)

スタートアップ企業、フリーランスも対象に

持続化給付金の開始当初は、創業直後のスタートアップ企業などは減収の比較対象となる前年度の事業所得の記録がまだないため、給付対象外とされていました。また、フリーランスや非常勤講師の中で、収入を「雑所得」や「給与所得」として確定申告しているケースについても、事業所得ではないという理由で、持続化給付金の対象になっていませんでした。

しかし5月22日の経済産業省の発表で、スタートアップ企業やフリーランスなどの個人事業主も持続化給付金の対象となることが明言され、申請手続きができることになりました。

参考:持続化給付金、スタートアップも対象に 経産相表明(2020年5月22日、日本経済新聞)
参考:持続化給付金に関するお知らせ 支援対象を拡大します(経済産業省)

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持続化給付金の対象者

現在、持続化給付金の対象者として正式に発表されているのは、以下のような法人・個人です。いずれの対象者も、持続化給付金の支給を受けられるのは一度だけと決められています。

【持続化給付金対象の法人】

  • 中小企業(資本金10億円以上、または従業員2,000人以上の大企業は対象外)
  • 同条件の、会社以外の法人(NPO法人、医療法人など)

【持続化給付金対象の個人】

  • フリーランスを含む個人事業主

さらに、持続化給付金の対象要件として、以下の2点を満たしている必要があります。

  1. 2019年以前から事業収入があり、今後もビジネス継続の意思がある
  2. 新型コロナウイルスの影響で、事業収入において、前年同月比で50パーセント以上減の月がある(2020年1月以降)

前年度の事業収入は、確定申告書類上の金額をベースとします。ただし、何らかの理由により前年度の確定申告が完了していない場合や、上記の全ての条件を満たすことができない場合でも、特例として持続化給付金の申請が認められるケースもあります。

申請の特例

持続化給付金の対象となる法人の場合、以下のような特例が設けられています。

  • 2019年新規創業特例: 創業して1年以内で、比較できる前年同月の事業収入の記録がない法人の場合。確定申告書類ではなく、別の書類でも収入を証明可

  • 2020年新規創業特例:2020年1月から3月の間に創業した法人で、2020年4月以降に設立月から3月までの月平均と比較して事業収入が50%以上減少した月がある場合に対象となる特例です。

  • 季節性収入特例:月や季節によって事業収入の変動が大きい法人の場合。連続した3カ月間の事業収入を比較することができる(他、条件あり)

  • 合併特例:2020年に合併を行った法人の場合。前年の事業収入と比較するため、代替となる添付書類があれば申請可

  • 連結納税特例:連結納税を行う法人の場合。各事業者が持続化給付金の申請要件を満たしていれば、確定申告書類の代替となる書類を利用可

  • 罹災特例:災害の影響で、2019年度の事業収入が低い法人の場合。罹災証明書に加え、2018年度の確定申告書類を利用可

  • 法人成り特例:個人事業から法人化した場合。必要書類の提出により、前年同月の収入を証明可

  • NPO法人や公益法人等特例:確定申告書類の代わりに、事業活動計算書などで前年同月の収入を証明可

個人事業主やフリーランスワーカーの場合も、新規開業特例季節性収入特例事業継承特例罹災特例など、法人のケースと類似した特例が認められています。

ただし、上記の条件に当てはまる法人・個人でも、経済産業省が指定する不給付条件に該当する政治団体、宗教団体、性風俗関連特殊営業や接客業務受託営業を行う事業者などは、持続化給付金の対象外とされています。

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給付金額の算定方法

前年同月比で事業収入が50パーセント以上の減少となった月(任意)を「対象月」とし、持続化給付金の給付額は、以下の算定式で決定します。

2019年の年間事業収入 −(対象月の収入 × 12)=給付額
※給付額の上限は、法人で200万円、個人で100万円

ここで、2020年5月を対象月とする例を考えてみましょう。

2019年の年間事業収入……300万円
2019年5月の月間事業収入……30万円
2020年5月の月間事業収入……15万円(前年同月比50パーセント以上減)
算定式……300万円 −(15万円 × 12)=120万円
※給付額は、法人の場合120万円、個人の場合は100万円
(上限100万円のため)

もし何らかの理由により前年の確定申告が未完了の場合は、「証拠書類等に関する特例」として、代替書類で収入減を証明することができます。

参考:対象者要件(持続化給付金)

持続化給付金の申請と受領の手順

持続化給付金の申請は、基本的にインターネット上で行う電子申請です。大まかな流れは以下の通りです。

  1. 申請要件を確認し、必要書類を準備

  2. 持続化給付金の申請サイトにアクセス
    (申請のための説明動画あり)

  3. メールアドレスなどを入力し、仮登録

  4. 届いたメールを確認し、本登録

  5. ID、パスワードを入力してマイページを作成 (基本情報や事業収入額などを入力する)

  6. 必要書類を添付し、申請(※)

  7. 事務局で内容を確認

  8. 約2週間で給付通知書発送、登録銀行口座へ給付金入金
    (特例申請の場合、さらに時間がかかることがある)

持続化給付金の電子申請が困難な場合は、近隣の申請サポート会場での申請も可能です。

※当初の書類提出期限日は2021年1月15日(金)でしたが、感染症の拡大などを受けて、期限日が2021年2月15日(月)まで延長されています。書類の提出期限延長を希望する場合は、1月31日(日)までに持続化給付金の特設ページにて申し込む必要があります。詳しくはこちらのページをご確認ください。

申請のための必要書類

持続化給付金の申請手続きで必要となる書類には、以下のようなものがあります。

  • 銀行口座の通帳の写し
  • 2019年の確定申告書類の控え
  • 対象月の売上台帳の控え
    (フォーマットは自由。エクセルや手書きデータのスキャンも可)
  • 本人確認書類の写し
    (個人の場合。運転免許証、個人番号カード、在留カードなど)

全てのデータは、PDF、JPG、PNGのいずれかの保存形式であれば申請に利用可能です。スキャンしたデータを用意することが難しい場合は、スマートフォンのカメラ機能で撮影したものであっても、文字や画像がはっきり見えるものであれば利用できます。

いずれの場合も持続化給付金の申請サイトの説明を確認し、間違いのない書類を添付しましょう。

持続化給付金を申請する際の注意点

持続化給付金の電子申請における注意点として、添付書類のミスが挙げられます。持続化給付金の公式サイトでは、添付書類を撮影した画像がぼやけている、全体が写っていない、または添付ファイルにパスワードがかかっている、申請元とは別法人の書類が添付されている、といった例が指摘されています。

また、確定申告書類についても、収受日付印やe-Taxの受信通知があるかなど、不備がないよう確認が必要です。白色申告をしている場合の売上入力、売上台帳や銀行口座情報の記入方法についても、公式サイトの「申請における「よくある不備」について」のページで確認してから申請することで、書類の再提出や給付の遅れなどを防ぎましょう。

ビジネスの継続や再スタートに向け、持続化給付金は大きな役割を果たすことが期待されます。中小ビジネスだけでなく個人事業主やフリーランスとして働く人も、持続化給付金を上手に活用してみてはいかがでしょうか。

家賃支援給付金

最後に、7月14日から受付が始まった「家賃支援給付金」を紹介します。

家賃支援給付金は、2020年5月に緊急事態宣言が延長されたことなどにより、売り上げに影響が出ている全国の中小企業・個人事業主・フリーランスなどを対象とした給付金です。家賃への経済的な負担を減らし、事業継続を支えることを目的としており、以下の条件のいずれかを満たしている事業であれば申請が可能です。

  • 2020年5月から12月までの間の1カ月の売上高が、前年と比べて50%以上減少している
  • 連続する3カ月の合計が、前年同期比で30%以上減少している

持続化給付金との併用が可能とされており、地方自治体から賃料支援を受けている場合も対象となります。

  家賃支援給付金
給付対象者 資本金が10億円以下の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主
給付額・給付限度額(法人) 1カ月の支払賃料が75万円以下の場合…支払賃料の3分の2
1カ月の支払賃料が75万円を超える場合…50万円 + [支払賃料の75万円の超過分の3分の1(※100万円が上限となります)]

上記をもとに計算した月額の6倍が給付金として支給されます。なお、支払賃料は、申請時の直近1カ月の支払賃料に基づいて算定する必要があります。上限は600万円です。
給付額・給付限度額(個人事業主) 1カ月の支払賃料が37.5万円以下の場合…支払賃料の3分の2
1カ月の支払賃料が37.5万円を超える場合…25万円 + [支払賃料の37.5万円の超過分の3分の1(※50万円が上限となります)]

上記をもとに計算した月額の6倍が給付金として支給。なお、支払賃料は申請時の直近1カ月の支払賃料に基づいて算定する必要があります。上限は300万円です。
申請受付期間 2020年7月14日〜 2021年1月15日 2021年2月15日まで提出が可能となりました(簡単な理由を添付する必要があります)。

必要書類や申請方法などについては経済産業省のウェブサイトからご確認ください。また、売り上げの減少について条件を満たしていない場合にも、申請の対象となる可能性があります。同ページにて公開されている申請要領の別冊には「給付要件にあてはまらないが給付の対象となる可能性のある方」についての記載があるので、原則に当てはまらない場合にも目を通しておきましょう。

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執筆は2020年6月9日時点の情報を参照しています。2021年1月20日に記事の一部情報を更新しました。
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