ECサイトと実店舗を比較、どちらでショップを開業するべき?

起業や新規ビジネスの立ち上げを考える際、店舗とECサイトのどちらがベストな選択肢でしょうか。店舗のオープンにはとにかく開業資金がかかる、ECサイトの開設にはコーディングなどの専門知識が必要……、そんな漠然としたイメージがあるかもしれません。

店舗とECサイト、両方のメリット・デメリットを比較しつつ、店舗とECサイトの連携についても説明します。

目次



ECサイトと実店舗の違いを比較

ECサイトと実店舗の違いを以下の表にまとめています。各項目ごとにそれぞれの違いについて考えていきましょう。

  ECサイト 実店舗
販売場所 インターネット上に店舗を開く 駅前や、幹線道路沿いなど、アクセスの良い場所で店舗を開く
販売時間 24時間、365日 決められた営業時間内
開業資金 低コスト(数万円から〜) 高コスト(数百万円〜)
固定費 低コスト(数千円から〜) 高コスト(数十万円〜)
集客方法 インターネット広告、ソーシャルメディア、SEO対策、ブログ、メールマガジン 新聞の広告、折込チラシ、インターネット広告、ソーシャルメディア、SEO対策、ブログ
顧客対応 メール、チャット 店内での接客
商品の届け方 配送 直接手渡しする
決済方法 クレジットカード決済、キャリア決済、コンビニ決済、銀行振込など 現金、クレジットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済など

販売場所

ECサイト:ECサイトはインターネット上のお店なので、インターネットが利用できる環境であれば、世界中の消費者がお客様になります。

実店舗:実店舗はお客様が実際に足を運ぶ場所なので、アクセスの良い場所に店舗を設けるのが理想的です。

販売時間

ECサイト:営業時間を決めずに販売できるのがECサイトの利点です。忙しいお客様が、隙間時間や深夜、早朝など好きなタイミングでECサイトを訪れ、購入をします。たとえば、週末の20時から23時にECサイトを利用する人が多い という調査結果もあります。週末の需要に合わせて在庫を調整し、週明けすぐに出荷できるように準備しておく必要があります。

実店舗:お客様が来やすい時間帯を中心に営業時間を設定し、営業時間内は常に店内に経営者もしくは従業員がいて、接客を行います。ファミリー層がターゲットなら土日、仕事帰りの会社員がターゲットなら平日の夕方から夜までと、商材やターゲット層によって営業曜日・営業時間はまちまちですが、アルバイトやパート従業員を雇うとなると、人件費がコストとしてかかってきます。

参考:【Qoo10調査】EC利用が多い曜日と時間は?高頻度でECを利用するセグメントは?ネットショッピングと消費者マインドの関係を明らかにするレポートが公表される(2019年9月25日、ECのミカタ)

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開業資金

ECサイト:サイト構築を専門業者に依頼するかどうかで費用が変わります。最低限の機能だけのサイトなら10万円程度が済むかもしれませんが、高機能で凝ったデザインのサイトを依頼すると100万円以上かかることもあります。また、最近では初心者でも簡単にECサイトを作れる、ECサイト作成サービスが登場しています。プロに頼まなくても、ほとんどお金をかけずにECサイトを立ち上げられます。

サイト構築費用以外には、パソコン、商品画像の撮影に使うカメラなどの撮影機材、画像編集ソフト、梱包資材などの購入費用や、許認可が必要な商材を販売する場合には申請費用、倉庫が必要な場合には倉庫のレンタル費用がかかります。パソコンやカメラをすでに持っていて、倉庫も自宅を利用するなど節約すれば、数万円程度の少ない予算での開業が可能です。

実店舗:店舗の開業資金には、物件の取得費用だけで数百万円、設備費や内装工事費などを加えると1,000万円以上必要になることもあります。まずは、店舗物件の取得費用を見てみましょう。主な物件取得にかかる費用と相場です。

  • 礼金:賃料の1カ月〜2カ月分
  • 保証金(保証金):賃料の1カ月分〜10カ月分
  • 仲介手数料:賃料の1カ月分
  • 前払賃料:賃料の1カ月〜2カ月分
  • 管理費(共益費):賃料の5〜10%
  • 造作譲渡料:50万円〜300万円※居抜き物件の場合
  • 火災保険料:2万〜15万円程度

店舗取得費用は、業種、店舗の立地、平米数、居抜き物件かスケルトン物件かで大きく変動しますが、開業を考えている人にとって大きな負担になる部分です。

店舗取得費用に加えて、内装や外装のデザインと工事費用、飲食店なら厨房設備、小売店なら商品を飾る什器にかかる費用、店舗の顔となる看板の制作費用など、一つの店舗を無事開業するまでには色々と費用がかかります。

費用を切り詰める方法としては、什器や設備を中古で購入したり、内装工事をDIYで行ったりなどの方法があります。また、各自治体では起業を支援するための事業を行っているので、条件を満たせば助成や融資を受けられるかもしれません。たとえば、東京都では「東京都チャレンジショップ」として、自由が丘と吉祥寺という都内でも人気のエリアへの出店を支援しています。一度も実店舗を持ったことのない女性、または39歳以下の男性を対象に、月々36,300円というリーズナブルな金額で自由が丘もしくは吉祥寺での出店が可能です。

固定費

ECサイト:固定費としてまず挙げられるのはEC作成サービスの月額利用料や、通信費、決済サービスや経理システムの月額利用料です。月額利用料が無料、もしくは安いサービスを利用すれば、固定費は数万円で済みます。この他に、梱包資材など消耗品の購入費用、倉庫や事務所を借りている場合は家賃・光熱費、広告を出稿する際の広告費用などが加わります。

実店舗:店舗の家賃、水道光熱費、通信費、決済サービスや経理システムの月額利用料、保険料などが固定費としてかかります。什器や設備をリースしている場合にはリース費用、従業員を雇用している場合には人件費なども加わり、100万円以上の固定費が月々発生する場合もあります。

集客方法

ECサイト:サイトの訪問数を増やすために大切なのは、サイトの存在を知ってもらうことです。サイトのSEO対策を行ったり、インターネット広告を出したり、ソーシャルメディアを頻繁に更新したり、などの集客方法が考えられます。お客様と直接顔を合わせる機会がない分、ブログやソーシャルメディアを使って商品情報を定期的に発信したりなど、一度興味を持ってくれたお客様と継続的な接点を持つ工夫が求められます。

実店舗:店舗がある場合、近隣の住民が主なターゲットとなるので、駅の看板に広告を出したり、新聞に折込チラシを入れたり、クーポンを近隣に配ったりなどの集客方法もありますが、インターネットを使って情報収集することが多くなった近年ではインターネット広告やソーシャルメディアなどECサイトと同様の方法が使われています。

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顧客対応

ECサイト:メールやソーシャルメディア、チャット、電話など、直接対面しない方法を介してお客様とコミュニケーションを行います。ソーシャルメディアをフォローしてくれる人、メールやチャットなどで問い合わせてくれる人は、ある程度ECサイトの商品に関心・興味を持ってくれている層です。迅速かつ丁寧なコミュニケーションが、購入につながります。

実店舗:お店がある強みは、お客様と対面してコミュニケーションができる点です。購入を迷っている人、商品の特徴をもっと知りたいと思っている人に対して、商品を見せながら紹介・説明ができます。中には従業員の対応を気に入って何度も足を運ぶお客様も出てくるかもしれません。また、お客様の反応から新しい商品のアイデアが生まれる可能性もあります。

商品の届け方

ECサイト:インターネットを利用した買い物が普及し、購入してから1日や2日で商品が届くことが当たり前になってきています。入金確認後すぐに商品を発送できるように、倉庫でのピッキング、梱包、発送までのプロセスはできる限り無駄を減らし、効率的に行うことが大切です。直接顔を合わせてコミュニケーションができない分、お礼状や返品方法の案内を同封するなど、ひと手間加えるのもオススメです。

実店舗:店舗ではその場でお客様に商品を渡すことができます。扱いが難しい商品などは、その場でメンテナンス方法を伝えられます。店舗に足を運んだお客様をがっかりさせないためにも、人気商品や定番商品は在庫を切らさないようにしましょう。POSシステムや在庫管理システムを活用し、商品の販売状況、在庫数を正確に把握しましょう。

決済方法

ECサイト:クレジットカード決済、キャリア決済、コンビニ決済、銀行振込など、様々な決済方法があります。利用者が多く、導入しやすいのはクレジットカード決済でしょう。どの決済方法でも、決済手数料や月額利用料などの費用負担が発生します。導入する前に、各決済サービスの費用を確認しておきましょう。

実店舗:店舗で定番の決済方法といえば現金ですが、最近ではクレジットカード、電子マネーなどのキャッシュレス決済を導入する店舗が増えています。キャッシュレス決済を導入するメリットとしては、お会計時間の短縮、レジ締めの負担軽減が挙げられます。合わせて、感染症対策として、キャッシュレス決済を積極的に導入する店舗も多いようです。

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ECサイトのメリット・デメリット

ECサイトと実店舗の違いを比較してきましたが、ECサイトにはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

ECサイトの一番のメリットはコストの安さです。実店舗と比較して、開業資金と固定費を大幅に抑えることができます。本業の傍ら副業としてネットショップを始める、まずはネットショップから始めて軌道に乗ってから店舗を開くなど、リスクを抑えながらビジネスを始めることができます。時間や曜日に関係なく、地域を限定せずに、全国の消費者に向けて商品を販売できるのもネットショップの利点です。また、ECサイトを訪れたお客様の行動をデータで把握できる点もメリットといえます。どのページに何分滞在したのか、どの商品を一度かごに入れたけれど買わなかったのかなど、これらのデータをサイトの改良に生かすことが可能です。

一方で、デメリットといえるのはお客様と直接対面できない点です。文章や画像など限定的な手段を使って商品の魅力をお客様に伝えなければいけません。この点をカバーするため、最近ではお客様とのコミュニケーションの場を増やそうと、YouTubeやInstagramのライブ配信機能を利用して、動画で商品情報を発信するECサイト運営者も増えています。

また、近年では様々なECサイトが登場し、商品によっては価格競争になる可能性があります。加えて、SEO対策やインターネット広告など、集客にはある程度の知識に加え、時間もかかります。お客様に選んでもらえるECサイトになるためには、商品情報の充実、ソーシャルメディアの定期的な投稿、購入したお客様への丁寧な対応など、時間をかけた地道な作業は欠かせないところです。

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実店舗のメリット・デメリット

実店舗のメリットは何と言っても、お客様と直接対面ができる点です。食品なら試食ができ、洋服なら試着ができます。実際にお客様が商品に触れて、他の商品とも比較し、店員から説明を聞きつつ気に入ったものを選ぶことで、購入後のクレームや返品の防止につながります。また、「こんな商品があればいいのに」「こんなサイズだと嬉しい」など、生の声を聞けることも店舗の強みです。加えて、実際にお店があることで、店舗スペースを使ってイベントやワークショップの開催が可能です。イベントはお客様とのコミュニケーションを深め、リピーターを獲得するチャンスにもなります。

実店舗のデメリットとしては、まず資金面の負担が挙げられます。高額な開業資金は簡単に準備できるものではありません。融資を利用するビジネスオーナーも多いですが、リスクはなるべく避けたいという人もいるでしょう。開業資金の他にも、月々の固定費がかかります。また、理想的な店舗を見つけるのも至難の業です。資金が潤沢にあれば、好立地な場所にすぐにでも開業が可能ですが、限られた予算の中で理想の店舗物件を見つけるには、時間や情報収集能力が必要になってきます。他には、商圏や営業時間が限られてしまうなどのデメリットも考えられます。

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ECサイトと実店舗の連携

ECサイトと実店舗の違いを比較してきましたが、消費者の立場で考えてみると、理想的なのはECサイトと実店舗の両方があることです。

店舗で一度購入した商品をECサイトで再度購入したい、画像だけでは不安だから店舗で実物を確認した後に買いたい、ECサイトで事前に購入手続きを終わらせて店舗で商品を受け取りたい……、このように買い物に対する消費者の要望は複雑化、多様化しています。欲しいものを好きな場所、好きなタイミングで購入をしたいという消費者の希望を叶えるために、オムニチャネル化に取り組む事業者が増えています。オムニチャネルは、店舗やECサイト、ソーシャルメディアなど、あらゆる販売経路(チャネル)から商品やサービスを購入できる仕組みのことを指します。

  • ECサイトが少しずつ軌道に乗りはじめたら実店舗のオープンを考える
  • 実店舗の開店準備に合わせてECサイトも開く
  • InstagramやFacebook経由でも購入できるようにする

など、販売経路はなるべく多めに用意しておきましょう。

ただ、販売経路が増えると事業者の負担も増えます。実店舗とECサイトを別々に管理している場合、売り上げや在庫管理の煩雑化は免れません。ECサイトや実店舗を開業する際には、両者が連携できる販売管理システムを使うことを念頭に置くことが大切です。具体的には以下の機能があるかどうかを確認しましょう。

(1)売上情報・商品情報・在庫データを連携できる
(2)顧客情報を統一できる
(3)決済方法を統一できる
(4)ECサイトで店舗受け取りを選択できる
(5)InstagramやFacebookとECサイトを連携できる

特に売上や在庫データの連携に関しては、商品が売れた瞬間リアルタイムでデータが更新されるシステムを利用しましょう。ECサイトは休日や夜間に商品が売れることが多いので、常に最新の在庫情報を把握し、在庫切れを起こさないように適宜発注をかけられるようにするのが理想的です。

上記の5つの機能を備えているのが、Squareです。実店舗でSquare POSレジもしくはSquare リテールPOSレジを利用し、合わせてSquare オンラインビジネスを使ってネットショップを開設することで、売り上げや在庫データを一箇所で管理ができます。実店舗ではSquareのクレジットカード決済電子マネー決済を導入でき、ECサイトではSquareのクレジットカード決済を利用できます。

これからビジネスをしたい人、コストをなるべく削減したい事業主に嬉しいのは、無料で導入できる点です(※)。Square POSレジの利用は無料、Square オンラインビジネスも無料プランを使えば、コストを掛けずにECサイトと実店舗の連携が可能です。

※:クレジットカード決済、電子マネー決済には決済手数料が発生します。また、一部有料の機能もあります。

Square オンラインビジネスを利用したECサイトの作り方について、詳しくは「Squareでネットショップを無料ではじめよう!」を確認してください。合わせて、Square オンラインビジネスを活用しているECサイト・ネットショップの事例も参考にしてください。

実店舗とECサイトのメリットとデメリット、店舗とECサイトの連携について説明しました。実店舗とECサイトのどちらから始めるべきかは、商材やターゲット層、開業資金の準備が可能かどうかなど、様々な要素に左右されます。まずは両者の強みと弱みをよく検討し、自身のビジネスに合った方法から始めましょう。加えて、いずれかは実店舗とECサイトの両方を運営することを考慮した上で、使いやすいシステムを導入しておくことがおすすめです。

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*執筆は2021年2月22日時点の情報を参照しています。2021年6月23日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash