経営者の個性が活きる宿、ゲストハウスを開業するには

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学生時代や若い頃にバックパック一つで旅に出て、ゲストハウスに泊まったらたまたま同室になった人と仲良くなった、そんな思い出はありませんか。ゲストハウスは宿泊料金が手頃で宿泊者同士の距離が近いことから、学生や気ままに旅行をしたい人、日本に長期間滞在する外国人旅行客に人気の宿泊施設です。

自分でもゲストハウスを経営してみたいと思う人も多いのではないでしょうか。古民家や町家の建物の良さを宿泊者にも体験して欲しい、地元にもっと観光客が来て欲しい、宿泊者同士が交流できる場所を提供したいなど、開業の動機はさまざまです。

ゲストハウスの開業には、旅館業として営業許可を受ける必要があります。不特定多数の人が宿泊する場所として、建物そのものが安全かどうか、宿泊場所やお風呂などが衛生かどうか、地震などの災害時に避難経路が確保されているのかどうか、色々な点をクリアする必要があります。

慎重な計画と準備が必要なゲストハウスの経営。今回は準備の参考になる点をいくつか紹介します。

旅館業とは?

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旅館業法では旅館業を下記のように定義しています。

旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされている。旅館業は「人を宿泊させる」ことであり、生活の本拠を置くような場合、例えばアパートや間借り部屋などは貸室業・貸家業であって旅館業には含まれない。

旅館業は4種類に分類されます。ゲストハウスは一般的に3番の簡易宿所にあたります。

(1)ホテル営業
洋式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業である。
(2)旅館営業
和式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業である。
いわゆる駅前旅館、温泉旅館、観光旅館の他、割烹旅館が含まれる。
民宿も該当することがある。
(3)簡易宿所営業
宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を設けてする営業である。
例えばベッドハウス、山小屋、スキー小屋、ユースホステルの他カプセルホテルが該当する。
(4)下宿営業
1月以上の期間を単位として宿泊させる営業である。

参考:旅館業法概要(厚生労働省)

ゲストハウスの稼働率は?

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厚生労働省による平成17年度から平成26年度までの旅館業営業施設数の年次推移を見ると、旅館営業は年々数が減っています。ホテル営業、簡易宿所営業は毎年数が増えています。また、各都道府県別の簡易宿所営業施設数では長野県が飛び抜けて多いことがわかります。沖縄県や北海道も他県よりも多いことから、スキーや避暑、マリンスポーツが楽しめる地域にゲストハウスが多数あることが推測されます。

近年、外国人旅行客の増加に伴い首都圏や観光地では宿泊場所が足りないというニュース報道などもありますが、平成29年6月の宿泊旅行統計調査(観光庁)の稼働率を見ると、ビジネスホテルが73.5%、シティホテルが78.0%なのに対して、簡易宿所は27.7%でした。平成28年8月からの推移を見ても、稼働率が高い月で42.5%、低い月では18.3%です。

もちろんこれらは簡易宿所全体の統計結果であり、平均よりも高い稼働率で経営しているゲストハウスもあります。ただ、上記の稼働率の数字は経営計画を立てる際に重要になってくるのではないでしょうか。

ゲストハウスの物件探しのポイントは?

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上記で紹介した稼働率を参考に、ベッド数10、客単価5,000円、稼働率平均30%のゲストハウスを考えてみましょう。

1か月の収入は、
10ベッド × 5,000円 × 30% × 30日 = 450,000円
です。

この中から、賃料(賃貸物件の場合)、上下水道料金や光熱費、消耗品費など月々にかかる経費を引くと利益になります。実際にはより細かな計算が必要ですが、これからゲストハウスを開きたいと考えて物件を探すなら、上記の計算は判断基準の一つになるのではないでしょうか。

例えば、月々にかかる経費の中では一番賃料が高いと予想できます。実家や持ち家、親族が持っている空き家などを活用できれば、賃料がかかりません。また、賃料が安い場所で開業することも選択肢としてありますが、賃料が安い分集客に苦労するかもしれません。観光に人気のスポットなら、賃料が高い代わりに50%以上の稼働率を見込める可能性もあります。

これらの点を踏まえてある程度立地や物件の目星が付いたら、次は開業に向けて旅館業の営業許可を取得する準備をしていきましょう。

旅館業の営業許可までの道のりは険しい!?

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旅館業の営業許可を得るまでのプロセスは各自治体で異なります。今回は東京都の大田区での開業を想定して、その道程を説明します。

大田区で旅館業を始めるには保健所の許可が必要です。許可申請の前に、事前に相談に行きましょう。大田区のホームページにも「必ず事前にご相談ください」と記載してあります。

事前の相談や確認時に必要となる、大切な書類が図面です。もし、古民家や町家などの古い建物を物件として考えているとしたら、図面を手に入れることは難しいかもしれません。元々の図面が手に入ったとしても、その間に改築が行われている場合は現状と図面が合わないことになります。図面がない場合、建築士などの専門家に依頼して図面を起こす作業が必要になります。

大田区のホームページでは相談から許可までのプロセスを下記のように説明しています。

1, 事前相談
2, 図面による事前確認
3, 建築確認申請(建築審査課)、消防法の検査の相談(管轄の消防署)
4, 許可申請
5, 実地検査(保健所)
6, 保健所長から消防署長に確認
7, 許可(許可書交付)
8, 営業開始

また、下記の書類を揃える必要があります。

・旅館業営業許可申請書(手数料はホテル・旅館30,600円、簡易宿所16,500円)
・構造設備の概要
・申告書
・営業施設を中心とする半径300メートル以内の見取図
・建物の配置図、正面図及び側面図
・営業施設の各階平面図
・電気設備図
・客室にガス設備を設ける場合にあっては、その配管図
・換気設備図又は空気調和設備図
・給排水設備図
・法人の場合は、定款または寄付行為の写し及び登記事項証明書(6か月以内のもの)

参考:旅館業(大田区ホームページ)

書類を揃えるだけでも時間がかかることがわかります。折角開業を試みたけれど、断念してしまう方もいらっしゃるかもしれません。外国人旅行客の増加による宿泊施設の不足や2020年の東京オリンピック開催を視野に、規制緩和の動きも見られます。

参考:旅館業に関する規制について(厚生労働省)

規制緩和の一つが玄関帳場の設置です。玄関帳場はいわゆるホテルのフロントのことです。旅館業の中でホテル営業や旅館営業では、設置が義務付けられていますが、簡易宿所では義務付けられていません。ただし、自治体の条例で求めている場合があります。厚生労働省では各自治体に条例の弾力的な運用や改正の検討を要請しているようです。

フロントを設置するかどうかは、ゲストハウスの間取りや運営時の導線を考える上で重要なポイントになります。営業許可を申請する自治体ではどのような条例を定めているのか、また改正に向けた動きがないかどうか確認をするようにしましょう。

折角開業まで辿り着けたのなら、日々の経営もなるべく不必要な労力を省き、宿泊者とのコミュニケーションに時間を掛けたいのではないでしょうか。

SquareではスマホやタブレットなどのスマートデバイスをPOSレジとして利用できるアプリやICカードリーダーを提供しています。また、電子レシートの発行にも対応しているので、プリンターなどの用意が必要ありません。

参考:支払いもおもてなし。ホテルや旅館にもクレジットカード決済を導入しましょう。

これまでゲストハウスの稼働率があまり高くないことや、営業許可を得るまでの大変さについて説明してきましたが、経営者の個性を活かしやすく、ゲストハウスはシティホテルやビジネスホテルとは違った魅力を持った宿泊施設であることは間違いありません。

ぜひ魅力的なゲストハウスの開業を目指してみてはいかがでしょうか。

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