出版社や編集プロダクションで編集の仕事をしている際に、「編集者として独立し、自分の企画で本や雑誌を作り上げたい」と思うことがあるかもしれません。さまざまなライターやカメラマンと一緒に一つのものを作り上げる楽しさを知り、そこに「自分」の感性をもっと活かしていきたい、と独立を考える人もいます。
今回は、独立を目指す編集者のために、編集業界の展望や、独立に必要なものや手続き、求められるスキルなどを説明します。
編集者の将来は明るい?
これまで、紙媒体がメインだった編集者の仕事ですが、出版不況などでこれまでと同じ方法では仕事が成り立たなくなってきているようです。その一方で、ウェブメディアや電子出版、イベントや企画展示など、紙媒体以外に編集の力が求められる場面は増えつつあります。
これからの編集者は、これまで以上に多岐に渡る仕事に携わることが予想されます。10年後、今はない新たなメディアで活躍するなど、編集とは関係ないように思われていた業界で仕事をしているかもしれません。
独立に必要なものは?
編集者として独立する際、資格や設備など、特に必要なものはありません。強いていえば、どこでも仕事ができるようにノートパソコンやタブレット端末などがあれば便利です。モバイルWi-Fiなど出先でインターネットに接続できる環境も整えておきましょう。
また、独立後に重要になってくるのが、「人脈」です。ライターやカメラマン、デザイナーなど、さまざまな分野のプロフェッショナルと一緒に仕事をしていきます。そのため、企画に合わせ、もっとも適したプロとつながりを持つことが大切です。
独立に必要な手続き
編集者として独立する際の手続きは、個人事業主として独立する場合と、会社を設立する場合で異なります。
個人事業主として独立する場合は、
・開業届
・青色申告承認申請書
を税務署や都道府県に提出します。
開業届は、個人事業主として事業を始めたことを届け出るものです。
青色申告承認申請書は、青色申告をするために必要な書類で、申告をする年の3月15日までに出さなければなりません(ただし、開業から2カ月以内は申請可能)。青色申告は、帳簿の記帳方法が難しいなどのデメリットもありますが、赤字を繰り越せる、青色申告特別控除があるなどのメリットがあります。
積極的に営業活動を行い、従業員を雇用してある程度の規模にしたい場合は、会社設立も有効です。会社設立を考えている場合は、法人登記などの手続きが必要です。
会社を設立する場合は、法務局への届け出が必要です。おおまかな流れは以下になります。
1,資本金の準備、社名や事業計画の決定
2,定款の作成と認証
3,資本金の払込
4,登記書類の作成
5,登記申請
6,税務署への届け出と社会保険の手続き
会社設立の場合は、株式会社や合同会社など、設立する会社によって手続きや登録費用が異なります。
独立後の編集者に求められるスキル
編集者に求められるスキルは、独立前と後で大きく変わることはありません。しかし、独立後は総務や経理、人事などの業務もこなすようになるため、より幅広いスキルが必要になるといえます。
・マネジメント力
さまざまなスキルを持つ人をつなぎつつ、スケジュールを調整・管理しながら、一つの企画を形にする、編集者の仕事。関わる人のタイプにあわせながら、指示・調整をし、全体をまとめ上げる能力が求められます。
・コーディネート力
自分で企画を立案する場合でも、クライアントから企画を依頼される場合でも、企画を形にするために、どんな人が必要で、どのようにつないでいくか、を構築するコーディネート力が重要です。デザイナー、ライター、カメラマンなどの人材は、分野による得意不得意があります。
独立前にさまざまな人とつながりを作り、協力してくれる人材の幅を確保しておきましょう。さらに、クライアントとのネットワークも作っておくと、スムーズに仕事を進める助けになります。小さなつがなりも大切にしておきましょう。
・マーケティング力・プロモーション力
編集者は、企画した本を出版すればよいというわけではありません。多くの人の手に取ってもらうために、どんな人に届けるのか、どのような場所で、どんなプロモーションをするか、などの戦略も必要です。世の中の動きや、トレンドなどにアンテナをはり、新しい提案ができる編集者であれば、次の依頼につながります。
・専門知識
一つの企画の質を高めていくためには、専門的な知識も求められます。「料理が得意」「絵に詳しい」「写真が趣味」など、より深い知識があれば強みになります。専門的なことをいかにわかりやすく表現し、まとめていくか、が編集者の技量を試されるところです。また、他の編集者と差別化できるポイントでもあります。
・分野を超えた知識、技術、理解
「専門知識を持つ」とは相反するように見えますが、広い分野の知識や技術を持っていることも、編集者に求められるスキルです。プロのデザイナーやカメラマンと同じ技術をもつ必要はありませんが、作業内容やポイントなどを抑えておくことは重要です。マーケティングの視点でデザイナーに修正を依頼する、などができるようになれば、クライアントからも、協力者からも信頼がアップします。
また、ITの知識も必要です。出版業界も電子化がすすむ時代。電子書籍についての知識を持っていれば、仕事の幅は広がっていくでしょう。ウェブメディアの編集者に求められる、SEOやソーシャルメディア、動画メディアもわかる編集者であれば、活躍の場はまだまだ多いはずです。
独立後に活用したい便利なサービス
編集者の仕事は、企画、進行管理、プロモーションの戦略立案など、今後どんどん広がっていくと予想されます。忙しい中でどうしてもやらなければいけないのが、請求書の作成、発行などの手続きです。会社勤務のときは、経理担当にまかせておけばよかったかもしれませんが、独立後は自分の仕事です。
発行が遅れると入金も遅れキャッシュがなくなる、という事態に陥ることも考えられます。クライアントからの信頼喪失にもなりかねないので、請求書の発行は滞りなく行いたい業務です。
最近では、請求書の作成、発行をクラウドで管理するサービスが登場しています。フリーランスで仕事をする多くの人が、これらのサービスを活用し、時間をかけずに請求業務を行っています。
そんなサービスの一つが、Square 請求書です。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末から請求書が作成でき、そのままクライアントにメールで送付できます。メールを受け取ったクライアントはその場でクレジットカードを使って支払いができます。支払い状況の管理もできるので、独立した編集者の効率的な経理業務に有効なツールになってくれます。
請求書が何通でも無料で作成・送信できるのもSquare 請求書の大きな特徴です(※)。必要なのはSquareの無料アカウントだけ。必要に応じてより細かなカスタマイズに適した有料プラン(Square 請求書 Plus)に切り替えることもできます。まずは専用のアプリをダウンロードして、使い心地を試してみてはいかがでしょうか。
※決済ごとに発生する決済手数料を除く
編集者は、外部での打ち合わせなど、外出が多いものです。合間の時間を使って請求書発行や入金確認ができるクラウド請求書サービスは、業務効率化に力を発揮してくれます。独立を成功させるためのツールとして、ぜひ、導入を検討してみてください。
執筆は2018年9月12日時点の情報を参照しています。2021年10月1日に記事の一部情報を更新しました。
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