チップ制度のメリットとデメリット

海外旅行の際に、チップの習慣に戸惑った経験をしたことがある人もいるかもしれません。

日本ではあまり馴染みのないこのチップという習慣。今回は、チップについてその意味や由来などと併せて、メリットとデメリットを紹介します。

目次



チップとは

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チップとは、ホテルやレストランなどにおいて従業員によるサービスに対して、任意で支払われる金銭をさします。国によって異なりますが、チップは支払われて当たり前の国から日本のようにチップ不要の国までさまざまです。

レストランのチップの相場は、料金の10~15%が多いようですが、国によってはラウンドアップという一つ上の切りの良い数字で支払うこともあります。たとえば、8.5ドルであれば10ドル、12.7ドルであれば15ドルを支払います。また、お会計にサービス料が含まれている場合はチップを支払う必要がないので、伝票をよく確認しましょう。

クレジットカードでチップを支払う場合は、払いたい金額を書き込むか、「For Service XX%」と自分でパーセントを指定する場合もあります。無記入の場合、お店側で勝手に金額を記入してしまうこともありますので、必ず忘れずに記入するよう注意しましょう。

同じ国でも、地方ではチップの習慣がないけれど大都市では当たり前など、地域によって違うことがあります。また、人によってあげる人とあげない人がいたりと差があるようです。

日本ではホテルや旅館、レストランを利用する場合、サービス料が利用料金に上乗せされていることが多いため、チップの習慣は定着しなかったようです。

しかし、チップの習慣がある国々では、国によっても異なりますが、このサービス料が料理や宿泊代に含まれていません。料理代は料理のみ、宿泊代は客室の利用のみに料金を支払う仕組みに近い形になっています。レストランでいうと、料理には料金があらかじめ決められていますが、それに伴うサービスには料金が決められていません。この変動するサービス料の部分がいわゆるチップという形で支払われるのです。

チップを当然とする国々では、ウエイターやウエイトレスの給与の一部を、雇用主からではなくその顧客から受け取るという仕組みになっています。義務に近い感覚でサービスに対してチップを支払うという国もあります。日本でいう「感謝の気持ち」ではなく、サービスの対価として支払われるのです。

チップの文化が生まれた歴史

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チップの由来にはさまざまな説があります。たとえば、イギリスの床屋で生まれたという説では、当時床屋で行われていた悪い血を抜き取る「血抜き」というサービスの料金が定まっておらず、客が出せるだけの料金を箱にいれることになっていました。 この箱の表に「To insure promptness(迅速さを保証するために)」と書かれており、頭文字をとって「TIP(チップ)」となったという説があります。また、イギリスのパブでビールや食事などのサービスを迅速に受けたい人のために、同じく「To Insure Promptness 」と書かれた箱を置き、そこにお金を入れさせたことに由来するという説もあります。もしくは、フランス語やドイツ語のチップに当たる言葉が「酒を飲むためのお金」を意味することから、給仕係にサービスに対する報酬として「これで酒でも飲んでくれ」という意味合いを込めて渡していたのがチップの習慣の始まりだという説もあるようです。

参考:チップの預け方〜相場や文化について(日本インターネット相互会)

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チップ制度を導入するメリットとデメリット

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もし日本でもチップ制度を取り入れた場合、経営者や従業員にとってどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

メリット

従業員のモチベーションが向上する
お客様のことを考えて行動した結果として、笑顔や「ありがとう」をもらえるだけでなく、目に見える感謝の気持ちとしてチップをもらえたら、従業員はお客様により良いサービスを提供しようとするかもしれません。従業員のモチベーションアップは、顧客満足度の向上にもつながります。

外国人観光客のカルチャーショックを避ける
チップの習慣がある国から来た観光客は、良いサービスに対して金銭的な対価を払うのは当然と考えています。そのような気持ちからくる報酬を、受け取れないのは失礼にあたることもあります。もしかしたら、日本語で「美味しかった」「嬉しかった」「楽しい時が過ごせた」などの表現ができない代わりにチップを渡している人もいるかもしれません。たとえ悪気はなくとも、文化の違いでお客様が不快な思いをしないよう注意が必要です。

デメリット

従業員間に不公平感が生まれる可能性がある
チップの額はお客様の「感謝の気持ち」を表したものなので、お客様の気分次第であることが否めません。そのため、チップをもらえる従業員ともらえない従業員、多くもらえる従業員と少ない従業員など不公平感が生じる可能性があります。従業員のモチベーション向上が期待できるチップ制度ですが、不公平感が生まれた場合、かえってモチベーションが下がる可能性があります。

職業倫理に反する可能性がある
チップ制度の導入は、業種によっては職業倫理に反する可能性があります。たとえば、医療機関では、正規の治療費以外の報酬を受け取ることになれば、職業倫理に反するという議論があります。

また、税務上の対応や社内でのルールなど導入にはさまざまな事項を検討する必要があります。

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執筆は2018年2月21日時点の情報を参照しています。2023年6月27日に記事の一部を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash