起業準備には必須!社名や屋号を決めるときのポイント

これから起業をする人にとって、重要なことのひとつである「ネーミング」。会社やお店は名前次第で、受けるイメージが大きく変わります。センスの良い名前や覚えやすい名前を付ければ、お客様やクライアントにすぐ覚えてもらえて、かつ忘れられずに済むというメリットがあります。

以前、「他店と差別化を!飲食店の店名決め方アイデア集」の記事で、店名を決めるヒントを紹介しました。今回は、主に手続きなども含めて、社名や屋号を決定するときのポイントを紹介します。

社名や屋号を決める手続き

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名前に関する手続きは、法人を設立するか、個人事業主としてビジネスを行うかによって異なります。

(1) 法人を設立する場合

法人を設立する場合、法務局で法人登記を行います。登記をする際には、必ず「商号」を記載します。ここでいう「商号」とは、会社名のことです。

つまり、法人を設立する際には、必ず会社名が必要となります。

その他の手続きに関しては、「起業の前に知っておきたい!会社の違い」の記事を参考にしてみてください

(2) 個人事業主としてビジネスを行う場合

法人を設立せずに個人事業主としてビジネスを始める場合は、税務署に「開業届」を提出する必要があります。

参考:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁)

この開業届には、「屋号」を記載する欄がありますが、空白のまま提出しても問題はありません。「屋号」とは、個人が経営するお店や事務所の名前のことです。

つまり、個人で事業を行う場合は、必ずしも名前を付ける必要はありません。事業主の個人名のままビジネスを行うことも可能です。

しかし、個人名でビジネスを行いたくない場合や、クライアントに覚えてもらいやすい名前にしたい場合は、屋号を付けた方が良いでしょう。

屋号を付けた場合は、銀行によって条件は異なりますが、屋号付きの銀行口座を開設し、プライベートのお金と区別して金銭を管理することができます。税務署への確定申告の際にも、屋号を記載して手続きをすることが可能です。

また、ネットショップの場合、個人名義の口座に代金を振り込むことに不安を感じるお客様もいるかもしれません。屋号の付いた口座の方が、お客様も安心することがあるでしょう。

社名や屋号を決定する際に気をつけること

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それでは、どのようにして社名や屋号を決定したらよいのでしょうか。

社名や屋号は、自由に付けられるわけではありません。社名や屋号を付ける際のルールを紹介します。

(1) 会社には「会社」という文字を入れなければいけない

株式会社を設立する場合は、「株式会社」を、合同会社の場合は「合同会社」という文字を必ず入れなければいけません。

「株式会社」という文字は、最初でも最後でもどちらでも構いません。口に出して読みやすいかどうか、文字としてのバランスが良いかどうか、などの点を考慮して決定します。

(2) 会社でない場合は「会社」という文字を使ってはいけない

個人事業主としてビジネスを行う場合は、「株式会社」や「合同会社」という文字を使ってはいけません。「法人」という文字を使うことも禁止されています。

(3) 他社が登録している商標を使わない

社名や屋号として、既に他社が登録している商標を使わないようにしましょう。「商標」とは、商品やサービスの目印となるようなトレードマークのことです。「真似された」と問題になるリスクがあるためです。

自分が使いたい名前が商標として登録されているかどうかは、以下のウェブサイトで調べることができます。他社の商標を侵害すると、罰金や損害賠償の対象となります。必ず確認しておきましょう。

参考:称呼検索(特許情報プラットフォーム)

(4) 広く周知されている会社の名前を真似してはいけない(著名表示冒用行為)

他社のブランド力を利用して儲けようとするただ乗り行為を防ぐために、不正競争防止法では「たとえ商標登録がされていなくても、広く周知されている会社・ブランド・商品と同じ名前や似た名前を使ってビジネスをしてはいけない」と定めています。

全く同じ名前でなくても、その会社をイメージさせるような名称は使ってはいけません。誤解を招くおそれがある場合は使用しないことが得策です。

参考:不正競争防止法(経済産業省)

(5) ローマ字を用いてもよい

平成14年に商業登記規則が改正され、会社名としてローマ字を用いることができるようになりました。ローマ字であれば、大文字でも小文字でも使うことができます。ローマ字と日本語を混合した名称を用いることもできます。

その他にも、アラビア数字や「&」「’」「,」「-」「.」「・」などの記号も使うことができます。

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途中変更する場合の手続き

やむをえず社名や屋号を途中で変更する場合は、どうしたらよいのでしょうか。

社名や屋号を途中で変更することは可能です。しかし、次のような手続きが必要です。

(1) 法人の場合

社名変更の際には主に下記の行政機関に報告をする必要があります。

・法務局
・税務署
・都道府県税事務所
・市区町村
・年金事務所
・労働基準監督署
・公共職業安定所

手続きの際には、各機関の情報を確認するようにしましょう。

その他、 各金融機関への届け出やお客様へのお知らせ、印鑑や名刺、封筒、看板、ウェブサイトなど社名を使っているアイテムの変更が必要です。

(2) 個人事業主の場合

法人と違い、税務署に屋号変更届などの提出をする必要はありません。確定申告の際に変更後の屋号を記入して申告書や決算書を提出することで、完了します。また、開業届を出し直しても受領されます。

社名や屋号を決めるときのヒント

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名前の候補の中から、なかなかひとつに絞りきれないことがあります。適切な名前を選ぶには、どのような点に留意すればよいのでしょうか。

(1) 書きやすさ、言いやすさ

「お世話になっております。◯◯の△△です」と、社名や役職名を書いたり、口にしたりする機会は一日に何度もあるのではないでしょうか。その際に難しい文字や発音のしにくい文字を使った名前よりも、変換しやすい名前や言いやすい名前のほうが良いかもしれません。

(2) ドメインの取得

最近では起業の際にウェブサイトを作成することも多いのではないでしょうか。会社名や屋号に合わせたドメインを取得できるかどうかを事前に調べておきましょう。

(3) 似たような名前の会社やお店があるか

似たような名前の会社やお店があるかどうか、調べておきましょう。現在は営業していない会社やお店でも、過去に似たような会社やお店があった場合は、どのような事業を行っていたかを調べておくことが大切です。

似たような名前のお店が犯罪に巻き込まれていた場合や、倒産していた場合は、混同されるおそれがあります。似たような名前の会社やお店についてどのような評判が立っているのか、必ず事前に調査しておくことをオススメします。

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執筆は2018年2月22日時点の情報を参照しています。
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