経営者の数だけビジネスの内容もやり方もさまざまですが、関わるすべての人が気持ちよく公平にサービスを提供・利用できるよう、守らなければならないルールがあります。
業種や提供するサービスの内容によって必要になる許認可や届出は異なります。後のトラブルを避け、健全にビジネスを続けていくためにも、事前にきちんと理解をしてスムーズに手続きを行いましょう。
この記事では、これから新しく事業を始めようと思っている方向けに、主な業種ごとに必要な許認可をまとめました。
許認可とは
許認可とは、事業を始めるために、国や都道府県、警察署、保健所などの行政機関から得る許可や認可のことを指します。開業時だけでなく、事業内容に変更が生じた時も、新たに許認可を得る必要がある場合もあります。
許認可の中には、必要書類を担当窓口に届け出たり、情報を登録することで開業や営業の許可が下りるものもあれば、それぞれの業種によって定められている要件を満たすことで認められるものもあります。また、美容院や薬剤師など、専門技術を活かして事業を行うためには、十分な能力や技術を保持していることを証明する資格や免許の取得が条件となる許認可もあります。
許認可の種類は、対象(個人、法人、団体など)によって分けられており、関連する法令も異なります。
必ずしもビジネスに関わらなくても、例えば個人の場合、最も分かりやすい身近な例として自動車運転免許が挙げられます。日本では、道路交通法に則り、国家公安委員会の管理監督の下で個人に免許が交付されます。
法人や個人事業主などは、業種によって必要となる許認可の種類や手続き内容、関連する法令は更に細かく分かれています。認可を取得しない状態で営業すると、当然のことながら罰則対象となり事業の継続が難しくなってしまいます。
許認可の取得が必要かどうか、自分のビジネスにはどのような許認可が該当するのか、また、許認可を得るためにはどのような書類が必要かを正しく把握し、書類の不備や手続きの不手際などで開業に遅れが出たり事業が中断することのないように注意しなければなりません。
主な業種に必要な許認可
スムーズな開業に向けて、ご自分のビジネスが該当する許認可や必要な手続について確認してみましょう。
業種 | 許認可・届出 | 担当窓口 | 許認可権者 |
---|---|---|---|
不動産業 | 宅地建物取引業免許 | 整備局 | 国土交通大臣または都道府県知事 |
建設業 | 建設業許可 | 各都道府県 | 国土交通大臣または都道府県知事 |
旅行業 | 旅行業登録 | 運輸局または各都道府県 | 観光庁長官または都道府県知事 |
旅行代理業 | 旅行業者代理業登録 | 各都道府県 | 都道府県知事 |
タクシ-業 | 一般乗用旅客自動車運送事業許可 | 運輸局 | 国土交通大臣 |
トラック運送業 | 一般貨物自動車運送事業経営許可 | 運輸局 | 運輸局長 |
自動車分解整備業 | 自動車分解整備事業認証 | 運輸局 | 運輸局長 |
倉庫業 | 倉庫業登録 | 運輸局 | 国土交通大臣 |
飲食業 | 飲食店営業許可 | 保健所 | 都道府県知事 |
お酒の販売 | 酒類販売業免許 | 税務署 | 税務署長 |
たばこの販売 | たばこの小売販売業許可 | たばこ産業株式会社 | 財務局長 |
医薬品販売の販売 | ・薬局開設許可 ・店舗販売業許可 |
保健所 | 都道府県知事 |
美(理)容院 | 美(理)容所開設届出 | 保健所 | 都道府県知事 |
クリ-ニング業 | クリーニング所開設届出 | 保健所 | 都道府県知事 |
旅館・ホテル | 旅館業営業許可 | 保健所 | 都道府県知事 |
人材派遣業 | ・一般労働者派遣事業許可 ・特定労働者派遣事業届出 |
労働局 | 厚生労働大臣 |
介護事業 | 介護事業 | 各都道府県 | 都道府県知事 |
産業廃棄物処理業 | ・産業廃棄物収集運搬業許可 ・産業廃棄物処分業許可 |
各都道府県 | 都道府県知事 |
警備業 | 警備業認定 | 警察署 | 公安委員会 |
探偵業 | 探偵業の届出 | 警察署 | 公安委員会 |
スマホやタブレットでカード決済を受け付ける
Squareでカード決済事前確認は念入りに
当然のことながら、前項に挙げた業種と許認可が全てではありません。例えば、飲食業と一口にいっても、深夜にお酒を提供しようとする場合は、飲食店営業許可の取得の他に、警察署に「夜における酒類提供飲食店営業開始の届出」を届け出る必要があります。また、スムーズな手続きのために、店舗の着工前に店内のレイアウトなどを示した図面を保健所に持参して事前相談することも欠かせないステップの一つです。
飲食店開業に必要な資格や届出について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
美容院開業にも届出の他に必要な手続きがあります。美容法では、美容師として働く従業員が常時二人以上の場合、店ごとに管理美容師を置くことが定められています。管理美容師になるためには、美容師免許を取得して三年以上の勤務経験があり、特定の講習会の課程を修了しているなどの条件が定められています。
この他にも、業種が多岐に渡ったり、営業形態などに少しでも特殊な点(営業時間や取り扱い商品の種類など)があったら事前確認は特に意識して行いましょう。そのためにも、それぞれの許認可の根拠となる法令の内容をよく理解しておくことが重要ですが、法律や条例などは書き方も難しく、正確な理解は難しいと思うかもしれません。周囲に同じ業種で事業を展開している経営者や、経営や法律の専門家に相談してみるのもいいでしょう。
大切なのは、後のトラブルを防ぐことです。間違った理解や手続き漏れに気づかないまま事業を続けてしまいうと、トラブルが発覚した時には罰金や営業停止などで事業に大きな損害を与えることになりかねません。事前理解をしっかり深め、時間もお金も労力も節約して、スムーズな開業を目指しましょう。
執筆は2017年5月22日時点の情報を参照しています。
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