人気動画を生み出すソーシャルメディア「TikTok」のビジネスアカウントは、ビジネスの宣伝やマーケティングにも使える無料サービスです。TikTokをビジネスに導入するメリット、ビジネスアカウントの特徴、使える機能などを探ってみましょう。
TikTokの新規登録からビジネスアカウント開設までの手順、ECサイトなどのURLのリンク方法も解説します。
📝この記事のポイント
- TikTokは世界で10億人以上のMAUを持つ人気SNSで、日本でも全年代で利用が拡大している
- 2024年の日本国内でのTikTok経由消費は2,375億円、GDP貢献は4,855億円、雇用創出は約4.2万人にのぼる
- 無料で分析や外部リンク機能を活用できる一方、商用楽曲制限や炎上リスクがあり注意が必要
- ユーザーを巻き込む企画、広告色を抑えた自然な動画、ターゲットに合ったコンテンツ設計、毎日の投稿とデータ分析の活用が成果に
- Squareは初期費用無料でECサイトを開設可能。TikTokのプロフィールや動画と連携すれば、低コストで商品販売や集客に直結する
目次
- TikTokについて
- TikTokビジネスアカウントとは
- TikTokビジネスアカウントで利用可能な機能
- TikTokビジネスアカウントを利用する五つのメリット
- TikTokビジネスアカウントを利用する二つのデメリット
- TikTokビジネスアカウントと個人アカウントの使い分け方
- TikTokアカウント運用のポイント
- TikTokビジネスアカウントの設定手順
- まとめ
TikTokについて
TikTokはショート動画をコンテンツとし、世界で約10億人の月間アクティブユーザー数(MAU、2021年9月時点)1を抱える人気のSNSです。総務省の調査2によれば、最も多いユーザー層は10代から20代ですが、次いで30代から40代の利用者も多く、全年代で利用者数が増加傾向にあります。
TikTokの投稿動画は若年層だけでなく広範な年代で影響力を増しつつあり、マーケティングや認知拡大への利用価値の高さがうかがえます。
TikTokが2025年6月に発表した調査レポート3からその経済的・社会的影響を見てみましょう。
📊経済的インパクト
| 推定消費額 | 2,375億円 |
| 国内名目GDP貢献額 | 4,855億円 (直接2,288億円/間接727億円/誘発1,840億円) |
| 創出された雇用 | 約4.2万人 |
📱ユーザー行動
| 直近1年以内に利用 | 31.6%(全国15〜69歳) |
| ほぼ毎日視聴 | 61.5% |
| コンテンツを見て商品購入経験あり | 33.9%(60代でも19.5%) |
| TikTokをきっかけに行動した | 58.6% (観光地訪問36.5%、飲食店訪問36.0%、予定外購買30.0%) |
🛒中小企業への効果
| 国内名目GDP貢献額 | 1,094億円 |
| 雇用創出 | 9,700人 |
| マーケ担当者の声 | 認知度向上45.6% 新規顧客獲得35.0% |
TikTokビジネスアカウントとは
TikTokのユーザーアカウントには、「個人アカウント」と「ビジネスアカウント」の2種類があります。一般ユーザーが個人で投稿や視聴を楽しむ目的で使う個人アカウントに対し、ビジネスアカウントではTikTokのビジネス向けの機能を利用することができます。
TikTokのビジネスアカウントは企業はもちろん、個人事業主やこれからビジネス活動を展開していこうと考える人など個人でも利用でき、大手企業や個人経営の店舗、ブランドなど、既に多くのビジネスアカウントが運用されています。個人アカウントからの切り替えもできるため、既にTikTokを利用中の人が既存アカウントをビジネス用に使いたいというケースにも対応可能です。
加えて、無料で多彩な機能を利用できる点がTikTokビジネスアカウントの特徴です。
前述のレポート3によれば、中小企業の国内名目GDPに対するTikTokの直接的な貢献額は1,094億円にのぼると推計されており、産業別の内訳は以下のようになっています。
| 産業 | 貢献額 |
|---|---|
| 💇♀️ 個人向けサービス (飲食店・美容室・エステ等) |
341億円 |
| 🛫 旅行・レジャー | 269億円 |
| 👗 ファッション・コスメ | 147億円 |
| 🛋️ 家電・家具 | 124億円 |
| 🍜 飲食料品 | 50億円 |
| 📦 その他消費財 | 32億円 |
| 💳 金融・保険 | 51億円 |
| 📱 情報通信 | 80億円 |
| 🏦 合計 | 1,094億円 |
飲食店、美容室、エステなどを含む個人向けサービスと旅行・レジャーの分野で、TikTokの影響が大きいことがわかります。
TikTokビジネスアカウントで利用可能な機能
TikTokのビジネスアカウントでは、具体的に以下の機能を利用できます。自分のニーズとマッチする場合は、ビジネスアカウントの利用を検討する価値があるといえます。
アカウントのカテゴリー選択
ビジネスアカウントでは活動ジャンルを設定すべく、以下の例のような「カテゴリー」を選択できます。
- 芸術・工芸
- 赤ちゃん
- 衣類・アクセサリー
- グルメ&ドリンク
- ショッピング・小売
- レストラン・バー
- ゲーム
- 健康
- ペット
カテゴリー設定により、同カテゴリーの動画を好むTikTokユーザーに対して投稿が表示されやすくなり、ビジネスや商材に興味を持ってもらえる可能性が高まります。個人アカウントにはアカウント自体のカテゴリーを設定する機能はなく、ビジネスアカウントだけの機能です。
プロフィールに外部リンクを設置
TikTokのビジネスアカウントでは、公式ウェブサイトや問い合わせ先の情報などの外部リンクを設置できるため、投稿に興味を持ったTikTokユーザーがアクセスしやすくなります。外部リンクはプロフィール画面に設置可能です。
前述のレポート3からは、TikTokをきっかけにユーザーが以下のような行動を起こしていることがわかっています。
| 行動内容 | 割合 |
|---|---|
| 🏞️ TikTokで紹介された観光地・お出かけスポットを訪れた | 36.5% |
| 🎨 新たな趣味を見つけた(運動・読書・ハンドメイド等) | 36.2% |
| 🍜 TikTokで紹介された飲食店を訪れた | 36.0% |
| 🛍️ TikTokの動画を見て予定外の購買をした | 30.0% |
投稿動画の分析データの利用
投稿動画の合計再生時間、合計および平均の視聴回数、トラフィックソースの種類、視聴者の国別所在地などの分析データを確認することができるのも、TikTokビジネスアカウントだけの機能です。ポイントは投稿動画ごとの分析データがリアルタイムで見られる点で、「どの投稿がより狙った効果が出たか」が分かります。
インサイト分析の活用
フォロワー数の増減やプロフィールの閲覧回数といった、TikTokユーザーのインサイト分析データも見られるビジネスアカウント。曜日や時間帯ごとの投稿動画の再生回数も確認でき、インサイト情報を元に視聴数が伸びやすい時間帯を選んで投稿することでさらにユーザーの目に止まりやすくなります。
商用楽曲ライブラリーの利用
TikTokで動画とともに再生する音楽は、動画を印象付ける有効な手段です。個人アカウントと異なりビジネスアカウントでは「商用利用可能」な楽曲のライブラリーが用意され、著作権侵害を気にすることなくその中から選んだ楽曲を利用できます。
個人アカウントのように好みや流行の曲を自由に使えるわけではありませんが、ビジネスアカウント用の楽曲ライブラリーには50万曲以上が登録されているので選択肢は十分です。

TikTokビジネスアカウントを利用する五つのメリット
既に少なくない数の企業がTikTokに参入してビジネスアカウントを運用している背景には、ビジネスにおけるTikTokの利用価値として注目すべき五つのメリットがあります。
1.運用コストをかけずにマーケティング活動ができる
TikTokビジネスアカウントの利用は無料です。訴求力の高い動画コンテンツとTikTokというプラットフォームの人気を生かしたマーケティング活動が無料でできれば、大きな価値創出が期待できます。
コスト面での負担がないことで、TikTokビジネスアカウントはスモールビジネスや個人事業主にとっても利用しやすいマーケティングツールといえます。
ちなみに、前述のレポート3によればTikTokを活用している企業のマーケティング担当者のうち84.5%が「今後も引き続きTikTokを利用したい」と考えているそうです。
2.簡単に動画投稿ができる
TikTokのプラットフォーム上には、ビギナーでも迷わずに使える動画編集の機能が搭載されています。そのため、専用の動画編集ソフトなどを購入することなく、気軽に投稿が可能です。
ビジネスアカウントではTikTokアプリから「ビジネスクリエイティブガイド」という情報にアクセスでき、動画撮影の方法や投稿のタイミングに関するアドバイスやヒントも得られます。
3.投稿動画が拡散・共有されやすい
視聴ユーザーにとってTikTokは、趣味嗜好に合う動画が「おすすめ」として表示され、興味のある投稿を見つけやすいSNSです。これは、投稿動画とユーザーとのマッチング機能がシステム化されているためで、ビジネスアカウント利用者にとってはターゲットオーディエンスにリーチしやすいメリットがあります。
多くのユーザーが気に入った投稿動画は、「いいね」の評価やコメントを付けられたり、繰り返し視聴されたり、人に共有されたりします。こうしてさらに多数のユーザーの目に触れ、投稿が拡散され、マーケティング効果が高まります。
4.幅広い年齢層にリーチ
TikTokユーザーの中心は10代から20代ですが、利用者数も利用年齢層も拡大中です。特に、インターネット上の情報に対する感度の高い人や動画メディアに親和性の高い人が今後もTikTokを利用すると考えられます。トレンド感や直感的な魅力を伝える動画ならではの訴求力で、幅広い年齢層に対しビジネスアカウントでアプローチしていきたいところです。
前述のレポート3によれば、「今後も引き続きTikTokを利用したい」と考えている企業の中で、継続する理由として挙がったのは「10代~20代の若年層へのアプローチのしやすさ(52.9%) 」と「30代~40代へのアプローチのしやすさ(44.3%)」でした。
5.一般ユーザーの投稿となじみやすい
個人アカウントが投稿するダンス動画も、ビジネスアカウントが投稿する動画も、アカウントの区別なく注目される可能性があるのがTikTokの特徴です。
ビジネスアカウントの動画のクオリティーがTikTokの雰囲気にマッチしていれば、いかにも宣伝やマーケティングという印象になりにくく、一つのプラットフォームの中のコンテンツとして拡散や共有の可能性があります。
TikTokビジネスアカウントを利用する二つのデメリット
TikTokのビジネスアカウントを利用する際に注意すべき点は、個人アカウントとの機能の違い、そしてSNSのビジネス利用におけるリテラシーの2点です。
1. 商用ライセンス未取得の楽曲は使用不可
TikTokで人気の投稿動画には、トレンドの楽曲を使用しているものも多く見受けられます。ただし、前述の通りビジネスアカウントの投稿で使えるのは、商用楽曲のライブラリー内の楽曲のみで選曲に制限があることを理解しておきましょう。
2. 炎上リスクがある
拡散力の強いTikTokでは、たった一つの投稿動画をきっかけにビジネスアカウントやビジネスそのものが批判を受けるといった炎上のリスクがあります。これはTikTokに限らずSNS全般に同じことがいえ、差別的な発言や投稿者の思い込みによる断定などが社会からの反発を招く可能性は常にゼロではありません。
しかし、投稿を見る一人ひとりのTikTokユーザーをイメージしながら、社会情勢を鑑み、誤解を招かない言語・映像表現を用いることで炎上リスクは回避可能です。

TikTokビジネスアカウントと個人アカウントの使い分け方
ビジネスアカウントを運用する際のメリットとデメリットを踏まえ、具体的にどのようなケースでTikTokのビジネスアカウントを利用すべきか考えてみましょう。
「分析データ」や「アカウントカテゴリー」を使用したい場合はビジネスアカウント
データ分析やカテゴリー設定が必要な場合は、ビジネスアカウントとしての運用がおすすめです。また、ビジネスアカウントではウェブサイトのURLや連絡先情報の追加登録もできるため、ユーザーとのインタラクティブな接点を持つことができます。
ECサイトを持つビジネスであれば、投稿でブランドや商材を紹介し、プロフィール内のECサイトのリンクからの購入を促すといったTikTokの使い方も可能です。販売促進やマーケティング施策の一環としてのTikTok利用には、ビジネスアカウントが有効と覚えておきましょう。
気軽に「ビジネスの認知」を拡大したい場合は個人アカウント
企業や個人事業主であっても、ビジネスアカウントでなく個人アカウントの利用が適したケースもあります。TikTokを使った企業やブランド、商品などの「認知」を目的とする場合です。
「まずは組織の存在や事業の概要を知ってほしい」というシンプルな目的でTikTokを利用するなら、使用楽曲に制限のない個人アカウントで、トレンドの楽曲を使いながら動画投稿を始めてみましょう。
TikTokアカウント運用のポイント
ビジネス活動の一つとしてのTikTokアカウント運用は、以下の四つのポイントを網羅することで効果が出やすくなります。
「ユーザー巻き込み型」のコンテンツやキャンペーン
TikTokユーザーが参加したくなるような、視聴者を巻き込んでリアクションを誘発する投稿を企画すると、ビジネスの存在感を高めることができます。思わず真似したくなるオリジナルのダンスやキャラクター、挑戦したくなるクイズやトリックなど、他のアカウントと差別化しつつユーザーを巻き込むコンテンツやキャンペーンを意識しましょう。
広告・公式らしさを排除した動画
公式サイトの企業紹介ムービーのような改まったビジネス感や、テレビコマーシャルのような広告らしさのある動画は、TikTok上ではユーザーの関心を引かず、スワイプして飛ばされてしまいがちです。他のメディアとTikTokの違いを理解した上で、一般ユーザーの投稿と並んでも違和感がないような親しみやすさやテンポの良さを感じさせつつ、独自性を出すことが動画制作のポイントです。
最近ではTikTokを活用する自治体も増えているようです。
群馬県のTikTokアカウント「tsulunos」では、県の魅力を発信するためにショートドラマや観光地紹介動画を積極的に投稿している。TikTokのアカウントを開設した背景には、ショート動画により特に若者へ群馬県の情報を届け、興味を持ってもらいたいという狙いがある。
– TikTok Socio-Economic Impact Report〜日本における経済的・社会的影響〜(2025年6月発行)
ターゲット層に合致する動画
動画作成前にターゲットを明らかにし、ペルソナを詳細に設定しておくことで対象者の心をつかむコンテンツに一歩近づきます。
たとえば、ターゲットを「40代女性」とするだけでは不十分で、「アパレル企業管理職の40代女性、家族は同年代の夫と小学4年生の女児で、趣味は韓国ドラマ鑑賞、休日は家族で買い物と料理」といった鮮明なペルソナを描きます。投稿動画の内容に加え、登場人物や言葉づかい、映像のエフェクト、テンポ、楽曲などもペルソナをイメージしながら決定可能です。TikTokに投稿した動画に対して思ったような反応が得られない場合は、ターゲット設定と投稿内容が合っているか見直してみましょう。
投稿と分析を毎日実施
定期的な投稿でファンをつかむべく、動画投稿は毎日行うことが理想的です。興味深い動画を頻繁に公開してフォロワーが増えれば、TikTokでの影響力が高まります。
加えて、ビジネスアカウントの機能であるデータ分析も毎日活用しましょう。動画の再生データはもちろん、インサイト分析でプロフィールの閲覧数の推移なども日々チェックすると、効果のある投稿時間帯や人気の動画の特徴などを理解できます。

TikTokビジネスアカウントの設定手順
いざTikTokでビジネスアカウントの利用を決定したら、以下のステップで新規登録、設定、投稿を行います4。
1. アカウント登録
TikTokの新規アカウント作成には、まず電話番号、メールアドレス、既存のSNSアカウントのいずれかを使って登録します。この際、生年月日の登録が必要ですが、プロフィール上には公開されません。なお、新規登録の時点では、個人アカウントとして設定されています。
2. ビジネスアカウントの設定
TikTokアカウントにログインした状態で、「プロフィール」の画面から「設定」をタップし、次に「アカウント管理」をタップします。そして「ビジネスアカウントに切り替える」を選び、続いてアカウントのカテゴリーも選択したら、ビジネスアカウントへの切り替えは完了です。ここまでできたらプロフィールを編集し、外部リンクのURLなども記載して設定を終了します。
3. 動画投稿
投稿は、スマートフォンアプリまたはパソコンのインターネットブラウザから行うことができますが、ブラウザ版は機能が制限され、動画の投稿はできても編集ができません。パソコンを使う場合は、別の動画編集ソフトウェアなどで編集したものを投稿しましょう。
スマートフォンアプリの場合は、「+」のアイコンをクリックすると投稿画面に遷移します。投稿したい動画を選択したら、動画の長さや内容を自由に編集し、楽曲を選び、ハッシュタグやキャプションを入力して投稿します。
TikTokでは一度投稿した動画を再編集・修正することはできませんが、キャプションは投稿後にも編集可能です。
まとめ
TikTokの動画ではビジネスの魅力をさまざまな角度から発信することができ、集客や動画分析などを行う場合はビジネスアカウントがおすすめです。何より、広告出稿以外は無料であるため、コストをかけずに人気のプラットフォームでマーケティング施策を打てる点は大きな魅力です。
特にECサイトを持つビジネスであれば、TikTokビジネスアカウントのプロフィールにURLを設置し、訴求力の高い動画コンテンツで商品のPRや販売を行うことが可能です。
これからECサイトの開設を考えている場合は、「Square オンラインビジネス」を利用してみてはいかがでしょうか。Square オンラインビジネスはグローバルに利用されるビジネス向けプラットフォームでありながら、初期費用・月額利用料ともに無料で、3.6%の決済手数料だけでECサイトを維持できます。Square オンラインビジネスで作成したECサイトをTikTokにリンクさせ、低コストでビジネスの魅力を発信して収益力アップにつなげましょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2022年10月27日時点の情報を参照しています。2025年9月1日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash

