ブログやECサイトなど、自分で自由にウェブサイトを作れるホームページ作成ツール「Wix」。「店舗だけでなくインターネット上でも商品を売りたい」「ECサイトでの販売に興味がある」「オンラインで情報発信がしたい」と考えている事業者も多いことでしょう。同時に、「できるだけ費用を抑えて運営したい」「ウェブサイト作成の専門知識はないが、可能であれば自分で作ってみたい」といった事情や思いもあるかもしれません。
今回は、コストを抑えつつ、自分でウェブサイトを作れるWixに注目し、Wixの使い方や、料金プラン、メリット・デメリットなどについて解説しています。
目次
- Wixとは
- Wixの料金プラン
・ホームページプラン
・ビジネス&Eコマースプラン - Wixのメリット
・(1)費用が抑えられる
・(2)テンプレートが豊富
・(3)メールマガジンが発行できる
・(4)決済サービスが選べる
・(5)充実したアプリ - Wixのデメリット
・(1)電話サポートを受けられる時間が限られている
・(2)テンプレートの変更ができない
・(3)外部ホストにエクスポートできない
・(4)ECサイトを開設するには有料プランの登録が必要 - Wixでウェブサイトを作る方法
- 無料ECサイトの開設ならSquareもおすすめ
Wixとは
Wixは、2006年にイスラエルで誕生し、今や世界190カ国で2億人以上の登録ユーザーを有するホームページ作成ツールです。ウェブデザインやコーディングといった専門知識がなくても、ドラッグ&ドロップで誰でも簡単におしゃれなウェブサイトをつくれることから、世界中でユーザー数を増やしてきました。ビジネスの宣伝や作品の公開、ECサイトの開設、ブログ形式の情報発信など、企業や団体、個人のさまざまな目的に合わせてデザイン性の高いウェブサイトを作成することができます。Wixを利用して作成できるウェブサイトの例として以下のようなものが挙げられます。
・企業用のコーポレイトサイト
・ブログ形式の個人ホームページ
・画像をメインにしたギャラリーサイト
・新商品やサービスを紹介する情報サイト
・商品販売が可能なECサイト(有料)など
参考: Wixの全世界での登録ユーザー数が2億人を突破(2021年2月26日、Wix.com)
Wixの料金プラン
Wixの料金プランは大きく分けると、無料プランと有料プラン(プレミアムプラン)に分類されます。無料プランでは800以上のテンプレートから好みのデザインを選択し、ドラッグ&ドロップでレイアウトを変更したり、ページを追加したり、好みに合わせて編集することが可能な「Wix エディタ」と呼ばれる機能や、いくつかの質問に答えるだけでADI(人工デザイン知能)が最適なコンテンツを自動生成する「Wix ADI」といった機能を活用してウェブサイトを作成することができます。
しかし、無料プランでは独自ドメインが取得できない、作成したウェブサイトにWixの広告が表示される、データ保存容量が500MBしかなく画像が多いサイトには不向きといったデメリットもあります。「Wixを初めて利用するので試してみたい」「簡易的なホームページがほしい」といった場合には利用料、維持費のかからない無料プランでもいいですが、ビジネスで利用する場合や、本格的なウェブサイトを作成したい場合は、有料のプレミアムプランを選択することをおすすめします。
プレミアムプランには「ホームページプラン」「ビジネス&Eコマースプラン」の2種類があります。各プランの詳細を確認してみましょう。
ホームページプラン
本格的なホームページを作成するのにおすすめのプランで、月額500円から2,700円まで四つのプランがあります。独自ドメインの取得、広告の非表示などができる他、Googleなどの検索エンジンにおいて、サイトの検索順位を上げるアプリ「Site Booster アプリ」や、ウェブサイトのアクセス解析のデータを取得するアプリ「Visitor Analytics アプリ」などを利用することができます。各プランによって帯域幅(※)、データ容量、アップロードできる動画の合計時間などが異なります。どのようなウェブサイトを作成したいかによってプランを選定するといいでしょう。
※ウェブサイトのデータ転送量を示す指標の一つです。帯域幅が広いほど読み込みが速くなります。
ドメイン接続(月額500円)
無料プランとほぼ同じ条件ですが、独自ドメインを取得することができます。帯域幅は1GB、データ容量は500MBまでの制限があります。ウェブサイトにWixの広告が表示されてしまうので、ビジネスでの利用には不向きといえます。
ベーシック(月額900円)
独自ドメインの利用や、Wixの広告を非表示にすることができます。帯域幅は2GB、データ容量は3GBで、動画のアップロードも可能になります。ビジネスで利用する場合、ベーシック以上の利用がおすすめです。
アドバンス(月額1,500円)
「Site Booster アプリ」や「Visitor Analytics アプリ」を1年間無料で利用することができます。データ容量は10GBになり、帯域幅は無制限になるので、通信速度が上がり、画面が固まってしまうといった問題が発生しません。
参考:
・Visitor Analytics(Wix App Market)
・Site Booster(Wix App Market)
VIP(月額2,700円)
「Site Booster アプリ」や「Visitor Analytics アプリ」を1年間無料で利用できるほか、ロゴ作成ツールを利用してビジネス用のロゴを作ることができます。データ容量は35GB、帯域幅は無制限になので、円滑な通信ができます。
ビジネス&Eコマースプラン
ECサイトを開設するのにおすすめのプランです。三つある全てのプランにおいて、独自ドメインの取得やWix広告の非表示に加え、オンライン決済機能、顧客が支払方法や住所といった情報を保存できる顧客アカウント機能を利用することができます。また、帯域幅は無制限で、ECサイトに登録できる商品数も制限がないので、販売する商品数が多いECサイトにも向いています。
顧客が商品をカートに入れたままECサイトから離脱してしまう「カゴ落ち」にも対応しており、カゴ落ちした顧客にリマインドメールを送信する機能はECサイトを運営する事業者にとって役立つ機能だといえます。
ビジネス(月額1,800円)
データ容量は20GBで、ECサイトに必要な上記に挙げた全ての機能を利用することができるプランです。
ビジネスプラス(月額2,700円)
データ容量は35GBで、上記の機能に加え、商品やサービスのサブスク販売に便利な「サブスクリプション機能」、そのほかにもAmazonなどのマーケットプレイスと統合させる機能など、ECサイトにとって便利な機能が豊富にあるのが特徴です。
ビジネス VIP(月額3,800円)
データ容量は50GBで、ビジネスプラスで利用できる機能に加え、ECサイトや訪問者に関するデータを取得する「カスタムレポート」機能を利用することができます。細かいサイト分析ができるので、ビジネスの成長に役立てることができます。
Wixのメリット
ウェブサイトの作成においてWixを使うメリットを五つ紹介します。
(1)費用が抑えられる
専門業者にウェブサイトの作成を依頼すると、数十万円から数百万円かかる場合もあります。また、情報の更新や商品の入れ替え、割引キャンペーンなどを行なうたびに作業を依頼することになり、その都度費用が発生します。その点、Wixなら自分で作業ができ、制作費用や維持費用を抑えることができます。
前述にもあるように無料プランでは、Wixの広告が表示される、独自ドメインにできない、ネットショップ機能が使えない、データ容量が500MBまでといった制限があります。一方、プランによりますが、有料プランであれば、広告が表示されない、独自ドメインが利用できる、ネットショップ機能を使える、データ容量が最大50GBになるなど、無料プランと比べるとできることが大幅に増えます。ECサイトを作成する場合、Eコマース向けの機能を備えた「ビジネス&Eコマースプラン」を選ぶと良いでしょう。月々数千円でECサイトが維持できるのは大きな利点です。
参考:無料サイト vs. プレミアムサイト(Wixヘルプセンター)
(2)テンプレートが豊富
Wixには800種類を超えるテンプレートと数百もの高画質の写真・動画素材が用意されています。豊富な素材を無料で使えるのが嬉しいところです。
Wixのテンプレートは、ビジネス&サービス、ネットショップ(ECサイト)、クリエイティブ、コミュニティ、ブログといったテーマに分けられており、ネットショップというカテゴリーを一つとっても、子ども&ベビー、ジュエリー&アクセサリー、ホーム&インテリアなど具体的な事業内容にあわせたテンプレートが用意されているため、自分のショップに最適なテンプレートを簡単に選ぶことができます。
また、HTMLやCSSなどの専門知識がなくても簡単にサイト作成できる点や、スマートフォンやタブレットなどのモバイルにも対応したサイトが作れる点も便利です。
参考: ホームページテンプレートを選択してください(Wix)
(3)メールマガジンが発行できる
メールマーケティングラボ(メルラボ)が2021年に行った調査では、企業やショップからのお知らせを受け取る手段としてSNSと比較してEメール(メールマガジン)が圧倒的に多く、100%と数字が出ています。InstagramやFacbookといったSNSが普及する現在でも、多くの人に情報を届けるにはメールマガジンが有効的であることがわかります。調査項目の「読みたいと思うメルマガの内容」では、「キャンペーン・セール情報」が約53%、「クーポン割引情報」と回答した人が約57%と、ECサイトにおいてメールマガジンの影響力の高さが伺えます。
参考: メールマガジンに関する意識調査2022(メールマーケティングラボ)
Wixでは、「Ascend by Wix」と呼ばれるビジネスツールを利用して月に3通、5,000件の宛先に無料でメールマガジンを送信することができます。メールマガジンの作成はシンプルで、テンプレートから好きなデザインを選び、テキストや画像、動画などを追加するだけです。新商品の宣伝やセールの告知など、用途に合わせたメール作成ができるうえ、Wix アカウントで作成・管理をすることができ、SNSでメッセージを共有することもできるので効率の良い情報発信が可能になります。有料のAscendプランにアップグレードすることで、作成回数や送信上限数を増やすこともできます。
参考:Wix メールマガジンを Ascend プランで使用する(Wix)
(4)決済サービスが選べる
すでに店舗運営をしていて、新たにECサイトの運営を行いたい場合、店舗で使っている決済サービスを選べば、ECサイトと実店舗の売り上げを一つにまとめることができるので、経理処理の手間を省けます。Wixは自社で提供する決済サービスの他に、世界中の70以上の決済代行サービスと提携しており、各決済代行サービスが提供する決済手段で支払いを受け付けることが可能です。
SquareもWixと提携している決済代行会社の一つです。店舗でSquareのPOSレジやキャッシュレス決済サービスを利用している場合、ECサイトでも売り上げの一括管理が可能になります。Squareを選んだ場合、Wixで利用可能なカードブランドは、Visa、Mastercard、American Express、JCB、Diners Club、Discoverの計6ブランドで、1回の取引ごとに決済手数料3.6%(※)がかかります。売上金は最短で決済日の翌営業日に入金されます。Squareとの連携について、詳しくはWixヘルプセンターのSquare を決済方法として設定する を参考にしてください。
※手数料について詳しくはこちらからご確認ください。
参考:決済方法:概要(Wix)
(5)充実したアプリ
Wixではウェブサイトの機能を拡充する便利なアプリも充実しています。お客さまからの質問に答えられるチャット機能や、SNSとの連携機能、レビューや評価を収集する機能などはECサイトを運営する場合、大いに活用できるでしょう。多くのアプリが無料で使えます。
参考:プロフェッショナルなアプリであなたの Wix サイトを強化しましょう(Wix)
Wixのデメリット
Wixのデメリットも見てみましょう。
(1)電話サポートを受けられる時間が限られている
Wixは日本語による電話サポートを提供していますが、電話サポートが受けられるのは平日のみです。週末にWixの利用方法などについて不明な点がある場合や、ウェブサイトに不具合が生じた場合、Wixヘルプセンターで同じような内容の質問が投稿されているかを検索し、回答を参照することになります。検索したものの回答が見つからない、もっと具体的な回答がほしいという場合は、平日まで待たなければなりません。すぐにサポートを受けられない点を不安に感じる事業者もいるでしょう。
(2)テンプレートの変更ができない
Wixでは、1度サイトを作成したらテンプレートを他のものに変更することができませんが、一つのアカウントで複数のサイトを作成することができます。他のテンプレートを使いたい場合は、新しいテンプレートを選んで改めてサイトを作成することになります。その場合、機能によっては新しいテンプレートで作成したサイトに移行できないものもあるので注意しましょう。
(3)外部ホストにエクスポートできない
Wixで作成したウェブサイトが正常に動作するためにはWixのサーバーで操作される必要があります。Wixで作成したサイトのテンプレートやテキストをファイルなどにして書き出すというオプションは提供されていないため、他のサービスへ移行したいと思ったときにWixで作成したサイトをそのまま移行することができません。
Wixの有料プランは、全てのプランで14日間の全額返金保証付きです。まずは無料プランや有料プランを14日間を使って、自分にとって使いやすいかどうか、自分のショップに適したイメージが実現できるかどうかを確かめてみることをおすすめします。
参考:Wix サイトを外部ホストにエクスポートまたは埋め込む(Wix)
(4)ECサイトを開設するには有料プランの登録が必要
Wixは無料でウェブサイトを作成することができますが、ECサイトを作成する場合、必要な機能を利用するには有料プランの申し込みが必須となります。新たにビジネスを立ち上げ、ECサイトを開設する場合、売り上げの見通しが立たないうちからコストがかかることを負担に感じる事業者もいるでしょう。
Wixでウェブサイトを作る方法
この章ではECサイトを例に作成手順を紹介します。
1.アカウント登録
まずは必要事項を入力してアカウントを作成します。
2.サイトの作成
3.ウェブサイトの種類を選ぶ
ECサイトを作成する場合、「ネットショップ」を選択します。
4.ショップの名前を入力
5.サイト作成の目的を入力
ECサイトを作成する場合、「商品を販売する」を選択します。
6.サイトに追加したい機能を選択
顧客とのチャット機能や問い合わせ機能など、必要なものを選びます。
7.ダッシュボードを開く
ダッシュボードとは、さまざまなデータを一覧で確認できるページです。
8.ダッシュボードホームで編集
商品追加やウェブサイトのデザインなどを編集することができます。
ここまでWixでウェブサイトを作成する場合にかかるコストや、メリット、デメリットを紹介しました。作成手順で紹介したようにECサイトを作成する場合でも難しい操作を必要とせず、簡単に作成することができます。しかし、新たにECサイトを開設する場合、ビジネスが軌道に乗るまではコストをできるだけおさえたいと思う事業者も多いでしょう。
無料ECサイトの開設ならSquareもおすすめ
前述にもあるように、ウェブサイトの開設だけならWixでも無料で行えますが、ECサイトを開設するとなると有料プランを選ぶことが必須となります。
Squareでは、無料でECサイトを開設できるSquare オンラインビジネスを提供しています。初期費用や月額利用料は無料で、かかるのは決済ごとに発生する決済手数料のみなので、ビジネスを立ち上げたばかりの事業者や、事業規模が小さい場合でも負担をおさえて導入することができます。
テンプレートを使って簡単にプロフェッショナルなデザインのECサイトを作成できるので手間もかからず、写真加工アプリSquare フォトスタジオを活用して商品画像の加工も可能です。登録できる商品数は無制限です。その他にもInstagramやFacebookといったSNSとの連携ができたり、実店舗のPOSレジと連動させて在庫管理や売上管理などを1本化させることができたり、ECサイトの運営の効率性を高めることができます。不明な点や、トラブルが生じた場合、年末年始や臨時休業を除く土日・祝日も電話やメールでのサポートを受けることができます。
Squareでは、メールやSNSにリンクを貼るだけで決済を受け付けられるSquare リンク決済も提供しています。「オンラインでの販売には興味があるけど、ECサイトの運営はまだ先でもいいかな」といった事業者におすすめの機能です。専用のページで商品画像を追加し、必要事項を入力すれば簡単に決済用のリンクを作成することができます。作成したリンクをメールやSNSなどに添付し顧客に送信すれば、スムーズに支払いを受け付けることができます。
ECサイトを作成するとなると費用面や運営にかかる手間など気になる点があって躊躇してしまうという事業者も多いでしょう。しかし、オンラインで商品やサービスを販売することで、より多くの顧客にアプローチすることが可能になります。ぜひこの機会にWixやSquareを活用したECサイトの作成を検討してみてはいかがでしょうか。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2019年4月15日時点の情報を参照しています。2024年7月4日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash