現金決済にまつわる3つの勘違い。便利、安全は本当?

ビジネスを成長させていくうえで、常に利益を生み出し、健全な財務状況を保ち、満足度の高いサービスを顧客に提供することは必要不可欠でしょう。その全てに関係する部分が、決済手段です。

現金、クレジットカード、QRコード、電子マネー……どの決済方法が自社に適しているかは、業種や客層にもよるでしょう。適切な決済手段を見極めるためには、それぞれの良し悪しを把握しておくことが大切です。

たとえば近年日本政府が推進している、キャッシュレス。日本ではもともと現金での決済比率が高いこともあり、導入において他の先進国に比べて少し遅れをとっています。経済産業省がキャッシュレスにおける世界の動向をまとめた2018年の調査によれば、日本のキャッシュレス決済比率は2016年時点で20%でした。

参考:キャッシュレス・ビジョン(経済産業省)

そこで政府はキャッシュレス決済比率の上昇を目指し、東京大会に向けて、外国人観光客が訪れるであろう観光スポットや宿泊施設において「100%のクレジット決済対応」を実現する、2027年までにはキャッシュレス決済比率を今の二倍である40%まで引き上げる、などを掲げています。

たとえば、具体的な政策として決済端末導入費用や決済手数料の補助を政府が行う「キャッシュレス・消費者還元事業」が2019年10月から2020年6月に実施されました。

参考:キャッシュレス研究会の方向性(経済産業省)

その一方で、まだ現金払いが主流だといえる日本。その大きな理由として「クレジットカードで支払うと浪費してしまいそう」といった心配があることが、前述の調査からわかっています。このように日本では、「目に見える現金を扱うことで、使いすぎを防げる」と考える消費者がまだ多いようです。しかしながら、ATMから現金を引き出すのにかかる時間や手数料、支払い時に小銭を探したりお釣りを受け取ったりするプロセスを考えれば、現金払いにも想像以上の時間とコストが発生しているかもしれません。

今回はよく耳にする現金決済にまつわる考え方から、意外と見落とされている現金決済の隠れたリスクや費用について掘り下げていきます。

目次



「クレジットカード決済よりも、現金決済の方がコストを抑えられる」

決済手数料を支払う必要がなく、すぐに売り上げを手に入れられるため、一見資金繰りには有利なように感じる現金決済。しかしながら、キャッシュドロワーに残っている現金の確認や、盗難対策など、現金決済にも案外コストがかかるものです。

2018年の「現金・キャッシュレスに関連するアンケート」によると、現金決済のインフラを維持するには、貨幣の製造から、各店舗のレジ締めにかかる人件費用など諸々含めて、年間1兆円を超えるコストがかかるとされています。

同調査によると、もっとも時間が費やされているのはレジに残っている現金の確認作業のようで、一店舗が割く平均時間は、一日150分ほど。企業の規模が小さいほど現金関連作業における負担額は上がる傾向にあり、従業員が50人以下のビジネスでは、全体の売り上げの0.51%が現金関連作業の人件費に費やされているようです。改めて維持費や人件費などを見直してみると、意外と金銭的負担が大きいことに気づくでしょう。

参考:キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識(野村総合研究所)

「目に見えるところに現物がある方が安全」

どの決済方法を選んだとしても、多少のリスクはつきものです。現金決済においてもこの点は変わりません。

現金の大きなリスクといえば、盗難でしょう。売り上げの管理や保管を従業員に任せていたところ、多額の売上金を横領された、というケースもなきにしもあらずです。

さらに飲食店経営者を対象とした飲食店.COMの調査によると、売上金の管理方法に関しては43.6%が自宅で保管しており、25.5%が店内の金庫に保管していました。また、セキュリティー面において不安を感じる経営者が半数近くいることがわかっています。自宅や店舗で保管している現金の盗難に備えて、対策費用にもそれなりの額をかける必要が出てくるでしょう。このように現金が手元にあるということは、いざ何かがあったときに精神的・金銭的コストとなりかねません。

参考:飲食店の約4割が「売上金の管理方法」に不安。現金管理の最適な方法とは!?(2019年1月28日、Foodist)

「売り上げをすぐに回収できるため、資金繰りに悩まされる心配が少ない」

現金決済を好む経営者の多くは、売り上げをすぐに回収できる点をメリットとして挙げます。そのため、財務状況を健全に保てると考えるようです。

キャッシュが手元にあるのはスモールビジネスにとってうれしい反面、その現金を安全に保管するためには都度銀行に預けたり、自宅や店舗で安全に保管したりする必要が出てきます。Squareであれば、金融機関によっては翌営業日に売り上げが入金されるので、現金がスピーディーに手に入りつつ、売上金を銀行に入金する時間を削減することができます。

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現金との上手な付き合い方

どの決済方法にもリスクがあるように、現金を取り扱うことにもリスクがあります。そうはいっても、客層によっては現金払いという決済手段を残しておいた方がいい場合もあるでしょう。その場合は現金決済をなくさずにクレジットカード決済も加えてみると、会計のプロセスが円滑になり、管理にかかるコスト削減、業務効率の向上などが期待できます。慣れ親しんだ現金決済から完全にキャッシュレスには移行しないとしても、より多くの決済手段をお客さまに提供するためにも、クレジットカード決済端末の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

執筆は2019年8月27日時点の情報を参照しています。2020年7月1日に一部情報を更新しました。
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