ネットショップに最適な在庫管理とは?

24時間365日、好きなタイミングで買い物ができるネットショップは、消費者にとって便利な存在です。ネットショップを利用する人は年々増えており、ネットショップ同士の競争も激化するなか、経営者として意識をしたいのが「在庫管理」です。

余剰在庫を抱えることは経営負担になる一方で、在庫切れがしょっちゅう起きるようでは、大切なお客様を取り逃し、機会損失になってしまいます。効率よく適切に在庫をコントロールすることは、売上向上には欠かせない業務です。今回はネットショップにとって最適な在庫管理について考えていきます。

目次



ネットショップで在庫管理が必要な理由

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ネットショップの在庫管理について、コスト負担と機会損失の二つの面から考えてみましょう。

衣類、食品、家具など、有形商材を扱うネットショップでは、商品を保管しておく倉庫が必要ですが、余剰在庫を抱えれば抱えるほど、売り上げにならない商品が倉庫に眠ることになります。長期保管によって商品価値が落ちてしまったり、倉庫スペースを余剰在庫が占領して他の商品を置く場所がなくなってしまったり、棚卸に時間がかかったりと、在庫を多く抱えることはコストだけでなく、業務負担の増加にもつながります。

一方、余剰在庫を恐れるあまり、ギリギリの数量しか仕入れておらず、在庫切れが頻繁に起きてしまうのも避けたい事態です。数多くのネットショップが存在するなか、せっかくサイトを訪れたお客様は大切な存在です。「欲しい商品が在庫切れになっている」「在庫のある商品よりも在庫切れの商品のほうが多い」と感じた場合、お客様は購買意欲をなくし、他のネットショップを選ぶかもしれません。機会損失を防止し、時間や場所を問わずに買い物ができるというネットショップの利点を生かすには、常にお客様のニーズに合わせて在庫を揃えておきたいものです。

また、在庫の出入りをリアルタイムで把握することは、市場のトレンドの理解にもなります。どの時期に何が売れるのか、消費者のニーズに関するデータを蓄積することで、より正確な仕入れと在庫管理ができるようになります。

ネットショップの在庫管理の方法

一般的な在庫管理方法としては、在庫管理表を使った方法が挙げられます。仕入れの時点で、商品名、種類、個数などを在庫管理表に記録し、商品の出入りと共に管理表を随時更新することで、常に実際の在庫数が管理表上の数と一致していることになります。管理票上の情報が正しければ、管理表に基づいて在庫の増減をコントロールすることができます。

商品数が少ない場合は、エクセルなどで作った在庫管理表にその都度入力をしていけば、問題なく管理できるかもしれませんが、商品のバラエティやバリエーション、数量によっては、管理票と実際の数が一致しないことがしばし起きがちです。特に、個人事業主や規模の小さい企業の場合、在庫管理だけでなく、顧客対応や梱包、出荷、ソーシャルメディアの更新など、複数の業務を一人でこなします。在庫管理に時間が取れず、気付いたら倉庫にある商品数と管理票の数字が全く合わなくなってしまった……という事態を避ける方法としては、販売管理や在庫管理システムの導入が考えられます。

販売管理や在庫管理システムには、無料のサービスから、月々数千円から数万円かかる有料のもの、アパレル向けや食料品向けまで、様々なサービスがあります。予算と各社サービスが提供する機能を比較しつつ、自社に合ったシステムを検討しましょう。

もし、予算に余裕がある場合は在庫管理を完全に外部の業者に任せるという手段もあります。商品の入荷、在庫数の管理、出荷など一連の流れを外部業者に委託することで、その分の時間をマーケティングや商品開発、買付けなどの業務に費やすことができます。少ない従業員数で効率よく業務を回したい際には、外注も一つの選択肢です。

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最適な在庫管理方法を考える

なるべくコストを掛けずに、自宅の一部や外部の倉庫を利用している人に向けて、効率よく在庫を管理するためのコツを紹介します。

先入れ先出し

「先入れ先出し」は物流用語で、先に入庫したものから順番に出庫することを指します。長期間保存したことによる、賞味期限切れや商品の品質劣化を防止する点では、先入れ先出しは在庫管理の基本です。特に、食品のような鮮度が重視される商品を扱うネットショップでは、先入れ先出しのルールを明確にし、従業員に浸透させることが欠かせません。

5S

5Sは、整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の5項目の頭文字を取った言葉です。製造業やサービス業を中心に、職場環境の維持や改善に向けた取り組みを「5S活動」と呼びます。5Sは在庫管理に生かすこともできます。

整理(Seiri):必要なもの、不要なものを分類し、不要なものを処分する
整頓(Seiton):商品の出し入れをしやすいように、倉庫内を片付ける
清掃(Seisou):倉庫内を定期的に掃除し、ゴミや汚れがない状態にする
清潔(Seiketsu):きれいな状態を常に維持する
躾(Shitsuke):ルールが全員に浸透し、常に守られている

5Sは掃除をし、倉庫をきれいにするだけでありません。いかに効率よく倉庫から商品を出し入れできるかを考えながら、倉庫を常にベストな状態に整えておくことです。たとえば、倉庫内で梱包や出荷の作業を行っている場合、カッターやテープ、出荷伝票は使った後も決められた置き場に戻し、次に使う人がすぐに使える状態にします。5Sは当たり前なことかもしれませんが、日々意識することで効率の良い在庫管理につながります。

仕入れ時期別管理

前述の先入れ先出しのルールを守る際、いつ仕入れた商品がどこにあるのかがひと目で分かる状態にしておくと、迷わずに先に入庫した商品を見つけられます。仕入れ時期別に棚を分ける、もしくは空間に余裕がある場合は仕入れ時期別に保管スペースを分けるようにしましょう。誰が見ても分かるように、棚に仕入れ時期のラベルを付けておくこともオススメです。

カラー・サイズ別管理

Tシャツや靴下など、色・サイズ別のバリエーションが多い商品を扱っている場合、商品の色・サイズ別に棚を分けて保管をするようにしましょう。複数のブランドを扱っているセレクトショップの場合はブランド別に、全国各地の窯元の焼き物を扱っている場合は窯元別にと、どの従業員に出荷作業を依頼しても、倉庫から瞬時に商品を見つけられる状態にしておくのがポイントです。

商品番号別管理

各商品に商品番号を付けると、より管理がしやすくなります。

在庫管理表や棚のラベルに、「Tシャツ赤Sサイズ」と書いてあるとしましょう。赤いTシャツを1種類しか販売していないのなら迷いませんが、色味の違う赤いTシャツを複数種類扱っている場合はどのTシャツなのか、商品を棚やパッケージから出してみないと判断できません。その分出荷に時間がかかります。効率よく管理するためには、商品番号を付け、どの棚にどの番号が保管されているのか、棚のロケーションマップを作っておくのがオススメです。

商品番号の付け方もあらがじめルールを決めておきましょう。

たとえば、2021年春にAB社から仕入れた女性物のピンク色のMサイズのスプリングコートの場合、「AB-21SSWPKM12」という付け方が考えられます。ABはAB社、21は2021年、SSは春夏、Wは女性物、PKはピンク色、MはMサイズ、12はスプリングコートに割り振られた番号です。このようにルールを決めておくことで、番号を見ただけでどんな商品かが分かり、在庫管理表上でもすぐに商品情報を見つけられるようになります。

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発注方法を決める

商品の発注時によく利用されている方法には、「定量発注方式」と「定期発注方式」があります。

定量発注方式:事前に「この数まで減ったら発注をかける」という数字を設定します。設定した数字まで在庫が減ったら、追加注文をします。在庫管理システムの中には、追加注文のタイミングをメールなどで通知してくれるものもあり、タイミングを逃さずに発注をすることができます。常に需要のある商品には適している発注方法ですが、需要に変動がある商品にはあまり向いていないといえます。

定期発注方法:週1、月1など、発注するタイミングを設定します。発注タイミングがやってきたら、在庫数を確認し、必要に応じた数量を発注します。月に一回発注する場合は、次の一カ月分の需要を予測し、発注をかけます。シーズンごとに需要が変わる商品に向いている発注方法です。

上記の2種類が定番ですが、他にも定期定量混合発注、不定期不定量発注、同期化発注、分納発注など、様々な方法があるので、販売する商品に合わせた発注方法を利用しましょう。

ネットショップならではの工夫

古本やヴィンテージの家具、一つ一つ手作りのアクセサリーなど、入荷時期が不定期な商品を販売しているネットショップでは、どんな工夫ができるでしょうか。実店舗ならお客様に事情を話して、再来店を促すことができるかもしれません。一方ネットショップでは、「在庫なし」「在庫切れ」が続くと、お客様からの信頼を失い、他のショップに流れてしまうかもしれません。ネットショップだからこそ、できる工夫を紹介します。

在庫数を表示する

在庫数が少ない商品、元々入荷数が限られている商品に関しては、「残り2つ」や「数量限定販売」など、在庫数が少ないことが分かるように、商品ページの表示を工夫しましょう。「今買わないと売れてしまう」と、買うかどうか迷っているお客様が購入を決断するきっかけになるかもしれません。

ネットショップを今から作成する場合、ネットショップ作成サービスに在庫数を表示する機能があるかどうかを確認しましょう。

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入荷タイミングを表示する

在庫切れの商品に関しては、「次回10月下旬入荷予定」など、次回の入荷タイミングを表示しておくと親切です。また、入荷のお知らせが欲しいお客様用に、入荷お知らせメールの登録フォームをつけておくのもオススメです。

入荷をメールやソーシャルメディアでお知らせする

入荷情報をメールやInstagram、Twitterなどを使って、お客様にお知らせしましょう。「Instagramでは、最新の入荷情報をお知らせしています」など、ソーシャルメディアのフォローを促すような文言を載せておくと、フォロワーを増やしつつ、お客様にいち早く入荷情報をお知らせできます。

実店舗とネットショップを合わせて在庫管理するには

実店舗とネットショップの両方を経営している場合、在庫管理はさらに複雑になります。エクセルで在庫管理表を作成し、手入力で両方を管理するとなると、ミスも起きやすくなります。特にネットショップでは夜中や早朝など、業務時間外でも商品が売れていきます。出勤したら、ネットショップからの注文を確認して、倉庫から商品をピッキングし、出荷作業、在庫数の調整に発注を行いつつ、実店舗の運営をするのは、簡単なことではありません。少人数で運営しているお店では、一人でこれら作業をすることもあるでしょう。

業務負担を減らすためにオススメなのが、実店舗とネットショップのデータ連携です。

たとえば、Squareの場合、実店舗でSquare POSレジを利用し、ネットショップではSquare オンラインビジネスを使ってサイトを構築すると、実店舗とネットショップのデータが自動で連携されます(※1)。商品情報、在庫数、売り上げ、顧客情報などは、Square データに集約されるので、情報管理の負担を大幅に軽減することができます。Square データには、スマートフォンとパソコンの両方からアクセスできます。

また、在庫数が減ったことを知らせてくれるアラート機能や、ネットショップ上で在庫数を表示する機能など、便利な機能が揃っています。Square POSレジの利用は無料、Square オンラインビジネスは無料プランと有料プランから選べます。無料プランの場合、かかるのは商品が売れたときの決済手数料3.6%(※2)のみです。

※1.Square オンラインビジネスを使ったECサイト・ネットショップの事例はこちらをご確認ください。
※2.詳しくはこちらからご確認ください。

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在庫管理は、「倉庫にある商品数を記録しておく」だけではありません。入荷した商品をしっかりと利益に変え、機会損失を防止し、かつ業務負担を減らすには、「どの商品がいつ入荷し、倉庫のどこにいくつあるのか」を把握できる仕組みづくりが必要不可欠です。Square POSレジのような無料で使えるアプリやシステムを活用して、最適な在庫管理を目指しましょう。


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執筆は2020年1月13日時点の情報を参照しています。2023年4月28日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash