お客様満足度アップに繋がる、待ち時間を待ち時間と思わせない工夫まとめ

待ち時間は、人間にとって永遠の課題かもしれません。もちろん、待つことに抵抗を覚えない人もいますし、待たせることを悪いと思わない人もいるでしょう。そもそも、「待つ」という概念を持たない人だっているはずです。

しかし、私たちは日々の生活の中で「目的」を意識しがちなのも確かです。例えば、お客様がコーヒーショップに入店し、レジに並び、注文・会計を済ませ、商品をもらうまでの行動の一つひとつには、「コーヒーを買う」という共通の目的があります。一般的に、お客様は「待つこと」を好みません。よほど暇を持て余していない限り、なるべく素早く楽にコーヒーを手に入れたいと思うのではないでしょうか。

とはいえ、客入りが多い時間帯や、提供する商品やサービスの性質上(例えばハンドドリップコーヒーなど)時間がかかる場合など、待ち時間を完全にゼロにするのは現実的ではありません。そこで、お客様に待ち時間を待ち時間と思わせないような工夫や、時間が経つのを早く感じてもらえるような工夫がサービス提供者には求められます。待って当たり前と思って何も対策をしないでいると、目的(食事や会計など)にありつく前にお客様の気が変わって他店に流れてしまったり、お店に対する印象が悪化することもあるかもしれません。

今回は、待っている時のお客様の心理を理解しながら、お客様の待ち時間を少しでも有意義で生産的なものにするためのひと工夫を紹介します。

目次



マイスターの8つの法則

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アメリカの経営コンサルタント、デービッド・マイスターは、待ち時間と人間の心理について次のような法則をあげています。

マイスターの8つの法則

  1. 何もしていない時間は長く感じる
  2. 人はとにかく何かに取りかかりたい
  3. 不安があると、待ち時間は長く感じる
  4. 待ち時間が分からないと、長く感じる
  5. 理由もなく、待ちたくない
  6. 不平等な待ち時間は長く感じる
  7. 価値あるものに対する待ち時間には寛容になれる
  8. 独りの待ち時間は長く感じる

どれも経験がある人にとっては理解できる心理ではないでしょうか。この法則はビジネスシーンにも当てはめることができます。お客様がどのようなときに不満やイライラを募らせたり、どのような時間を長く感じるのかを想像してみることが重要です。

時間の感じ方

エレベーターの待ち時間は、時間にしてみれば長くても数分ですが、何もしないでただ待っていると永遠に感じることがありませんか。マイスターは、人は何か他のことで気を紛らすことで待ち時間の経過を早く感じる傾向にあると述べています(法則その1)。多くのホテルでエレベーター付近に鏡が設置されているのは、お客様がエレベーター到着までの時間を鏡を見て過ごせるようにするためです。人は一般的に自己に強い関心を抱いており、鏡に映る自分の身だしなみや容姿を観察するのに気が取られ、あっという間に時間が経ってしまうという考察です。テーマパークのアトラクションに乗るために2時間待つにしても、殺風景の中でひたすら待つのと、壁や天井の装飾や思わず読み込んでしまうような面白い掲示物で気を紛らすのとでは、時間の感じ方が異なるのではないでしょうか。

意味ある行為

レストランで席が空くのを待っているお客様や、カフェなどで注文レジに並んでいるお客様にお店のメニューを渡しましょう。もちろん、着席してからメニューを開いて料理を選ぶのも、注文を聞かれてから決めることもできるかもしれません。しかし、待ち時間から注文内容を選ぶことは、お客様の本来の来店目的である「食べる」という行為の第一歩ととらえることができます。すると、待ち時間が待ち時間ではなくなり、メニューを見ることで、食事という行為の一部に取りかかっているという気持ちになるのです(法則その2)。

不安にさせない

マイスターは、スーパーで自分が並んだレジだけが回転が遅かったり、宅配ピザを頼んだものの突然嵐のような天気になったりすると、どのくらい待つのか分からず不安になるのが人間の心理と述べています(法則その3)。

また、美容院でパーマの施術を受けていて、薬が馴染むまで「しばらく時間をおきます」と言われるのと、「15分くらい時間をおきます」と言われるのでは、前者より後者のほうが安心して待つことができるのは想像に難くないでしょう(法則その4)。

例えば、シカゴスタイルのピザは、盛りだくさんの具を詰めて焼き上げるので、通常のピザより調理時間がかかります。大きいものだと1時間以上かかることもあります。これを知らずに注文したお客様は、いつまで待っても料理が運ばれてこないことに不安どころか不満を募らせてしまうかもしれません。しかし、料理の特徴をあらかじめ知っていれば、納得してむしろ楽しみにして待っていてくれるかもしれません。待ち時間が発生する理由が明確なときは、きちんと説明をしましょう(法則その5)。シカゴスタイルピザの注文が入った時点で、調理時間が長いと一言断りを入れるのがいいでしょう。

テイクアウトに対応している飲食店でも、注文が入ってから作る、など準備にある程度時間がかかる場合は、どうしても待ち時間が発生してしまいます。ここでの待ち時間削減には、オンライン注文の導入が効果的です。オンライン注文なら、お客様がいつ、どこにいてもスマートフォンなどから注文を済ませられるうえ、お客様に受取時間を指定してもらうこともできます。お客様は指定した時間に来店すれば、できたて熱々のお弁当をすぐに受け取れます。本来店頭で待って過ごしていた時間を自由に使えるようになるので、待っているという感覚も生まれにくいかもしれません。また、いつ来店すればお弁当を受け取れるのかが明確なので、「まだかな」と不安になることもありません。たとえばSquareでは、オンライン注文に対応したウェブサイトをタダで開設・運営することができます。詳しくはこちらからご確認ください。

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目的を把握して効率的に

携帯ショップに来店するお客様の目的はさまざまです。スマートフォンケースの購入であれば、ほんの数分で要件を済ませることができますが、例えば、料金プランの相談や機種変更といった手続きは、専門スタッフが対応する必要があり、10分で終わるものではありません。しかし、案内される順番が要件に関わらず来店順だと、ケースを買いたいだけのお客様が長時間待ったりと、決して効率的で平等な客捌きとはいえません(法則その6)。そこで、お客様の来店時に要件をかんたんにヒアリングし、内容に応じて最適な窓口に案内できる仕組みを作りましょう。無駄な待ち時間の軽減に繋がります。

待ってもらう“価値”を見直す

マイスターは、人は価値があると判断したものやことには待つことに対して寛容になると述べています(法則その7)。例えば、コンビニエンスストアで消しゴム一つ買うためだけに列に並ぶのはばかばかしいと思ってしまうところ、話題になっている最新機種のスマートフォンを発売日に買うために3日前から並ぶことを苦と思わない人もいます。お客様は、貴重な時間を待ち時間に費やすからにはその先に待っているものへの期待を膨らませます。お客様をがっかりさせないよう、提供する商品やサービスの価値を常に見直していくことを忘れてはいけません。

行列は悪いことだらけじゃない

電車が来るまでのほんの5分も、一人だと待ち時間に感じる一方、友人と一緒の時は会話が弾んで気づいたら電車が到着していたなんてことがありませんか。マイスターは、一人で待つ場合に比べ、関わる人が多ければ多いほど、待ち時間という意識が薄れ、列に並んで待つこと自体が、ある目的を持った経験になり得ると述べています(法則その8)。ラーメン一杯のために並んでいる中、たまたま隣り合わせになった赤の他人とひょんなことから会話が始まり、話しているうちにあっという間に時間が過ぎることも大いにあり得ます。

子連れのお客様が子どもを遊ばせることができるスペースを設けたり、テレビを待合室に設置したりして、お客様同士が交流を深めるきっかけ作りを考えてみましょう。

待ち時間もビジネスチャンス

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貴重な時間を費やす待ち時間を受け入れるということは、お客様が商品やサービスに魅力を感じているという証拠です。お客様の興味を次回の来店に繋げるために、待ち時間を利用してお客様を顧客化しましょう。

例えば、並んでいるお客様に会員登録をすすめてみます。会員になるとどんな特典があるのかをきちんと説明し、その場で登録を済ませた場合に限り、すぐに使えるクーポンや割引券を渡してみるのは効果的です。

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執筆は2017年6月5日時点の情報を参照しています。2023年6月27日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash