ネットショップを開業するなら無料ASPがおすすめの理由

日頃から店舗で扱っている商品やサービスをインターネット上で売り出そうと考えたとき、悩ましいのがネットショップの選択でしょう。ネットショップには、大きく分けて2タイプがあります。一つは、インターネット上のショッピングモールへ出店する「モール型」です。もう一つは、ASPカートと呼ばれるシステムを導入して独自にオンラインの店舗を開設する「ASP型」です。

ここでは、ネットショップを開業する際の基本的な考え方と、開業方法、検討ポイントや留意点について、わかりやすく解説します。

目次



ネットショップ開業の基礎知識

ネットショップを開設するにあたり、基本的な開業の考え方を把握しておきましょう。

ネットショップとは

ネットショップは「オンライン上の店舗」です。開業するにあたって、開設の場所と商品を並べて販売する仕組みが必要なのは同じですが、お客様が直接来店しないため、形態は異なります。たとえば、土地の代わりにドメインと呼ばれるインターネット上の住所が必要です。お客様に対面で商品を説明できない代わりに商品画像と説明文を掲載したページを用意したり、お客様に直接商品を渡せない代わりに配送の仕組みを用意したりなど、ネットショップならではの準備が求められます。

また、開業後の運営では、お客様がどのくらい来店し、どの商品を見たかを確認するツールや、インターネット上での売り込みを行う集客ツールなども必要になります。

ネットショップ開業のトレンド

ネットショップは、インターネットの普及により2000年前後から拡大してきました。2010年ごろからはスマートフォンの普及やソーシャルネットサービス(SNS)の拡大が進み、オンライン上でのつながりを活用したビジネスが身近な存在となっています。

総務省が2020年に公表した情報通信白書によると、2019年の個人ベースでのインターネット利用率は約90%、スマートフォン普及率は約68%、SNS利用は69%と、大半の人が利用するようになっています。この流れは、感染症の影響で移動が制限されているなか、さらに加速しています。

参考:情報通信白書令和2年版(総務省)

ネットショップ開業に必要となるもの

新規で商品を開発しネットショップを立ち上げる場合など、一から揃えた場合はかなりの金額になります。ただ、現在の店舗の延長でネットショップ開設を検討している場合、流用できるものも多く、新たに加えるのはネットショップのシステムが中心となります。

  • パソコン、関連ソフト
  • インターネット回線、レンタルサーバー、ドメイン
  • ネットショップのシステム
  • プリンター(送付状、商品発送時の伝票作成など)
  • カメラ、撮影用小道具、画像加工ソフト(商品などイメージ画像・動画の作成など)
  • スマートフォン(外出時の対応やスマートフォンによる動作確認など)
  • 梱包資材

モール型とASP型の違いと選択のポイント

インターネット上での販売方法には、「モール型」と「ASP型」があります。モール型は、インターネット上に構築されたショッピングモールにテナントのような形で出店する方法です。ASP型は、商品の販売や決済をオンラインで行うシステムを導入し、インターネット上に独自の店舗を開設する方法です。

モール型のメリット・デメリット

モール型のショッピングサイトには多くの店舗が参加し、さまざまな種類の商品があります。ユーザーは、多様な商品ラインナップの中からデザインや機能、価格などを比較して選べるメリットがあります。また、モール全体でのポイント制度や、モールとしての信頼性の高さもあり、ユーザーの集客性が高い点も魅力的です。

一方で、店舗を覚えてもらいにくいうえに、価格競争になりがちです。モール内でデザインの制限が多いこともあり、店舗独自のブランディングを出しづらいデメリットもあります。さらに、モール内で目立つための広告費や、モールが実施する特売企画への参加など、登録料や手数料以外にも多くのコストが必要になることにも注意が必要です。

価格競争に巻き込まれないユニークな商品を展開している事業や、運営コストが増えても集客を任せたい投資力のある事業は、モール型のネットショップが向いているといえます。

ASP型のメリット・デメリット

ASP型のネットショップは、販売や決済などネットショップに必要なシステムを利用し、独自のページとして構築します。販売方法やデザインの自由度が比較的高く、お客様の情報も店舗内で管理できます。

ASPカートには商品の販売に必要なサービスが一式セットになっています。レンタルサーバーの準備も不要で、ネットショップのデザインテンプレートなども予め用意されていることが多いため、簡単なステップで独自のネットショップを立ち上げられます。短時間でショップが開業でき、運用の手間もかからないのが魅力です。

一方、集客は自社で一から行う必要があります。実店舗で販売実績のある商品をネット上でも展開したい場合や、SNSをうまく使って店舗のブランディング力を上げつつ集客したい場合などはASPで型でのネットショップがおすすめです。
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有料ASPと無料ASPの違いと選択のポイント

ASPには、有料と無料のサービスがあります。それぞれの特徴をみていきましょう。

有料ASPのメリット

有料ASPは、無料版よりデザインや機能が豊富だったり、登録できる商品数が多かったりします。一方、販売時の手数料以外に初期費用や毎月の固定費などの負担が大きくなります。商品の展開が軌道に乗るまでは費用負担が大きくなってしまう可能性がある点には注意しましょう。

商品力がある、早めにショップ運営が軌道に乗る見込みがある、自社ブランドや商品のイメージをしっかりと打ち出したい、商品の量が多い、将来的にネットショップを拡大させて利益を出したいといった場合には、機能やデザインの制限がない有料版を検討する価値があるといえます。

無料ASPのメリット

無料版は、有料版に比べるとテンプレートの数や機能に制限はあるものの、有料版の低価格プランと比べるとほとんど違いのない場合もあります。自社の売り出したい内容に沿った機能が揃っていれば、初期投資や毎月の固定費がかからない無料版は魅力的です。固定費が浮いた分を集客ツールの広告に投資するなど、効率的な活用もおすすめです。

実店舗での販売実績はあるものの、インターネット上での需要や投資効果は未知数で、運営負担もかけたくない場合は、まず無料版でネットショップの運用を見極めてみてはいかがでしょうか。

モール型のネットショップ おすすめ3選

代表的なモール型のネットショップとして、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングを紹介します。

Amazon

一番の特徴は、Amazon全体が1商品1ページのカタログサイトとして運用されている点です。ストアページをつくる必要がなく、個人でも1商品からでも登録することができます。ブランド登録できるとストアページ(Amazonストア)も作成可能です。梱包や配送をAmazonが代行するFBA(フルフィルメント by Amazon)機能もあります。

月額の固定費は安めで決済手数料も不要ですが、販売手数料は高めです。また、デザインの変更ができず、ショップの独自性は出せない点には注意が必要です。

月額登録料:小口出品プラン無料、大口出品プラン4,900円(税抜)
基本成約料:小口出品は注文ごとに100円、大口出品プランは成約料なし
販売手数料:カテゴリー別に8%から45%、FBAの利用には別途手数料が必要
決済手数料:無料

楽天市場

会員数が多く、人気商品が誕生すれば大きな利益につながります。店舗開設時にアドバイザーがサポートしてくれます。デザインの自由度は高めで、SNS運用やメルマガ、アフィリエイトなどもあり、販路の拡大・定着の手段も見込めます。

一方、初期費用や月額の固定費、各種利用料などの負担が大きく、月商の目標金額が相当高くないと維持するのは大変です。また、すでに各ジャンルで人気商品があるため、新規の場合はよほどの商品力がないとシェア獲得は難しい面もあります。

初期登録費用:60,000円(税別)
月額出店料:19,500円から100,000円
システム利用料:月間売上高の2%から7%
楽天ポイント:楽天会員が購入した金額の1.0%
取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料:月間売上高の0.1%
楽天スーパーアフィリエイト:アフィリエイトを経由した売上の2.6%から
R-Messe:月額3,000円から
楽天ペイ利用料:月間決済高の2.5%から3.5%

Yahoo!ショッピング

2013年から初期費用や毎月の固定費、売上ロイヤリティが無料になった点が大きな特徴です。外部サイトとの連携もでき、Tポイントとのタイアップ企画で流入を図ることもできます。

一方、決済手数料とポイントやキャンペーンなどの原資、アフィリエイト経由の手数料などは必要となるため、実際には販売成約時に数パーセントの支払いが必要になります。料金体系は複雑で、無料化により出店数が激増したため、モール内の競争率は高めです。

初期費用、月額固定費用、売上ロイヤリティ:無料
ストアポイント原資負担:1%から15%
キャンペーン原資負担:1.5%必須
アフィリエイトパートナー報酬:1%から50%
アフィリエイト手数料:アフィリエイトパートナー報酬の30%
決済手数料:決済方法による

有料ASP型のネットショップ おすすめ3選

有料版のASP型ネットショップとして、MakeShop、カラーミーショップ、Shopifyを紹介します。

makeshop

売上手数料が無料で、年間の流通額が大きいところが特徴です。デザインテンプレートも多く、BtoB向けのオプション機能も充実しています。プランはプレミアムとエンタープライズの2種類あります。初期費用・月額費用は高めです。また、決済手数料もかかります。機能やデザインの設定にはある程度のカスタマイズの知識が必要になります。

初期費用:プレミアム11,000円(税込)、エンタープライズ110,000円(税込)から
月額費用:プレミアム11,000円(税込)、エンタープライズ60,500円(税込)から
売上手数料:無料
決済手数料:プレミアム3.19%から、エンタープライズ3.14%から
決済月額費用:プレミアム1,100円(税込)、エンタープライズ0円

カラーミーショップ

国内では利用数の多い有料カートで、無料版もできました。デザインの自由度が高い点が特徴です。独自ドメインの利用も可能で、機能を充実したいときは「カラーミーショップアプリストア」で追加購入もできます。サイトのカスタマイズが柔軟で、特徴あるショップを作ることができます。

有料プランはレギュラーとラージ、プレミアムの3種類です。電話やメール、無料セミナーなどで、開業までのサポートも充実しています。ショップの作成ができる制作会社の紹介もしてくれます。決済手数料は高めで、クレジット決済やコンビニ決済など、決済手段によっては、決済代行会社と別途契約が必要となる点には注意が必要です。

初期費用:フリープランは無料、レギュラー・ラージプランは3,300円(税込)、プレミアムプランは22,000円(税込)
月額費用:フリープランは無料、レギュラープランは4,950円、ラージプランは9,595円、プレミアムプランは39,600円
決済手数料:フリープランは6.6%+30円、その他のプランは決済手段により異なる

Shopify

世界でのシェアが高く、各国の言語や税率、決済方法などに対応しています。このため、越境ECに向いているカートといえます。そのほか、デザイン性の高いテンプレートや、在庫管理・配送などの機能が充実しています。一方、日本語対応がない部分もあります。また、拡張機能が豊富である分、うまく使いこなすまでには技術が必要になるかもしれません。プランは、ベーシック、スタンダード、プレミアムの3種類があります。

月額費用:ベーシック25ドル、スタンダード69ドル、プレミアム299ドル
手数料:2.9%から3.9%程度(プランと決済手段により異なる)

無料ASP型のネットショップ おすすめ3選

無料版のASP型ネットショップとして、Square、BASE、STORESを紹介します。

Square

Squareでネットショップを開設すると、初期費用、固定費が無料なだけでなく、入金手数料も無料のうえ、決済手数料が最安の水準と、運営コストを少なく抑えることができます。入金のサイクルも最短で翌営業日と早く、ネットショップ開設のハードルが低いサービスです。他にない特徴が、実店舗のアカウントでネットショップも管理できる点です。実店舗にSquareを導入し、Square POSレジで決済すると実店舗とネットショップの在庫が連動するため、在庫と売上の管理が格段に楽になります。

また、Instagramなどへ商品をタグ付けして投稿し、商品ページへの誘導が可能です。ネットショップ内にInstagramの投稿を表示させることもできるので、ASPの弱点といわれている集客の強化が見込めます。サポート窓口はメールのほか、電話も対応しています。

有料のプランは段階的に用意されており、最高プランでも月額9,180円と割安です。独自ドメインは有料プランから利用可能で、ショップの運営状況にあわせて必要な機能を足していき、段階的に充実させられる柔軟な設計になっています。

初期費用:無料
月額費用:フリープラン無料、プラスプラン3,375円、プレミアムプラン9,180円(全て年払い時の換算)
決済手数料:3.6%(プレミアムプラン3.3%)
入金手数料:無料

Square オンラインビジネスの料金プランについて詳しくはこちらをご確認ください。

BASE

会員登録するとすぐにクレジットカードの決済が導入できるエスクロー決済の「BASEかんたん決済」が特徴です。どのプランでも初期費用は無料ですが、無料プランにはサービス手数料がかかり、さらに入金手数料も一律でかかります。また、サポート窓口はメールのみです。

初期費用:無料
月額費用:スタンダードプラン無料、グロースプラン16,580円(年払い時の換算)
決済手数料:スタンダードプラン3.6%+40円、グロースプラン2.9%(全てAmazon PayとPayPalは1%を上乗せ)
サービス利用料:スタンダードプラン3%、グロースプラン無料
入金手数料:一律250円(2万円未満は500円加算)

STORES

まとめ割引、予約販売などの機能をもつショップをつくることができます。電子チケットの販売もできます。有料プランもあり、アクセス解析などは有料プランで扱えます。独自ドメインは有料プランで対応しています。初期費用・月額費用の運用は無料ですが、無料プランの決済手数料は高めです。また、入金手数料もかかります。サポート窓口はメールで、一部チャット、新規出店向けの電話相談があります。

初期費用:無料
月額費用:フリープラン無料、スタンダードプラン2,980円
決済手数料:フリープラン5%、スタンダードプラン3.6%
入金手数料:振り込み手数料275円、事務手数料275円

スモールビジネスのネットショップ運営のポイント

ショップは開設したら終わりではありません。いかに継続して運営できるかがポイントです。特に開設当時は、商品・サービスの周知が浸透していないため、すぐに集客に結びつかないことが多いものです。初期費用や固定費がかかってくると、ネットショップを維持することができなくなってしまいます。まずは無料ASPを導入し、オンラインで商品を扱えるしくみを作った上で、メルマガやSNSなどの集客ツールを組み合わせながら、商品の浸透を図るのが効果的です。

実店舗と連携しながら無料で運用できるSquareは、現在の事業の延長で「もうひとつのショップ」を手軽にもてる強力な武器となります。オンラインでの集客が当たり前になっている現在、少ない投資でチャンスを増やすASP型のネットショップにぜひ挑戦してください。

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Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2021年8月10日時点の情報を参照しています。2024年3月26日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash