ECサイトを効果的に運用して売り上げを増やしていくためには、オンラインならではの仕組みを理解し、Eコマースに特化したマーケティングの施策を行う必要があります。
この記事では、ECマーケティングについて、概要や実践のポイント、具体的に展開するためのオンライン広告を紹介します。
目次
- ECマーケティングとは
・ECとは
・マーケティングとは
・SEO対策 - ECマーケティングを実践するための四つのポイント
・アクセスデータの分析
・SEO対策
・コンテンツSEO
・SNSの運用 - ECマーケティングを効果的にするWeb広告7選
・リスティング広告
・ディスプレイ広告(バナー広告)
・アドネットワーク広告
・DSP広告
・SNS広告
・動画広告
・リマーケティング広告
ECマーケティングとは
はじめに、ECマーケティングとは何かについて、用語の定義から概要を把握しましょう。
ECとは
ECは、Electronic Commerceの略称で「電子商取引」と訳されます。インターネットを通して商品・サービスを売り買いする行動を指しています。
近年、情報通信関連のインフラが発展し、情報端末もパソコンだけでなく、タブレットやスマートフォン、スマートウォッチと多様化しています。ECは、いつでも・どこにいても買い物ができる便利な仕組みとして日常生活に浸透し、身近な存在になっています。
ECサイトは、かつてのカタログ通販がインターネットの普及により発展した「ネット通販」という側面だけでなく、地域や国境を超えて世界中の消費者をターゲットにした「ネットショップ」として展開できる可能性をもっています。
マーケティングとは
マーケティングは、顧客の動向を把握し、ニーズや欲求を満たすための商品・サービスを開発し、効果的に販売するための一連の流れを指します。
マーケティングの基本的な考え方は、古今東西変わりません。お客様一人ひとりに合わせた商品を考え、お客様が望みそうなもの、興味をもちそうなものを案内します。つまり、商品・サービスが選ばれ続けるための施策を打つのがマーケティング活動だといえます。
ECマーケティングとは
ECの発展によりマーケティングのあり方も、ECに特化したものが追加されるようになりました。ECマーケティングは、オンラインの特性を全面に打ち出したマーケティングといえます。
オンラインならではの特徴としては、顧客の購買行動を理解するためにインターネット上のユーザーの行動からデータを収集し分析する点と、顧客とのコミュニケーションをインターネット上で行いファン(リピーター)を増やす点があります。
ECサイトのマーケティング効果は、ユーザーのアクセス数、そこから実際に購入した割合、購入時の金額といったデータで検証します。このため、アクセスを伸ばす集客と、購入に至るまでの導線の設定、商品単価を上げる価値向上のブランディングを意識した施策を講じる必要があります。
ECマーケティングを実践するための四つのポイント
ここからは、ECマーケティングを具体的に実践していく際に重視したい点をみていきましょう。
アクセスデータの分析
ECマーケティングの最大の特徴といえるのが、インターネット上に流れる膨大な情報をデータとして活用する点です。特にユーザーの動向を把握するために重要となるのが、ECサイトへのアクセス状況です。ECサイトのアクセスデータ分析の代表的なツールとしては、Google アナリティクスがあります。
データ分析では、PV(閲覧数)、新規ユーザーのアクセス数、閲覧にかけた時間、直帰率、離脱率、コンバージョン率(資料請求や購入など目標とする行動をユーザーがとった割合)などユーザーの動きがわかるほか、どこから入ってきたか、デバイスは何か、どの地域からかなど、ユーザーの属性も拾うことができます。データ活用はECマーケティングの最も重要な基本といえるでしょう。
SEO対策
インターネット上でユーザーがほしい情報を探すとき、まずいくつかの言葉を検索窓へ入力し、表示されたリストを順に眺めながら気になったサイトを開くことが多いでしょう。この検索結果の上位にECサイトを表示させるための施策をSEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)といいます。
検索の仕組み(アルゴリズム)は、キーワードを多く詰め込んだら上位に表示されるようなものではありません。内容が伴わない場合はかえって「読んでもためにならない」と判断され、ランクを落としてしまいます。
一方で、良質なページであればあるほど上位に表示される可能性が高まるため、広告費がかからないというメリットがあります。SEO対策については、「初心者から上級者まで!ネットショップ運営者に向けたSEOの完全ガイド」でも詳しく紹介しています。
コンテンツSEO
検索の仕組みは日々進化し、ユーザーがほしい良質な情報を提供しようとしています。このためSEO対策では、小手先のキーワード対策ではなく、文章や画像、動画、関連URLなど適切な情報を適切に配したコンテンツでサイトを充実させていく地道な作業が続きます。
このように、ECサイト内のコンテンツの充実を図ることによりSEO対策を行うことを、コンテンツSEOといいます。商品・サービスの購入ページだけでなく、関連情報の特集やノウハウ、最新の動向などのコンテンツを作り、ECサイトを訪れるユーザーの満足度を上げ、潜在的顧客やファンを増やします。
SNSの運用
ECマーケティングに欠かせないポイントとなるのが、インターネット上でファンを育てるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の存在です。
SNSには、フォロー、お気に入りの表示・保存、記事の引用や共有、コメント、タグ付けなどの機能があり、似たものに興味や関心を持つ人と情報を共有したり、情報を拡散したりする仕組みが整っています。
このため、SNSを運用することによりターゲットを絞ったアプローチや効果の高い販促活動を行い、顧客満足度を高めるコミュニケーションにつなげることができます。
SNSの種類によって、画像やテキスト、動画など、得意とするメディアが異なるため、ターゲットに合わせて利用するSNSを変え、ユーザーの興味関心を惹くコンテンツでフォロワーを増やし、関係性を育てていく必要があります。
ECマーケティングを効果的にするWeb広告7選
インターネットの浸透と発展により、ECサイトは参入のハードルが低くなった一方で、とても競合の多いマーケットになっています。小規模な事業展開の場合、SEO対策やSNS活用というEC戦略だけでは、なかなか認知が広がらないかもしれません。
このような事情を踏まえ、集客の掘り起こしを図るプロモーションツールとして活用できるのがWeb広告です。
リスティング広告
リスティング広告は、検索結果ページに検索キーワードに関連した広告を表示させるものです。検索連動型広告とも呼ばれます。課金方法は、クリックごとに広告料が発生する方式です。
SEO対策の効果が現れるまでリスティング広告を併用し、設定したキーワードでユーザーがどんな反応をしているか、流入や離脱率、回遊状況、コンバージョンなどを調査し、SEO対策に反映させるなど、うまく活用するとよいでしょう。
気をつけたいのは、設定したキーワードの分母です。あまり検索されない特殊なワードでは広告の効果があまり見込めませんし、かといって分母が大きすぎるビッグワードではクリック単価も高くなります。キーワードと広告料の予算管理を短いサイクルで行い、最適なポイントを探しましょう。
ディスプレイ広告(バナー広告)
ディスプレイ広告は、別名バナー広告ともいい、サイトやアプリ内の広告枠を買って画像や動画を表示し、ユーザーがそれをクリックすると指定されたURLへ移動する広告です。決まった広告枠を一定期間買い取って表示するため、ユーザーの関心や検索キーワードにかかわらず露出度を上げることができます。商品・サービスをまだ認知していない潜在層に向けたアピール効果が期待できます。
広告料金は、一定の表示回数になるまで掲載するもの、一定のクリック数に達するまでのもの、一定の期間表示するものなどがあり、掲載期間中にアクセス分析を行って広告からの導線に問題ないか、広告を掲載したサイトが適切かなどを検証しましょう。
アドネットワーク広告
複数の媒体への広告掲載をパッケージ化した広告方法です。広告は、掲載する媒体によって掲載形式が異なり、広告時の効果を検証するデータも異なります。このため、複数の媒体に広告を出して運用しようとすると人的コストが大きくなってしまいます。
この各種媒体への広告掲載を一元管理できるのがアドネットワーク広告です。各媒体と個別に契約を行う手間が省け、入稿や広告料支払いなどの事務手続きも減るため、業務の効率化を図ることができます。
一方で、広告がアドネットワーク事業者の取引範囲での一括出稿になるため、ターゲットにならないユーザー層のメディアにも広告が掲載される可能性があります。導入後は定期的に配信状況をチェックしてターゲットの設定や広告表示の設定を改善しましょう。
DSP広告
DSP(Demand Side Platform)は、広告主向けのプラットフォームです。広告を配信したいユーザーの性別や趣味嗜好、年代などを設定すると、広告主が狙う属性のターゲットに広告が配信されます。
DSPを使用するには、広告料以外に固定の利用料金が発生します。また、自動化は図られているものの、きめこまかく調整する必要のある手動調整タイプか、アルゴリズムで最適化してくれるタイプか、自社に最適な方法を見極める必要があります。運用代行を依頼するとその分コストが上がります。
SNS広告
SNS広告は、ソーシャルメディア(SNSアプリ)ごとにテーマに沿った広告を掲載し、露出度を上げる方法です。ユーザーがSNSに登録した際の年齢や地域、性別、経歴などの入力情報や閲覧履歴、投稿内容からターゲットを絞り込み、関心に沿った広告を表示させることができます。訴求効果の高い内容で注目を集めると、ユーザーが自ら引用や共有で拡散し、ネットワークで広がるため、広告の範囲以上に認知が進みます。
ユーザー同士の拡散は、少ない広告料で大きな波及効果を見込める一方、意図しない情報の広がり方になってもコントロールはできません。また、拡散されるほど注目を集める投稿を続けるのは簡単ではなく、商品・サービスや自社ブランドのクオリティを常に高め、魅力的なコンテンツを発信し続ける根強いSNS運用と並行した広告の活用が望まれます。
動画広告
動画広告は、動画コンテンツを使った広告です。動画共有サイトに掲載するものと、一般のサイトの広告枠へ動画コンテンツを掲載する形が一般的です。課金方法には、視聴回数に応じて課金されるタイプと、最後まで視聴された場合に料金が発生するものがあります。
動画コンテンツは画像やテキストのみの広告より注目がされやすく、認知度を上げるのに効果的な手法です。ただし、動画共有サイトの広告の場合、ユーザーにとっては見たい動画を邪魔する存在となり、あまり良い印象を与えない可能性もあるかもしれません。また、動画広告を最後まで見たとしても肝心のコンバージョン率につながらないこともあります。常に設定状況をチェックし、継続的に掲載の効果を見直して、効果の高い動画広告の投稿を目指しましょう。
リマーケティング広告
リマーケティング広告は、自社サイトに一度アクセスしたユーザーに対して配信する広告です。何らかの形でサイトを訪ねたユーザーは、すでに商品・サービスもしくは自社ブランドに興味を持った購買につながる可能性が高い顧客だといえるでしょう。
インターネットブラウザには、一時的に情報を蓄えておくCookieという仕組みがあり、一度閲覧したサイトを再度訪問するときにログイン状態を保っておくなど快適な閲覧環境を作っています。リマーケティング広告は、このCookieの性質を利用して一度訪れた関心の高いユーザーに対して広告を配信するものです。
ECは、参入障壁が低い分、競合との争いも絶えない世界です。インターネットやネットワークが普及し、データ処理能力がハード・ソフトともに大きく進展した現在、検索技術もコンテンツもますます魅力を高めていくでしょう。何のためにECを活用するのか、その目的や自社ブランドのコンセプトを明確にし、ターゲットを絞り、適切なツールを使ってECマーケティングの戦略を立てましょう。
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執筆は2022年1月25日時点の情報を参照しています。
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