ChatGPTは商用利用OK?注意点やメリット、活用例を紹介

どんな質問にも自然な文章で受け答えをしてくれるチャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」。聞いたことがあるという人も増えているかもしれません。日本語でも質問できることから、商用利用は可能なのかと気になっている人もいることでしょう。端的にいうと、ChatGPTの利用規約に沿ったコンテンツであれば、商用利用は可能です。

この記事では主に個人事業主や中小企業のビジネスオーナーに向けて、ChatGPTの活用場面を掘り下げていきます。そのうえで商用利用する際の留意点、また商用利用するメリット・デメリットを見ていきましょう。

目次


ChatGPTとは

ChatGPTとはあらゆる分野の質問に対して、まるで人間かのように自然な文章で回答してくれるチャットボットです。米サンフランシスコを拠点とするAI研究機関「OpenAI(オープンAI)」が開発したAIモデルですが、日本語でも受け答えができることから国内でも注目が集まっています。

2022年11月に公開されると一週間も経たないうちにユーザー数は100万人を超え、公開から2カ月後には1億人ものユーザーを獲得しています。

参考:
[新連載]史上最速で利用者1億人突破のChatGPT、焦るグーグル「破壊」の危機(2023年2月7日、日経ビジネス)
ChatGPT hit 1 million users in 5 days: Here’s how long it took others to reach that milestone(2023年2月13日、The Indian Express)

ChatGPTに「ChatGPTとは何ですか」と問いかけてみました。

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ChatGPTは大量のデータを学習していることから、あらゆる分野の質問に答えることができるようです。また、文章の構成や意味なども学習していることから、単純にどこかのサイトから情報を引用するのではなく、集めた情報をまるで自分の言葉を操るかのように要約して返事ができるそうです。利用にはアカウントの作成が必要ですが、現在は誰でも無料で使うことができます。詳しい仕組みについては、「ChatGPTとは?使い方や仕組み、注意点を紹介!」の記事も参考にしてください。

ChatGPTをビジネスに活用するには

ChatGPTには「最近の接客のトレンドを教えて」とビジネスにまつわる素朴な疑問を投げかけて答えを得ることもできますが、英語のメール文を貼り付けて「翻訳して」と要望を出すこともできます。

つまり、検索エンジンのような感覚で使うこともできれば、以下のようなタスクを手伝ってもらうこともできます。

  • SNSに投稿する内容の翻訳
  • メニューの多言語翻訳
  • 外国語でのメール文の作成
  • 商品説明の校閲
  • メールマガジンの作成
  • 広告のコピー案の提案
  • ブログの作成
  • 市場分析
    など

翻訳については質が気になるところかもしれませんが、その精度の高さから翻訳デバイスの開発にChatGPTを活用する企業も出てきているようです。ほかの翻訳ツールなども使いながら正確性を確認し、簡単な翻訳に関しては頼りにしてみてもいいかもしれません。

参考:ChatGPT活用の翻訳デバイス/TV視聴アプリ、ピクセラが開発へ(2023年3月27日、マイナビニュース)

翻訳が特に役に立つのは、インバウンド対策に取り組むときでしょう。ChatGPTは以下のようなざっくりとした要望でも、いくつもの例を提案してくれます。

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もちろんすでにある商品説明を訳してもらうこともできます。そのほかにも商品の特徴を並べて「コピー案を提案して」とお願いすることもできれば、既存の商品説明を貼り付けて「もう少し短くして」と頼むこともできます。

以下はChatGPTが書いたみかんジャムの商品説明で、それをさらに短くしてもらうよう指示した結果です。

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要点は押さえているように見えます。場合によっては、一語一句そのまま使いたくなることもあるでしょう。ただ、「いくらなんでもChatGPTが生成した文章をそっくりそのまま使うのはまずいのでは」と思うかもしれません。詳しくは次章を読み進めましょう。

ChatGPTで生成した文章の商用利用は可能?

ChatGPTが公開しているよくある質問事項によると、「生成されたコンテンツは、出力を依頼した人の所有物になる」と記載があり、著作権問題などを気にすることなく利用ができるそうです。ただし、商用利用できるコンテンツは「コンテンツの方針」や「利用規約」に遵守したものに限ります。

たとえばChatGPTでは、以下のようなコンテンツの作成は禁止されています。

  • 特定の人物、団体に対する嫌がらせ
  • 差別的なもの
  • 暴力につながるもの
  • 自傷・自殺行為などを助長するもの
  • 薬物など法で禁じられていること
  • 政治にまつわるもの
  • 陰謀論などを助長するもの
    など

詳しくはOpenAIが公開している「利用規約」や「コンテンツの方針」のページに記載されているので、利用しはじめる前に必ず目を通しておきましょう。

ChatGPTで生成した文章を使用するメリット

ChatGPTをビジネスに活用するには」の章では、ビジネスにおける活用方法をいくつか提案しました。このような活用には、以下のメリットがあります。

インバウンド対策に取り組みやすくなる

感染症の影響で落ち込んでいたインバウンドの需要は、2022年10月の水際対策緩和後は順調に回復しつつあります。たとえば2023年2月時点の訪日外客数を2019年同月比で見たときに、回復率は56%にも上っていました。2024年2月には、2019年の水準に回復することも予想されています。

参考:
訪日外客数(2023 年 2 月推計値)(2022年11月16⽇、日本政府観光局)
2023年のインバウンド需要は4.96兆円と早くもコロナ前を上回る予想(2023/02/21、野村総合研究所)

そこでますます重要になるのが、インバウンド対策です。必要な場面を以下にいくつかまとめます。

  • メニューや商品説明の翻訳
  • ネットショップの記載内容の翻訳
  • SNS投稿文の翻訳
  • 英文でのメールの対応
    など

「何が書かれているのかわからない」と訪日客を困らせてしまうことは機会損失にもなりかねないため、顧客の目に留まる文章はできる限り英語と日本語の両方で記載しておきたいところです。

特に翻訳を添えておきたいのはネットショップをはじめ、従業員がその場で対応できないようなところです。たとえば実店舗を訪れた訪日客が商品を気に入って「海外からでも購入できるの?」と尋ねてくることがあるかもしれません。このときにネットショップが日本語にしか対応していないと案内がしにくいでしょう。

このような場面で英語に対応したネットショップを紹介できるよう、商品説明の翻訳などをChatGPTにお願いするという手があります。たとえば以下の要望には数秒で応えてくれました。

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ただネットショップの購入画面によくある「氏名」「住所」「支払う」などの最初から設定されている表示は、システム上、編集できないこともあります。Squareのネットショップなら、英語やフランス語、スペイン語など、表示言語の設定を豊富な選択肢の中から選ぶことができます。さらに、翻訳機能との連携も可能なので、ネットショップ全体を外国語に翻訳することができます。「肝心なところが日本語で理解できない」という事態も簡単に防げるでしょう。

文字数制限はないので、文字数にとらわれることなく商品を説明できます。Squareのネットショップは無料で開設・運営(※)できるので、まずは使い心地を試してみてはいかがでしょうか。

※購入ごとに決済手数料が発生しますが、月額利用料金は無料からはじめられます。

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新たな発想を得られる可能性がある

前述の活用例にもあったとおり、ChatGPTは翻訳に限らず、商品のコピーや、販売アイテムをより魅力的に伝えるための文章の提案もできます。社内にコピーライターがいない、あるいは文章が得意な人がいないという場合には、ChatGPTから新たな発想を得ることができるかもしれません。

コスト・時間を削減しながらビジネスを改善できる

翻訳やコピーライティングなどを専門家などに依頼するとある程度の費用がかかりますが、ChatGPTを活用すれば無料、かつすぐにほしい内容が手に入ります。

内容によっては少し手直しする必要もあるかもしれませんが、ゼロから考えることと比べると、作業時間もずいぶんと削減できるでしょう。

ChatGPTで生成した文章を使用するデメリット

ChatGPTをビジネスに取り入れることは便利にも聞こえますが、誕生してまだ間もないため、いくつかの弱点もあると理解しておきましょう。

ほかで類似した文章が使用されることも

ChatGPTは大量のデータを学習していることからさまざまな問いかけに応じることができますが、答えのバリエーションは現時点では少ないようです。

この点が問題になるのは、ChatGPTを活用してブログ記事などを作成したい場合でしょう。たとえば自社サイトのブログで、ビジネスの軸である「金継ぎ」の記事を書いてもらうよう指示したとします。仮に他のユーザーが同じような指示をした場合に、似たような文章を他のユーザーに提供している可能性もなきにしもあらずです。

他社のサイトとまるっきり同じ内容が記載されていることをお客様が目にしたら、あまりよくは思わないかもしれません。現時点ではChatGPTがブログ記事などに多用されることは少ないため大きな心配はないかもしれませんが、このような可能性をはらんでいることは留意しておくといいでしょう。

情報に誤りがある可能性も

学習が十分できていない分野に関しては、誤った情報を提供する可能性もまだあります。

例として、「銀座にあるおでん屋さんを教えてください」という質問に対するChatGPTの回答を見てみましょう。

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どれも一見、本当にありそうな店舗の説明に聞こえますが、調べてみると存在しない店、あるいはおでんを提供していない店でした。

読んだときに違和感のない文章を簡単な指示ですぐに提案してくれるため、あまり手間をかけずにブログ記事を量産できると思うかもしれません。しかし事実確認を怠ると、誤った情報だらけのブログになりかねません。

キャッチコピーのアイデアくらいなら事実確認はいらないかもしれませんが、ChatGPTに記事作成や翻訳をお願いする場合は、内容に誤りがないかは欠かさずに確認しましょう。

補足までに、ChatGPTにおけるよくある質問をまとめたページによると、2021年以降の情報についての知識は乏しいようです。

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商用利用もできることから需要がますます高まることが予想されるChatGPT。必要な情報を翻訳してもらうことでインバウンド対策に取り組みやすくなったりと、ビジネスの可能性を広げていくうえでは積極的に活用していきたいツールといえるかもしれません。


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執筆は2023年4月17日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
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