免税事業者とは?課税事業者との違い、インボイス制度の影響
免税事業者とは?
免税事業者の概要
基準期間における売上高が1,000万円以下
-> 基準期間:個人事業主は前々年、法人は前々事業年度特定期間における売上高が1,000万円以下
-> 特定期間:個人事業主の場合は前年の1月1日~6月30日、法人の場合は前事業年度の開始日以後6カ月その事業年度の基準期間がない法人のうち、事業年度の開始日における資本金または出資金の額が1,000万円未満
消費税のしくみ
No.6501 納税義務の免除|国税庁
消費税のしくみ|国税庁
免税事業者と課税事業者の違い
課税事業者とは
下記のいずれかの要件を満たす事業者は課税事業者となります。
基準期間における売上高が1,000万円を超える
-> 基準期間…個人事業主は前々年、法人は前々事業年度特定期間における売上高が1,000万円を超える
-> 特定期間…個人事業主の場合は前年の1月1日~6月30日、法人の場合は前事業年度の開始日以後6カ月その事業年度の基準期間がない法人のうち、事業年度の開始日における資本金または出資金の額が1,000万円以上である なお特定期間における1,000万円の判定には、売上高の代わりに給与の支払額を用いることもできます。
消費税の計算
一般課税
納税額=売り上げにかかった消費税-仕入れにかかった消費税
簡易課税制度
納税額=売り上げにかかる消費税-(売り上げにかかる消費税×みなし仕入率)
第1種事業(卸売業)…90% 第2種事業(小売業等)…80% 第3種事業(製造業等)…70% 第4種事業(その他飲食店業など)…60% 第5種事業(サービス業等)…50% 第6種事業(不動産業等)…40%
消費税の申告と納付
48万円超400万円以下: 年1回(直前の課税期間の消費税額の1/2) 400万円超4,800万円以下: 年3回(直前の課税期間の消費税額の1/4ずつ) 4,800万円超: 年11回(直前の課税期間の消費税額の1/12ずつ)
消費税の表示
免税事業者のメリットとデメリット
免税事業者のメリット
免税事業者のデメリット
消費税のしくみ|国税庁
免税事業者に必要な届出と手続き
課税事業者から免税事業者になる場合 免税事業者から課税事業者になる場合 課税事業者のなかでも簡易課税制度を選択する場合
課税事業者から免税事業者になる場合
基準期間の売上高が1,000万円以下になったことにより免税事業者になる場合
基準期間の売上高をきっかけとせず免税事業者になる場合
免税事業者から課税事業者になる場合
基準期間の売上高が1,000万円を超えたとき
特定期間の売上高が1,000万円を超えたとき
上記以外の事由で課税事業者になろうとするとき
資本金が1,000万円以上の法人を設立するとき
課税事業者になる際に簡易課税制度を選択する場合
No.6629 消費税の各種届出書|国税庁
免税事業者へのインボイス制度の影響と必要な対応
インボイス制度とは
インボイス制度が設定された背景
インボイス(適格請求書)を発行するための要件
請求書の発行事業者名 取引年月日 取引の内容(軽減税率の対象品目はその旨も明記) 税率ごとに区分して合計した対価の額 書類の交付を受ける事業者名
従来の請求書等の記載事項 【追加】インボイス発行事業者の登録番号 【追加】税率ごとに区分して合計した対価の額に適用税率を付記 【追加】税率ごとに区分した消費税額の合計
インボイス制度が免税事業者に与える影響
免税事業者がインボイス発行事業者への移行を判断するポイント
商品の販売先がおもに消費者または免税事業者の場合
たとえば習いごとの教室やサロンなどを営む免税事業者は、インボイス発行事業者にならなくても問題が生じにくいでしょう。
商品の販売先がおもに規模の大きな課税事業者の場合
商品の販売先に一般消費者や免税事業者と課税事業者が混在している場合
インボイス発行事業者になるための手続き
インボイス制度の概要|国税庁
令和5年10月からインボイス制度が開始! 事業者間でやり取りされる「消費税」が記載された請求書等の制度です | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A | 公正取引委員会
中小企業・小規模事業者のためのインボイス制度対策(第3版)
インボイス制度開始後の経過措置
登録申請に関する経過措置
しかしこの経過措置によって、免税事業者は課税事業者になる手続きを省いてインボイス発行事業者への登録申請ができます。
インボイス発行事業者への登録申請を行う免税事業者
対象期間2023年10月1日から2029年9月30日のあいだに属する課税期間
2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)
インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった事業者
対象期間2023年10月1日から2026年9月30日を含む各課税期間
80万円-20万円=60万円
簡易課税制度で計算した場合の納税額(みなし仕入率は50%)80万円-(80万円×50%)=40万円
2割特例を適用した場合の納税額80万円×2割=16万円
免税事業者等からの仕入れに係る経過措置
免税事業者から仕入れを行い、仕入税額控除を適用したい事業者
対象期間2023年10月1日から2029年9月30日まで
2023年10月1日から2026年9月30日まで…仕入れ税額相当額の80%を控除できる 2026年10月1日から2029年9月30日まで…仕入れ税額相当額の50%を控除できる
経過措置を受けることを記載した帳簿の保存
法人成りで免税事業者になる要件(参考)
法人が免税事業者であるための要件
基準期間における売上高が1,000万円以下
-> 基準期間…個人事業主は前々年、法人は前々事業年度特定期間における売上高が1,000万円以下
-> 特定期間…個人事業主の場合は前年の1月1日~6月30日、法人の場合は前事業年度の開始日以後6カ月その事業年度の基準期間がない法人のうち、事業年度の開始日における資本金または出資金の額が1,000万円未満
法人成りする際に気をつけたいこと
No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき|国税庁
個人事業者の法人成りの場合の課税売上高の判定|国税庁
個人事業と法人のどちらがよいか | 起業マニュアル | J-Net21(中小企業ビジネス支援サイト)
免税業者に関するよくある質問
免税事業者とは、消費税の納付を免除されている個人や法人を指します。基本的な要件は基準期間および特定期間における売上高が1,000万円以下であることです。ただし免税事業者である要件を満たしていても、課税事業者となる選択をすることも可能です。
国内で行われるほとんどの取引は消費税の課税対象です。商品販売やサービス提供によって対価を得る場合、免税事業者であっても、販売先から受け取る対価には消費税が含まれます。原則として、メニュー表やホームページなどであらかじめ商品価格を表示する場合は、消費税込みの価格を表示しておかなければならない総額表示の義務があります。
一概に対応する必要があるとは言い切れません。商品の販売先が一般消費者や免税事業者なのか、課税事業者なのかによっても適切な対応が変わってきます。事業の状況や今後の展望、事務面および金銭面での負担などいろいろな観点からよく考慮して判断することが大切です。