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スモールビジネスで免税事業者となるのは得?賢い選択のポイント

Square (スクエア), ブログ編集者

「小規模な取引しかしないから消費税は関係ない」と考えている個人事業主やスモールビジネスの事業主でも改めて把握しておきたいのが、免税事業者になる要件です。

この記事では自身が免税事業者の要件を満たしているのか、と疑問を抱く事業主に向けて、消費税の免税事業者と課税事業者の違いや、免税事業者になる要件、課税事業者になったほうが有利になる場合などについて説明します。また、2023年から段階的に施行され、2029年には完全実施となるインボイス制度(適格請求書等保存方式)についても合わせて確認しておきましょう。

消費税の免税とは

消費税は、対価を得る商品やサービスの提供など、広く社会的な経済活動にかけられる間接税です。消費税は商品やサービスを受けた消費者が支払いますが、税金の納付は事業者が行うという特徴をもっています。

免税事業者とは
消費税は事業者が消費者から預かっているもので、本来なら消費者の代わりに納税します。ただし、一定の小規模事業者については、要件を満たすことで消費税の支払いが免除される場合があります。

免税事業者は、この一定の要件を満たした「消費税の納付を免除される事業者」を指します。これに対し、納税の義務がある事業者は課税事業者と呼ばれます。

免税事業者になるための要件
免税事業者となる要件はひと言でいえば、「商取引の規模が比較的小さいこと」です。具体的な要件としては「基準期間における課税売上高が1,000万円以下であること」「特定期間における課税売上高が1,000万円を超えていないこと」を同時に満たす必要があります。

基準期間と特定期間は、次のように考えます。

  • 基準期間:その年の2年前(個人事業主は前々年、法人は前々事業年度)
  • 特定期間:その年の前6カ月(個人事業主は前年の1月1日から6月30日、法人は前事業年度開始日から6カ月間)

新規開業などで、基準期間が1年に満たない場合は、期間中の課税売上高を月数で割り、月あたりの額を出した後に12を掛けて1年相当の額を算出します。特定期間については、課税売上高の代わりに、給与支払額の合計額が1,000万円以上であるかを判定要件にすることもできます。なお、資本金1,000万円以上の法人を設立した場合は、課税売上高にかかわらず、課税対象者として扱われるため、免税事業者にはなれません。

参考:N.6501納税義務の免除(国税庁)

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免税事業者は有利?

免税事業者は、商品やサービスを提供したときに消費者から代金と消費税を受け取った後、預かった消費税を納めることなく事業者の収益にすることが認められています。納税しなかった分は得する利益となるため、「益税」と呼ばれたりします。

免税事業者は消費税を受け取ってはいけない?
消費税を納めないからといって、消費税をとっていけないというわけではありません。免税事業者が納める義務のない消費税を請求することについて、法律上の問題はありません。

免税事業者は消費税分の請求を減額しなくてはいけない?
取引先からいわれた場合はどうでしょうか。「免税事業者だったら消費税分を値引きしてほしい」「免税されている分サービス上乗せしてほしい」などと持ちかけられることがあるかもしれません。

消費税転嫁対策特別措置法では、以下の行為は禁止されています。

  • 減額、買いたたき(それまでの契約や取引額より低い対価となるよう要請する行為)
  • 商品購入、役務の利用または利益提供の要請(代替として商品を買わせたり別の利益供与を要求したりする行為)
  • 本体価格での交渉の拒否(本体価格で交渉する申し出を拒否する行為)
  • 報復行為(公正取引委員会などに通報したことなどを理由に不利益な扱いをとる行為)

この特別措置法自体は消費税率変更に伴う増税分の転嫁を防ぐための2021年3月までの期間限定の法律ですが、消費税の転嫁に関する取引の考え方として、参考にすることができます。

参考:消費税転嫁対策特別措置法(消費者庁)

課税事業者のほうが得する場合
免税事業者は、消費税分を自社の利益にすることができるため得するように見えますが、課税事業者になったほうが有利となる業務もあるため、注意が必要です。

仕入れ時に支払った消費税のほうが、売上時に受け取った消費税より多い場合、課税事業者だと消費税の還付制度が適用されるため、免税より還付のほうが多くなる可能性があります。たとえば次のような場合、仕入課税額と売上課税額とのバランスをよくみて検討したほうがよいでしょう。

  • 多額の設備投資をしたときや極端に売り上げが少ないときなど
  • 輸出業など(国内での仕入れには消費税がかかるが輸出の際は免税取引となる)

2023年からの取引に注意しよう

もう一つ、消費税の扱いで注意しておくポイントがあります。2023年から導入される予定の「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」と呼ばれる仕入れの税額控除に関する制度です。この仕組みを理解しておかないと、免税事業者であることがかえって不利になってしまう可能性があります。

適格請求書等保存方式(インボイス方式)とは
適格請求書等保存方式(インボイス方式)は、消費税の仕入税額控除の方式で、2023年10月1日から採用される予定です。これが導入されると、認定された事業者が発行する「適格請求書」に記載された税額のみが仕入税額控除の対象となります。

適格請求書は、税務署に登録された課税事業者しか発行することができません。2029年まで経過措置はあるものの、今後、仕入税額控除の適用を受けたい事業者は、適格請求書を発行できない免税事業者を避け、課税事業者との取引を優先させるようになる可能性があります。

仕入税額控除の必要がない一般消費者との取引しかしない場合はよいかもしれませんが、事業者同士で取引する場合、税務署に登録された課税事業者のほうが有利になってくる可能性が否定できないため、事業内容と取引状況を分析し、慎重に備えておくことをおすすめします。

参考:令和5年(2023年)10月からは「適格請求書等保存方式」に(政府広報オンライン)

免税事業者・課税事業者になる手続きでの留意点
開業したばかりの個人事業主や法人は、要件を外れないかぎり免税事業者として扱われます。このため、特別に免税事業者になる手続きはありません。一方、自分の意思で課税事業者になる場合には税務署に届け出を提出する必要があります。

また、免税事業者の要件を満たす状況になった課税事業者が免税事業者に戻る場合も手続きが必要です。手続きを行わなかった場合、さかのぼって納付した税金が戻ってくるわけではありませんので、必要な人は忘れずに届け出ましょう。

ここで気をつけなければならないのが、仕入れの課税額と売上げの課税額のバランスをみる期間です。免税事業者から課税事業者に切り替えたら2年間は免税事業者に戻ることができません。2年目にかえって不利にならないよう、中長期の経営計画が求められます。

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執筆は2020年6月3日時点の情報を参照しています。
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