※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計などに関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
企業の経理担当者や個人事業主は、消費税を計算した際に出る「99.8円」のような小数点以下の端数をどのように処理すべきか、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。実は消費税の端数処理には法的なルールが定められておらず、切り捨て・切り上げ・四捨五入のいずれを選ぶかは事業者の判断に委ねられています。
この記事では、消費税の小数点以下の端数処理について、基本的な考え方から実務での対応方法まで詳しく解説します。日々の経理業務に不安を感じている人はぜひ参考にしてください。
📝この記事のポイント
- 消費税の端数処理(切り捨て、切り上げ、四捨五入)に法律上の明確なルールはない
- 実務上は「切り捨て」を採用する事業者が多い傾向にある
- 会計処理の整合性を保つため、社内で端数処理のルールを統一することが重要
- 請求書発行の際は、事前に取引先と端数処理の方法について合意しておくとスムーズ
- Square POSレジのようなツールを導入すれば、消費税の計算・管理を効率化できる
目次
- 消費税の小数点以下端数処理とは?
・消費税の端数処理とは?
・消費税の小数点以下が発生する場合
・消費税の端数処理の方法にはルールがない - 消費税は切り捨て・切り上げどっちが多い?
- 消費税の端数処理の要点
・社内でルールを明確化
・販売先と事前に合意 - 先方の消費税端数処理が異なる際の対処法
・各請求での端数処理対応
・一括請求での端数処理対応 - 消費税の小数点以下の対応に役立つ基礎知識
・消費税の概要
・計算法
・内税と外税 - Square POSレジなら消費税の設定もラクラク
- まとめ
- よくある質問
・消費税の端数処理にルールはありますか?
・消費税の小数点以下の処理は何が一般的ですか?
・消費税の端数処理は切り捨て・切り上げどちらでも良いですか?
消費税の小数点以下端数処理とは?
商品やサービスの価格を計算する際、消費税を加算した金額に1円未満の小数点以下の数値、いわゆる「端数」が生じることがあります。この端数をどのように処理するかは、日々の経理業務において、多くの事業者が向き合う課題といえるでしょう。
ここでは、消費税の小数点以下の端数処理に関する基本的な考え方や端数が発生する具体的なケース、処理方法のルールについて解説します。
消費税の端数処理とは?
消費税の端数処理とは、税込価格を計算した際に生じる1円未満の金額を整数に調整する作業指します。
たとえば、税抜98円の商品に消費税10%をかけると、消費税額は9.8円です。9.8円という金額は現金で受け渡しができないため、9円または10円のいずれかに調整しなければなりません。端数処理の方法には「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」の3つの選択肢があります。
消費税の小数点以下が発生する場合
消費税の小数点以下が発生するのは、税抜価格に消費税率をかけた結果が整数にならないときです。
たとえば、以下のようなケースで端数が発生します。
- 税抜98円の商品:消費税額9.8円(10%の場合)
- 税抜127円の商品:消費税額12.7円(10%の場合)
- 税抜245円の食品:消費税額19.6円(軽減税率8%の場合)
消費税率10%の場合、税抜価格の一の位が0以外であれば、必ず小数点以下の端数が発生します。軽減税率8%の場合も同様に、計算結果が整数になるケースは限られています。
また、商品販売に限らず、提供したサービスの時間に応じて対価が決まるような契約でも、消費税の計算で端数が生じることがあります。たとえば、時間単価4,000円(税抜)のコンサルティング業務を2時間40分(160分)行ったケースを考えてみましょう。
- 税抜の報酬額:4,000円÷60分×160分=10,666.666…円
この場合、税抜の報酬額自体が割り切れず、小数点以下の端数を含んだ金額になります。この金額に対して10%の消費税を計算すると、消費税額も「1,066.666…円」となり、同様に端数が発生します。
消費税の端数処理の方法にはルールがない
消費税の端数処理について、法律上の明確なルールは存在しません。国税庁のタックスアンサー(No.6371)1では、適格請求書に記載する消費税額等の端数処理について「切上げ、切捨て、四捨五入などの端数処理の方法については、任意の方法とすることができます」と明記されています。
ただし、インボイス制度における適格請求書を発行する際は、端数処理の回数が決まっているため注意が必要です。請求書1枚につき端数処理は税率ごとに1回とされており、商品ごとに端数処理を実施し、その合計額を消費税額として記載する方法は認められていません2。
| 処理方法 | 計算の流れ |
|---|---|
| 認められる例 | ・商品A(税抜):1,584円 ・商品B(税抜):859円 ・税抜合計額:1,584円+859円=2,443円 ・消費税:2,443円×10%=244.3円 ・端数処理で244円 |
| 認められない例 | ・商品A(税抜):1,584円 ・商品Aの消費税:1,584円×10%=158.4円 → 端数処理で158円 ・商品B(税抜):859円 ・商品Bの消費税:859円×10%=85.9円 → 端数処理で85円 ・合計消費税額:158円+85円=243円 |
なお、上記は売り上げや仕入れ時の消費税の処理方法についてですが、課税標準や納付税額などの消費税を計算する場合は、別途ルールが定められています。詳しくは国税庁のタックスアンサー(No.6371)1をご確認ください。

消費税は切り捨て・切り上げどっちが多い?
消費税の端数処理方法は事業者が自由に選択できますが、「切り捨て」を選ぶ企業・店舗が多い傾向にあります。切り捨てが多く採用される理由は、主に2つあります。
1つ目は、消費者にとって有利な処理方法であるためです。切り捨ての場合、消費者が支払う金額は切り上げや四捨五入と比較して同額か少なくなります。顧客満足度の観点から、消費者に有利な切り捨てを選ぶ事業者が多いのです。
2つ目は、事業者が納付する消費税額を抑えられる可能性があるためです。消費税の納付額は「売り上げにかかる消費税額」から「仕入れにかかる消費税額」を差し引いて算出します。売上時の端数を切り捨てれば、売り上げにかかる消費税額が少なくなり、結果として納付税額の軽減につながる場合があります。
特にこだわりがない場合は、切り捨てを採用しておくのが無難です。多くの事業者が切り捨てを採用しているため、取引先との端数処理の違いによるトラブルも起きにくくなります。
消費税の端数処理の要点
消費税の端数処理を実務で適切に運用するには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
社内でルールを明確化
消費税の端数処理は、社内でルールを明確化しておく必要があります。
担当者ごとに端数処理の方法が異なると、請求書や領収書の金額に差異が生じてしまいます。経理部門での確認作業が増えるだけでなく、取引先からの信頼を損なう原因にもなりかねません。
社内ルールを策定する際は、以下の項目を明確にしておくとよいでしょう。
- 端数処理の方法(切り捨て・切り上げ・四捨五入のいずれか)
- 端数処理を実施するタイミング(商品単位・請求書単位など)
- 税率ごとの処理方法(10%と軽減税率8%で同じ処理をするか)
ルールを文書化し、経理担当者だけでなく営業担当者など請求書作成に関わる全員に周知しておくのが望ましいでしょう。
販売先と事前に合意
消費税の端数処理については、販売先と事前に合意しておくとトラブルを防ぎやすくなります。
自社と取引先で端数処理の方法が異なると、請求金額と支払金額に差異が発生する場合があります。1回の取引では数円程度の差でも、取引回数が多くなれば累計で無視できない金額になる可能性もあるでしょう。
新規取引を開始する際は、契約書などに端数処理の方法を明記しておくのがおすすめです。既存の取引先との間で端数処理の違いが判明した場合は、どちらの方法に合わせるかを協議し、書面・メールなどで合意内容を残しておきましょう。
先方の消費税端数処理が異なる際の対処法
自社で消費税の端数処理ルールを統一していても、取引先が異なるルールを採用しているケースは珍しくありません。たとえば、自社が「切り捨て」で、取引先が「四捨五入」を標準としている場合、請求額と取引先の支払予定額に誤差が生じます。ここでは、端数処理の違いへの具体的な対処法を解説します。
各請求での端数処理対応
取引ごとに請求書を発行する場合、端数処理の違いによる差額は都度調整するのが基本です。
たとえば、自社が切り捨てで計算した請求金額が10,989円、取引先が四捨五入で計算した金額が10,990円だった場合、1円の差額が発生します。この差額への対応方法は主に2つあります。
1つ目は、取引先の計算方法に合わせる方法です。請求書を発行する側が、受領する側の端数処理ルールに従って金額を調整します。取引先との関係性を優先する場合や、差額の確認・調整にかかる手間を省きたい場合に有効です。
2つ目は、差額を「雑収入」または「雑損失」として処理する方法です。自社の端数処理ルールは変えずに、差額分を会計上で調整します。1円や2円程度の差額であれば、この方法で対応するのが現実的でしょう。
どちらの方法を採用するかは、取引先との関係性や取引頻度、差額の金額などを考慮して判断しましょう。
一括請求での端数処理対応
月末にまとめて請求する一括請求の場合、端数処理の差額が積み重なる可能性があります。
一括請求では、1カ月分の取引をまとめて1枚の請求書に記載します。インボイス制度のルールでは、適格請求書につき税率ごとに1回の端数処理を実施するため、個々の取引で発生していた端数は請求書作成時に再計算されます。
具体例を見てみましょう。1カ月間に以下3回の取引があったとします(税率10%、端数処理は切り捨て)。
| 取引 | 税抜金額 | 消費税額 | 端数処理した消費税額 |
|---|---|---|---|
| 取引1 | 1,234円 | 123.4円 | 123円 |
| 取引2 | 2,567円 | 256.7円 | 256円 |
| 取引3 | 3,891円 | 389.1円 | 389円 |
取引ごとに端数処理をした場合、消費税額の合計は768円です。しかし、インボイス制度では請求書単位で端数処理を実施するため、税抜合計7,692円×10%=769.2円を切り捨てた769円が正しい消費税額となります。この再計算によって、取引先が把握している金額と請求金額に差異が生じる場合があります。
数円程度の差額であれば、支払い時や入金時に「雑収入」または「雑損失」として会計処理し、調整することも可能です。しかし、差額が大きい場合や頻繁に差異が発生する場合は、トラブルを防ぐために、取引先と端数処理の方法について改めて協議し、ルールを統一しておいた方が良いでしょう。また、請求書に各取引の明細を添付すれば、端数処理の過程が明確になります。

消費税の小数点以下の対応に役立つ基礎知識
消費税の端数処理を正しく行うためには、消費税の基本的な仕組みを知っておく必要があります。
消費税の概要
消費税は、商品の販売やサービスの提供に対して課される間接税です。消費税の負担者は最終的に商品やサービスを購入する消費者ですが、納税するのは事業者となります。事業者は売上時に消費者から預かった消費税を、確定申告を通じて国に納付する仕組みです。
現在の消費税率は標準税率10%と軽減税率8%の2種類があります。軽減税率8%が適用されるのは、飲食料品(酒類・外食を除く)と週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)です。
消費税10%の内訳は、国税である消費税7.8%と地方税である地方消費税2.2%で構成されています。軽減税率8%の場合は、消費税6.24%と地方消費税1.76%です。確定申告の際には、国税と地方税を分けて計算する必要があります。
計算法
消費者が支払った消費税は、どのような計算を経て国に納められているのでしょうか。商品の流通を例に、その仕組みを見ていきましょう。
2026年1月時点の消費税率は10%です。たとえば、ある小売店が卸売店から商品を3,000円(税抜)で仕入れたとします。このとき、小売店は消費税を含めた3,300円(本体価格3,000円 + 消費税300円)を卸売店に支払います。
次に、この小売店が、仕入れた商品に利益を乗せて4,000円(税抜)の価格をつけ、最終消費者に販売したとします。最終消費者は、商品代金4,000円とそれにかかる消費税400円を合わせた、4,400円を小売店に支払います。
この一連の取引において、各事業者は預かった消費税をそのまま納めるわけではありません。まず、卸売店は小売店から預かった消費税300円を国に納めます。(※説明を簡単にするため、卸売店の仕入は0円とします)。続いて小売店は、最終消費者から預かった消費税400円から、自身が仕入れの際に卸売店へ支払った消費税300円を差し引きます。その差額である100円が、小売店が国に納める消費税額となります。
最終的に国に納税された消費税の合計は、卸売店が納めた300円と小売店が納めた100円を足した400円です。これは、最終消費者が負担した消費税額と一致します。
このように、事業者が売上時に預かった消費税額から、仕入時に支払った消費税額を差し引いて納税する仕組みを「仕入税額控除3」と呼びます。
この仕入税額控除の具体的な計算方法として、「一般課税(本則課税)」と、特定の事業者のみが選択できる「簡易課税」の2種類が存在します。簡易課税制度4では売り上げにかかる消費税額に業種ごとの「みなし仕入率」を掛けて納付税額を計算するため、経理の負担が軽減されるのが特徴です。
内税と外税
消費税の表示方法には、内税と外税の2種類があります。
内税は、消費税額を含んだ価格を表示する方法です。「1,100円(税込)」のように、支払う金額がそのまま表示されるため、消費者にとってわかりやすいのが特徴といえます。2021年4月から、消費者向けの価格表示は原則として総額表示(税込価格の表示)が義務付けられています5。
外税は、消費税額を含まない価格を表示する方法です。「1,000円+税」のように、本体価格と消費税を分けて表示します。BtoB取引では外税表示が一般的であり、請求書や見積書では税抜価格と消費税額を別々に記載するケースが多いでしょう。
端数処理の観点では、外税方式の方が計算過程が明確でわかりやすいといえます。税抜価格に税率をかけて消費税額を算出し、その時点で端数処理を実施するためです。内税方式では、税込価格から逆算して消費税額を求める際に端数が発生する場合があり、計算がやや複雑になる傾向があります。

Square POSレジなら消費税の設定もラクラク
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SquareのPOSレジは高機能なのに初期費用0円
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まとめ
消費税の小数点以下の端数処理には、法律上の明確なルールがありません。切り捨て・切り上げ・四捨五入のいずれを選ぶかは事業者の判断に委ねられていますが、価格競争力の観点から「切り捨て」を採用するケースが多い傾向にあります。
もし取引先との処理方法の違いによって請求額に差異が生じた場合は、差額を「雑収入」や「雑損失」として会計処理するか、今後のために取引先と協議してルールを統一しましょう。
計算ミスや確認の手間を未然に防ぎ、経理業務全体を効率化したい場合は、Square POSレジのようなツールの活用を検討してみてください。
よくある質問
消費税の端数処理にルールはありますか?
消費税の小数点以下の端数処理について、法律で定められた一律のルールはありません。「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」のどの方法を採用するかは、各事業者の判断に委ねられています。ただし、インボイス制度(適格請求書等保存方式)においては、端数処理を行える回数が「一の適格請求書につき、税率ごとに1回」と定められています。個々の商品ごとに端数処理することは認められないため注意が必要です。
消費税の小数点以下の処理は何が一般的ですか?
消費税の小数点以下の処理は、「切り捨て」が一般的です。切り上げや四捨五入と比べて、購入者側が支払う金額が本来の計算額より高くなることがないため、請求に関する問い合わせやトラブルを未然に防ぎやすいという利点があります。どの方法を選ぶか迷った場合は、多くの事業者が採用している「切り捨て」を基準に考えるとよいでしょう。
消費税の端数処理は切り捨て・切り上げどちらでも良いですか?
消費税の端数処理は、切り捨て・切り上げどちらを選んでも問題ありません。ただし、経理処理の整合性を保つために、一度決めたルールは社内で統一して運用しましょう。また、取引先と端数処理の方法が異なる場合は、事前に協議してルールを統一しておくと、経理処理がスムーズに進みます。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2017年5月23日時点の情報を参照しています。2026年1月19日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。

