消費税は切り上げ?切り捨て?金額表示の見直しポイント

通勤前に駅前で立ち寄るコンビニエンスストアで買うサンドイッチも、週末に仕上がるワイシャツのクリーニング代も、私たちが日々の暮らしの中で「消費する」商品やサービスには消費税が課せられています。

消費税は、税を負担する人と納税義務者が異なる代表的な間接税です。商品を購入(消費)する消費者は、消費税を含めた合計金額を事業者(商品を提供する店や人)に支払うことで税を負担しますが、この税金を納税するのは事業者の仕事です。つまり、消費者が支払った税金を事業者が代わりに納税することで、消費税は間接的に納められているのです。

すべての消費者が日頃から商品やサービスにお金を支払うたびに「税金を納めている」と意識しているとは限りません。しかし、2014年4月に日本国内の消費税は5%から8%に引き上げられ、2019年10月には10%への引き上げが予定(2017年5月時点)される中、日用品だけでなく、マイホームや自動車、教育費などさまざまな価格に影響が及ぶことを考えると、当然、消費者にも大きなインパクトをもたらすでしょう。

消費税の引き上げは、消費者が支払う合計金額に大きく関係します。事業者にとっては、消費者に、購入を検討している商品やサービスそのものの価値を理解してもらうことが重要です。本体価格がわかりにくかったり、税込価格に誤解が生じると、会計時などにトラブルを招くおそれがあります。お客様が欲しいものを安心して購入(消費)できるように、表示金額や価格設定に誤認がないように気を配るのも事業者の仕事です。

今回は、消費税の仕組みを理解しながら、政府が推奨している店頭における金額表示についてのポイントをお伝えします。

目次



消費税の仕組み

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前述の通り、消費税は代表的な間接税です。それでは、消費者がお店に支払った税金はどのような計算を経て納税されているのでしょうか。

2017年5月現在の消費税率は8%です。従って、3,000円の商品の購入に課せられる税金は、3,000円 × 0.08(8%)で、240円になります。例えば、小売店が卸売店から3,000円の商品を仕入れた場合、小売店は消費税を含めた3,240円を卸売店に支払います。次に、小売店は仕入れた商品に4,000円の価格設定をして、最終的に商品を消費することになる「最終消費者」に販売したとします。最終消費者は、4,000円の商品に消費税を含めた金額として、(4,000円 × 1.08 =)4320円を小売店に対して支払います。

この一連の取引で支払われた消費税を、各事業者は売り上げとは別に納税しなければなりません。まず、卸売店は小売店から預かった240円の消費税を納税します。次に、小売店は、最終消費者が払った320円の消費税から、同じ取引に対して既に卸売店に払っている240円の消費税を抜いた金額(320円 - 240円 =)80円を納税します。

すると、納税された消費税の合計は、卸売店が納めた240円と、小売店が納めた80円を足した金額(320円)で、最終消費者が負担した消費税額と一致することになります。

消費税がかからない場合もある

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消費税の仕組みを知る上で重要なポイントの一つに、消費税がかからない場合についての理解があります。個別の取引などが消費税の課税対象かどうかを正しく判断できるようにしておきましょう。

不課税取引

不課税取引とは、商品やサービスの提供に対して対価が無い場合において、消費税が不課税となる取引のことです。

そもそも消費税とは、事業者が商品やサービスを事業として提供する代わりに何らかの「対価」を得る取引に課せられる税金です。例えば、試供品や見本品を無償で提供する場合、対価の支払いはありません。従って、不課税取引として扱われ消費税も課税されません。他にも、寄付金や祝金、香典や祝儀など一般的に対価として支払われるものではないものも不課税対象です。

不課税対象について詳しくはこちらのページ(国税庁)をご覧ください。

非課税取引

通常は、消費税の課税対象となる取引でも、取引の性格や社会政策的配慮から非課税になるものもあります。例えば、土地の借用です。土地とは、使った分だけ減るものではないので、「消費する」という概念から外れ、非課税取引の対象になります。(法令で定められている条件を満たしている必要があります)

課税取引・非課税取(国税庁)を確認しておきましょう。

免税取引

国内で生じた取引でも、商品やサービスが実際に消費されるのが国外の場合、税率が0%(免税)になる場合があります。例えば、商品の輸出や国際輸送、国際電話、国際郵便などです。

しかし、取引を免税対象にするためには、輸出取引等の区分に応じて一定の証明をすることが必要です。最も分かりやすい例では、デパートや空港で外国人観光客など向けに設置されている免税カウンターでしょう。訪れた外国人が日本で購入した商品を実際に消費するのは自国であるということを想定して免税対象としています。

これら三つの取引に、個別の取引を照らし合わせてみましょう。どれにも該当しないようであれば、国内における商品やサービスを取り扱った取引は全て消費税の課税対象になると考えていいでしょう。

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端数の処理方法

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さきほど例で挙げたように、ある商品の本体価格が3,000円や10,000円のようにきりのいい数字だと消費税の計算にも特に困らないかもしれません。

しかし、例えば、本体価格が780円の商品の消費税を計算するとどうでしょうか。そのまま計算すると、780円 × 1.08 = 842.4円ですが、日本の流通通貨の最小単位は1円なので、消費者は正確な金額を支払うことができません。そこで、事業者は小数点以下の端数を処理する必要があります。

実は、消費税の端数の処理については、法令では特にルールが定められていません。切り上げるのか、切り捨てるのか、それとも四捨五入するのかは、事業者が自由に決めていいことになっています。しかし、消費税を切り上げると、消費者が「余分に払っている」と感じてしまうおそれがあるので、切り下げて処理している事業者が多いのが実際のようです。

たとえ1円の違いでも、消費者の負担になることは変わりありません。自店(自社)では、どのようなルールに則って消費税を処理するのかを明確に定め、従業員と認識を合わせておくことをおすすめします。

なお、上記は売り上げや仕入れ時の消費税の処理方法についてですが、課税標準や納付税額などの消費税を計算する場合は、計算方法や端数の処理の仕方が国税通則法で定められています。(国税通則法第百十八条 、百十九条参照)

価格の表示方法

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消費税法では、事業者は消費者に対してあらかじめ商品やサービスの本体価格と消費税を足した合計金額が分かるような価格表示をしなければいけないことが定められています。(第六十三条)

例えば、ある商品を購入する時、ほとんどの人が商品の価格を確認すると思います。その価格が税込金額なのか、税抜金額なのかで消費者が支払う金額は異なります。合計金額だと思って商品をレジに持っていったら、消費税を上乗せした金額を請求された、ということがあると、商品の選定や購入の決断に必要な判断がしにくくなってしまいます。誰もが、すぐに計算機を出して支払う合計金額を計算するということも現実的ではありません。消費税率が引き上げられた直前はなおさら誤認や混乱が生じやすいでしょう。

そこで、財務省は2014年の消費税引き上げをきっかけに、消費者の表示価格に対する誤認を防止するための「「総額表示」の義務付け」(以下「誤認防止措置」)を事業者向けに講じました。

仮に、店内やパンフレットなどに表示されている価格が始めから税込価格(「1200円(税込)」など)であれば、消費者が商品を選択する際、支払う合計金額を一目で知ることができます。しかし、商品の値ごろ感を伝えたいという意図で税抜価格のみを表示する場合においても、表示価格が税抜価格であるということを明確に消費者に伝える必要があります。

誤認防止措置は、税抜価格のみを表示する場合、表示価格が税抜価格であることを消費者に明示するための具体的な事例を例えば次のように挙げています。

  1. ○○○円(税抜き)
  2. ○○○円(税抜価格)
  3. ○○○円(税別)
  4. ○○○円(税別価格)
  5. ○○○円(本体)
  6. ○○○円(本体価格)
  7. ○○○円+税
  8. ○○○円+消費税

消費税は、国や地方にとって大切な財源です。商品などの価値を消費者が正しく判断できスムーズに選択できる環境を提供することも、事業者の大切な仕事であることを忘れないようにしましょう。

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執筆は2017年5月23日時点の情報を参照しています。
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