東京・芝にある大本山増上寺は、600年の歴史を持つ浄土宗の大本山だ。徳川将軍家ゆかりの寺としても知られ、境内には三解脱門、徳川将軍家墓所、宝物展示室などがある。安国殿では、御守や御朱印、黒本尊の御札などを授与しており、多くの参拝者が訪れる。
近年は、海外からの参拝者や、現金を持ち歩かない人も増えている。増上寺では、参拝者の利便性を高めるとともに、授与品の金額計算や決済対応をスムーズにするため、キャッシュレス決済の活用を進めてきた。
今回は、大本山増上寺 総合企画課 課長の笠原大定さんに、歴史ある寺院がキャッシュレス決済を取り入れた背景と、Square リーダーを活用した繁忙期の授与・決済運用について伺った。
| 業種 | 宗教法人 |
| 業態 | 寺院 |
| 使用しているSquareのサービス | Square リーダー |
目次
- 600年の歴史を受け継ぎ、国内外の参拝者を迎える増上寺
- 「Cash only」では応えきれない。参拝者の変化から始まったキャッシュレス対応
- 年末年始に最大30台。臨時運用に合ったSquare リーダー
- 御守、御朱印、拝観料。寺院ならではの会計にも向き合う
- 伝統を守るために、変えていく。増上寺が見据えるこれから
- Squareで実現できたこと

600年の歴史を受け継ぎ、国内外の参拝者を迎える増上寺
境内に足を踏み入れると、都心にありながら空気が少し変わる。背後には東京タワーがそびえ、目の前には国指定重要文化財の三解脱門(2026年現在改修中)、そして本堂へと続く参道が広がる。増上寺は、長い歴史を受け継ぎながら、いまも国内外から訪れる多くの人を迎えている。
「近年は東京タワー周辺の観光と合わせて訪れる人も多く、国内外からさまざまな参拝者が訪れるようになりました。平日午前中は海外からの来訪者の方が多く、御守や御朱印を受ける人も少なくありません。少しでもスムーズに参拝していただくために、参拝方法や境内の巡り方を多言語で案内するパンフレットの作成も現在検討しています」

▲大本山増上寺 総合企画課 課長の笠原大定さん
こうした受け入れの姿勢には、浄土宗の教えも関わっている。笠原さんによると、増上寺の三門には仁王像が置かれていない。入口で人を拒むのではなく、誰でも迎え入れるという浄土宗の考え方によるものだという。
「浄土宗の教えは、誰でもお念仏を唱えて極楽浄土に迎え取っていただくというものです。だから入口には仁王様を置かず、誰にでも入ってきてもらう。三解脱門は極楽に入る最初の一歩ですから、そこをくぐったら清らかな気持ちで本堂(極楽浄土)へ向かう、ということなんです」
歴史ある寺院でありながら、増上寺は閉じた場所ではない。訪れる人の背景が変わっても、受け入れる姿勢は変えず、今の参拝者に合わせて環境を整えていく。

「Cash only」では応えきれない。参拝者の変化から始まったキャッシュレス対応
海外からの参拝者の増加や、若者の決済状況の変化に伴い、増上寺はキャッシュレス決済への対応を進めた。
「最初のころは、“Cash only”と大きく掲示して、現金しか使えませんと案内していました。ただ、海外から来られる方が増えていくなかで、増上寺だけ現金のみというのは、時代から逆行しているのではないかという感覚がありました」
笠原さんは、自身の感覚も重ねてこう話す。
「私たちが海外へ旅行に行っても、そんなに現金を持ち歩かないですよね。カードを使うのが当たり前になっている。海外から来られる方に、わざわざ現金を用意してくださいというのは、不便をかけてしまうと思いました」

一方で、キャッシュレス対応は参拝者の利便性だけでなく、現場の運用を整えるうえでも必要だった。
「お守り一つならよいのですが、複数になると金額も変わります。以前は計算機を置いて計算していましたが、時間もかかりますしミスをすることもありました。決済端末とPOSシステムを使えば金額がすぐ分かりますし、在庫も把握できます」
金額計算、釣銭対応、販売数や在庫の把握。増上寺のキャッシュレス対応は、参拝者の支払い手段を増やすだけでなく、授与所の運用を正確に、スムーズにするための取り組みでもあった。

年末年始に最大30台。臨時運用に合ったSquare リーダー
年末年始の増上寺では、通常時とは異なる体制で授与対応を行う。境内には臨時テントを設置し、職員だけでなくアルバイトスタッフも含めて、御守や御札などの授与を行う。
「日本人の方は、年が明けてからお守りやお札を受ける方が多いんです。私たちもテントに入って対応しますが、やはり元日の深夜12時を過ぎてから忙しくなります」


▲晦日の増上寺の様子(写真提供:大本山増上寺)
その繁忙期に運用しているのが、30台のSquare リーダーだ。混雑時に求められるのは、参拝者を長く待たせず、限られたスペースのなかでスムーズに授与と決済を進めること。通常のように授与品を持ってレジに並ぶのではなく、テント前列のスタッフが参拝者の前で御守などを渡し、その場で決済する。
「Square リーダーは小型で持ち運びやすく、操作も簡単で、スタッフがその場でスピーディーに決済できるようになりました。最初は台数を絞って様子を見ながらやっていたのですが、これはできるなと手応えを感じ、スタッフ全員が端末を持つかたちにしました」
年末年始のように、一時的に多くの決済端末が必要になる運用では、必要な時期に必要な台数を用意できることも重要だった。Square リーダーは小型のため、繁忙期以外に保管しておく際も場所を取りにくい。通常時は安国殿、徳川将軍家墓所、宝物展示室などで使用し、繁忙期には臨時テントで台数を増やして使う。日常の運用と年末年始の臨時運用、その両方に合わせやすいことが、増上寺の使い方に合っていたのだ。

御守、御朱印、拝観料。寺院ならではの会計にも向き合う
決済には、寺院ならではの難しさもあったという。
「非課税のものがあったり、食べ物関係があったりします。クッキーなどの持ち帰りの商品は軽減税率の8%、通常の商品は10%、御祈願などは非課税になるんです」
宗教法人として、御守や御祈願のような非課税のもの、通常の商品、食品などを扱う増上寺では、税区分が複数に分かれる。キャッシュレス決済や関連するシステムを導入する際には、こうした寺院ならではの会計に対応できるかも確認が必要だった。
「非課税のものや寄付に関わるものは、決済ブランドによって利用できるかどうかが異なる場合があります。導入前には、Squareの担当の方にも相談して、どのブランドで利用できるのかを確認してもらいました」

寺院のキャッシュレス対応は、単に決済手段を増やすだけでは十分とはいえない。御守、御朱印、御札、拝観料、食品、寄付や御祈願など、それぞれの性質に合わせて、どのように扱うかを一つひとつ確認していく必要がある。
増上寺では、参拝者が支払いに困らない環境を整えながら、寺院として守るべき会計上の扱いにも向き合っている。キャッシュレス化を進めるうえでも、宗教法人としての運用に合う形を見極めることが大切だった。
導入のご相談は営業チームまで
イベントや複数店舗への決済端末・POSレジの導入をご検討中なら、Squareの営業チームがご要望を伺います。端末の選定から利用開始までを丁寧にサポート。組織固有の課題に合わせた最適なソリューションを提供します。
伝統を守るために、変えていく。増上寺が見据えるこれから
増上寺にとって、変えてはいけないものがある。浄土宗の教えを代々つないできた役割だ。
「増上寺は、昔から伝法といって、浄土宗の教えを代々つないできたお寺です。浄土宗の僧侶になる最後の修行は、今も増上寺か京都の知恩院の二つでしか受けられません。そうした役目は、これから先も守り続けていかなければならないものです」
一方で、社会の変化に合わせて変えていくべきものもある。笠原さんは、キャッシュレス決済への対応も、その一つだと考えている。
「現金からキャッシュレスへという流れは、社会的な変化です。社会が変化していくのにお寺が変化していかないと、取り残されてしまう。伝統を守るためにも、社会の変化には柔軟に対応していかなくてはいけないと考えています」

キャッシュレス決済を取り入れることは、単に新しい仕組みを導入することではない。参拝者が支払いに困らない環境を整えること、混雑時の授与対応をスムーズにすること、現場で働く人たちが正確に対応できる仕組みを整えること。その一つひとつが、今の参拝者を迎えるための環境づくりにつながっている。
「いろいろな企業が、お客さんの満足度を高めるためにさまざまな工夫をしていらっしゃいます。そういうものも参考にしながら、これからも参拝される方に良い体験を届けたいと思っています」
都心にあり、国内外から多くの人が訪れる増上寺は、大きな懐で私たちを迎えてくれる。受け継いできた教えや役割を大切にしながら、今訪れる人が安心して参拝できる環境を、これからも整えていく。


「Square リーダーは小型で持ち運びやすく、操作も簡単で、スタッフがその場でスピーディーに決済できるようになりました。最初は台数を絞って様子を見ながらやっていたのですが、これはできるなと手応えを感じ、スタッフ全員が端末を持つかたちにしました」 ー 大本山増上寺 総合企画課 課長 笠原大定さん
Squareで実現できたこと
年末年始の繁忙期に合わせた、30台規模の決済体制
増上寺では、年末年始の繁忙期に臨時テントを設置し、御守や御札などの授与対応を行っている。Square リーダーを30台規模で運用することで、通常時とは異なる繁忙期の体制にも対応しやすくなった。
普段の授与・拝観でも、金額計算や入力ミスを防ぎやすく
通常時も、安国殿、徳川将軍家墓所、宝物展示室でSquare リーダーを使用している。御守や御札を複数受ける場合も、金額を確認しやすくなり、計算ミスや販売漏れを防ぎやすくなっている。
寺院ならではの会計に合わせた確認と運用
増上寺では、非課税のもの、通常の商品、食品など、複数の税区分を扱っている。導入時には、非収益事業や寄付に関わる決済ブランドの利用可否も含め、寺院ならではの会計に対応できるかをSquareに相談しながら確認することができた。
記事に掲載されている店舗情報 (商品内容、価格、営業時間など) は2026年9月時点のものです。 (1)

